tonari no Hanako VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■レコーディングの際にこだわった点や意識した点などはありますか?

ame 私のボーカルのスキルがまだまだ追いついていないところがあるので、理想には至っていないんですけど、歌い上げずに無機質に歌うことと、できるだけ柔らかい声で歌うことを意識しています。曲を聴いた時に、「いかに純粋に物語を届けられるか」にフォーカスを当てているので、理想は「喋るように歌いたい」と思っていて。淡々と歌うからこそ、意外と感情移入できる気がするので、それを目指しています。

■確かに淡々と歌うことで、より歌詞の内容に集中して聴くこともできそうですね。

ame でもまだまだ理想は遠いので、リリースごとの私の進歩を楽しみにしていて欲しいです。

■今作“半人前の恋”からHanakoが2代目となりましたが、ビジュアル担当を変更することにした理由はなんだったんですか?

ame 3月に『春めく花葬』というEPをリリースしたんですけど、デビューから半年間『春めく花葬』に向けて活動してきて、一旦一区切りだったのと、元々定期的に「作品の色を変えたい」という思いもあって、2代目のHanakoさんを迎え入れることにしました。

■2代目のHanakoとして、西尾茉侑さんを選んだ決め手はなんだったんですか?

ame オーディションの時に、ちょっとした演技をやってもらったんですけど、西尾さんはその演技が圧倒的に上手だったんです。ミュージックビデオってセリフがないので、ちょっとした表情や仕草で物語を伝えることが大事になってくるじゃないですか。今後はストーリー性があって、ドラマを見せられる作品を作りたいと思っているので、演技の上手さは決め手のひとつでした。あとは、初代のHanakoだったアイビーちゃんはすごくピュアで純粋で、でもカメラの前に立つと「バチッ」と決まる方だったので、そこからインスピレーションをもらって楽曲を作っていったんですけど、西尾さんはちょっと影のある表情ができる方で。弱さとか儚さも含めて、「ドロドロした感情とか少し暗い部分、負の部分を投影したらすごい合いそうだな」と思ったので、西尾さんにお願いしました。

■今おっしゃっていたように、西尾さんは初代のHanakoだったアイビーさんとは纏っている雰囲気が異なる方ですが、楽曲の方向性も今後大きく変わっていくのでしょうか?

ame tonari no Hanakoが持っている世界観自体が大きく変わることはないと思います。ただデビューからの半年間は、恋愛の純粋さとか初々しさ、一途さを持っている曲が多かったんですけど、今後はちょっと影のある部分や人間くさい部分、葛藤、辛さみたいなものも入れていきたいと思っていて。西尾さんはそういう部分も表現してくれると思うので、今後そういった曲も書きたいと思っています。

■同じユニットでありながら、表に立つ人によって曲のニュアンスを変えていくことができるのは面白いですね。

ame そうですね。一緒にいることでいろいろなインスピレーションを受けるので、「こういう曲を合わせてみたい」といったアイデアも出てきて、すごくありがたいです。

■そういったインスピレーションは、映像を担当しているsobueさんからも受けることはありますか?

ame もちろんあります。ただ、順序としては音楽ができた後に映像を作ってもらうことの方が多いので、めちゃめちゃ影響を受けているかと言われれば、それは分からないですけど。私が作る音楽だけだと暗くて真面目なものになりがちなんですけど、sobueの映像があることで明るくポップなものにもなるので、このバランスはすごくいいなと思います。

■先程tonari no Hanakoとして打ち出していきたい世界観があるとおっしゃっていましたが、それは具体的にどのようなものなのでしょう?

ame tonari no Hanakoを立ち上げる時に、このユニットでやりたい世界観についてすごく考えたんですけど、深く突き詰めた時に、キャッチコピーとして出たのが「切ないほど、人生は、愛しい」だったんです。人を想う気持ちに揺れる心を描いた、繊細なものを作りたいという気持ちがすごくあって。それはブレない軸かなと思っています。

