有華 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

世界一くつろぐ場所で甘酸っぱい想いに寄り添う『my space my time』。

有華が3月19日にメジャー2ndアルバム『my space my time』をリリース。前作から約1年4ヶ月ぶりのアルバムには、2024年からデジタルリリースしてきた楽曲に加え、新録5曲を含む全10曲を収録。ジャケットは「部屋に飾れるように」という想いを込めて、LPサイズの大判仕様となっている。インタビューでは30代を迎えた有華に、今作の歌詞に込めた想いや「自分の部屋」を意識したアルバムについて話を訊いた。

■今回のメジャー2ndアルバム『my space my time』ですが、全曲通して聴いた第一印象としては「全部A面曲」という感じでした。ご自身的には今作はどんな言葉で表したい作品になりましたか?

有華 今作はタイトル通り、「自分の部屋」を意識しました。みなさんも部屋の中で自分だけの時間を過ごされていると思うんですけど、その時にこの曲たちを聴いたら、「こういう思い出があったな」とか、「この歌詞、わかるな」とか考えてもらえればいいなと考えていて。自分だけの空間は誰に見られることもないので、どう感情を出してもいいじゃないですか。だから、曲とともに自分の感情と向き合ってもらえるアルバムにできたらなと思い、収録曲を揃えました。

■有華さんにとって自分のお部屋は世界一くつろげる場所なんですか?

有華 そうですね。あとはYogiboが来れば完璧です。(笑)

■曲順はどのように決められたのでしょうか?

有華 1曲目を“Bad boy”にするのは決めていました。イントロに「始まる感」がある楽曲だったので、絶対に“Bad boy”から始めようと。あと、“うたでつなごう”で終わるのも自分の中では決めていたので、曲順は悩むことなく決められたような気がします。

■曲調については今回は暗い曲がなかった気がするのですが、敢えてそうしていますか?

有華 言っていること(歌詞)は結構暗くても、それをポップにというか、明るく伝えるというのが私のテーマになっています。あんまり意識したわけではなかったんですけど、結果的にマイナー調の曲は無かった感じですね。歌詞については1つの考え方というか、「こうであれ」と強制したいのではなく、「有華ちゃんはこう考えるんだ」と受け取ってもらえたらいいなと思います。

■そして収録曲ですが、まず1曲目の“Bad boy”のおしゃれさにやられました。

有華 ですよね!サウンドがめっちゃおしゃれですよね!信じられない相手がいて、それに対して文句を言っているような曲なんですけど、本人は凛としているというか、声には出さず、「心の中ではこんだけ怒っているんだぞ」みたいな歌にしたかったんですよ。なので、敢えてサウンドも楽しく明るくしました。

■でも、よく聴くと浮気がちらついていませんか?そして女の子の方もちょっとやらかしていますよね?

有華 そうですね。(笑) ていうか、相手を責めているのは責めているんですけど、自分も相当悪いよね……というメッセージを確かに入れています。女の子ってこう、自分の中で上手く変換するじゃないですか。(笑) 自分が悪いことも「あっちが悪いことをしたから……」みたいにしちゃうの。そういうリアルさを入れられたらいいなという気持ちもありました。

■確かに女の子はしますよね。(笑) 個人的なお気に入りは5曲目の“2930”なんです。これは29歳から30歳になる曲ですが、有華さんにとって20代から30代になるのは大きいことだったんですか?

有華 そうですね。すごくおっきいことだと思っていたんですよ。「ヤバい、20代が終わる!」みたいな。訳もわからずそういう印象を持ってこの1年を過ごしていたので、「この気持ちを絶対に歌に残したい!」と思っていたので、このアルバムの中に入れられて嬉しいです。

■19歳から20歳の時はお酒が飲めるようになったり、タバコが吸えるようになったりと、変わることが多いですが、29歳から30歳の変化では何が大きく変わるのでしょうか?

有華 やっぱり周りが全然違います。それこそ結婚して子どもがいる人もいるし、置かれている環境がひとりひとり全然違う感じがあって。それで、どうしても周りに影響されていろんなことを思ってしまうこともあるけど、「それでも私は私の道を歩いていこう」という、自分で自分に問いかけた曲になったなと思います。

■この歌詞の通りだとすると、有華さんの20代は悩みが多く辛かった感じがしますが、実際はどんな感じだったのでしょうか?

