ジュリアナの祟りが令和の夜に描きあげた超絶バブリーなパーリーライブ。
毎年恒例の生誕ライブ、ヴォーカル蕪木蓮が100歳の誕生日を迎える今年は、彼女の100歳とバンドの10周年を盛大に祝うべく、ジュリアナの祟り史上最大のキャパシティとなる国立代々木競技場 第二体育館で開催された。『ジュリアナの祟り 蕪木バースデーワンマン 令和版 風雲!バブル城~ジュリアナの祟り10周年スペシャル☆~ FINAL 蕪木城編~』と題して行われた公演の模様を、ここにお伝えしたい。令和の世の中に、かつてバブルと呼ばれた浮世のような時代を、自分たちの力によって作りあげようとしているジュリアナの祟り。ライブの日は、ヴォーカリストの蕪木蓮の誕生日当日。1年間かけて行い続けている「10周年スペシャル」の一環として、めでたい日に盛大な祭りを打ち上げようと、ジュリアナの祟りは国立代々木競技場 第二体育館で「ジュリアナの祟り 蕪木バースデーワンマン 令和版 風雲!バブル城~ジュリアナの祟り10 周年スペシャル☆~ FINAL 蕪木城編」を行った。

賑やかな和太鼓の音色に導かれ、場内中に華やかな宴を作りあげる音楽“タタリノハジマリ”(SE)が流れだす。会場中のタタラー(ファン)たちが、手にしたピンクのペンライトを横にして、まるで司祭への祈りを捧げるような様で、2階ステージに姿を現した蕪木蓮に向けて祈りを捧げ始めた。まるで、儀式のような様が目の前に広がりだす。そして……“キミクロニクル”の始まりに合わせて、煌めいたユーロビートが場内中を駆けめぐる。ギラッギラとしたカラフルな照明の輝きは、極限まで派手さを見せていた、まさにバブル時代の巨大なディスコ空間のよう。極彩色な光と楽曲が弾けるこの空間は、まるで極楽だ。ジュリアナの祟りは、この空間を一瞬にして90年代のバブル時代の、享楽に深ける人たちが織りなす宴の場へと染め上げた。江夏亜祐の歌や振りに合わせてみんなでパラパラを踊れればそれでいい。この様こそ、まさに「バブリー!!」という言葉が相応しい。止まることなく、「あやとら」の呪文に合わせて“薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪文はAYATRA~”が飛び出した。場内中から沸き起こった「うりゃおい!!」や「あやとら」コール。その声に導かれるように、ジュリアナの祟りのメンバーが次々と姿を現した。中でも、ひと際強烈な存在感を放っていたのが、この日の主役、蕪木蓮。その様は気高き姫神のよう。

タタラーたちの熱いクラップと「Oh!Oh!Oh!」と歌い上げる声も印象的。ここからは、蕪木をメインヴォーカリストに据えてライブは進んでいく。“結論”で雄々しい声を響かせて歌う蕪木の姿がとても勇ましい。でも、ときに甘えた声の色も見えてくるところに、親しみを覚える。続く、歌謡ムードを抱いた“夏のyou”では、蕪木自身が、少し影を背負った昭和の歌姫になって歌いあげていた。彼女の歌声に、在りし日の昭和の香りも漂わせる。ジュリアナの祟りが描きだしたひと夏の物語にどこか影を覚えるのも、蕪木の歌声の絵筆が描いたドラマ故の特徴であり、特色だ。スリリングかつサスペンスでドラマチック。そんな刺激的な始まりを告げるように“ギリギリ勝負な僕たちは”がスタート。でも、楽曲が華やかさを増すにつれ、ダンサーたちを従えた蕪木の歌声も華やぎだす。お立ち台の上で歌声を響かせるたび、この空間がゴージャスな宴の場に彩られる。その様を描き出す彼女の姿は、まさに歌姫という言葉が相応しい。蕪木は、2名のダンサーやメンバーたちを率いて、大きなステージの左から右まで歌いながら移動。彼女は、愛らしさを覗かせつつも妖艶な歌声で“だーりん”を歌った。少しでもタタラーたちの側へ寄り添おうと、ステージの左右はもちろん。花道やセンターステージにまで足を運び、タタラーたちとの距離を縮め、心で繋がり合っていた。

