『ユイカ』 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

1stアルバム『紺色に憧れて』は、今の私がやりたいことが全部詰まった作品。

19歳の⼥性シンガーソングライター『ユイカ』が、6月14日に1stアルバム『紺色に憧れて』を配信リリース。今作は、国内外にもバイラルし、10代2万⼈が選んだ「恋したくなる」憧れるラブソング1位にも選ばれた“好きだから。”をはじめ、「ABEMA」オリジナル恋愛番組『恋する週末ホームステイ』挿⼊歌の“恋をしているみたいなの”、TikTokで注目を集めた“すないぱー。”など、全13 曲を収録。
今回は『ユイカ』に、音楽を始めたきっかけから、1stアルバムの制作について、6月に行われる⾃⾝初のライブ「『ユイカ』1st LIVE『Agapanthus』」についてなど、いろいろと話を訊いた。

■VANITYMIXでは初めての取材なので、まずは『ユイカ』さん自身のことをお聞きできればと思います。『ユイカ』さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。

『ユイカ』 私が音楽を始めたきっかけは、YouTubeでたまたま坂口有望さんのMVを観て、それがすごく良くて、その時坂口有望さんは高校2年生でメジャーデビューしたばかりで、歌詞もいいし、メロディもいいし、本当にすごく魅力的だったんです。その時の私は中学1年生だったんですけど、そのMVを観て一瞬でファンになってしまい、「坂口有望ちゃんみたいになりたい!」と思って音楽を始めました。

■それまでは全然音楽には興味がなかったんですか?

『ユイカ』 元々小さな頃から歌うことは大好きで、幼稚園の卒園アルバムの将来の夢には「歌を歌う人になりたい」と書いてはいたんですが、その頃はそんなに現実味のない話なので、小学校の時はそんなに考えていなかったですね。中学1年の時に坂口有望ちゃんに出会って、一瞬で「好き!」となってからです。

■ちなみに『ユイカ』さんはCDを買ったことはありますか?初めて買ったCDはなんでしたか?

『ユイカ』 まさに初めて買ったCDも坂口有望ちゃんの1stアルバム『Blue Signs』でした。

■おお!初めてCDを買うくらい衝撃的だったんですね。

『ユイカ』 はい!衝撃的だったんです。

■なるほど。他に音楽に関して影響を受けたアーティストや作品などはありますか?

『ユイカ』 これも坂口有望ちゃん経由ではあるんですけど、坂口有望ちゃんがコラボしていたので、Mrs.GREEN APPLEさんを知って、そこから好きになって今でもよく聴いています。

■じゃあ本当に坂口有望さんの歌に出会うまでは、音楽とかはあまり聴いてこなかった感じなんですか?

『ユイカ』 歌うのが好きだったので、いろいろなアーティストさんの曲はまんべんなく聴いたり、歌ったりはしていたんですけど、「この人が好き!」みたいなのはなかったんですよね。世間で流行っている曲とか、周りの人たちが勧めてくれる曲とかは普通に聴いていました。

■そうだったんですね。2020年から動画投稿サイトで活動を始めたとのことですが、音楽を始めるにあたって、路上ライブやライブハウスで歌うなどの方法もあったと思いますが、SNSでこの活動を始めようと思ったきっかけはなんだったんですか?

『ユイカ』 初めて動画を投稿したのが中学生の時でしたけど、その頃は親にも音楽をやっていることは言っていなかったし、路上やライブハウスとかで歌うのもよくやり方がわからなかったんです……。でもSNSで動画を上げるのなら簡単そうだなと思ったからですね。(笑) スマホ一個でできるのに、世界中に配信できるなんて魅力的だなと思いました。

■その時はギターの弾き語りで歌っていたんですか?

『ユイカ』 はい。そうです。

■ちなみにギターを始めたきっかけはなんだったんですか?

『ユイカ』 ギターは小学校6年生の時に、大原櫻子さんが出演されていた、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』という映画を観て、櫻子さんがギターを弾いていて「カッコいい!」となって、たまたま家の納戸に古いアコースティックギターがあったので、それを引っ張り出してきて弾いてみたんです。

■そのギターは誰が弾いていたものだったんですか?

『ユイカ』 それは昔、従兄弟のお兄ちゃんが弾いていたギターだったんですけど、それを私のお姉ちゃんにくれたもので。でもお姉ちゃんは全然弾かずに納戸に入れられていたギターでした。(笑) それを私が引っ張り出してきて弾き始めました。

■ギターは独学で勉強したんですか?

『ユイカ』 最初はU-フレットを見ながらコードを弾いたり、なんとなくで始めてみました。

■その後、2021年に発表した“好きだから。”がSNSで反響がありましたが、その時の率直な感想はいかがでしたか?

『ユイカ』 いきなりでびっくりしましたよ。(笑) いろいろな知らない大人の人たちから連絡が来たりとかしたし……。それに家族にもSNSに投稿していることを言っていなかったんです。ドキドキしながらお母さんに「なんかバズっちゃったみたいで……」と相談したら、「えっ!?どういうこと?」って言われて。(笑) 中3の終わりくらいから投稿し始めて、それを相談したのが高校1年の終わりくらいだったので、「あんた今まで内緒でずっと何やってたのよ!?」となって。(笑) でも本当に最初はどうなったのかよくわからなかったし、自分の状況がわからなくてずっとほわほわしていました。

■それからは有名なアーティストさんや歌い手さんが“好きだから。”のカバー動画をアップしたりしていますが、それに関してはどんな思いがありますか?

