WOMCADOLE VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

WOMCADOLE『旅鴉の鳴き声』

■冒頭でも「等身大」という言葉が出ましたけど、自分たちの中にある等身大の感覚をもう少し具体的に言うと?

マツムラ 僕の演奏で言えば、直感的というか、“hey my friend”のアウトロも決め込まずにアドリブで弾いているんです。考えすぎずにやりましたから。ピッキングミスも結構しているけど、言いたいことを言えているソロが弾けたなと思います。ミスも含めて、それが等身大なのかなと。前作はフレーズのやりとりが上手くできていたけど、今回はベースとドラムが作った土台の上で弾けることをやった感じです。エリック・クラプトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンとか、ブルースをロック調にしている人の影響が出ているかもしれない。ああいう人たちを聴いて、アドリブソロやストラトキャスターの良さを知りましたから。そう言えば、昔はそういうギタリストが好きで、ギターを弾いていたなと。クラプトンは歌うようにライブでギターソロを入れていたから、今回はそれを意識しました。ピッキングミスとかあっても、「こうしたい!」という気持ちが伝わるものに感動していましたらね。

■安田さんは?

安田 全然難しいことはやっていないし、一番コテコテなのは“ペングイン”の落ちサビ前のフレーズくらいですかね。若かりし頃は「テクニカルなドラムを叩かねば!」という気持ちが強かったけど、実はシンプルなドラムの方がカッコいいんじゃないかと。小手先の難しさよりも、ロックバンドのドラマーとして何がカッコいいのかを考えたら、俺が聴いてきたドラマーはスネア一発でカッコいいと思わせる人たちだったんです。ELLEGARDENとかもそうでしたからね。俺の難しいドラムよりも、他にもっと聴いて欲しいところがあるから。

■“mirror”の中に「鏡に映る姿、それは本当の自分だった」と歌詞にありますが、ありのままの自分を見据えた今作の内容とも繋がりますね。

安田 そうですね。いろいろやってきて、多少なりとも自信が付いてきましたから。その中で今の俺らのモードが出ているのかなと思います。

黒野 昔も今も自分は作り込むタイプなので、自分の等身大はずっと変わらない気もするし、そこはちょっとわからないんですけど。アルバムで一番気に入っているのは“ラブレター”のギターソロ裏で弾いているフレーズですね。ユウスケはいつもギターソロをアドリブで録っているんですけど、それがめっちゃベースと絡まって気持ちがいいんです。そこはギターソロがあり、初めて俺のベースラインが完成するところが好きですね。

■そこも聴き所ですね。あと、バンド的に挑戦したのはラスト曲“hey my friend”ですか?鍵盤の音色も印象的でポップに振り切った曲調ですね。

安田 そうですね。それは樋口がデモを持ってきて、こういう感じでいきたいと言われて。それをメンバーで共有した感じです。

マツムラ ド頭のイントロはデモの段階ではギターのアルペジオだったんです。それをエレピの歪ませた音に変えました。Special Othersも好きなので、ギターアンプにキーボードを差して、エレピの音を出そうと。

■樋口さんのポエトリー調のヴォーカルの真裏でコーラスを入れたパートもすごく新鮮でした。

黒野 自分の声が音痴すぎて…自分でも歌いながら、「これ大丈夫かな?」と思ったんですけど。(笑)

マツムラ でもその音程がハズれているのも味になっていますからね。

■それこそ学校の校歌とか懐かしい雰囲気を感じました。

黒野 樋口から「子供っぽい音痴な感じも欲しい」と言われていたので、いい味になっているんじゃないかと。

安田 全員で歌うことに意味があると言ってたもんな。今回は全体的にコーラスが多いですからね。“夜間飛行”以外はみんなシンガロングが入っているので。

■ええ、ライブで観客を巻き込めるシンガロング要素は強まっていますよね。

マツムラ 最初に曲が集まった時に、やり過ぎかな?と思ったんですよ。でもやりたいからやっているわけですから。今はなかなかライブでは声を出して歌えない状況ですけどね。

安田 そういうフラストレーションも曲に出ているんでしょうね。

■なるほど。では、この演歌ちっくなアルバム名『旅鴉の鳴き声』の由来は?

安田 それは樋口がグループLINEで送ってくれたんです。旅鴉って、鳥の鴉のことじゃないらしくて、ねぐらを持たない旅人の意味みたいなんです。鳴き声は俺らの歌とかそういう意味だと。それで「なるほど!」って。自由な感じというか、何にも縛られずにやっていきたいという気持ちの表れかもしれないですね。それも今の俺らっぽくていいかなと。

マツムラ ねぐらを持たないというのは樋口にぴったりやなと。彼は自分の家でもベッドじゃなくて、ソファーで寝ていますから。(笑)

■そして8月から今作のレコ発『近今感魂ツアー(キンコンカンコンツアー)』も始まりますね。

安田 過去最多本数のツアーなんです。26本もあるので、それも本当に楽しみです。

Interview & Text:荒金良介

PROFILE
樋口侑希(Vo&Gt)、マツムラユウスケ(Gt&Cho)、黒野滉大(Ba)、安田吉希(Dr&Cho)の4名からなる滋賀発4ピースロックバンド。初期衝動を遥かに凌駕する速度で瞬間沸騰する4名による爆音。躊躇わずに、最短距離で、オーディエンスの左胸に放たれ続ける樋口侑希の唄が特徴。2011年結成。2013年閃光ライオット2013ファイナルに選出。2019年11月20日、アルバム『黎明プルメリア』で待望のメジャーデビュー。2020年6月11日、新ギタリストにマツムラユウスケを迎え、現体制となる。同年8月5日に3rd Single『ヒカリナキセカイ』をリリース。2021年1月20日にノベル・コンセプトアルバム『共鳴howRING』、7月7日、ノベル・コンセプトアルバム『旅鴉の鳴き声』をリリース。
https://womcadole.futureartist.net/

RELEASE
『旅鴉の鳴き声』

初回生産限定盤(CD+DVD)
UPCH-7593
¥4,500(tax in)

通常盤(CD)
UPCH-2229
¥2,300(tax in)

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