Wienners『W Dutch 2024 -Wienners 2MAN SHOW-』ライブレポート@渋谷CLUB QUATTRO

キュウソネコカミとともに作り上げた熱狂の夜。

10月2日(水)、渋谷CLUB QUATTROにて『W Dutch 2024 -Wienners 2MAN SHOW-』の東京公演が行われた。この日、Wiennersとともに渋谷の夜を彩ったのはキュウソネコカミ。メジャーデビュー以前からの長い付き合いだというWiennersとキュウソネコカミは、それぞれ種類の異なるキャッチーさを持っているバンドである。賑やかで平和な、お祭り騒ぎのような景色を目指す2バンドの相性の良さを感じさせる一夜であった。

最初にステージを盛り上げるべく登場したのはキュウソネコカミ。2060%Tシャツを身に着けたヤマサキセイヤ(Vo&Gt)はステージに登場するや否や、オーディエンスの上にダイブする。1曲目の“TOSHI-LOWさん”から、大合唱とダイブが入り乱れステージと客席の境目など感じさせない一体感を生み出すキュウソネコカミ。ヨコタシンノスケ(Key&Vo)によるキーボードの音色と疾走感が改めてWiennersとの親和性を感じさせた“ビビった”に続くと、「Wiennersのお客さん、思ったより飛んでこないっすね?」とヤマサキ。間奏では、遠慮がちだったWiennersファンも炊きつけられたようにダイブを連発し、更にフロアは熱気を高めていった。続く“ファントムヴァイブレーション”、“3minutes”では、耳に残るキーボードのフレーズ、軽快な演奏のリズム隊の音色に導かれるようにオーディエンスが身体を揺らし、キャッチーな歌詞で大合唱。洗練されたロックサウンドとどこか懐かしいJPOPのメロディが同居する音楽、身近なテーマと言葉遊びの光る歌詞がユニークに会場を彩った。

「体力が3くらいになっても、転換挟めば88くらいに戻るから!」と煽ったのちには“こみゅ力”、“KMDT25”、“家”とパーティーチューンを連続し、思い思いに踊るオーディエンスたち。その様子を眺めるメンバーも楽しそうだ。ユーモラスな歌詞でくだけた雰囲気を作りながらも、煽ればそれ以上の熱狂が返ってくるという、ステージとフロア間の熱い信頼も築かれているのを感じた。10年来の付き合いでこれまで何度もツーマンライブを行っているという2組。ともに歩んできた旅路を振り返るMCから「俺たち、今が一番格好いいと思います!」と宣言すると、“ネコカミたい”、“DQNなりたい、40代で死にたい”、“ハッピーポンコツ”と、超のつくキャッチーソングでラストスパートへ。ヤマサキはオーディエンスの上を転がってフロア中央まで移動したりと、文字通り会場が一体となって盛り上がる。あっという間にキュウソネコカミのステージが終わってしまうのが惜しい感覚と、これほどの熱狂のあと、Wiennersはどのような化学反応を起こし素晴らしい景色を見せてくれるのかという期待が綯い交ぜになる、対バンならではの高揚感を感じるステージであった。

オーディエンスの体力が3から88ほどに回復したであろう頃、いよいよWiennersが登場。ヤマサキに倣って、玉屋2060%(Vo&Gt)も登場するや否や客席に飛び込み、熱い意気込みを感じさせる。Wiennersのターンは“蒼天ディライト”にて開幕。温まっている会場に早速疾走感のある楽曲を響かせ、玉屋とアサミサエ(Vo&Key&Sampler)のダブルボーカルがカラフルな印象に染め上げる。シンセサイザーの音色が率いる軽快かつ巧妙なサウンド感の“TRADITIONAL”に続くと、フロアは大合唱。めくるめく展開が高揚感を更に上昇させていく。