有華 大失恋をしたとか、友達と疎遠になったとか、そういう大きい物事については20代のうちの感情が第一位になると思います。なので、とびっきり傷ついたし、とびっきり泣いたりしたし、それってすごく尊いことですよね。そういうこともあったけど、今はそれを笑い話にできたり、「それでもいいか」と思えるような気持ちになれています。私、20代の間に叶えたい夢がいっぱいあったんですよ。もちろん叶ったこともたくさんあるんですけど、正直、思い描いていた20代とはちょっと違ったので。だけどそれって、10人いたら10人みんなそうなんじゃないかなと思います。この曲を聴いて、みんなもなんとなく20代を振り返ったり、今20代の人たちは「そうなるのかな?」と考えたりしてもらえればいいなと思います。

■有華さんは30代がスタートしてまだ数ヵ月ですが、歌詞の通りに進めていますか?

有華 そうだな~。いや、でもね、ホントこの曲を聴くと、もちろん「30代、頑張って楽しく生きよう!」と思うんですけど、なんか泣きそうにもなってくるというか……。まだ自分の思い入れといろいろリンクしていて、正直「この歌詞の通り、強くなれています!」とまでは言えないんですけど、ここからまだ10年あるので、これからどんどんこの曲の通りになれたらいいと思える毎日が過ごせればいいなと考えています。

■「自分らしく生きたい」という言葉は最近よく聞きますが、具体的には何をしたいですか?

有華 自分的には、自分の悪い所とか、直したい所とか、全て含めて「自分」だって認めて過ごすことが「自分らしさ」なのかなと、ちょっとずつ思い始めています。自分の感情が上がり下がりするところとか、自分でもちょっと嫌やなっていうところも、「まぁこれも自分かな」という風に受け止められることが、自分らしく生きるってことなのかなって。

■なんだかファンの方の人生の指標になりそうですね。曲順は飛ぶのですが、“Our Xmas”のMVがすっごくかわいかったです。でもこれ、友達とのクリスマスパーティーの歌じゃないですか。なぜMVでは敢えてひとりなんですか?

有華 そうなんです。「私と一緒に過ごそう!」というメッセージもありました。あと、私がちょっとひねくれているのかわかんないんですけど、ほら、クリスマスになったら……カップルが増えるじゃないですか。(笑) 私はそれを「いいな~」という目ではあんまり見られなくて……。なので、「みんなで集まって、これ聴いて楽しみましょう!」という曲になりました。「私たちで楽しもう!」というのは見せかけのものじゃなくて、「本気で楽しもう!」ということを伝えたかったんです。

■「ストーリー」とか、「セルフィー」とか、SNS映えを意識したようなワードも入っていますが、これはわざと入れているのでしょうか?

有華 そうですね。もうクリスマスといえば、絶対に多いじゃないですか。(笑) なので、そこもめちゃくちゃ意識して作ったというか、歌詞1つにしても、サビで「ここみんなSNSに載せてるかもね」みたいなことは結構考えていたかもしれないです。(笑)

■MVといえば、“LOVESICK”の50年代~60年代のファッションを意識した映像もすごくかわいかったです。でも歌詞の内容にはSNSかメールが出てきますよね?

有華 そうですね。(笑) でも、サウンドは50~60年代のものに近づけました。私、昔のアメリカのドラマとか、トレンディドラマみたいな世界観がすごく好きで、「それを表現したい」とMVの監督さんに話して作ったので、私的にはすごく大好きな映像になりました。

■この曲の主人公は今後どうなっていくのでしょうか?

有華 「恋の病って、かかるよな」ということを書きたくて。逆に結末は書きたくなかったんです。人を好きになっただけで、メールなどの返事が来なかったら、「どうしてんのやろ?」とか思っちゃったり、そういう恋ならではの感情を表現したくて。それを書けただけでもよかったなと思っています。

■結末はあまり明言したくない、ということで。

有華 そうですね。このまま頑張って思いを伝えてもいいですし、隠したままでもいいのかなって思います。

■この曲は、歌詞の中で「せめてNo pain」と言っているけど、ノーペインな未来があんまり見えなくないですか?

