清水翔太『SHOTA SHIMIZU 15th Anniversary Live for Family』ライブレポート@Zepp HANEDA

心に何か欠けたなら、清水翔太というHOMEに集えばいい。

2023年2月にデビュー15周年を迎える清水翔太。その幕開けを告げたのが、全国ツアー『SHOTA SHIMIZU 15th Anniversary Live for Family』。ここでは、2月16日にZepp Hanedaで行われた公演の模様をお伝えしたい。フロアを埋めつくした大勢のFAMILYたち。ライブは重低音響く演奏に乗せ“Sorry Not Sorry”を高らかに歌いながら幕を開けた。とても雄々しい姿だ。一つ一つの言葉に強い意志と想いが詰まっている。4人のダンサーたちを引き連れた清水翔太は、会場に生まれた熱をみずから先陣をきってアゲていく。フロア中の人たちが大きく手を振り上げ、清水翔太に思いを返す。早くも場内には、互いの気持ちを強く求め結び合う景色が生まれていた。熱を加えるように、ライブは“Good Life”へ。メロウな中にも重厚なグルーヴの生きた楽曲だ。清水翔太は、これまでの自身の歩みを振り返るように、あの頃の自分を思い返しながらライムしていく。15周年という日々を彩るライブに似合う楽曲だ。清水翔太自身の変わらぬ生きざまやこれからも歌い続けていく強い意志が、クールな歌声の矢を通して熱く胸に突き刺さる。彼の言葉に共鳴した大勢の人たちが大きく手を振り上げ、思いをぶつけ返す。そして清水翔太と一緒に、この歌に乗せて「生きる意味」を探していた。いや、清水翔太自身すでにこの答えは早い時期から見いだしている。だからこそ彼は今ここに立って、大勢の仲間たちにその生きざまを示すように歌っていた。 グルーヴを止めることなく、“Sorry”へと曲は流れていく。とても切ないのに温かい愛を覚える楽曲だ。今や届かぬ思いを響かせるように、清水翔太は愛しい人へ向け、後悔という心に渦巻く苦い思いをぶつけていた。独白するように歌う彼の歌声に触れながら、フロアにいる人たちも、弱い自分が招いたいろんな後悔という思い出をこの歌に重ね合わせながら触れていた。清水翔太の歌声やバンド陣の演奏にエモさを覚える。それがどういう心情であれ、それだけ清水翔太も演奏陣も、この曲に気持ちを溶け込ませ込み上げる思いをぶつけていたからだろう…。

心地好く跳ねたメロウでソフトなグルーヴに乗せ、清水翔太は綺麗なファルセットも巧みに用いながら“Baby I love you so”を歌唱。どっぷりとしたソウルフルな音のウネリの中、清水翔太自身が音楽に包まれていることへ心地よさを覚えながら、甘い歌声に乗せ、会場いっぱいに思いを響かせていた。この曲はラブソングにも、彼と思いを共有し続けてきたFAMILYたちに向けた思いにも感じられる。そんな風に解釈を深めながら、清水翔太と一緒にこの思いをエモい気持ちで分かち合っていた。切々としたピアノの音色に乗せ、清水翔太は弱い自分の心の声を響かせるように、オートチューンを用いて“alone feat.SALU”を歌った。彼は言葉にしていた、「俺は一人だよ 俺に頼るなよ」と。でも弱い自分を素直に吐き出せる清水翔太だからこそ、彼が示す生き方を信じていたい。彼が通ってきた道のりを知るほどに、同じような生き方に憬れを覚える。清水翔太自身がこの歌を通して、みずからの気持ちを鼓舞していた。郷愁を覚えながらも、ライブを通してそんな風に伝わってきた。だから大勢の人たちが、歌う彼に向かってたくさんの手を伸ばしていた。クールにライムしていく清水翔太。ラッパーとしての魅力も示すように、清水翔太は“N.E.E.D”をかましていく。愛しい人への思いを、彼は強い言葉とサビではメロディアスな歌に乗せ、思いを真っ直ぐに伝えてきた。温かい歌声と感情を強く伝えるラップを組み合わせ、「あきれるほど真っすぐに」愛しい人へ向けた思いを届けていた。その愛はこの会場にいる人たちへ向けての思い?「君と出会えてなかったらきっと僕はここにいない」という言葉の意味は、僕らも感じている。そうか、お互いの関係を強く結び合うように彼が歌っていたから、フロア中でたくさんの手が左右に大きく揺れていたのだろう。いつしか心がメロメロに濡れていた。美しいゴスペルクワイアに乗せ、まるで賛美歌のように清水翔太が温かい歌声を響かせた。彼はソウルフルでメロウな“冬が終わる前に”に乗せ、会いたくても会えない人たちの心を癒し、優しく抱き締めるように歌った。とくに今は世界がいろんな意味で混沌としている。会いたくても会えない恋人や家族が、この寒い冬の季節にも現実に多く存在している。冬を舞台にしたこの歌が、やがて訪れる春のように、凍てついた人たちのわだかまった心も溶かそうとしていた。淡く切ない歌だ。でも強い願いも携えた楽曲だ。だからこの歌に気持ちを寄り添い、幸せの訪れを願うように心を傾けていた。