「助け合いながら、日頃の鬱憤をここで晴らしてください」との言葉のあとに投下した“TOP SPEED”ではギアを入れたかのように空気を変え圧倒的なスピードで会場の熱気を高めていくと、“レスキューレンジャー”、“SHINOBI TOP SECRET”と、アサミサエのボーカルをアクセントにしながら玉屋の勢いのあるボーカル、∴560∵(Ba&Cho)による縦横無尽のベースが、この日のサポートメンバーのカズマ・タケイのドラムとともにノリを作りあげていく。阿吽の呼吸でスピーディーに展開していく音色からはバンドの感情の昂りが伝わり、それに呼応するようにオーディエンスが熱気を増していくのが分かる。 “DANCE HALL CRUSHERS”での、純粋にリズムを感じ、踊り、楽しむという一幕は、Wiennersの音楽の、全員が楽しめる場を作り上げていくというスタンスの魅力が特に表れていたように思う。そんな平和で熱い空気は、早くも大団円を感じさせた。

キュウソネコカミ、Wienners共にロックミュージックの中に仕込まれたキャッチーさが魅力のバンドだが、その中でもキュウソネコカミの特筆すべき魅力が言葉の惹きの強さによるユーモアであるとしたら、Wiennersの音楽の特長はメロディの魅力と日本語の聴きやすさを両立させた譜割り、言葉の載せ方であると感じる。そんな互いの魅力の違いを感じることができるのも、ツーマンライブの楽しみ方のひとつだ。ライブ中盤、MCにて二次会のようなライブがしたいと口にした玉屋は、「カラオケスタイルです!」とオーディエンスにも歌うことを促しながら“SUPER FUTURE”、“おどれおんどれ”、“いろはにほへと”と、EDM調の楽曲を連続で披露。

玉屋、アサミサエのふたりはハンドマイクを握りリズミックなリリックを載せ、カズマ・タケイは立ち上がり唐突にインスタライブを始めるといったように、ステージ上では各々のスタイルでその場を楽しみ始める。これまでのライブで披露されてきた生バンド体制を手放す楽曲ではどこか落ち着いた雰囲気が漂うことも多かったが、今回は対バンということもあってか勢いを落とすことなく、サウンドとノリを変えることで新鮮な空気に塗り替えていた。

そしてここでキュウソネコカミの楽曲“ファントムヴァイブレーション”をカバー。「スマホはもはや俺の臓器」のシンガロングで強烈な一体感を作ると、続いてWienners随一のキャッチーな楽曲“恋のバングラビート”へ。2バンドの中でもとりわけ強度の高い楽曲同士がぶつかりあう流れに、会場も狂乱の様子だ。バンドサウンドとクラブサウンドを融合した“TOKYO HOLI”に差し掛かると、ライブはラストスパートへ。キュウソネコカミ、Wiennersそれぞれを称えるように“UNITY”、“何様のラプソディ”を演奏し感動的な景色を作り上げると、“GOD SAVE THE MUSIC”を披露し、本編を締めくくる。興奮冷めやらぬ中、アンコールの声に導かれ再度登場したWiennersは、体力を使い果たさんばかりの勢いで“おおるないとじゃっぷせっしょん”、“Cult pop suicide”、そして“よろこびのうた”をかき鳴らし、熱いツーマンライブの幕を閉じた。

Text:村上麗奈
Photo:かい

https://wienners.net/

『W Dutch 2024 -Wienners 2MAN SHOW-』@渋谷CLUB QUATTRO ライブレポート
キュウソネコカミ

01. TOSHI-LOWさん
02. ビビった
03. ファントムヴァイブレーション
04. 3minutes
05. こみゅ力
06. KMDT25
07. 家
08. ネコカミたい
09. DQNになりたい、40代で死にたい
10. ハッピーポンコツ

Wienners
01. 蒼天ディライト
02. TRADITIONAL
03. TOP SPEED
04. レスキューレンジャー
05. SHINOBI TOP SECRET
06. VIDEO GIRL
07. Justice 4
08. DANCE HALL CRUSHERS
09. ブライトライト
10. SUPER FUTURE
11. おどれおんどれ
12. いろはにほへと
13. ファントムヴァイブレーション
14. 恋のバングラビート
15. TOKYO HOLI
16. UNITY
17. 何様のラプソディ
18. GOD SAVE THE MUSIC

ENCORE
01. おおるないとじゃっぷせっしょん
02. Cult pop suicide
03. よろこびのうた