Wienners VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■ちなみに玉屋さんの幼少期は、“GAKI”の歌詞のようなやんちゃな感じだったのか、反対に「かけっこムテキ」な子に憧れる側だったのか、どんな感じでしたか?

玉屋 この歌詞とは真逆の人間でしたね。むちゃくちゃ引っ込み思案で、超人見知りで、超怖がりで。覚えているエピソードがあって、年中から幼稚園に入ったんですけど、親と一緒に幼稚園に行って、同年代の子たちと遊ぶ慣らし保育があって。親は後ろで見ているんですけど、親元を少しでも離れるのが怖いし、同年代の人間の輪の中に混ざっていくことも、あまりにも怖くてできなくて。だからといってその頃からプライドは高かったので、「怖いから行きたくない」とも言えなくて。なので、親に「背中がかゆいからかいてくれ」と言って、後ろにずっといてもらったんです。(笑) 別にかゆくはないんですけど、背中をかいてもらいながら、なんとなく遊んでいるふりをしてやり過ごすみたいな感じでした。そのくらいビビりな子供だったので、“GAKI”の歌詞にあるような奴には憧れと恐怖を抱いていましたね。

■怖がりなのは意外でした。でも賢いですね。(笑)

玉屋 いやぁ、どうなんですかね。ズル賢いみたいな感じですかね。そういうのも自分の嫌なところというか。「嫌だ、怖い」と言えばいいのに、「背中かいて」みたいなのって、どっちにも振り切れていなくて一番ダサいと思うんですよ。でもそういう子供でした。だから高校生の時とかに、ライブハウスにハードコアのバンドを観に行った時とか、めちゃくちゃ怖かったけど、自分にはないものだから憧れをすごく感じていたんです。見た目もすごくいかつくて、実際に喧嘩も強くてみたいな。それが弱い者の憧れを乗せていた部分もあったと思うんですよね。この曲はそういう憧れを反映しているものでもあるのかなと思います。

■幼少期の頃になれなかった自分に、時を超えてなるというか。

玉屋 本当に、あの時できなかった幼少期の過ごし方をバーチャルで今体験し直しているみたいな感じですね。(笑) でも思うのが、「大人になったらこういうやんちゃなことをしちゃいけない」みたいな風潮って、世の中にあるじゃないですか。「お前、何、まだそんなことやってんの?」みたいな。そういうのちょっとムカつくんですよね。(笑) だからといって、ヤンキーとかを肯定するつもりはないんですけど、そういう世の中の風潮が、ダルいなと思っていて。「お前、それ否定したらもう2度とこんな楽しいことできなくなるよ?いいの?」と思うので。そこに関してはずっとこういう感じの口調で盾突きたいなと思っています。

■大人になっても自分の大切にしたいものや、居心地のいい環境を守るために、そういう態度を貫くことも大事だと思います。

玉屋 何をするにしても、楽しいと思ったことをやれることは重要だと思うし、それにブレーキをかけるような風潮は壊していきたいなと思いますね。

■さて、2月からはツーマンツアー『GAKI TOUR 2025』も始まります。Wiennersはツーマンライブをかなりコンスタントにやっているように思いますが、そういった方針があったりするのでしょうか?

玉屋 積極的にツーマンライブをやっていこうみたいなのはあんまりないんです。でもなんだかんだツーマンライブが一番バンド同士もぶつかり合えるし、お客さん同士もちゃんとライブを観れる感じがあって。あと、ツーマンという濃い関係を保てるバンドが増えてきたというのもツーマンライブが増えていった理由なのかなと思います。Wiennersとツーマンライブをやってもいいかなと思ってもらえるようになったというか。ちょっと前だったら、ツーマンをやっても成立しなかったと思うんですよ。我々の実力不足であったり、知名度の問題というか、浸透していなかったりとか。今が知名度があるということではないんですけど、数年前は向こうのお客さんも「誰だこいつら?」みたいな感じだったのが、最近だと当たり前のように盛り上がってくれるということもあったので、これは浸透してきたってことなんだと思います。比較対象があると余計にそう感じます。

■Wiennersのいるツーマンはいつもすごく盛り上がっていて、起こるべき化学反応がしっかりと起きているという印象があります。ツーマンライブだからこそ、こだわっていることなどはあったりするのでしょうか?