切々としたピアノの旋律が響きだす。その音色に乗せ、清水翔太は優しく、温かい声で歌いだす。流れだしたのが、“花束のかわりにメロディーを”。1番は原曲に忠実に、2番からは癖の強い歌い方を活かすように歌っていた。ここまでの流れもあるからだろう。この歌からもいろんな思い、願う心模様が見えてきた。どっぷりとしたソウルフルな世界へ浸りながらも、いろんな意味で心を揺さぶってくれたのも嬉しかった。「愛し合う二人は何も恐れない」と高らかに歌いながら、楽曲は“Because of you”へ。指を鳴らす音に乗せ、心が導くまま、自由に、おおらかに歌っていた。そこへ加わる、美しくてエモーショナルなコーラス。そのハーモニーが、彼の歌声にハートフルな彩りを与えていた。大切な君へ向けた告白のようにも届く歌に心を撃たれた人たちが、清水翔太に向けてクラップしていた。曲が進むにつれ、どんどんとエモーショナルさが増していく。気がついたらとてもおおらかな愛に包まれていた。ラジオのチューニングを合わせる音。波長の合った番組では、次々と清水翔太の楽曲を流していた。その曲たちに合わせ、ダンサーたちが次々とパフォーマンスしていく。そしてライブも後半へ。熱を抱いた楽曲に乗せ、清水翔太はクールに“Friday”を歌いだした。刺激的な金曜日の夜を彩る楽曲の登場だ。曲が進むにつれ、いつしか雄々しい声で歌う清水翔太がそこにいた。彼は歌っていた「夜はこれから」と。ここからもっともっとディープな世界へ清水翔太と一緒に飛び込み、共に素敵なパーティーを描き出そうと誘いかけてきた。フロア中でも清水翔太とダンサーたちに煽られ、一緒に身体を揺らす人たちも大勢いた。さぁ、このまま熱を上げ見たくない現実などすべて吹き飛ばしてしまおうか。気持ちを優しく解き放ち、心地よく舞い上がらせるように、“My Boo”を歌いだす。彼の歌声に向け、腕を振り上げて思いを掛け合う観客たち。最高のラバーズチューンに触れながら、互いがアラジンとジャスミン(恋人同士)になり、気持ちと気持ちをギュッと近づけ、心の中で抱きしめ合っていた。何より清水翔太自身が、この歌を通して、解きたくないFAMILYたちとの思いの絆をギュッと固く結ぶように歌っていた。歌詞に記した「俺がいるから 隣いるから」の言葉通り、ずっとずっと側に寄り添い続けていて欲しい。結んだ絆は僕らもまた紐解くことは決してないから。

