杉本琢弥 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

決して特別な関係ではない、誰もがその関係になれる、そういう愛を描きたい。

男性ダンス&ボーカルグループBLACK IRISのリーダーとして活動し、自ら作詞・作曲も行っている杉本琢弥。最近ではTik Toker「熊本の彼氏」としても人気上昇中。以前からBLACK IRISと平行してソロ活動も行ってきた杉本琢弥が、3月8日に『おにぎり』をリリースしソロとしてもメジャーデビュー。3月22日には、BLACKIRISとして豊洲PITでのワンマン公演も控えている。杉本琢弥がどういったスタンスでソロ/グループ活動を担っているのか、その背景を探ってみた。

■ご自身のソロとしての活動を始めてから、どれくらいになりますか?

杉本 もう3年間続けています。ただし、軸にしているのはBLACK IRISとしての活動で。自ら作詞・作曲・DTMも行っているので、BLACK IRISでの活動が落ち着いた時期を見計らってソロとしての制作も続けてきました。ソロとしてやり始めた理由も、自分の表現の幅を広げることもありますけど、一番はグループの支持を広げる間口になれたらなという思いからでした。また、ソロ活動の一貫として、昨年からは僕自身が熊本出身ということで「熊本の彼氏」名義でTik Tokを通した活動も始めました。その反響が大きくて、一気に認知度も増えたことから、「杉本琢弥としてソロ作品を出さないか」とお誘いをいただき、今回はソロとしてのメジャーデビューに繋がりました。

■杉本さんは、多岐にわたって活動をしていますからね。

杉本 同じ事務所の後輩グループMONOLITHが間もなく発売するシングルの表題曲『FLY AGAIN』の作詞・作曲を手がけるなど、作家としての依頼も増えています。これもすべては、BLACK IRISのことをたくさんの人たちに知ってもらいたいからの行動で。先にお伝えしておくと、今回のリリースに絡めた一連の動きが落ち着いたら、すぐにBLACK IRISの活動にシフトします。

■ソロ活動とグループ活動では、音楽的なアプローチも異なりますよね?

杉本 BLACK IRISはダンスチューンをメインに、しかもパワフルな楽曲を軸に攻めていますが、対してソロ活動では、今回のシングル曲“おにぎり”にも投影しように、お洒落なシティポップ調から、しっとりとした表情の曲など、グループとは異なる音楽性を示して、あえて差別化を図りながら、作家としての自分の表現の間口を広げています。

■今作の3TYPE発売するシングルに収録された曲たちを聴いた時に感じたのが、シチュエーションは異なれど、どの曲でも「杉本さんに口説かれたり、愛情を注いでもらえたり、甘えたラブラブな関係を楽しんだり」と、まるで恋人同士の関係を味わえることでした。男性が聴いてもそう感じるくらいだから、女性が聴いたら、きっとメロメロになっちゃいますよね。

杉本 ありがとうございます。今回の作品に収録した曲たちは、どれも「好きな人」に対して向けた曲たちなんです。みんなにも「言われた側のような気持ち」になって、一つ一つの楽曲を受け止めてもらえたら嬉しいですね。ただし「こんぶ盤」に収録した“Epilogue”は、僕自身の等身大の気持ちです。それ以外の曲たちは、自分の感情とは切り離して、それぞれのキャラクターの心情として描きました。例えば“おにぎり”では、Tik Tokでバズッた「熊本の彼氏」のキャラクターに成りきり、「熊本の彼氏」と彼女のラブラブな関係としての世界観を作りあげました。そうしたのも、自分という固定観念を外すことによって、発想がより自由になっていくんです。その上で設定を作って書いた方が、「自分だからではなく、そのキャラクターだったら」ということで、思いを深めていけるんですよね。

