K(Vo)、帆保健太郎(Ba)、 Leo(Dr)
個性豊かなメンバーが尖った感性をぶつけあうミクスクャーな存在。それがサンサーラブコールズ。
サンサーラブコールズはとてもミスクチャーしているバンドだ。ただし、ミクスチャーなロックサウンドを演奏しているが、彼らの音楽性は一つのカテゴリーに集約されるほど小さくはない。とても表情豊かで多種多様な音楽性を示している。むしろ「個性豊かなメンバーが尖った感性をぶつけあう、ミクスクャーな存在」と言った方が正解かもしれない。8月に1stミニアルバム『8dayHz』をリリース。今回はメンバーのK、帆保健太郎、Leoの3名を迎え、サンサーラブコールズの魅力を訊いた。
■サンサーラブコールズの場合、ミクスチャーロックと呼ばれていますけど、いわゆる激しい系の音楽性ではなく、多種多様なサウンドを示していますが、その言葉の捉え方はかなり幅広くないですか?
K あくまでもサンサーラブコールズのイメージをわかりやすく伝える上で使った言葉であって、実際の音楽性はかなり幅広いです。みんなの共通する音楽性がハード寄りだったから、活動初期の頃はハードな要素を前面に押し出した曲もやっていましたけど、曲を作る自分の根本にあるのはポップな面なんです。そこへ彩りを加えるために多様な表情を出しているのが、今のサンサーラブコールズだなと思っています。
Leo メンバーそれぞれ好きな音楽ジャンルもバラバラですからね。Kの持ってきたいろんな表情を持った楽曲に自分たちの感性をそれぞれに加えていくことで、ますます楽曲が多彩になっていくのも当然のことだと思います。
K このバンドに関しては、みんなの個性をミスクチャーしていると言ったほうが正解です。
■帆保さんは今年6月に加入されましたが、サンサーラブコールズの音楽性をどのように捉えていますか?
帆保 もともとKとは、彼がサンサーラブコールズを結成する前のバンドで一緒にやっていた関係なんです。まぁ、当時の彼はヴォーカルじゃなくてドラムだったんですけど。
K そうそう、ドラマーからヴォーカルへ転身しました。
帆保 だからサンサーラブコールズも昔から友達のやっているバンドとしてずっと見てきたんだけど、昔から変な固定観念に縛られず、自由に表現しているバンドだなと感じていました。8月に発売した1stミニアルバム『8dayHz』を制作していた時期は、まだサポートベーシストとして参加していたので、その後に正式にメンバーになった形ですけどね。僕も前のバンドでは作詞・作曲を全部やっていたし、Kともプライベートで会っては、曲作りのやり方についていろいろ話しあっていた関係だったから、彼の楽曲の作り方の癖も、外から聴いていた一人としてわかっていたつもりでいましたけど、改めてレコーディングに参加して「やはりこいつはぶっ飛んでる…」と思いましたね。
■帆保さんは、サンサーラブコールズのことをよく知ってた上で加入したんですね。
帆保 そう。ただ、メンバーになる前はよく会っていたけど、メンバーになったとたん食事などに誘われることはなくなったけどね…。(笑)
K どうせ毎週必ずスタジオで会うんだから、わざわざオフで会うこともないでしょ。(笑)
帆保 確かに。(笑) メンバーになる前となってからも、お互いの関係性は何も変わることはないしね。それに「最近どうなのよ?」って聞いても、「知ってんじゃん!」ってなるから、無理に会うことでもないし。(笑)
■サンサーラブコールズにとっても、帆保さんというソングライターが増えたのは強みになりますよね?