「Homie」と声を響かせて始まったのが、“Homie”だ。この曲で清水翔太は、共に青春時代を過ごした気心知れた仲間たちへ向けて、「また集まって一緒に今を笑おうや」と声をかけてきた。大人になるにつれ、いろんな背負うモノの重さに押しつぶされそうになりながら、枷のついた手足を必死に動かすような日々を送りだす。大切にしていく物事の優先順位が変わるのはもちろんわかっている。だからこそ集まった時は気持ちをタイムスリップして、「夢想していた青春時代の自分になって楽しもう」とでも言うように清水翔太は歌っていた。いつまで経っても夢見る少年少女でいたい。それって非現実的なことだろうか?“Homie”に触れながら、いつまでだって夢を追いかけたい無邪気な自分でいたい気持ちになっていた。優しいアコギの調べを合図に、楽曲は“ソレゾレ”へ。清水翔太は甘い旋律に心を乗せ、少しノスタルジーな気分に酔いしれながら、この曲でも過去の自分を振り返り、その生きざまを肯定するように、みずからの生きざまを示していた。その上で「何かあったら僕が駆けつけるよ」と、大切な人たちへ向けて手紙を送るように歌っていた。この日は心の成長や仲間たちとの絆を歌にした曲たちが多い。それはきっと清水翔太自身がこのライブを通して、何が自分を支え続けてきたのか、何が自分にとって大切な心の軸になっているのかを確かめたかったから?それともその気持ちをライブ会場に集った仲間たちへ伝えたかったから?いつもそうだが今宵のライブも心の涙腺を濡らしながらも気持ちを踊らせる内容だ。最後に清水翔太は深くお辞儀をした上で、悲喜すべての感情を解き放つように、優しく温かい歌声で“Rainbow”を歌った。何があろうとも今の生き方を貫き続けると。だから同じ思いを胸に歩み続けようと彼は歌いかけてきた。止まない雨はないように、きっと誰の心にも虹がかかる日は訪れる。たとえ何度雨が降ろうとも…。

アンコールで再びステージに現れた清水翔太は、ギターを手に力強く弦を掻き鳴らしながら歌いだす。アンコールの最初を飾ったのは“Beautiful”。胸の内から湧き出る思いを、彼はソウルフルでエモい声に乗せて語りかけるように歌った。肩の力を抜いた声が、軽やかに走るビートと心地よく重なり合っていた。愛しい人へ向け「君は美しい」と言った言葉の背景から見える物語が、ちょっぴり心痛いけどロマンチックに見えていた。続いてピアノの甘い旋律に乗せて始まったのが“lovesong”。清水翔太はトーキングラップを通し、愛とは何かの答えを探し、探るように歌った。清水翔太は問いかけてきた、「本当の愛ってなんだろう? じゃあ偽物の愛ってなんだろう?」と。そんな自問自答する姿から、愛おしい人のことを何時だって大切に思い続ける清水翔太の心模様が伝わってきた。最後の最後に清水翔太は、デビュー曲の“HOME”を披露。しかもこの日は、ピアノの前に座り、弾き語りながら歌いだした。頭上では巨大なミラーボールが回り、たくさんの光の輝きをステージやフロア中に降り注いでいく。この曲を作った時はまだ10代だった。あの当時に思い浮かべて書いたシチュエーションと今を比べたら、守るべき大切な仲間たちも増えた。もちろんいろんな思い出だってあの頃に比べたらたくさん増えた。清水翔太は歌っていた、「いつか帰るよ 僕だけのHOME」、「新しい僕のHOMEがここにある」と。あの頃に見つけたHOMEは、今こんなにもたくさんの人たちの心の中に生まれている。清水翔太に支えられたい一人一人の心の中に、いろんな形を持った清水翔太というHOMEがある。それが15年経った今の清水翔太の真実だ。終盤に生まれた合唱が、共に守り、戻り続けたい心のHOMEがあることに喜びを感じる歌としても響いていた。心に何か欠けたなら、清水翔太というHOMEに集えばいい。改めてその思いを確かめ合いながら、ライブの幕は閉じていった。

Text:長澤智典
Photo:NISHITANI KUMI
https://www.sonymusic.co.jp/artist/shotashimizu/

『SHOTA SHIMIZU 15th Anniversary Live for Family』@Zepp HANEDA セットリスト
01. Sorry Not Sorry
02. Good Life
03. Sorry
04. Baby I love you so
05. alone feat.SALU
06. N.E.E.D
07. 冬が終わる前に
08. 花束のかわりにメロディーを
09. Because of you
DANCER PART
10. Friday
11. My Boo
12. Homie
13. ソレゾレ
14. Rainbow

ENCORE
01. Beautiful
02. lovesong
03. HOME