『ユイカ』 私の曲をカバーしてくれている人たちが凄すぎて、次元が違うというか、自分にとっては雲の上のような人たちが、私の曲を聴いて、自分が歌えるようになるまで練習してくれたなんて、衝撃的すぎてヤバかったです。(笑) でも音楽をやっていたらこんないいことも起こるんだって思いました。すごく嬉しかったです。

■音楽をやっていてもなかなか稀な経験だと思いますけどね。(笑) それで「もう音楽で生きていこう」みたいになったんですか?

『ユイカ』 いや、反響があってからも別にそこまで音楽で生きていこうとまでは思っていなかったですね。そんなに長く続くものでもないと思ったし、親からも「何があるかわからないから、ちゃんと勉強はしなさいよ」と言われていましたし。

■ご両親は『ユイカ』さんが音楽活動したり、動画を投稿したりすることに関しては反対されていたんですか?

『ユイカ』 いや、それは応援してくれていました。でもなにかあった時に私が困らないように、一人でも生きていけるようにと心配して言ってくれていたんだと思います。愛だと思います。

■それではいつのタイミングで音楽で生きていこうと決意したんですか?

『ユイカ』 高3の受験の時ですね。大学受験のタイミングで、私は医療系の大学に進もうと思っていたんです。

■おお!リケジョだったんですね。(笑)

『ユイカ』 実はこう見えてそうなんです。(笑) でも医療系は薬学だと6年間あるし、看護系は4年でもその後に実習とかがあっていろいろと大変そうだし、音楽と両立させながらできるかな?と悩んでいたんです。それで受験の時に“17さいのうた。”という曲を作って、「一度音楽活動を休止します」と発表したんです。その時はまだ医療系の道に進もうと思っていたんですけど、それに対する不安とか葛藤を曲にしていて、まだデモの状態でお母さんに聴かせたんです。でもそれを聴いたお母さんが、私の事を押さえつけていたわけじゃないんですけど、「本当に自分の好きなことをやっていいんだよ、やりたいことがあるならやりなさい」と言ってくれて。そのタイミングで「医療系に進まなくてもいいんだ、音楽で生きていってもいいんだ」と思えたし、お母さんに背中を押されて決心しました。

■でも音楽でも成功できる確証もないですから、それに対する不安はありませんでしたか?

『ユイカ』 その時に「行けるところまでいってみよう」みたいなマインドに切り替わりましたね。それまでは不安だったし、「自分なんかが音楽で生きていけるのかな?」とも思ったりしていたんですけど、そうやって思っているから自分にも制限をかけちゃっているのかな?と思ったので、それからは「音楽で生きていく」と腹をくくって、周りの人たちにも言いまくって、後戻りは出来ないようにしようと決めました。(笑)

■なるほど。いろいろと葛藤して音楽の道に進むと決めたんですね。いよいよ初のアルバム『紺色に憧れて』がリリースになりますが、作品が出来上がってみて、今の率直な感想はいかがですか?

『ユイカ』 「大変だったなぁ……」ですね。(笑)

■何が一番大変でしたか?

『ユイカ』 曲を作ることですね。私今まで高校生の時とかは、自分のペースでのびのびと作っていればよかったので、曲が出来たら投稿してみんなに聴いてもらって、反応が良かったらリリースしようみたいな感じだったので、「この日までに作ってください」という締切がなかったので、それが結構大変でした。でも自分の中で妥協とかはなくて、これが自分にとって今書ける曲の中で一番いいと思うものが作れたので、全然後悔はないですけどね。すごくいい作品が出来たと思います。

■ちなみに『ユイカ』さんは、歌詞を書く際はご自身のリアルな体験やエピソードを元に作成していく感じでしょうか?それとも何か別の物語などからインスピレーションを受けたり、何かをモチーフにして創作される感じでしょうか?

『ユイカ』 基本的には自分のリアルを書いているのもがほとんどで、そういう曲が多いんですけど、たまに自分とはまったくかけ離れたものを書きたくなる時もあるし、一部分は自分だけどそれ以外は妄想で書くこともあります。でもほとんどは自分の体験が元になっている曲が多いです。

■作曲の方はどんなものからインプットしていたり、影響を受けていたりするのでしょうか?

『ユイカ』 どうなんだろう?坂口有望ちゃんの曲の影響とか受けてるのかなぁ……?自分でもよくわかりませんね。私はヨルシカさんの曲もすごく好きでよく聴いているので、そういうのも知らないうちに影響を受けているのかもしれませんね。でも、曲で「こうしたい」というのは特にないし、メロディにはあまりこだわりがなくて。歌詞ありきのメロディというか、歌詞が良ければ伝わると思っていて、「いい歌詞があって、それにはこういうメロディが合うんだろうな」という、感覚みたいな感じで曲を作っているので。

■では、いつも作詞をしてから作曲していくというスタイルなんですね?

『ユイカ』 はい。歌詞とメロディが一緒に出てくることはあるんですけど、曲を先行して作ることはないです。歌詞が出来てから、それに合う音を探して作っていくという感じです。

■そうなんですね。そうして出来上がった1stアルバムですが、ご自身にとってはどんな1枚になりましたか?

『ユイカ』 自分のやりたいことを一通り全部やったという感じです。(笑) 今までいろいろなアーティストさんのアルバムを聴いてきて、「この人はこういう曲も書くんだ」とか、「こんな曲が書けたらカッコいいな」とか、憧れていたものを全部自分のアルバムにも入れてみました。「『ユイカ』と言えばこんな感じの曲」というのにとらわれずに作りたかったので、いろいろなジャンルの曲にも挑戦できたし、すごく楽しかったです。

■なるほど。全部出しきって燃え尽きたりしていないですか?(笑)

『ユイカ』 全然まだまだ大丈夫です!(笑) むしろ次がもっと浮かぶような感じでした。