嘘とカメレオン VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■対してチャム(.△)さんの歌声もそのポップな曲の方がより映えている歌唱印象を受けました。

チャム(.△)　ミディアムな曲調の方が、より自分が表現できるなとは感じながらどの曲も歌っていました。

■歌詞も曲毎で様々なシチュエーションに誘われたり、時には引っ張られたりを感じました。

チャム(.△)　ありがとうございます。毎度のことながら、歌詞はもらったデモを聴き、浮かんできた物語や景色を言葉として落とし込んだものばかりで。とは言え、今回はわりと景色や物語、世界観がこれまで以上に存在する曲が多かったので、今まで以上に歌詞が浮かびやすいものが多かったです。“STOP!”を除いては。(笑)

■“STOP!”は非常に言葉が詰まっていますね。

渡辺　デモの段階ではメロディは打ち込みでしたが、ほとんどモールス信号状態でしたからね。(笑)

チャム(.△)　いやー、この曲は何度聴き返してもなかなか歌詞が浮かんでこなくて。(笑)　でも、曲毎で作っていった関係上、意識的ではなかったんですが、全曲出揃って並べて聴くと、1曲目～11曲目までで人の人生の様々な瞬間に感じたことや、刹那みたいなものを切り取っていて、対して12曲目で、その1～11までを含む全てを総括した人生観みたいなものが、結果浮き彫りになっていて。それが自分的には興味深かったです。

■私も今作は「最後に向けいろいろと旅をし、帰着点として12曲目の“BIG FISH”に辿り着いて大団円」のような、大きなストーリーを感じました。最後の“BIG FISH”が、今作のエンドロール的な役割をしているなって。

チャム(.△)　この曲はレコーディングの時から「アルバムの最後だね」とメンバー間で話をしていましたから。

渡辺　この“BIG FISH”は、自分の中での原風景を音にした面もありました。それは全然繋がらなくてもいいんですが、それは実家がある茨城での幼い頃の自分で。おばぁちゃんと昔ながらの個人経営の薬局に行った記憶が浮かんできたんです。そこには店の前に像のサトちゃんの古い置物があったり、色褪せたポスターが貼ってあったり、レジに小さい観葉植物が置いてあったりと、やや寂れた光景で。その記憶がブワッと想い出されたんです。そこにあえてアルバムでのエンディング感も付加させて作りました。

チャム(.△)　私もこの曲を聴いた際に、自分が大好きで大切にしている映画である“BIG FISH”が浮かんできたんです。なんかこの映画の持っているキラメキとこの曲とがリンクして。自分の普段思ったり、感じている人生観や価値観が出たな…と、改めて感じました。

■アルバムタイトルの『JUGEM』ですが、これはあの落語の題目の「寿限無」からですか？

チャム(.△)　そうです。以前からこの「JUGEM」は、いつか使いたく大切にしまっておいたんです。「じゅげむ」って漢字で書くと「寿限無」じゃないですか。この「寿限りなし」って無茶苦茶縁起がいいなって。それで、表記をローマ字にし、一筋縄ではいかない感や「なんだこのタイトルは？」感を出してみたと。(笑)　それが私たちっぽさにも繋がるだろうし、この作品を手にした方々にも「限りない寿」があって欲しいです。

渡辺　タイトルが『JUGEM』までで止めてあって良かった。(笑)　実際の落語の話のように長い名前だったらプロモーションもやりづらかっただろうから。(笑)

Interview & Text：池田スカオ和宏

PROFILE
2014年4月1日に結成。2016年12月にYouTubeにアップロードした初制作MV『されど奇術師は賽を振る』がインターネットやSNSで広がり、公開から半年で180万再生を突破し話題となる。初の全国流通盤としてミニアルバム『「予想は嘘よ」』をリリース。TOWER RECORDSバイヤープッシュ展開「タワレコメン」に選出され、同年の展開売上2位を獲得する。2018年9月、1stフルアルバム『ヲトシアナ』でキングレコードからメジャーデビュー。2019年5月、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ「絶対正義」主題歌『ルイユの螺旋』や、テレビ東京系「ゴッドタン」エンディングテーマ『パプリカはポストヒューマンの夢を見るか』などを収録したミニアルバム『ポストヒューマンNo.5』をリリース。2019年夏は「ROCK IN JAPAN FES.」「BAYCAMP」など、様々なフェスでも頭角を現し、出演する全国各地のサーキットライブは軒並み入場規制に。まさに破竹の勢いでJ-ROCK界を爆進するロックバンド。
https://usokame.com/

RELEASE
『JUGEM』