遊助 VANITMIX 2020 SPRING PICK UP INTERVIEW

遊助『遊言実行』

遊助が信憑性や信頼性と共に贈る、不変性といつまでも色褪せない言葉で綴ったニューアルバム

昨年は40代に突入し、歌手としてもデビュー10周年を迎え、ベスト盤やメモリアルなコンサートや全国ツアーを行った遊助。そんな大きな節目を経た待望のニューアルバム『遊言実行』が届けられた。今作はこれまでの遊助像を保持しつつ、実年齢ならではの大人の要素や新境地も同居した、遊助らしさに満ちながらも新フェイズ感溢れる1枚。遊助のみんなと一緒に作り上げる次章がまたここから始まる!!

■昨年はデビュー10周年と40歳を迎え、それらを経ての今作からは、どこか「これからも変わらず遊助らしくやり続けていく!」との新たな決意や覚悟も感じました。

遊助 正直そこは無意識でした。自分としては、みなさんの想う遊助らしさを保持しながら、新しい面もお見せできる作品が完成したかなって。基本これまでの作品毎に抱いてきた新しいことへの挑戦や、いわゆるみんなが自分に重ね合わせたり、求めているものは裏切らないようにとの気持ちは、これまで同様変わってはいません。なので、今作も「変化した」って方もいれば、「変わらないねぇ…」って方もいるでしょう。でも自分としてはそれが一番良くて。裏切り過ぎても、それはただの「裏切り」で終わってしまう懸念もあるし。「俺がアルバムを作る意味」、それが今回も出せたかなって。

■その「俺がアルバムを作る意味」が、これまで以上に今作には表れています。

遊助 今作に至っては、昨年初めて素舞台(すぶたい)で、映像だけをバックに自分一人で歌ったのも大きかったんです。これまではダンサーやパフォーマーを交えたりと、エンタテインメント面も充実させてきましたが、その際はそれこそ一対一でお客さんと向き合う形で歌を伝えましたから。おかげさまで客席もより見えて、「こんな表情で観てくれていたんだ…」や、「このような気持ちの動きをするんだ…」等の改めての発見もあって。その辺りの応援してくれている方々の表情や気持ちみたいなものは、より反映されています。

■“ありがと。”なんてまさにそこへの感謝の気持ちを込めた楽曲ですもんね。

遊助 そうなんです。この曲に限らず、各曲毎に作っている最中お客さんの表情や光景が都度浮かんできました。これまでも老若男女、幅広い人の日常に入り込め、それを描き、切り取れる曲を作っていきたいと常々目指してきましたが、その世界がより明確に今回は提示できたかなと。

■分かります。今作はこれまで以上に各曲毎でピンポイントで刺さる方々が現れるような印象も受けました。

遊助 その感想は嬉しいですね。自分の場合、そこで性別や年齢等はあまり気にしていなくて。そんな中、今回は今まで以上に「このような性格の方はこういったことを言って欲しいのかな?」等を想像しながら作っていきました。それは時代は変われど、きっと不変的で一緒なものとでも言うか…。各曲毎に少なからずその人が欲しているであろう言葉を大切に一つ一つ紡いでいきました…。

■それをあえて説教臭くやトゥーマッチにさせない気楽さを織り交えているのも印象的でした。

遊助 40歳を過ぎるとそうなりがちですから。(笑) そんな風に変に頭が固まっちゃうのもイヤだったし、分かったような口をきくのもイヤで。偉そうに上から目線で歌える程まだ分かっていないことも多々あるし。逆に常に好奇心や探求心を大事にしながら、面白いことに敏感に反応はしていきたいんです。

■例えば、私の感じた「気楽さ」についてはいかがですか?

遊助 無責任かもしれないけど、その言葉がみんなにとって、その人が育ててくれたり、その曲をみなさんが温めてくれたらいいな…と思い浮かべながら作っていたところもあったので、そこかな。

■先程「まだ分かっていないことも多々ある」とおっしゃいましたが、自分的には今作こそ、これらを過去に経験して経たからこそ歌えた歌のように響きました。それだけ各曲しっかりと説得力や信憑性を擁していて。

遊助 いやー、ゼロとまでは言わないですけど、未だ分からないことだらけですよ。(笑)

■そうは言いますが、今作のタイトルの『遊言実行』に現れているとおり、自分の来た道程や過程、経験値からしか歌えないし、導けない、そんな不変的な歌がより揃った印象があります。

遊助 ありがとうございます。分かった風に言うそんな面倒くさいジジイにだけはなりたくなくて。アーティストって一方通行の発信なもので、えてしてそうなりやすいし。自らの城を築き、それを鉄壁にし、他の意見を寄せつけなくなりがちですが、自分はそうはなれないし、そこまでの自信もないですから。みなさんに育ててもらい、支えてもらっての遊助でもあるので。それもあり、自分の場合はあくまでも、「俺はこんな感じなんだけど…」ってレベル。そこに決して「だからお前もこうしろ!」はないんです。鼓舞したり、手を引っ張ったり、背中を押すのではなく、並んで一緒に歩いたり、走ったりしている関係性。それが俺らしさなんだろうなって。曲に余白を持たせているのもその為で。基本、「曲をその人のものにして欲しい」との気持ちが強いので、押しつけにならない歌や言葉にしたいとの意識は常に持っています。

■今作での新しい挑戦的な部分に移りたいんですが。頭から“JACKPOT”みたいな新境地が飛び出してきて驚きました。この曲はこれまでにないセクシーさや艶めかしさ、スリリングさを擁した曲ですね。

遊助 今までの1曲目は「ポップで爽やかな…」って曲が多かったですもんね。(笑) 対して今回は真逆に1曲目からちょっとエロを…。僕もいいオヤジですから。(笑) これまでフタをしてきたタイプの曲でしたが、この際だからもうそろそろフタを開けてもいいだろうと。(笑) これからの2ndステージでは、このような要素も出していきますから。

■“Why”も大人の男性の哀愁を感じさせるEDMナンバーですね。

遊助 これも前作までだったら絶対にやっていない要素でしょう。30代って微妙な年齢でしたから。若ぶってもサムいし、ベテランぶったら、「お前にはまだ早い!!」と怒られる。(笑) でも40代を迎えたしそろそろいいだろうと。これらの曲は、なんか一つ一つ手錠や足かせが外れていく感じで、作っていて楽しかったです。