冒頭からバブリーMIXが飛び交いだす。華やかさはそのまま、そこへ麗しさを塗り重ねるように、蕪木が“しゅわわ。なシャララ。”を歌った。彼女の歌や曲に合わせて場内中から熱い声が上がり続ける。華やかさが駆け上がると言えば良いだろうか。どんどん派手さと賑やかさの増す流れに触れ、ずっと身体が揺れっぱなしだ。ここからの2曲は、動画撮影OK。SNS上にいろいろとアップになっているので、ぜひチェックしていただきたい。銅鑼の音が猛々しく鳴り響いて始まった、チャイニーズムードも携えた“儚きピオニー”では、大勢のダンサーたちを引き連れた蕪木が、妖艶な香りを振りまきながら歌っていた。この曲でも彼女はムード歌謡を歌うシンガーとなり、恋に惑わされる女心を深みを持った声色で、でも艶(つや)やかさを忘れることなく歌った。ピンクのジュリ扇を手にした蕪木は、さらに艶(あで)やかな姿を見せながら、2人のダンサーを従えて“SAQRA”を披露。歌の世界に酔いしれるように艶やかに歌うその姿がとても煌めいていた。ときに、みんなで「乾杯」をしながら、この場にいる誰もが蕪木が作りあげた歌宴に酔いしれていた。この曲に触れている間、場内中に揺れるピンクのペンライトの輝きが桜の花びらたちのようにも見えていた。ステージの上でも、空を舞う多くのしゃぼん玉が、歌声の風に吹かれて舞い踊る桜の花びらのようにも見えていた。

さらに思いを深く色付けようと、蕪木は言葉の一つ一つにしっかり色を付けるように“New Scene”を歌った。想いをたっぷりと浸したその歌は、彼女自身の心の声?!次第に熱を増す歌声が胸を揺らしていた。続く“キミリウム”でも、蕪木の心の声が届いてくるようだ。この曲でも彼女は、センターステージなど、いろんな場所へ身を置きながら、一人一人の胸に想いを届けるように歌っていた。その姿は「彼女が敬愛する浜崎あゆみのよう?!」まさに、歌姫然とした姿で、蕪木はこの場で輝きを放っていた。歌い終わり、2階ステージの奥へと彼女は消えていった……。入れ変わるように、DJタイムと、メンバーやダンサーらをまじえたタップダンスのブロックが登場。ここまで、蕪木の歌姫然とした姿を、バブリーな気分で騒ぎながらもたっぷりと味わったところで、後半戦は江夏亜祐をメインヴォーカリストに据え、ふたたび令和の世の中へバブリーな旋風を巻き起こすゴージャスな宴を作りだす。この空間を夏景色に染め上げようと、ジュリアナの祟りは“泡沫の罪な夏”をブースト。この曲では、江夏と蕪木がトロッコに乗ってフロア中を旋回。さらに、江夏を先頭に多くのダンサーやメンバーたちが、花道やセンターステージで、青春ムード満載で浮かれながら、夏らしい派手なパーティーをこの場に全力で作りあげていた。

「ワン、ツー、ヤッホイ!」の言葉を合図に飛び出したのが、この空間を煌めくナイトパーティーの場へ染め上げる“キラキラ☆hero”だ。キラキラ輝くユーロナンバーに乗せ、大勢の人たちが江夏と一緒に「ワン、ツー、ヤッホイ!」と声を上げてはしゃいでいた。後半のブロックも、曲を重ねるごとに華やかさと熱を増していく。続く“【事勿れ主義】SNS メッセンジャー【痛い人】”でも、さらに華やかにテンポアップした楽曲に乗せ、タタラーたちが思いきり身体を折り畳み、熱狂していく。江夏が煽るたびにタタラーたちの動きも激しくなる。だけどそこはジュリアナの祟りのライブ。ただ、ガンガンに熱をあげていくだけではなかった。パンパンと手拍子をしたり、手にしたペンライトを大きく振り回し、気持ちを笑顔で解き放つパンティー…いや、パーティーの様に染め上げたのが、“パンティーナイト♂”。まるでお客さんの心を賑やかすホストのような様で、江夏は観客たちをパーティーの場へグイグイと引き込んでいく。この曲では、花道やセンターステージまで足を運び、タタラーたちを身近な距離でグイグイ巻き込みながら、バブル時代によく言われたパーリーな世界を作りあげていった。バブリーMIXから始まった“紫陽花モードで責めてくれ!”では、江夏とタタラーたちが「あ・い・う・え・俺の江夏!」と声を掛け合えば、タタラーたちが「うりゃおい!」と叫ぶなど、熱く声を交わす場面も多く誕生。昔懐かしいPPPH(パンパパンヒュー)なノリも描きながら、場内中の人たちが大はしゃぎしていた。昭和・平成・令和、いろんな時代の楽しみ方をごちゃ混ぜにしながらアガっていくこの感覚が、無条件に気持ちを騒がせた。まさに無敵な気分だ。

