Sing Sing Rabbit VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

世の中にはいろんな方がいて、いろんなクリエイティブなことがあるから面白いと思う。

ランプシェードとペーパーフラワーから作られたウサギのフードを被るシンガー、Sing Sing Rabbitが、新曲『恋花』をリリース。香港を拠点に活動している彼女だが、2019年から吉本興業との提携により日本に進出。2020年からは世界的なパンデミックによって日本での活動がままらなかったが、本作品を携え、日本で再スタートを切る。音源のリリースの他、小説の出版や上場企業のイベントへの登壇、映画放映前に放映されるプロモーションビデオ制作、グッズ展開など、アジアを中心に音楽以外の活動も盛んで、エンターテイナーとしての活動の幅を広げ続けているSing Sing Rabbit。そんな彼女に、活動にかける思いや香港の歌手endy jaugwokyinとともに歌った新曲“恋花”について、そして日本での活動について話を訊いた。

■Sing Sing Rabbitとしての活動を始めたきっかけを教えてください。

Sing Sing Rabbit 元々音楽が好きで、実はSing Sing Rabbitとしての活動をする前には、自分でも音楽をやっていたんです。でも音楽をYouTubeに挙げようと思った時、注目して欲しいのは音楽だから、あまり顔は見せないで投稿したいと思って。なので、デザイナーの方とも相談して、このうさぎのマスクを作ってもらったんです。だから最初は顔を見せないためのものだったんですよね。

■音楽はどんなものを聴いていたんですか?

Sing Sing Rabbit いろんな音楽スタイルが好きなんですけど、小さい時は特に日本の音楽が好きでした。今、日本に来て活動しているのも、やっぱり日本の文化が好きだからなので。小さい時は宇多田ヒカルさんとかMISIAさん、玉置浩二さんとかを聴いていました。最近だったら藤井風さんの曲が好きです。

■日本の音楽をいろいろ聴いていらしたんですね。

Sing Sing Rabbit 最初に宇多田ヒカルさんの“First Love”を聴いた時、「こんなに素晴らしい音楽があるんだ」って思ったんですよ。そこから音楽が本当に好きになりました。

■ちなみにうさぎのフードを被られていますけど、うさぎという動物にこだわりがあったんですか?それともデザイナーの発案ですか?

Sing Sing Rabbit 被り物については、そもそも初めにマスクを作って欲しいとデザイナーに相談した時は、こんな大きいものにするつもりではなかったんです。顔がちょっと見えないくらいでいいんじゃないかな?と思ったんですけど、こんな大きいものを被ることになって……。(笑) でもデザイナーからは「うさぎと鳥、どっちがいい?」って聞かれて、うさぎの方が可愛いから「うさぎ!」と言いました。本当はすぐに外すつもりだったんですけど、結局うさぎのイメージで台湾でヒットして、ミステリアスなイメージもあって追いかけられていたので、自分でも「いいじゃん」と思って、しばらく被ったままの時期が長かったんです。でも香港での撮影の時、真夏で本当に暑かったことがあって……。そこから取るようにもなりました。(笑)

■ご自身にとって、この被り物はどういう存在ですか?

Sing Sing Rabbit この被り物は、元々はランプシェードなんです。ランプっていうのは光とか夢とかを表したりもするじゃないですか。私は元々夢を追いかける少女だったというのもあって、このうさぎはなんだか神様からもらったものじゃないかっていう思いも今はあります。あとは、すごく可能性が大きいものだなとも思います。なにも被らない普通の状態だと、多分今のような将来はなかったんだろうと思うので。こういううさぎの被り物をしていると、みんなが見て「可愛いな」とか、言葉がなくてもハッピーな気持ちになれるじゃないですか。言葉がいらないので、どこに行っても困らないし、そういう意味で可能性が無限になるのが自分にとってはすごく力になりました。

■今は香港に住まれていて、お仕事の時に日本にいらっしゃる形で活動されているんですよね?

Sing Sing Rabbit そうですね。2019年に日本デビューというか、オリジナルソングをリリースしました。沖縄映画祭などのイベントにも出演させていただいたりもしたんですけど、その後コロナ禍に入っちゃって、日本で活動することができなくなってしまって。本当は日本で長い時間仕事をしたいし、時間をかけていろいろとやってみたいと思っていたんです。今回の“恋花”という曲を新しいスタートという形にして、今後もいろいろとやっていきたいと思っています。

■日本で活動をしてみて、今はどんな気持ちですか?