■杉本さんの場合は、キャラクターを設定した方が表現しやすいということですね。

杉本 僕に関してはそうですね。とくにポップなラブソングの場合は、僕の価値観を入れてしまうと、思いやイメージが固定化されて広がりが生まれにくくなるので。それよりも、解釈の間口を広く持てる表現の方が、いろんな人の心に刺さりやすいなと思ってそうしています。加えて、僕の場合はラブソングを書く時には、本当に「日常にありふれた愛」、「他愛もない愛」をテーマにしています。決して特別な関係の人たちではなく、誰もがその関係になれるような、そういう愛を描きたいからこそ、余計に自分という固定観念を外したところで書きたいと思ってしまうんでしょうね。

■客観視したと言っていますが、どの曲からも愛しい人への強い愛情が見えてきます。そこに杉本さん自身の人柄も感じてしまいますからね。

杉本 ありがとうございます。先ほど自分ではないキャラクターをと言いましたけど、僕自身が、好きになった相手として最初に思い浮かべるのはファンの子たちなので、どの曲も僕が見ているファンの子たちの姿を重ねてしまうから、自然とそういう気持ちになってしまうんでしょうね。(笑)

■ここからは今回のシングル3TYPEに収録された6曲の解説をお願いします。まずは表題曲の“おにぎり“ですが、最初は「何でおにぎり…?」と思いました。でも歌を聴いたら、「手を握り」と何度も歌っていたので、「そこから来たのかぁ!」という嬉しい驚きを感じました。

杉本 いろんな人たちに興味を持っていただける楽曲を作りたいと思った時、この曲のサビで「手を握り」と何度も歌うことから、何か印象深いタイトルを…と考え、“おにぎり”という言葉を思いつきました。イントロで流れるメロディーとサビで歌うメロディーを同じにするなど、いろんなこだわりも細かく入れながら形にしていきました。

■また“おにぎり”のMVは、すっごいラブラブな内容に仕上がっていますよね。

杉本 このMVも「熊本の彼氏」と彼女という設定で作りました。今回は恋人同士ということで、女性の役者さんにお願いをして僕も演技に挑戦しました。おにぎりを握るのが下手だった僕が、だんだんと上手くなっていく様も描いているように、歌詞に綴られた「愛が育まれていく様」を、いろんなシチュエーションから楽しんでもらえたらなと思います。

■シングルのリード曲にするなら、やはり“おにぎり”という気持ちだったのでしょうか?

杉本 一番自信を持ってお勧めしたい楽曲がこの“おにぎり”でしたから。この楽曲は今の音楽シーンのトレンドでもあるシティポップ調の楽曲になっていて、歌詞もいろんな人の気持ちに刺さるような愛をテーマに書いています。しかも、僕の名前を大きく広めたTik Tokの中でも、おにぎりの形をした振りをしながらサビを歌っていたこの“おにぎり”の動画がとくにバズったことも理由の一つです。今の僕にとっても大切な楽曲になりました。ぜひみなさんにもこの曲を「召し上がっていただきたい」ことから、表題曲に持ってきました。

■共通のカップリング曲の一つが“Classic”になります。

杉本 この“Classic”という言葉には「最高傑作」という意味があります。この曲に僕は「今いるあなたこそが、僕にとっての最高傑作のような存在だよ」という思いを込めました。サウンド面も含め、とてもポジティブになれる楽曲です。ライブ中には、一緒に手を振る場面も組み込まれているように、ライブを通してみんなと一つになって盛り上がれる楽曲になっています。朝起きた時や、移動中に聴いてもらっても、テンションがアガると思います。

■もう一つの共通カップリング曲が“ゼロ距離”になります。

杉本 この曲は、ラブラブな気持ちを跳ねる様にスウィングした曲調に乗せて表現したのが、「互いの距離をゼロ距離に縮めよう」と歌う“ゼロ距離”になります。この曲もMVを作成しました。MVや音源を通して、ぜひキュンキュンしてください。MVの舞台は冬になっていますが、どのシーズンに聴いてもラブラブな気持ちになれる曲ですし、僕のことを本当に身近に感じて欲しい楽曲にもなりました。