アルテミスの翼 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

アルテミスの翼『Wings Of Artemis』

カッコいい曲から可愛い曲まで、全部歌えるっていうのが今の私たちの強み。

アルテミスの翼が1stアルバム『Wings Of Artemis』をリリース。2020年に『最終ゼンヤ』で7人組としてデビューし、そこから何度かのメンバーチェンジを経て、2022年3月から10人体制となった彼女たち。初期の楽曲は神話をモチーフにしたグループコンセプトに沿った壮大でクールな楽曲が多かったが、メンバーが変わるにつれポップで可愛らしい楽曲も増え、メンバーだけでなく楽曲面でも変化に富む「アルツバ」。そんな彼女たちがリリースする1stアルバムは、デビュー曲から新曲までの全12曲を収録。彼女たちの変遷を見ることができる。
今回はデビューメンバーのアテナ・シオリ、カナコ・ケンタウロス、ヘルメス・ミズキ、2021年に加入したフェニックス・リサと、今年3月に加入したカシオペア・キアラの5人に、新曲の話題も交えながら、各々がアルテミスの翼に抱く印象やグループの変化についてなど、たっぷりと話を訊いた。

■現在の10人体制になって半年弱ですが、グループのモードや雰囲気はどんな感じですか?

リサ ちょうどアルバム発売するっていう時に10人体制になったので、そこに向けてみんなで頑張ってやってきたっていう感じです。新曲の“PROUD of”っていう曲が、歌詞にもあるように結構決意がこもった曲で。新メンバーもその決意をすごい汲んでくれてます。これからのアルツバを引っ張っていくぞっていう気持ちがこもっている曲なので、この曲が今のアルツバを示してくれてるというか、その曲を筆頭に走っている感じです。

キアラ 私は入った時から10人だったので、10人になった実感とかはないんですけど、いい意味で上下関係が厳しくなくて、フラットに接してくれるのが良さだなって思います。私は前のグループでの経験があるんですけど、「こうした方がいいんじゃない?」みたいなのは結構言いやすかったりするので、意見を取り入れてもらいやすくて、活動しやすいなって思います。

■楽曲の雰囲気はデビュー当初と今では大きく変わり、今では様々な表情の曲が揃っています。みなさんはアルツバの曲にどういう印象がありますか?

シオリ 最初はクールだったりカッコいい寄りの曲で活動していたんですけど、段々ライブとかを経験していく中で「アイドルっぽい可愛い曲も必要だよね」っていう話もメンバーから出て、それで結構ポップな曲も増えていったっていう感じなんです。割りと今はオールジャンルっていうか、カッコいい曲から可愛い曲まで全部歌えるっていうのが今の私たちの強みでもあるし、魅力でもあると思っています。だから、ライブでもその日ごとにめちゃめちゃ盛り上げる日はバチバチにカッコいい曲をやったり、一緒に共演するアイドルさんが可愛い系の方々が多かったりすると“ライラック宣言”とか可愛い曲を入れてみたりとかもしているので、いろんな雰囲気が出せるのがいいなって思います。

■公演ごとにセトリの雰囲気が変えられるのはいいですね。可愛い曲への移行はみなさんの意見も踏まえられたものだったんですね。

シオリ きっちり話し合ったっていうわけではないんですけど、みんな思っていることが一緒だったりしたので、それを伝えてみたり、だよね?

カナコ デビューして半年くらいの、“Lock On !!!”の後くらいの曲は、結構メンバーの意思から生まれたものが多いかもしれないです。

■初期のインタビューを読むと、カッコいい曲しかなかった頃は「それ以外の曲をやる想像がつかない」という発言もされていましたね。今、いろんな曲をやるようになってどう思いますか?

カナコ 私はアイドルを全く知らない状態で入ったんですよ。AKBさんすら全盛期のちょっとしか知らないみたいな。それくらい全く知らない世界だったので、逆に“最終ゼンヤ”とかがデビュー曲で私は入りやすかったんですよね。その時は可愛い振り付けを踊る自分なんて想像できなかったので。でも活動していく中で、“ライラック宣言”とかをやってみたら「意外と楽しいぞ」みたいな。ファンの方も喜んでくれたり、新しいファンの方が来てくださったりもして、いい刺激だったり、経験になっているなって思います。

■カナコさんがアイドルをやろうと思ったのはどうしてだったんですか?