■“半人前の恋”のミュージックビデオには、初代Hanakoであるアイビーさんも参加されているとのことですが、どんな映像になりそうですか?

ame 今回は想い合っている2人を西尾さんとアイビーちゃんそれぞれに演じてもらっています。「もっと近づきたいけど踏み込めない」という気持ちを、2人がそれぞれ表現してくれていて。主人公の目線を西尾さんに演じてもらっているんですけど、アイビーちゃんサイドの描写も入っているので、エモーショナルな切なさを感じていただけると思います。

■ミュージックビデオを作る際は、映像のイメージなどはameさんから細かく伝えられているんですか?それとも映像はsobueさんが中心になっているんですか?

ame 映像のイメージがあるものに関してはちゃんと伝えますし、逆に完全にお任せすることもあります。でもイメージがあることの方が多いので、大体は伝えていますね。ただsobueも作りたいものがハッキリしている時もあるので、主張がガツンと来る時は任せます。1月にリリースした“ぜんぶ忘れてしまうって”という曲は、すごく一途に1人の相手を想う曲なんですけど、sobueが「ミュージックビデオを三角関係にしたい」って言い出して。(笑) 最初は「え?」って言ったんですけど、そのまま任せたら面白いものに仕上がったので、信頼して任せられます。

■音楽だけでなく、映像やビジュアルなど、視覚的な要素も含めてひとつの作品を作るという方向性のtonari no Hanakoですが、先日は初のワンマンライブも行われました。人前でライブをするのはどんな感覚でしたか?

ame 言い方は難しいんですが、私自身が自分はライブアーティストではないことをすごく分かっているんです。例えば歌ひとつでホール中を魅了できるようなパワフルでカッコいいミュージシャンという感じではないし、そこで自分という素材で戦うのであれば、耳以外の五感でも楽しめるような要素を入れていきたいと思ったので、ライブも耳だけでなく、目でも楽しめるように工夫して行ったのが先日のライブでした。私はあまり前に出たいタイプではないので、そういう意味でも映像を流しながら行うライブはすごくやりやすかったです。(笑)

■ライブを行うこと自体に抵抗はなかったですか?

ame めちゃめちゃありましたね。(笑) ずっと「ライブはしたくない」って言い続けていたんですけど、覚悟を決めた感じでした。

■みなさんの反響などを受けていかがでしたか?

ame 思った以上に評判が良くて安心しました。でもまだ緊張はしますね。(笑) ライブを楽しみにしてくださるファンの方もいらっしゃるので、もうちょっと経験を積んで良いライブができるようにしていかなきゃいけないなと思っています。今は前向きな気持ちですね。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
“切ないほど、人生は、愛しい” をテーマに、拗れた故に辿り着いた、繊細な世界線を描くマルチクリエイティブユニット。LOOP フレーズに生の JAZZ をあしらい、独特の気怠さと浮遊感に浸れる、温度感低めな新感覚のサウンドが特徴。2019年1stEP『切ったら、空』(“CD ショップ大賞 2020 北陸ブロック賞” を受賞)から活動をスタートさせ、現在の活動に至るまで表立った活動はしておらず、メンバー編成も架空のものだった。このデビューを機にVo.ame、VJ・映像ディレクター.sobueをメインメンバーであることを明らかにし、楽曲の世界観をより表現していくため、ビジュアルを担当とする“Hanako”を迎え入れる。初代Hanako役を務めたのは、若手モデルのアイビー愛美(ボックスコーポレーション所属)。今作から若手女優の西尾茉侑(株式会社 each other 所属)が2 代目Hanakoを担当する。ユニット名の由来は…“それでも、となりで恋をする”
https://www.tonarinohanako.com/

RELEASE
『半人前の恋』

配信デジタルリリース
https://hanako.lnk.to/halfwaylove

NIPPON CROWN/playlist Zero
7月12日 ON SALE