板野友美 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

板野友美『LOCA』

■3曲目の“LOVE SEEKER”は多和田えみさんの作詞曲ですけど、これはどんな女性像ですか?

板野 これは誘惑というか、ありきたりな恋だったらつまらないみたいな歌詞ですよね。強めに、勝ち気な女性をイメージして歌いました。

■曲の主人公を演じているような感じなんですか?

板野 そうですね。音に合った歌い方を自然にしているというか。他の曲と聴き比べてみると、いつもの私の声の出し方と違うんですよ。自分でもビックリするくらい。

■それは意識しているわけでもなく、自然と?

板野 そうなんですよ。スイッチが入っちゃうんですかね。いままでの作品でも、男っぽい楽曲だと自分でも気づかないうちに太い声で歌っているし、かわいらしい歌詞だとちょっと浮かれた声質になっているし。そういうのが無意識のうちに働くのかもしれないですね。

■帰ったら声質の違いに注目しながら聴いてみます。4曲目の“Destiny”は板野さんの作詞曲ですね。

板野 初めて曲を聴いたときに、まだ歌詞がついてないのに泣きそうになるくらい感動したんです。それで、ただの恋愛の曲じゃなくて、壮大なイメージで書きたいなと思って。人間は何回も何回も生まれ変わって今世に至ると私は思っているんですよ。

■はい。(笑)

板野 この曲で歌われている二人は、前世か前前世か前前前世かわからないけど、過去に愛し合っていて、でも何かがあって離れ離れになっちゃって、そのときにいつかまた会う約束をして、ようやく今世で出会ったんです。もちろん前世の記憶なんてないんですけど、心が惹かれ合って、どこかで出会ったことがあるみたいなときめきを感じて。それをAメロ、Bメロで書いたんですけど、サビに関しては、この曲をライブの最後に歌いたいなと思ったので、男女の恋の話だけじゃない歌詞にしようと思って。

■どういうことですか?

板野 たとえば「全ての奇跡重なり合い ここにいられること/ずっと忘れない」は、ファンのみなさんが私を好きになってくれたこととか、こうして私が歌っていられることとか、いろんな奇跡が重なって、ここ(ライブ会場)でまたみんなと出会えたんだということを表していて。それをみんなも忘れないでほしいし、私も忘れないし、それは記憶で忘れないんじゃなくて、この体がなくなったとしても、こういう素敵な思い出があったなっていうことを心に刻み込みたいみたいな想いをこの歌に詰めました。

■そこまで考えた歌詞だったんですね!

板野 だから、流れとしては二人の恋の話なんだけど、ここにいるみんなのことを胸に刻みたいっていう想いで、ライブでは歌いたいなと思って。あと、2番は別の男女の話で、運命の人と出会って、自分が生きる希望になってみたいなことなんですけど、それは友達とかでも、出会った瞬間に、ずっと一緒にいたかのような感覚になることってあるじゃないですか。そういう人って、やっぱり前世で出会っていたりとか、何か見えない糸で結ばれていたのかなって思うんです。そういう運命の歌にしたいなと思って書きました。

■そこまで具体的なイメージがあったんですね!

板野 普通に聴いたら、ただの恋愛曲だと思われるかもしれないですけど、たくさん想いが詰まった曲ですね。ライブで歌ったら泣いちゃいそう。(笑)

■ますますライブが楽しみになりました。5曲目の“エースのB君”はガラッとキャラが変わるというか、急に女子高生になったなと思うんですけど。(笑)

板野 はい!変わりましたね。(笑)

■これは作詞も作曲も3rd Productionsになっていますけど、どうしてこういう曲になったんですか?

板野 作詞家の方とけっこう話して、かわいらしい楽曲にしたいということだったんですけど、シチュエーションも考えたほうが歌詞に落としやすいということで、学生の恋の話にしてもらいました。運動部の男の子がいて、自分はマネージャーで、がんばっている彼を応援しつつ、自分の恋も応援するみたいな、とってもかわいい設定ですね。“LOCA”や“LOVE SEEKER”が大人っぽい楽曲だったので、10代の子にも共感してもらえる曲になったらいいなと思って書いていただきました。あと、このタイトルは私がつけたんですよ。

■なんで「B君」なんですか?

板野 “エースのA君”だったら「エー」ばっかりになっちゃうから。(笑)

■単純!(笑)

板野 マネージャーからは「ヤバいよそれ」とか言われたんですけど、作家さんたちからは「いいじゃん!」とか「逆に斬新!」とか言っていただいたので。(笑) 曲名が並んだときに、この曲がいちばん気になりません?

■まさに思うツボなんですけど、この曲があったから、それぞれの曲を収録した理由を聞かなきゃと思ったんです。

板野 戦略通りですね。(笑)

■最後の“君に贈るうた”は、歌詞だけじゃなく曲も板野さんが手掛けて。ドラマ『僕はまだ君を愛さないことができる』の主題歌で、6月のライブでも披露されていましたよね。

板野 はい。初めて作曲もさせていただいて。全部一人でやったわけじゃないんですけど、昔ピアノをやっていたので、それを思い出しつつ、HIROMIちゃんと大迫杏子さんにも教えていただきながら作りました。

■どんな感じで作っていったんですか?

板野 耳に残るサビにしたかったので、こういう感じのサビがいいっていうのだけは歌いながら伝えて。それと、せっかく自分で作曲するので、歌いやすいキーで明るい調にしてもらいました。あとは「Aメロはこういう感じとこういう感じ、どっちがいい?」とかリードしていただいて進めたんですけど、だんだん前向きになるような楽曲になっていって。でも、これを完成させるとか、リリースするとかは全然決めてなかったんですよ。

■そうだったんですか?

板野 もともとライブのときに歌いやすくて、前向きな歌詞で、元気が出る曲があまりないから、そういう曲を作りたいんだよねってHIROMIちゃんと話していて。それで、とりあえず曲作りしてみて、一回ライブでやって、評判がよかったらアレンジとかも詰めて、いつかCDになったらいいねっていう話だったんです。

■それがどうして収録されることに?

板野 ちょうどそのタイミングで『僕はまだ君を愛さないことができる』の主題歌のお話をいただいて。脚本も読んで、アラサー女子の応援ソングになるようなイメージと聞いたので、この曲が合うんじゃないかと思って、何個か出した候補のなかに入れたんです。そうしたらプロデューサーの方がこれがいいと言ってくださって。それで歌詞もアラサー女子の応援ソングになるように作ったんです。ドラマの内容も共感できる部分が多かったし、書きやすかったですね。