カナコ 声をかけていただいたのが最初のきっかけではあるんですけど、このグループじゃない別のグループに誘われた時は断っていたんです。「本当に興味ないです」って。でもタイミングと、新しいグループだったっていうのもあって、「それでも誘ってくれるんだ、じゃあやってみようかな」っていう気持ちで。元々新しいことをやるのが好きだったので、「できるようになったらすごくない?」みたいな軽い気持ちで最初は初めました。

■ミズキさんは今のアルツバの曲の幅についてどう感じていますか?

ミズキ 私もアイドル未経験でこのグループに入ったんですけど、最初は私も「カッコいいグループで大人っぽい雰囲気だからやりたいな」って思って入ったっていうのが大きくて。でもそういう曲だけだと、やっぱり刺さる人にしか刺さらなかったりすることに気付いて、可愛い曲とかも増えていって。やっぱり「どの曲が好き?」って聞いた時に、「明るくて可愛い曲が好き」って言ってくださるファンの方もいらっしゃるので、その幅が増えたことによってファン層も変わってきたなってすごく感じますね。

■ミズキさんも最初はこういうコンセプトだから入ることを決めたっていう感じだったんですね。

ミズキ そうですね。カナコちゃんも言っていたんですけど、「ザ・王道」だったら入っていなかったと思います。できなかったと思います。

シオリ 私もアルツバができた時は「カッコいい路線でいく」って言われていたので、「それなら」みたいな。(笑) その後にちょうど可愛い曲ができた時って、メンバーがガラッと変わった時期でもあって。新しく加入してくる子たちが、ある程度アイドルを経験している子が多かったので、逆に私たちがその子たちのパフォーマンスとかを見て、「こうやってやればいいんだ」って勉強させてもらって。あとは段々といろいろなイベントや対バンに出演するようになって、他のアイドルさんを見るようになってから、勝手に身体が吸収して自然にそういう明るい系の曲もできるようになったっていう感じです。結構周りからの刺激は大きかったですね。

■新メンバーの存在も大きかったんですね。メンバーの入れ替わりも多く、期間限定のトレードなどもありましたが、抵抗などはありましたか?

カナコ 本当に変わりまくっていた時期は、心を無にして練習していたというか。(笑) でも変化が多いって言っても、デビューして半年で入ってくれたりぃちゅ(リサ)とかも、もう1年経っているので、なんだかんだ最近はそこまで大きな変化はないというか、人数が増えたっていうだけですかね。でも一時期は6人だったり、7人だったりして忙しい時期もあったので、「この日は何人で」、みたいな時期はパンクしながらやっていましたね。でもその経験があるからこそ、急に誰かが欠けたってなっても、「オッケー大丈夫!」みたいな気持ちになれます。(笑)

■リサさんとキアラさんのお2人はそれぞれ別の時期に加入していますが、加入当初のアルツバの印象というと、どんな感じだったんですか?

リサ 私が加入したのは人の入れ替わりが激しかった段階だったので、私のデビューライブの直前の時間帯に前メンバーの卒業ライブがあって。なので、正直ファンの方たちには受け入れてもらっていなかった印象です……。だって私のデビューライブの前に卒業ライブをやっていたんですよ?

カナコ そのシーズンは必ずセットだったんですよ。卒業ライブとデビューライブが。

リサ しかも、青色担当の子が卒業して、自分がその青色担当になるっていう。理不尽だなって思って。(笑) その時は「受け入れられていないんだろうな……」って思いながらやるしかなかったですね。やることが本当に多かったので、それをやっていくうちにここまで続けていたっていう。

キアラ 私は、入る前はプロデューサーからも「自我の強い子が多いけど、生き残っていける?」みたいなことを言われて。(笑) 私も私で結構グループでの経験をしてきたので、自我が強い方なので「いけるいける」みたいな。でもいろいろあったんですけど、それも経て、この10人で頑張っていこうみたいなのが固まったのかなって勝手に思っているので、とりあえずこの10人でいけるところまで行きたいなって思っています。

■“最終ゼンヤ”を含めて初期の曲は壮大でカッコいい曲が多いと同時に、歌詞は聴いている人にもみなさん自身にも刺さるのかなと感じました。特に刺さった歌詞などはありましたか?