曲が変わるごとにバブリーMIXが飛び交うのは、すでに当たり前。“無敵シュプレヒコール~このSを、聴け!~”では、「お前が一番」の声が上がり続け、この日に誕生日を迎えた蕪木をみんなでお祝いする場面も登場。さらにタタラーたちが両隣の人たちと肩や腰を組み、身体を折り畳み続けた様も見せていた“あーもー!アモーレ!!~アイツのタタリ~”へ。サビでは、タタラーたちがタオルやペンライト、拳をくるくる回していく。熱狂一体化したその様は、まさに、在りし日のバブルな様?会場中がお立ち台化し、みんなで浮かれはしゃいでいた。まさに、巨大なディスコ、ジュリアナ全盛時のような光景?!そんな浮世の世界を作りあげ、最後の曲へ。本編ラストを飾ったのは、この日の主役、蕪木蓮がふたたびリードを担った“リグレット~君を想い返している~”。「うりゃおい!」の声も飛び交いつつ、歌姫の蕪木蓮らしい艶やかさを持ったその声を魅力に、この場を華やかに染め上げていった。

アンコールは、歌心を大切にした“フタリで、、、”からスタート。タタラーたちの心を酔わせつつも、声をかけあう様もしっかり投影。後半には、江夏と蕪木がお立ち台の上でデュエットする場面も登場。そしてアーケードゲーム「太鼓の達人」でも使用中の“バブリー革命~ばんばんバブル~”では、ふたたびダンサーたちを招き入れ、この会場を、「これでもか!」と言わんばかりの華やかさに染め上げる。「うりゃおい!」の声はもちろん。みんなで「ばんばんバブルばんばばんバブリー」と、何度も何度も明るくはしゃぐ声で一緒に合唱し続ける。まさにバブリー革命という言葉に相応しい、みんなで快楽に浸る様がそこには生まれていた。最後にジュリアナの祟りが届けたのが、蕪木がハートフルに歌いあげた“アクシデント“だった。これまでタタラーたちと一緒に作りあげた熱狂を、温かいその声で包み込むように歌う姿が印象的だった。場内中の人たちも、狂喜乱舞した今宵の宴の楽しさを、彼女の歌声に乗せて改めて噛みしめながら、心のダイアリーにしっかりと綴っていった。終わりに蕪木は、いつか憧れの浜崎あゆみが主戦場にしている代々木競技場第一体育館に立つことを目指したいと力強く伝えてきた。その夢がいつか現実になることを願いたい。ジュリアナの祟りの10周年スペシャルはまだまだ続く。7月からは「令和版 風雲!バブル城~ジュリアナの祟り10 周年スペシャル☆ビヨンド~」と題し、新宿にある小箱のライブハウスで毎回テーマを設けて無料で実施。その盛り上がりを、2026年1月29日にZepp Shinjukuで行う「FINAL 江夏城編」へと繋げていく。この一連の流れを楽しみながら、毎月心をバブリーに染め上げてほしい。

Text:長澤智典
Photo:蔵屋敷英樹、冨田孝一郎
『ジュリアナの祟り 蕪木バースデーワンマン 令和版 風雲!バブル城~ジュリアナの祟り10周年スペシャル☆~ FINAL 蕪木城編~』@国立代々木競技場 第二体育館 セットリスト
OPSE タタリノハジマリ
01. キミクロニクル
02. 薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪文はAYATRA~
03. 結論
04. 夏のyou
05. ギリギリ勝負な僕たちは
06. だーりん
07. しゅわわ。なシャララ。
08. 儚きピオニー
09. SAQRA
10. New Scene
11. キミリウム
– DJ & Tap Time ‒
12. 泡沫の罪な夏
13. キラキラ☆hero
14. 【事勿れ主義】SNS メッセンジャー【痛い人】
15. パンティーナイト♂
16. 紫陽花モードで責めてくれ!
17. 無敵シュプレヒコール~このSを、聴け!~
18. あーもー!アモーレ!!~アイツのタタリ~
19. リグレット~君を想い返している~
ENCORE
01. フタリで、、、
02. バブリー革命~ばんばんバブル~
03. アクシデント