Subway Daydream『“RIDE” Release Party -like a daydream-』ライブレポート@渋谷www

1stアルバム『RIDE』リリースパーティーで伝えた音楽への気持ち。

双子の兄弟と幼馴染によって2020年に結成、初の音源“Twilight”のリリースから注目を集め続けているSubway Daydreamが、満を持して1stアルバム『RIDE』をリリース。大阪と東京にてリリースパーティーを開催した。2月11日に渋谷WWWにて行われた『“RIDE” Release Party -like a daydream-』では、同じく大阪出身のバンドであるYAJICO GIRLを迎え、グルーヴィーな音楽とともに温かなステージを作り上げた。

どこかリラックスしたように、ラフな空気をまといながら登場したYAJICO GIRL。演奏を始めると一転、息の合った演奏とタフに伸びていく歌声が会場の空気をぐっと引き締める。大阪出身同士というSubway Daydreamとの共通点にも触れながら軽快なMCを繰り広げるなど、会場の雰囲気を柔らかくほぐしながら次々と楽曲を披露する。楽しそうに演奏するメンバーから放たれるグルーヴィーな音色とボーカルの四方颯人のメリハリのある歌声を心地良く響かせると、Subway Daydreamにバトンを渡した。

SEとともに登場したSubway Daydreamは“Skyline”でステージをスタート。たまみ(Vo)の爽やかな歌声が会場を通り抜けていく。リリースされたばかりのアルバム『RIDE』は、洋楽インディーロックやオルタナから影響を受けるサウンドの中でも、たまみの歌声を存分にフィーチャーした作品。そのため音源を聴いた後には彼女の歌声による爽快感が色濃く残るのだが、ライブで聴くとその印象は一変する。もちろんたまみの歌声は清々しく真っすぐでライブハウスでもよく映えるのだが、Kana(Dr)による勢いのあるドラムや藤島裕斗(Gt)、藤島雅斗(Gt&Vo)による骨太なギターの音色が力強く、バンドの持つ勢いが反映されたステージが新鮮に感じられた。

手拍子も湧きあがり明るい雰囲気をまとった“Freeway”では、楽しそうにパワフルな歌声を響かせるたまみの歌声と対になるような、雅斗による優しい歌声も披露される。カントリー調を思わせるイントロから“Dodgeball Love”に続くと、「最後まで勢いを止めずに盛り上がっていきましょう!」と快活な挨拶から“Timeless Melody”へ。どこか懐かしさのあるオルタナポップサウンドでありながら、耳を引く歌声から発せられる「なるはやで 迎えに来て」というキャッチーな日本語詞。そういった親しみやすいユーモアがSubway Daydreamの魅力のひとつなのだろう。一変、ギターが激しく展開した“Teddy Bear”では、それまでの明るい雰囲気をがらりと変化させ、クールな一面を見せる。更に“Canna”へ続くと、歪んだギターサウンドとともにじっくりと歌詞を乗せるボーカルがディープな空気を醸し、ポップな音楽にとどまらない引き出しを見せた。

集まったオーディエンスに感謝を伝えながら和気あいあいとしたMCを展開した後には、再び軽快なサウンドとともに“Pluto”へ。穏やかな風景を想起させるような“Fallin’ Orange”、メロディラインの美しい“Twilight”へと、柔らかな楽曲とともに展開していく。Subway Daydreamがオープニング曲を担当したアニメ「もういっぽん!」の話題になると、「これはどんな曲になったの?」と雅斗が作詞・作曲を担当した裕斗に話を振る。裕斗は「ここでインタビュー始まるの?」と驚きながらも「好きなことを頑張っている時の真っすぐさをアニメと自分たちに照らし合わせて書いた曲です」と説明。そして演奏された“Stand By Me”は、楽曲に込めた思いを語ったMCに触発された部分もあったのか、各々の繰り出す音色もたまみの歌声も、鮮やかな高揚感を思わせるパワーに満ち溢れていた。そんな勢いをつなげるように瑞々しく“Yellow”を披露すると、オーディエンスも大合唱した“Radio Star”へ。終盤に向け、ぐんぐんと熱気を高めていく。

その後、この日の感想を聞かれた裕斗。「僕ら、元々友達なんですよ。幼馴染と兄弟でバンドを組んでいて……」と話し始めると、「今までバンド始めて良かったと思うことも、バンドを組まなかったらこんな思いしなかったと思うこともあって。でもいろんな人の力を借りてCDを出して、リリースパーティーもできました。ここまでこれたのはメンバーがいたからだし、このメンバーじゃなかったら続けてこれてないなと思います。大好きなみんなとバンドができて幸せです」としみじみと語り、感謝を伝える。その言葉の後に披露された“The Wagon”は、Subway Daydreamがここまで歩んできた喜びを再確認し、その気持ちを炸裂させるかのように力強く響いた。

アンコールでは「物販のTシャツを着て出てくるの、やってみたかったんですよね」と満足げなメンバー。最後にはたまみが「とても大切な記憶になりました。これからもバンドを続けていく勇気、希望をもらいました。これからも応援してください!」と素直な思いを伝え、“ケサランパサラン”で明るくフィナーレ。音楽への真っすぐな気持ちが瑞々しく音に乗る、高揚感のあるステージであった。

Text:村上麗奈
Photo:Kana Tarumi

『“RIDE” Release Party -like a daydream-』@渋谷WWW セットリスト
01. Skyline
02. Freeway
03. Dodgeball Love
04. Timeless Melody
05. シュガードーナツ
06. Teddy Bear
07. Canna
08. Pluto
09. Fallin’ Orange
10. Twilight
11. Stand By Me
12. Yellow
13. Radio Star
14. The Wagon

ENCORE0
1. ケサランパサラン