カナコ よくない方の意味ではあるんですけど……。初期の頃かなり大変だったんですけど、私はあんまり怒らないというか言えないタイプで、やれと言われたら「はい」みたいなタイプなんですけど、それでもやもやすることはあって。そういう時は“ジャンヌ・ダルク”の歌詞に思いを込めていたというか、歌で発散していたみたいなところはありましたね。

シオリ 確かに“ジャンヌ・ダルク”は込めやすいかもしれない!

■先程、セトリで全体的な雰囲気が変えられるという話もありましたが、可愛い曲の直後にカッコいい曲がくることもあるわけじゃないですか。声のキャラなども変わると思うんですけど、そういう難しさとか、気付いたことなどはありますか?

リサ イオリちゃんっていう新メンバーの子が、すごいカッコいい歌い方をする子で、“PROUD of”とかも「まさに!」みたいな子で、がなり声だったり、カッコいい声に振れる子なんです。だから「可愛い曲は歌えるのかな?」って思っていたら、可愛い曲はめっちゃ可愛く歌っていて、「すごいなぁ!」って思いました。今のアルツバは可愛い表情ができる子の方が多いのかなって思うので、カッコいい歌の時に「この子頑張ってカッコよく歌っているな」っていうのが見られるので、それがいいなと思います。

■ギャップが見られるというか。アルバムの新曲“Bring it on!”は前向きな歌ですね。最初に聴いた時の印象はいかがでしたか?

リサ 「神奈川県の高校サッカーの応援テーマソングになります」って言われて、いただいた曲だったので、なるほど応援ソングだなと。ちょっと爽やかさもあり、歌詞的にも背中を押す感じで。なので、応援する曲だと思って、歌っている時も部活だけじゃなくて、ファンの方たちにはお仕事されている方もいらっしゃるから、「そういう人たちみんなを応援しよう」っていう気持ちで歌っています。自分に刺さるっていうよりも、みんなを応援しようっていう気持ちがありました。

カナコ 部活の応援ソングっていうだけあって歌詞も分かりやすいので、聴きやすかったです。

シオリ この曲はアルツバの中でも好きな曲なんですけど、自分で聴いていても前向きになるし、今言ってくれたように伝えやすいし、「ファンの方たちを応援したい」っていう気持ちを込めて歌いやすい曲でもあるので、ライブで歌っていてもすごく楽しいし、ファンの方たちもきっと明るい気持ちになってくれると思うので、めちゃめちゃ好きです。

■自分にというよりは、応援したいっていう気持ちをそのまま乗せられる曲なんですね。“DANGER SIGN”は大人っぽいラブソングで、これまでとはまた印象が違う曲ですね。

キアラ 私はどちらかというとカッコいい曲よりも、可愛い曲が得意だし、好きなんです。でもこういう大人っぽい恋愛ソングとか失恋ソングとかもすごく大好きだし、得意なので、「ついにきたな」と。「私がしたかったのはこれだ!」みたいな曲だと思いました。「こういう曲もできるよ」みたいな、ファンの方たちが今まで知らなかった表情もできるので、すごく好きな曲です。

カナコ 私は逆に今まで全く聴かないタイプの曲で。基本は明るくて楽しい曲か優しいバラードみたいな曲しか聴かないので、お披露目してから何回かライブでやっていますけど、未だに苦戦しています。自分的にピンとくる表現とかがまだちょっと掴めていないんです。レコーディングの時もイメージは沸くのでなんとなくやってみたんですけど、実際に気持ちを込められているかと言われると、まだ入り込めていないみたいな感じです。模索中ですね。

ミズキ 私も恋愛ソングが大好きなので、“DANGER SIGN”は歌いやすいです。感情を込めやすいなって。アルツバの雰囲気とも合っているなと思うので、いい曲だと思います。

カナコ お客さんも聴きいってくれる感じですね。こういう曲が好きな人はただ聴きたいんだろうな、みたいな。

キアラ 逆にコロナ禍でコールができない今でよかったかもしれないですね。アルツバの曲って、もちろんコールも入れられるんですけど、それよりも結構聴きたい人たちが集まっているような部分もあるので、すごく合っているのかなって思ったりもします。

カナコ 静かなので「盛り上がっていないのかな?」と思ってお客さんの顔を見ると、意外となんか楽しそうな顔しているよね。(笑)