week dudus VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

故郷、上京、批判、音楽──week dudusが語る22歳の「現在地」。

小学生でラップを始め、中学生の頃からイベントに参加、2021年には50曲入りのアルバムを発表し、順調にキャリアを積み上げているweek dudus。4月14日にリリースされるデジタルEP『KAZATO』にはweek dudusの本名が冠されており、本人曰く「名刺代わりの一枚」になっているという。インタビューでは楽曲制作の裏側や楽曲に込められたエピソードなどが語られた。

■week dudusさんのタトゥー、めっちゃカッコイイですよね。最初に入れたのはいつ頃なんですか?

week dudus 18歳です。1番最初は左腕の「風人」のタトゥーで、今は腕を埋めていっています。隙間の埋め合わせです。

■じゃあ次にお会いした時には、上半身全部埋まっているみたいなことがあるかもですね?超楽しみです。ところで数年前のインタビュー動画で「親がヴァイブス・カーテルを聴いていて……」というお話をされていましたよね。MVを見てみたのですが、「ジャマイカの女性はケツがイイ」っていうことはよくわかりました。(笑)

week dudus そうです。(笑) 小さい時に親に「この人誰?」って聞いた時、「今ジャマイカではカリスマや!」と言われ、「カリスマなんや……」と思い、そこからずっと好きです。

■カーテルと出会うまでは「音楽」と言えばどんなイメージでしたか?

week dudus それまでは何が何かよくわからずに聴いていました。EXILEとかAKB48が流行っていた時期だったのですが、そこには関心が行かず、家でかかっていたレゲエなんかを聴いていました。

■学校の音楽の授業とかは退屈だったでしょ?(笑)

week dudus 退屈ですね。みんなの前で歌わされるとか、マジで嫌いでした。(笑)

■それにしてもレゲエ好きでヴァイブス・カーテルを聴いているご両親ってイカしてますね。(笑)

week dudus 親世代のちょっとヤンキーしていた人とかはレゲエが好きなイメージです。(笑) うちの家族はN.W.Aも好きで、自分も真似して聴いたりしていました。

■今作のEP『KAZATO』には詞の中にも「親」が出て来たり、タイトルもお名前(風人)だったりするじゃないですか。コンセプト的には何になるのでしょうか?

week dudus 名刺代わりの作品です。今までトラックメーカーとのコラボみたいなものは作っていたのですが、こういうレーベルから作品が出るのは初めてなので。

■「これが今の俺だ」という感じだからか、プライベート感もありますよね。元々この音楽ジャンルはプライベート的なことを詞に込めるタイプなのでしょうか?

week dudus そうですね。いや、必ずそうかはわからないですけど、多分そっちの方が歌詞が出てくるし、嘘をつかずに作れます。自分の生活が気になっている人がいると思うのですが、その人たちに対しても素を出していけるし。

■最近のラップの流行はどんな感じなんですか?

week dudus 落語っぽいのが流行ってるかな。「上手いこと言うじゃん!」みたいな。意味が2つあったりとか……日本語の言葉遊びみたいなのが流行っているんじゃないですかね。

■そういった「流行を取り入れよう」みたいな所はありますか?

week dudus 取り入れるっていうより、それはそれで……そういう歌詞を聞いたら「あ、面白いな」って思うし、上手いこと言えるんだったら使うんですけど……。

■最終的に書けるものしか書けませんもんね。week dudusさんは早咲きのアーティストですが、何がきっかけで「俺ラップできるわ」ってなったんですか?

week dudus ずっと聴いていたらできるようになっていたっていうか、「自分がやった方がカッコイイものができる!」って思ったんです。

■それでやってみたら、できちゃったわけですよね?(笑)

week dudus いや、でも全然。最初は全く形にもなってないし、そこはもうやり続けて……って感じです。

■YouTubeでweek dudusさんのMVをたくさん観たのですが、結構批判的なコメントがあるなって感じました。そういった言葉についてはどう思われていますか?

week dudus 「誰が言ってんねん!(笑)」ですかね。もう全然気にしないようにしています。気にしようとしたこともあるんですよ。歌詞に反映してみようとか。ただ、そんなんしても何にも気にならないです。

