■お二人的にはいかがですか?これからどんな音楽を作っていきたいですか?
YUKI そこは行き当たりばったりでいいと思います。それは全然悪い意味じゃなくて、やっぱりその時々で感じることってあるじゃないですか。ライブの前と後でも全然感覚が違いますし、曲に対して「来年こういうことを作ろうね」とか、そういう感覚も別に無くていいと思っているタイプです。特に今作の“TOXIC”も、その場で侑と話していて、別のトラックがあったんですけど、それをやめて作り直したんです。それでも結構いい感じになったので、多分そういう新しい何かに触れた時の衝動で造るのがいいのかなと思っていて。
spi 「音楽とは何か?」みたいな話になってきちゃうんですけど、そもそもXAOSXというもの自体が、自分たちの安全領域の外に一歩踏み出して、怖いものにも挑戦していく姿をお客さんに見せて、それで勇気を与えたい、というのがスローガンとしてあるんです。それで、じゃあ音楽業界だったり、自分たちの今いる安全領域の外みたいなものはなんなのか?と考えた時に、「Aメロ・Bメロ・サビ・Aメロ・Bメロ・ブリッジ・サビ・終わり」みたいな、この形式をそもそも壊した方がいいんじゃないかというところで。それってものすごく勇気がいることなんですけど、我々はデジタルネイティブだったり、感覚が若いので、今あるそのテンプレートみたいなものをどんどん壊していって、「この音楽の流れって、今まで聴いたことあるんだよね、もっと捻りたいね」と、どんどんボツにしていって、どんどん新しくしていきたいんです。いきなりサビなのに急にドロップにいく曲もあれば、サビの途中から突然ドロップにいったりもしたりとか。
■いいですね。
spi お客さんの常識や、今業界にある音楽のテンプレートをどんどん壊していきたい。そういう音楽だからこそ、ジャンルにとらわれなかったり、サウンドを限定しなかったり、歌詞が綺麗なものを並べるだけで中身がなくてもいいよね、みたいなところから、ちゃんと想いを持って録音することに意味があるんじゃないか、ということに重きを置いてみたり。歌詞を書くにあたっても、なんとなくフワっと書くんじゃなくて、ちゃんと芯となる原案があった上で、その0~1をどれだけ100につなげられるか、かつリズム感だったりをどうやってカッコよくできるのか、飽きさせないか、みたいなものに集中してみたり。そういうXAOSXいうジャンルみたいなものや、新しい音楽を作っていきたいなと思っています。
■綺麗にまとめられて素晴らしいと思います。ところで個人的に気になった歌詞は、先ほども出た“TOXIC”だったんですよ。この曲はすごく「2026年に流行っている言葉」が出てきますが、後から聴き返した時に古く感じるリスクなどはどうお考えですか?
YUKI これはわざとやっています。やっぱりリアリティがないといけないので。特にこの“TOXIC”に関しては、結構ふわっとしているものや、理想、現実など、そういうものを書いているので、そこをリアルと切り離してしまうといけないなと思ったんです。ふわっとしたまま曲が進んじゃったらダメだと思いました。いいラップだからこそ、その辺はちゃんと書いていいのかなっていう。昔の曲でも、「携帯電話」というワードが出てくると、今はもうスマホだからと時代を感じるけど、同じようにその時々での言い方やワードがあるので、これが古くなったとしても、その時に書いた曲なんだなという認識でいいんです。進化していくものだと思います。
■いいですね。全体的に歌詞が綺麗で洗練されていたのですが、“CROWN”だけは、「ガチやばいガチえぐい」と言っていて、笑っちゃいました。(笑)
YUKI そこはもうspiさんが……ハイ。
■あ、そうなんですか?(笑) 意外ですね。なんでここだけ語彙力が消えちゃったんですか?
spi なんか、アメリカ人がTikTokでこの曲を聴いた時に、覚えられる日本語ってその辺なのかなと思って。(笑) あえてそのサビを選んだ所ではあります。簡単に言っちゃうと、外国の方に「なんか日本語教えてよ」といわれた時に、「マジヤバい!」みたいなことか、下ネタを教えるじゃないですか。(笑) そういった感覚です。この“CROWN”は、王様にちなんだ曲ですが、サビは完全にTikTokを意識して作りました。
■そうそう、全体的に結構歌詞が前向きに感じたんですよ。それは意図的にやっているのでしょうか?
福澤 そうですね。意図的というか、やっぱり共感してほしいし。僕らは僕らで言いたいことや、歌いたいことを歌うけど、そこにはちゃんとメッセージ性がないといけないんです。単純に「それ」で終わる風にはしたくなかったんです。「自分たちのやりたい音楽だけやるんだ、黙れ」という楽曲もカッコイイし、好きなんですけど、でもこのメンバーでこういうクルーを組んでやるなら、聴いてくれる人たちには、ちゃんと受け取ってほしい想いがあったんです。“TOXIC”もそうだけど、XAOSXでは「とりあえず行けよ!」、「何を言われても関係ねえよ!」みたいなことを歌っています。新しいことに挑戦するのって怖いじゃないですか。でも僕らにはこれしかないから……という思いがあるので、結構冷静に戻れるというか、夢物語で「なんかこいつらイケイケじゃん」、「カッコイイこと言ってるわ」という曲もあれば、ちゃんと良いことを言っている曲もあるし。あんたたちの中にもいろんな思いがあって、それでやっているのね、XAOSXはそういうグループなんだというのが伝われば、ストーリーとしても僕らの気持ちや、XAOSXの方向性がお客様にも伝わると思います。
■だんだんXAOSXのことがわかってきました。そしてリードトラックの“143”ですが、読み方は「イチヨンサン」でいいんでしょうか?ジャンルの「SFシネマチック・ポップ」というのはどういうことですか?
