THE BEAT GARDEN VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

THE BEAT GARDEN『それなのにねぇなんで?』

嬉しい感情と寂しい感情があったとしたら、寂しい感情に寄り添いたい。

THE BEAT GARDENが『それなのにねぇなんで?』をリリース。女性目線で書かれた繊細な歌詞が情感のある歌声とマッチする失恋の楽曲となっている。別れの季節であると同時に、出会いの季節でもある春に、どうして別れの楽曲なのか。また、昨年末のライブを振り返り、5月から始まるツアーへの思いも聞くと、コロナ禍におけるライブに込める気持ちが浮き彫りになった。ファンへの深い愛を感じる温かいインタビューとなった。U、REI、MASATOに話を訊いた。

■年末のライブから4ヵ月程経ちましたが、初の3人体制でのライブはいかがでしたか?

U 今までと繋がりがあるライブにしたかったですし、「3人になって変わった自分たちを見せたい」みたいな気持ちはそんなになくて。でもやっぱりSATORUは友達であり、ビートガーデンの一つのアイコンみたいな、マスコット的な親近感があったと思うんですけど、今回からサポートで参加してくれたkowta2は、本当にDJとしてリハーサルの時から僕らにいい影響をくれていましたし、SATORUとは安心感の種類が違くて。僕らが音楽をすごく楽しめたっていうか、同じ4つ打ちの曲でも繋ぎ方とかも全然違ったりして、よりリズミカルになったというか。だから、そういう意味でも楽しかったよね。すごい音楽が楽しかったです。

■SATORUさんは観に来られたんですか?

 いや、あいつは来てないんですよ。(笑) 一昨日もLINEはしていましたけどね。でもSNSはめっちゃ見てるって言っていました。「ビートから離れて思うけど、ちょっと更新少ないね」とか。(笑) 「MASATO君は特に少ないね」って。

MASATO この前言われました!少ないって。(笑)

■お二人はこの前のライブはいかがでしたか?

REI そうですね。今までのビートガーデンは変わらずに引き継ぎつつ、新しいビートガーデンも見せられたらいいなっていうのが僕の中でのテーマにあって。kowta2が入ったことによって、自分たちでも音楽を本当に楽しみましたし、Beemer(ファンの総称)のみんなも、より音楽に意識を向けてくれたのかなっていう感覚は自分の中でありました。あと、年末だったので、年末にBeemerに会えてライブができるっていうのは良かったですね。やっぱりライブが自分たちの生きがいではあるので。

MASATO リスタートみたいな気持ちもあったんですけど、「あの曲を聴いたらあの頃の自分を思い出す」とかあるじゃないですか。そういう感覚で、曲を歌っている時にそのジャケットを思い出したりしました。4人で作ってきた音楽を3人でやった時に改めて感じたというか。新しい形でこれをこれから届けていくという、いろんな可能性を感じましたし、「やっていいんだな」みたいな気持ちにもなりましたね。ファンの人たちも受け止めてくれた感じがすごくあったなと感じます。あとは、この状況に慣れ始めちゃいましたね。マスクして声を出さない、でもみんなが楽しんでくれている表現をしてくれるっていう。でもこれに慣れるのって逆に良くないなって思いました。いつかまたみんなで声出したいっていう反骨精神みたいなのがあったじゃないですか。この状況に慣れちゃって、これが普通のライブになるのってなんか嫌だなって思いますよね。

U MCも困るもんね。前まではあえてMASATOの時にちょっと「シーンとしようよ」みたいな、滑り芸みたいなのをしていて面白かったんですよ。でも、今ってそうじゃなくてずっと黙っているので、ガチで滑っている人みたいになるんですよ。(笑) それで、その状況に自分で焦るっていう。(笑)

MASATO (笑) でもやりやすくもあって、いつもは反応を気にしちゃうから、滑っていることに「あれ、ヤバイ?!」ってなるじゃないですか。でもずっと滑っているんで。(笑)

U でも冷や汗かいてたよ。すごかったよ、振り向いた時の顔が!冷や汗だくだくで目で助け求めてくるから。(笑)

REI 僕らはDJ卓からMASATOさんのMCを聞いていたんですけど、MASATOさんの背中がどんどんどんどん小さくなっていって。(笑)

U 小さかったよね。本当に小さかった。

■(笑) 今回のシングル『それなのにねぇなんで?』は、どのように書き始めたんですか?