有華 そうですよね。(笑) そこは確かに絶対に傷つくけども、「言うだけ言わしてくれ」という感じです。(笑)

■最近は「痛みのない恋がしたい」という願望もよく聞きますが……。

有華 それは恋愛じゃないですよ!恋って傷ついてなんぼやと思っているんで。(笑) だって、傷つかないと傷つけることもわかんないじゃないですか。痛みがない恋愛なんて絶対にないです。

■そこが有華さんの歌詞のリアルな所ですね。(笑) そして“告うた”は、ABEMA『恋する♡週末ホームステイ 2024 冬』の主題歌ですが、歌詞的にもやっぱり高校生くらいの恋愛のイメージなのでしょうか?

有華 もちろん高校生の方もそうですが、どの年代の方にも「今から告白しに行くぞ!」という時に聴いてもらえる歌になったらいいなと思って書きました。「どんな答えだとしても伝えたかったんだ」、「好きって気持ちをくれてありがとう」という歌詞が好きなんですけど、私は「好き」って感情はとっても面白いと思っています。誰かに何かされて作られる感情でもないし、「なんだろうこの気持ち?」ってなるじゃないですか。それで、そういう感情が芽生えたっていうことだけでも、恋愛のいいところだなと思います。まぁ、「好きって気持ちをくれてありがとう」なんてこと、すぐには思えないですけどね。(笑) でも振り返った時に、「あの人のこと好きでいられてよかったな」と思ってもらえればいいなと考えて、このフレーズを入れました。

■ラブソングって、歌われている主人公やミュージシャンの年齢・世代で雰囲気が変わると思うのですが、有華さん的にはどの世代のラブソングが書きやすいですか?

有華 やっぱり自分と同世代の歌を書くのが1番ですね。自分が今感じていることなので。だけど、この“告うた”で自分の学生時代を思い出しながら書くというのもすごく楽しかったです。やっぱり自分が経験したことや、「わかるな〜」と思うことしか歌えないと思うので、過去や今の方が書きやすいです。

■タイアップといえば、“ミラクル”も高槻市定住促進プロモーションソングということで。ムービーが面白かったです。

有華 ありがとうございます。私が高槻の良さを熱弁する設定なのですが、やっていてすごく楽しかったです。公園のシーンは私がよく遊んでいた公園ですし、答弁していたあのホールもずっとピアノの発表会をやっていた場所ですし。映像内に映っているのはすごく思い入れのある場所ばかりでした。高槻のこともそうなんですけど、リンクする映像になっているので、歌詞もよく聴いてもらえたら嬉しいです。

■ちょっと気になったのが、この「定住促進ソング」という所なんですが、定住を促進する曲として作られたのでしょうか?

有華 そうですよね。(笑) 「定住促進に向けて書きましたか?」と聞かれると難しいのですが、「まずは高槻に住んでみよう!」というその1歩が大事だと思ったので、その背中を押せるような曲にしたいというのが1番のテーマでした。

■この曲のムービーの動画配信風の映像や、他の楽曲の歌詞もそうなのですが、有華さんの歌詞や映像には、よくSNS関係の用語や演出があるじゃないですか。それっていつかは「時代を感じるもの」になっていくと思うのですが、敢えて入れているのでしょうか?

有華 そこはそんなに意識はしていなくて、その時、そのフレーズがいいなと思って入れています。でも、私は過去の「メールが来たら」みたいな歌詞を聴くと、その当時の自分を思い出せるので、その時代を表す言葉ってすごく好きなんです。なので、私の曲も、何十年か先に聴いた時、「あの時、めっちゃインスタやっていたな」みたいに思い出と重ねてもらえたらいいなと思います。

■映像という面で言うと“レモネード”の映像は、デビュー曲の“Baby you”のソロバージョンと同じく「黄色い背景の前に立って、胸から上を映して歌う」というものですが、リンクしている部分はあるのでしょうか?

有華 「曲に合わせて背景の色を変えて歌っている動画を出してみるのはどう?」みたいな話になって作り始めたんですけど、やっぱり今はSNSから曲を知ったり、映像から曲を知ったりするのってすごく多いじゃないですか。その一環として作ったものでしたが、偶然似たものになったというよりは、シングルを出すので、前にやったことをまたやってみた感じです。