■今はもう上京されているのですか?

week dudus はい。東京です。地元と比べてやっぱり空気が汚い気がします。(笑)

■わかります。その「空気が汚い感じ」は曲にも出てきていますか?

week dudus でも、そういうのは出さないようにしてます。今でもずっと地元にいるつもりで作っています。別に地元を上げたいとかではないですが、やっぱり捌け口がHIPHOPなんです。そのコンセプトとして、やっぱり地元をフックアップじゃないですけど、それは守るようにしています。

■リリックはどういう時に浮かぶんですか?

week dudus 「こういうのを作ろう」と思って作り始めます。ビート聴きながら「こういうこと歌おう」って書き出していって。

■紙を置いてペンを持って……というタイプですね。今作は全体的に歌詞が柔らかめな気がしました。

week dudus 少し柔らかくしました。怒られることを回避しています。(笑) でも1曲、デモの段階で「これはちょっと使えないな……」となりました。

■そういえば今作では“ONE”と“CHANGARA”で「黄色」って色が出てきていますよね。黄色が好きなんですか?

week dudus 黄色好きですね。黄色はアジア人っぽいというか。でも“CHANGARA”の「黄色い壁」はヤニとかで黄ばんだ壁のことです。

■ちなみにweek dudusさん、「○○が好き」で曲を作る方ですか?「○○が嫌い」で曲を作る方ですか?

week dudus 「好き」で作る方ですね。

■「好き」の方ですね。今作でご自身の癖がいちばん出ている曲はどれだと思いますか?

week dudus 多分、1番最初の“ONE”に癖が出ています。音を抜いたり、いきなりバンと出してみたり、低音から入ったりとか。

■この曲、雰囲気はダウナーな感じですが、歌詞は割りと前向きですよね。どういった意味で“ONE”という曲を頭に持ってきたのですか?

week dudus なんというか、ライブとかでも「1つに束ねる」とかあるじゃないですか。観客のノリをひとつにさせたら、それを観ている側はめちゃくちゃアガるんです。「0を1にする難しさ」もあります。1っていろんな意味があるんです。

■だから“ONE”なんですね。個人的には“CHANGARA”のようなケレン味の強い感じが好きでした。「ちゃんがら」っていう言葉は「ポンコツ」みたいな意味ですが、ニュアンス的にはどんな感じなんでしょう?

week dudus 「役立たず」とか「使えんヤツ」みたいな感じです。本来は車などに使う言葉で、僕が小6くらいの時に友達とケンカして、その子に「ちゃんがら」って何度も言ったんですよ。その友達は全然「ちゃんがら」っていう意味がわかっていなかったんですけど、頭にだけ残っていて、親に「ちゃんがらって言われた」って言ったらしく……。

■それで自分の親からも相手の親からも怒られちゃったんですね。(笑) 歌詞の中にある「パクさんみたいに売らない金魚」っていうのはどういう意味ですか?

week dudus 地元に「パクさん」っていうおじさんがいたんです。全部噂話なんですけど、パクさんはお金がなくなったので、飼っていた金魚を売ってめちゃくちゃ大金を稼いだらしくて。(笑)

■なるほど。いわゆる地元の思い出みたいな感じですかね。それにしても「昔うざいあいつにチャンガラやなって言ったらしっかり怒られた」って歌詞がちょっとカワイイです。だいぶしっかり怒られたんですか?

week dudus しっかりです。(笑) 言葉の良し悪しで怒られたのはそれが初めてでした。

■言葉でいうと、気になったのは“Life is Beautiful”の「GTA」なんですが、これってどういう意味ですか?

week dudus ゲームの『グラセフ(グランド・セフト・オート)』です。(笑)

■やっぱり!(笑) なんでここでグラセフ?って思ったんです。

week dudus 元々GTAが大好きで、この曲のビートをもらった時にGTAをイメージして作ろうと思いました。それがすっげぇ難しくて……わからな過ぎてゲームをプレイしたんです。そうしたら、止まっとったらキャラが殺されるし、動き続けておかないとあかんって所が、自分の今のラップの活動に似ているなと思いました。