U これは「春のお別れの曲を書こう」みたいな感じで始めて。まずメロディから作ったんですけど、3人で作りたいっていう話を話していたので、3人で作って。最初は歌詞を男性目線の別れの曲として書き始めたんですけど、思い浮かぶのが男の人が残していったことだったんですよね。自分が男なので、男がやってしまっていたこととか、傷つけてしまったりしたことの方が想像しやすいのかもしれないんですけど。なので、女性目線でそれを書いていった方が自然だなと思って、その流れで書きました。

■なるほど。歌詞を見て、女性目線の歌詞を繊細に書けるのがすごいなと思っていたんですよ。それはご自身が男性だからこそ、自分側に立って行いを振り返ることができたっていうことだったんですね。

U そうですね。曲にもよるかもしれないんですけど、相手を忘れようとしている思いを書くにあたって、「なんで忘れられないのか」っていうのを深掘りしていくと、そっちの方が書きやすかったっていうか、自然だったんですよね。あと僕は普段、女の子の気持ちの方が共感できることが多いんですよね。そういうのもあるかもしれません。

■みなさんの歌声も情感があって、歌詞とぴったりだなと感じました。

U MASATOが頭サビを歌うの、表題曲では初じゃない?インディーズの時のアルバム曲以来だよね?

MASATO そうですね。タイトル曲の頭を歌うなんてめちゃくちゃプレッシャーありますよね。

U 落合渉くんっていうシンガーソングライターの友達がいて、MASATOとREIくんが彼のディレクションが合っていたので、今回のレコーディング前日にルームシェアしている部屋に来てもらって。それで一緒に作業をやっていたら、「今回の頭サビ、MASATOが歌ったのが一番合っていた」って言ってくれて。当日歌ってみたら、やっぱりMASATOがすごく合っていたので採用しました。うちのおかんもめっちゃ褒めてました。

MASATO ええ?!本当ですか。それは嬉しいな。僕のイメージとして、失恋ってネガティブなイメージがあるんですけど、この曲は結構ポジティブだなって思ったんです。嫌いになろうとしているのに、改めて思いの強さに気付くというところとか。一緒にいたその時間があって良かったなっていうことに気付かされているわけじゃないですか。でも僕は正直、失恋をしてもまだ好きで仕方ないっていう気持ちにあんまり共感できないんですよ。なんか仕方ないっていうか、「次に行こう」って思っちゃうんですよね。だから、映画をいろいろ観てみて自分が共感できるものがないかなと。その時に『ブロークバック・マウンテン』っていう映画を観たんです。同性愛の話なんですけど、今より全然多様性みたいなものがない時代の話なので、本人は言えずにいるわけですよ。「でもその好きだった期間は自分たちにとって宝物だったよね」っていう描かれ方をするんです。それを観て、「こういうことなのかもしれないな」って思いましたね。

■REIさんは歌詞を表現するにあたって、特に意識したことなどはありますか?

REI そうですね。女性の心情がすごく分かりやすいというか、想像しやすい歌詞だなって思って。自分が歌った2番のAメロの「切りすぎた髪も変わる爪も褒めてくれた あれも無理して言ってたの? それすらもうわからない」っていうような感覚とか。そういった心情を声にして乗せたいなと思って、渉ちゃんのデイレクションで細かくやらせてもらいました。

■3人で曲を作ろうっていうのは、3人体制っていうタイミングもあってのことだったんですか?

U 最初はそれぞれいつも通り曲を作っていて。ちょっと切ないメロディをそれぞれ3、4曲ずつくらい作って、コンペみたいな形で出し合って。REIの出した1曲がバラードですごく良かったんですけど、もうちょい疾走感が欲しかったので、もうちょっと作ってみようかってなって。4つ打ちにしてBPM上げてっていう作業を僕がやらせて欲しいって言って。MASATOはサビのふた回し目のメロディが、ひと回し目と同じだったのを直してくれて、っていう感じで、3人で作っていく形になりました。3人でそろそろ一緒に作りたいっていう思いはずっとあったんですけど、たまたまこのタイミングでちゃんとできたっていう感じでしたね。2人は僕以上にすごくメロディを大事にしているから、MASATOとかREIのメロディを変えることへのプレッシャーというか、「大事にしないと」っていう気持ちが自分の曲を作るよりもあったので、楽しかったですね。

MASATO 僕が聴かせてもらった時には結構完成していたんですよ。だから「調整して欲しい」程度だったんですけど、それを委ねてくれてるっていう、尊重してくれている感じはすごく感じて。自信が持ててきますし、メンバーが認めてくれたらいいなっていう感じがしました。

REI それこそMASATOさんは、メロディを大切にして毎回生みだしてくれるので、ある程度形になったものをMASATOさんにお願いした時に、自分も曲を大切にしているがゆえに「僕はMASATOさんの色をがっつり入れて欲しいから、なにも気にせずにやりたいようにやってください」って電話して。僕個人的には3人体制になって早いタイミングで全員で1曲仕上げるというのはすごく必要だなと感じていて。今回それができたのは良かったですし、他の作り方とかもできるんじゃないかなって改めて思いましたね。