福澤 そのままです。そのまんま。(笑)
■そのままなんですね。
福澤 そのまま想像して聴いていただくと、そうなっています。
■何か元になったモチーフがあるのでしょうか?
福澤 あります。この曲はアルバムの中でも一番好きなんです。ちょうどこのメンバー3人が歌っていて。やっぱり僕は中二病なので、ただの恋愛の歌を歌いたくはなくて。(笑) この曲の漠然としたテーマは「宇宙人と恋をする」なんです。この主人公が、もう自分の星に帰らなきゃいけない、その最後の日のことを歌っているんですけど、それくらい愛しているから、生まれるパワーやエネルギーはすごいものだと思うんです。その好きなものに対する愛のパワーってなんでもいいと思うんです。僕らはエンタメなんですけど、職人さんでもそうだし、それに対しての熱量を歌っているんです。
spi 「サイバーパンク エッジランナーズ」というアニメがあって、それが大好きなんですよ。それが割とサウンドの中に組み込まれていて、同じようなシンセとか、オマージュみたいな感じのストーリーがあって、最後に通信が途切れるみたいなラジオの音も入れました。ひとつの映画を観たような経験ができるような曲の流れになっています。
■なるほど、わかってきました。ところで宇宙をテーマにした曲が多いのはわざとなのでしょうか?
福澤 もちろんです。それがグループのテーマでもあるので。XAOSXというのも「0から1を作り出す」という意味があるんですよ。もちろん「混沌」という所から取っていたりもするんですが、そもそも僕の中で、「日常の中でバグを作ること」が大事だと思っているんです。この世界にはリアルなノイズやバグみたいなものがあるんです。そのバグ=はみ出してたり、人と同じことをやらない人だったり。そのことを僕らの中で「バグ」と言っているんです。みなさんが想像するスターも「バグ」のひとつです。マイケル・ジャクソンも、大谷翔平もスターだけど、この人たちもバグだと思う。宇宙に広がっている星たちも、何もないところから、いろいろなことが重なって星になるという。そこで輝くものを目指すのがXAOSXです。
■とても素晴らしいですね。超新星爆発です。
福澤 そうかな?そうですね。(笑)
■もしこのプロジェクトにゴールがあるとすれば、それはどこになるのでしょうか?
spi 「紅白」ですね。
■「紅白歌合戦」ですか?
福澤 ライブはどこでもやりたいです。でも「紅白歌合戦」は明確な目標かな。ちゃんとした夢があるので。ゴールってなんなんでしょうね?難しいですね。
YUKI ゴールは決めない方がいいんじゃないですか?おのずと決まってくるというか、僕らまだ始まっても無いんで。
■そうですね。それもいいと思います。そして初ライブがKT Zepp Yokohamaという結構大きい所で待っていますが、どんな公演にしていきたいですか?
福澤 今の段階では、まだ2曲しか出してないじゃないですか。だから、来ていただける方もわかんないですよね。(笑) 「何をするのお前たちは?」ということも全然喋っていないですし、どんなライブになるのかも想像がつかない気がしているし。もちろんそれまでに出せる曲があったら、お出ししていこうかなとは思っているんですけど、僕らって多分、まともな人がいないんですよ。(笑) まともな人がいないからこそ、黙らせるためにはパフォーマンスしかないと思うんです。やる時はやるタイプなので。普段はできるだけ仕事したくないんですけど、XAOSXは熱くてやりたいことなので、手っとり早くみなさんを黙らせれる場所が、今回のライブな気がしていて。だからこそ、ぜひライブに足を運んでいただきたいですし、ライブを見たらわかると思います。こいつらが何をやりたいか、やっていきたいと思っているか、こういうことをしていくのかって。応援してもらえる一番でかいきっかけのポイントだと思います。
■お二人はいかがですか?
spi もう本当にいい思い出になるようなライブになったらいいなと思います。自分にとっても、お客さんにとっても。
YUKI エンタメの良さを伝えられたらいいなと思います。結果的に自分らを観てみなさんがどう感じるかはわからないんですが、間違いなくいいものにはなるので。ここから先、一緒に盛り上がっていきたいなと思いますし、「この人たちにならついていける」というライブになると思うので、僕らも本気で伝えていきます。
Interview & Text:安藤さやか
PROFILE
福澤 侑、 spi 、YUKI、 Daiki、AKIRA TAKANO、阿部顕嵐、皇希、青海 伶の8人からなるアーティスト集団。日常にバグを。世界にリアルなノイズを。日常に「バグ」であり「ノイズ」を起こすことを目指すアーティスト集団。 破壊のための破壊ではなく、完璧な秩序という名の檻を壊し、誰もが自らの混沌(リアル)を抱きしめて遊べる場所を提供し、美しきノイズで、世界を再起動(リブート)させる。「極端ですべてがぶっ飛んでる仲間たちが最高にもてなす場所」。2026年8月、1st Digital Single『XAOSX』、9月、2nd Digital Single『PeekSide』をリリース。11月9日(月)に開催する1st LIVE『888-THE REAL CRAP-』に先立ち、待望の1st デジタル アルバム『888』をリリースする。
https://xaosx.net/
RELEASE
『888』

配信デジタルアルバム
https://xaosx.lnk.to/888
Starerror music
11月2日 ON SALE







