THE BEAT GARDEN現体制ラストライブ「ステージ立つのは最後だけどみんなのことは一生忘れません」
THE BEAT GARDENがone man live tour『Afterglow tour 2021』のファイナル公演を8月7日に恵比寿LIQUIDROOMで迎えた。DJ SATORUの脱退が決まっており、本公演は現体制でのラストライブとなる。1日2部体制で行われる公演のうち、2部の模様をレポートする。

ワンマンライブとしては2019年2月ぶりに、Beemerとともにこの Beemer に帰ってきた。壮大なSEとともに楽曲“Afterglow”のMV衣装に身を包んだメンバーが登場すると、“本当の声で”からライブがスタート。ライブで一緒に思い切り声を出せる曲ではある同楽曲だが、会場内は声を出す行為を禁止としているため、観客は声は出せない状況ではあるものの、高く手をあげてステージのメンバーに全力で応えていた。Beemerの心の声とともに、SATORUもマイクをもち、U、REI、MASATOも一緒になって歌い上げる。ツアーファイナル公演なだけに盛り上がりのスピードも凄まじく、2曲目は“answer”と、ハイテンションな曲が続く。体を大きく揺らし音を楽しむ4人とBemmer。「次の曲は説明とかいらないから。踊るよ!」と、Uの一言で披露されたのは“ダンシングマン”。SATORUのことを歌った一曲だ。ステージに4人が横並びになり、弾ける笑顔で振り付けを踊っていく。時々ふざけながらもエンターテイナー溢れるいつもの彼らで、様々な制限がある中でもビートガーデンらしいライブを魅せていった。

初披露となった新曲“Everglow”。テンポの良い夏らしい爽やかなメロディーが会場を包み込む。続いて歌われた“花火”で一気に夏を感じる選曲が続いた。この曲では恒例となったサビでファンとメンバーが指差し合う光景が。これまで何度も披露されてきた人気ナンバーだがこの日も披露され、それぞれが思い思いに観客と意思疎通をしているかのように見えた。「ツアーが始まる前……今もそうかな。まだ全員みんなに会えたわけじゃない。ライブがないことに少しずつ慣れていくことに怖くなって、みんなももしかしたらそうなのかなと思いながら過ごしていました。楽しいことはたくさんあるし、音楽どころじゃないと言われている中で、会えるようになったとしても本当に会えるのかな?と思っていました。ここに帰ってきてくれてありがとう。思いを込めて歌います」とのUの言葉で披露された“遠距離恋愛”。簡単に会えなくなってしまった状況を描いたラブソングだ。そこには昨年は開催することができなかった全国ツアーをやっと今年に開催できた喜び、同じ気持ちで会えたことの喜びを、曲を通してBeemerに伝えているかのようだった。

そして中盤ではSATORU自身の想いが伝えられる。「正直、未だに実感が湧いていないです。来週もライブあるのかなっていう気持ちが大きくて。このツアーはみんなにありがとうと伝えたいツアーにしようって思っていたんだけど、みんなからの言葉のパワーがとても大きくて、元気や勇気とかを僕の方がもらっていると感じました。ライブ前の円陣も楽屋で過ごす時間も、ハイエースで会場入りする感じも、当たり前になっちゃっていて。3人に誘ってもらって始めた音楽をみんなに支えられてやってこれたし、もちろん3人にも支えてもらってきました。寂しい気持ちはあるけど、これからビートガーデンはどんどん成長して東京ドームや日本武道館でもライブをすると信じています。その時、今ライブを見ているみんな、そして俺も含めて合流しましょう。もちろんそれ以外の会場でもね。とにかく僕はビートガーデンをやってきて幸せでした。ステージに立つのは最後だけど、みんなのことは一生忘れません。ありがとう。最後まで僕らしく、4人で作ってきたものを楽しんでやりたいと思うので、今日は最後までよろしくお願いいたします!」と、時折言葉を詰まらせながらも素直な想いを言葉にした。SATORUの心からのメッセージをじっと目を逸らさず真剣に聞くファンの姿が印象的だった。

そして、このMCの後に披露された“エピソード”では、ステージ前方にSATORUが出てきて、3人がSATORUを囲むようにMASATO、REI、Uが歌っている光景がとても印象に残っている。ここからまた新たなスタートをきるビートガーデンとSATORU。“エピソード”がリリースされた時と状況が大きく違っていても、リリックの意味は変わらず心にグッとくるものがある。客席ではそんなメンバーの姿を見て涙を流しながら聴き入るファンの姿も数多く見受けられた。「SATORUはBeemerに戻るけど、友達として一緒に会いにいくから。待っていてね」とUの言葉とともにラストはメジャーデビュー曲“NeverEnd”を披露。ラストは1stシングル曲“Sky Drive”で締め括った。声は出せないものの、ハンズアップやジャンプで伝える観客や縦横無尽に駆け巡るレーザービームでフィナーレの盛り上がりを見せつける。現体制ラストとなるツアーも最後までビートガーデンらしく走り抜けたのだ。「あなたのおかげで何度もビートガーデンは救われました。生きていて良かったと思えるように、これからも4人で作った曲を歌っていきます」。

公演中、この時間がずっと続けばいいのにと何度も思った。ステージの4人の姿を何度も目に焼き付けた。DJブースに彼の姿が見えなくなってしまうのは本当に寂しくなる。しかし、きっと脱退を話し合った日や発表した日、そこから全国ツアーを周り、各地のBeemerに会いに行った約半年間は、どれだけいろんな想いが溢れていたのだろうとも思う。そんな状況下でも彼らはいつも通りの姿でBeemerの前に現れ、たくさん笑顔にしてくれた。そんな姿を見て、ライブハウスで、リリースイベントで、これまで4人と過ごした時間は色褪せることはないと確信した。これからも変わらず4人で作った曲を聴き続ける。そして、それぞれの新しい一歩を踏み出していった彼らを心から応援したい。
Text:日野綾
Photo:Yuto Fukada
THE BEAT GARDEN one man live tour『Afterglow tour 2021』2部 セットリスト
1. 本当の声で
2. answer
3. ダンシングマン
4. Everglow
5. 花火
6. 遠距離恋愛
7. エピソード
8. Never End
9. Sky Drive