玉屋 常にですけど、その日にしかできないライブみたいなものは意識しています。その日しかできないライブを一番しやすいのって、ツーマンライブだと思うんですよね。俺、お題を与えられるのがすごく好きなんだなと感じていて。他のバンドと一緒にライブをやるというお題をいただいた時に、どういうセットリストで挑むのか、俺たちの手持ちのカードから何を選んで、どういう攻め方をするかを考えるのが好きなんです。そうやってライブを組んでいくと、自分の発想になかったライブの骨組みが出来上がったりする。それはみんなやっていると思いますけど、ツーマンライブならではの考え方かもしれないですね。あと、何より一番考えるのは、ツーマンライブをやった相手に、「めっちゃいいツーマンだったよね」と思われたい。初対面のバンドであれ、またやりたいと思われたい。ツーマンライブをやって、なんとなくその日のライブが終わったバンドのうちのひとつとは思われたくないんですよ。それが一番大きいかもしれないです。「今日めっちゃ化学反応が起きていいライブだったね」と思ってほしい、というのはすごくエネルギーになっているかもしれないです。その相手にとって特別な存在になりたいという承認欲求ですけどね。(笑)

■「いいライブだったと思われたい」というのが、お客さんよりも相手のバンドそのものに向いているんですね。

玉屋 そうですね。バンドに向いています。でもそれって、ニアリーイコールお客さんに向いてるような気もします。バンドに照準を定めていれば、その照準の中にお客さんも入ってくるというか。「なんか盛り上がらなかったな」で終わるのが嫌で、みんなに気に入られたいんですよね。(笑)

■では最後に、2025年の始まりというひとつの節目でもありますし、今年はどんな風に進んでいきたいかなど、考えていることがあれば教えてください。

玉屋 バンドも個人もなんですけど、もっと可能性を広げられればいいなと思っています。やっぱり音楽が好きだなとすごく思うので、今までやれなかったような表現もガンガンやっていきたい。それこそ民族音楽も大好きだし、クラブミュージックも大好きだし。バンド以外の音楽もめちゃくちゃ好きなので、そういうものをもっと表に出していけるような拡声器を持ちたいというか、声の大きさも手に入れたいし。それで言うと、音楽以外でも自分の考えを発信できる場を作れたらいいなとぼんやりと思っています。YouTubeとかでもいいし、ブログでもなんでもいいんですけど。今までインターネットでは、自分の意見をほぼ言ってこなかったので、「これからはもっと自発的にはっきり言った方がいいのかな?」みたいなことも考えていますね。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
2008年、玉屋2060%を中心に吉祥寺弁天通りにて結成。メンバーは玉屋2060%(Vo&Gt)、アサミサエ(Vo&Key&Sampler)、 ∴560∵(Ba&Cho)。予測不可能な展開、奇想天外かつキャッチーなメロディーに人懐っこい男女ツインボーカル絡み合う、類を見ない独自の音楽で、子供から大人まで聴くもの全ての喜・怒・哀・楽を電撃的にロックする銀河系パンクバンド。2020年5月にアルバム『BURST POP ISLAND』をリリースし、日本コロムビアよりメジャー進出。2021年10月に「FACITON」(フジテレビ系TVアニメ「デジモンゴーストゲーム」オープニング主題歌)を配信リリース。2022年6月に「SHINOBI TOP SECRET」(テレビ東京系6局ネットテレビアニメ「ニンジャラ」エンディング主題歌)を配信リリース。7月20日に約2年ぶりとなるフルアルバム『TREASURE』を発売、7月より全国20箇所の2マンツアー『TREASURE TOUR 2022』を開催。2023年2月より対バンツアー『BATTLE AND UNITY TOUR 2022』 を敢行。8月3日(木)にワンマンライブをZepp Shinjukuで実施。2024年3月21日(木)に渋谷 WWWにてワンマンライブを開催。5月8日にデジタルシングル『何様のラブソディ』をリリース。6月3日より全国ツアー『何様大行進2024』を敢行。9月18日にデジタルシングル『TOKYO HOLI』をリリース。2025年1月15日にデジタルシングル『GAKI』をリリース。2月1日より『GAKI TOUR 2025』を開催する。

RELEASE
『GAKI』

配信デジタルシングル
http://Wienners.lnk.to/GAKI

日本コロムビア / No Big Deal Records
1月15日 ON SALE