板野友美 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■ドラマに寄せつつ、板野さん自身の経験も重ねたのかなと思いました。

板野　そうですね。それこそ『グータンヌーボ2』でも話したんですけど、26歳のときに、自分のこれからの人生についていろいろ考えたんです。同世代の女の子が結婚して子供を産んだり、転職してキャリアを積んでいたり、そういうのを見て自分とは全然立場が違うなと感じて。それは私だけじゃなくて、女の子はだいたい考えがちなことだと思うんですけど、そのときに相談できる相手がいない人もいると思うんです。

■アラサーくらいになると、みんなありますよね。

板野　そういう場面で、この曲が背中を押してくれたらいいなという想いがあって。自分の理想通りじゃなかったとしても、ありのままの自分でがんばっていれば、きっと素敵な未来が開ける。そういう楽曲にしたかったんです。大人になってからも、まだまだ全然やり直せることはたくさんあるなっていうのは、私自身いろんな経験をして思ったことでもあったので。だから、自分の想いとドラマの内容が重なって、ストレートに書けたなと思います。

■そんな6曲が今作には収録されて、いままでよりも楽曲に関与する度合いが高まっていると思うんですけど、ご自身ではどう感じていますか？

板野　本当にいい曲を作っていただいて、聴いた瞬間に自然と背景が浮かぶから、自分で歌詞を書いてみたいと言ったんです。そのわりに時間がなくて苦しみましたけど。(笑)　どうしても同じような言葉、同じようなシチュエーションが出てきちゃうんですよ。だから、アウトプットするには、もっといろんなことを吸収しなきゃいけないなと痛感しました。毎回同じ恋愛ソングになっちゃったらよくないと思うので。

■今回の“恋ゴコロ”もですけど、板野さんは友達の恋愛話を歌詞に反映することも多いですよね。

板野　そうですね。タイミングよく恋愛の相談をしてもらえるので。　もっと友達も増やしていかなきゃですね。(笑)

■今作の制作を経て、自分のなかで変化や成長を感じた部分はありましたか？

板野　うーん、ちょっとずつ変化しているとは思うんですけど、ここが大きく変わったなと感じることはなくて。でも、歌詞を書いてるときに、昔の自分の歌詞を読んだら、あのときはこういうことを思っていたんだなと感じたりしたので、今回の作品の歌詞も何年後かに読んだら、きっと何か感じることがあるんだろうなと思います。

■あのときちょっと背伸びしていたなとか？

板野　すごい思います。歌詞を書き始めた頃は、秘密の暗号じゃないですけど、自分にしか理解できないような感じで書いたら、聴いた人はどう思うのかなとか、難しく難しく考えちゃっていて。それで秋元（康）先生に一回見せたときに、もうちょっと素直に、そのときに思ったことを書いたほうが板野らしい作詞になるよって言われたんです。でも、そのときはかっこよく書きたい気持ちが先行していたから、わざわざ難しい言葉を調べて使ったりしていて。それはそれでよさがあったかもしれないけど、いまは自分にしか出せない、素直な作詞を目指して書きたいなと思うようになりました。

■作曲のほうも、今後は増えていきそうですか？

板野　そうですね。今回は本当にいいタイミングでドラマのお話をいただけたので、リリースの予定がなくても曲作りをして、貯めておくのも大事だなと思いました。

■ちなみにいま作っては？

板野　ないです。(笑)　作りたい気持ちはあるけど、ストックはまったくなくて。でも、今回のツアーを経て、新たに挑戦したいことも出てくると思うんです。そういう意味でも、今回のツアーはすごい楽しみなんです。

Interview & Text：タナカヒロシ

PROFILE
2005年12月8日、AKB48の1期生として活動を開始。グループの中心メンバーとして活動する。2011年1月26日にソロデビュー。2013年8月25日、約8年在籍したAKB48を卒業。AKB48卒業後はアーティストを中心に活動を続け、現在までにシングル11枚、アルバム2枚をリリース。2018年2月28日発売、記念すべき10枚目のシングルは写真集制作とコンセプト連動した企画として進行、多角的なアーティスト表現に挑戦。2019年2月13日発売の11枚目シングルでは初のドラマ仕立てのミュージックビデオを制作。同年6月1日には前回ツアーのファイナル公演会場となったマイナビBLITZ赤坂に再び登場、アーティストとして常に挑戦を続けながらも、近年では、ドラマ出演や主演映画を努めるなど、女優へと活動の幅を広げている。
https://tomomiitano.jp/

RELEASE
『LOCA』