K 1stミニアルバム『8dayHz』の制作中はサポートだったので、ホボケン(帆保健太郎)の曲は使っていないけど、すでにいくつかの曲を溜めているようだから、そこはこれからのサンサーラブコールズへ反映していけるんじゃないかな。ホボケンもそうだけど、僕も作詞・作曲に関しては細かく煮詰めきった10割の形…つまり完全に作り上げた形で曲を提供できるんだけど、メンバーに曲を渡す時は、あえて7割くらいの完成度にしているんです。何故なら、その曲の持つ残り3割の余白を、このメンバーたちは3割どころか、自分が予想もしなかった表情に進化させてくれるから。曲の制作中は、メンバーとバチることもよくあるけど、でも自分の想像していた以上の世界に広げてくれるからこそ、このメンバーでやっているわけなので。
Leo 確かに楽曲を煮詰める時は、みんなでバチってるよね。なんなら自分のパートじゃないところまで、みんな口を出すからね…。(笑)
K でもポジティブなバトり方だから、それもいいんじゃないかな?(笑) このメンバーの良さの一つが、「俺は絶対にこうしたい」と自分の主張を譲らず突き通す人がいないこと。むしろ、みんなロジカルに「これはこうだから、僕はこうしたい」という意見やアイデアを伝えてくるので。その上で試しながら、みんなで楽曲を完成させていくんです。そこで誰かがしっくりこなかったら、その人がアイデアを取り下げることだってあるし、言ったメンバーも無理に自分の主張を貫くことがないし。そこは、メンバーみんな大人だなと思っています。
Leo メンバーの誰もが、楽曲に関して感情論で突き通す人はいないからね。自我もこだわりもあるけど、それが必ずしもサンサーラブコールズにとっての正解になるわけでは無いからね。
帆保 そこがメンバー同士でいいバランスが取れている理由でもあるから。それで、さっきの曲作りの話へ戻るけど、Kは次々と楽曲を生み出すけど、曲自体を作ることに関して悩むことのない性格だけど。そのぶん、少しでも違ったらバッサバッサと曲を切り捨てる奴でもあるんですね。ただし、切り捨てる曲の中でも、「ここは活かしたい」という要素はどんどん残していく。
K よく、そこまでわかってるね!!
帆保 自分で(K自身が)言ってたことだからね(笑)。普通だったら、生まれた1曲1曲を大事に育てあげてくんだけど。Kは、生まれた曲たちの良い部分だけを育てようとするから、「これとこれ、合わせたら面白くなるな」と、いろんな楽曲をガッチャンコしていく。それこそ、1曲の中にいくつかの曲の要素がミスクチャーされていくから、結果的にドラマチックにはなるんだけど。それを受け止めたメンバー側は、そのぶっ飛んだ世界をしっかり一つの個性にまとめあげていく作業がほんと大変(笑)。でも、それがこのバンドの面白さでもあるから…。
K 面白いのが、一度自分の中で試してから「これは違うな」と切り捨てた上で、新たなアイデアを元に作った楽曲を提示したところ、メンバーから、自分が切り捨てたアイデアを逆提案されることもあって。自身の心の声は「それはすでに試したよ…」と言っているんだけど、そこはメンバーの意見を尊重しようと、そのやり方を取り入れてスタジオで演奏してみると、自宅で試していた時とは違う要素となって生み出されて、さらに楽曲が良くなっていくこともあって。そういうのがよくあるからこそ、メンバーの意見は大事にしたいなと思ってしまうんです。
Leo Kの場合、こっちが理解不能なアイデアもよくあるんですよ。(笑) それこそキャッチーな楽曲で「この後の展開はこんな感じだろうな」と考えてデモを聴いていたら、いきなりめちゃくちゃマイナーな展開になっていたり。それを聴いて「えっ、どういう展開?!」ともなるんだけど、結果的にそういう予想を裏切る展開がサンサーラブコールズの楽曲の個性へと繋がっているのも事実なんです。Kの作る曲って、演奏面の展開がぶっ飛んでる印象が強いんですけど、どの曲もメロは基本はメロディアスだし、ポップなんです。そのポップさに演奏陣まで寄り添ってしまうと、ポップ過ぎる曲になってしまって「それってうちらのやりたい音楽性じゃないな」ってなってしまうんです。
K そういう各自の個性を尊重しながら、いろんなベクトルへ音楽性の幅を広げたのが、8月に出した1stミニアルバム『8dayHz』でした。まさにここにはジャンルレスな曲たちが並んでいますから。
Leo よくアルバム1枚を通して同じような表情の曲たちを並べているバンドもいますよね。それがバンドの色を出した結果なのかも知れないけど、聴いていて、どれも似たりよったりに聴こえてくるから、正直、僕はあまり好きではないんです。でも1stミニアルバム『8dayHz』に収録した曲たちは、1曲1曲で色が変わっていくので、1枚を通してのバランスもいいし、聴き飽きないものになったと思います。