Sing Sing Rabbit 香港の人たちは本当に日本の文化や音楽が好きで、日本でデビューすることに夢を持っているアーティストもたくさんいるので、すごく嬉しいし、幻かな?っていう感じです。今自分が日本でこうやって仕事ができているのも、みんなから「頑張ってね、よかったね」という応援メッセージをもらっているからなので、本当にありがたいし夢のようですね。

■日本に来てみて、特に思い出に残っている出来事はありますか?

Sing Sing Rabbit うーん。地震がすごく印象的でした。香港ではあまり地震がないので。前に日本に来た時に、日本人の友達と一緒にお菓子を買って外の椅子に座って食べていたら、急に目の前の建物が地震で結構揺れて……。友達がいたから大丈夫だったけど、それは結構びっくりしましたね。

■新曲についてもお伺いさせてください。今回は恋愛をテーマにした楽曲ですが、このテーマはどのように決まったんですか?

Sing Sing Rabbit “恋花”は私が作曲して、日本のプロデューサーのprephonicさんが作詞をしたんですが、「どういう歌詞がいいですか?」と聞かれて、感覚的に恋愛の曲かなと思い作ってもらいました。切ないロマンチックな曲ができたのでよかったです。

■作曲の段階でロマンチックな楽曲を作ろうと思って作っていたんですか?

Sing Sing Rabbit この曲はレコーディングを2年かけてやっていたので、いろんなトライをした曲だったんです。なので、最初の頃はもうちょっと地味な感じだったんです。でもチームの人とかに聞きながら、いろいろと直していって、今の形になったという感じです。だから、最初の頃は若干違っていました。

■結構長い時間をかけて作られていたんですね。

Sing Sing Rabbit ちょうどコロナ禍の期間が2年もあったっていうこともありましたけどね。あとは日本語で歌うから、発音を日本人と全く同じにしなくてもできるだけ日本語の発音をちゃんとしないといけないなと思っていたから、長い期間がかかるっていうのは分かっていたので。日本のチームに最初この曲を聴いてもらったときは、みんなメロディがすごく好きって言ってくれて、日本人も好きだからすごい期待してるって言ってくれたんです。でも結局2年間こっちに来られなかったので皆との連絡はZoomとかでやっていたんですけど、細かいところのやりとりは何回もしないといけないから、それもあって今になったっていう感じですね。

■すごく日本語の発音が綺麗ですよね。難しかった部分など教えてください。

Sing Sing Rabbit でも自分の母国の言葉じゃないので、1回歌ってプロデューサーに「こういうところを直して」って言われても、どこがどうよくないのか、細かくはわからなくて。そういう相談をすごく時間をかけてやりました。やっぱり日本人の感覚と私たちの感覚とは違うので、日本人から見ると「もうちょっとここが……」みたいなのがあっても、私たちではすぐに理解できないところとかがあって。

■確かに母国語以外のニュアンスの細かさは難しい部分がありますよね。

Sing Sing Rabbit そうですね。発音が五十音っていうのは分かっているんですけど、上手く言葉として繋げていくのが難しくて。例えば「ふ」の発音は、前は強く発音していたんだけど、今は力抜いて「ふ」って話せるようになったり。そういうのも今は分かるんですけど、昔は分からなかったんです。

■今回はデュエット曲という形でendy jaugwokyinさんと一緒に歌っていますが、どんな流れで彼と一緒に歌うことを決めたんですか?

Sing Sing Rabbit 今回一緒に歌ってくれたendy jaugwokyinさんは、香港では人気の歌手なんですけど、実は彼は昔からの知り合いなんです。でも今まで一度も一緒に仕事をしたことがなかったんです。2019年の11月くらいにはこの曲が出来ていたんですけど、レコーディングの途中で「この曲は男性の声もあったらいいな、デュエットの曲になったらいいな」と思ったんです。そうしたら、ちょうど久しぶりに会った友達がendyさんと一緒に仕事をしていたんです。endyさんはすごい人気歌手なので、「一緒にやるのは中々難しいかな?」とは思ったんですけどね。その友達が言うには、endyさんはちょっと面白い人とか、新人の方とも仕事をしたがっていて、新しいことにもいろいろと挑戦したいような人らしくて。日本にも住んでたことがあるから日本語もできるということで、「まさに!」と思って頼みました。彼は私がウサギになったことを知りませんでした。いろいろ自分の活動を説明したら、向こうも納得して「一緒に歌おうか」みたいな。それがきっかけで仕事ができたっていう感じです。