遊助 VANITMIX 2020 SPRING PICK UP INTERVIEW

遊助『遊言実行』

■遊チャリング曲たちはいかがでしたか?

遊助 今回はあえて妹や弟みたいな子たちと一緒にやってみました。フックアップというと偉そうですが、「おいで。一緒に遊ぼうよ!」と、楽しいものを一緒に作る感覚で。まさか自分がInstagramerやYouTuberと一緒にやるなんて…ですよ。(笑)

■確かに各曲「一緒に遊ぶ」って表現がピッタリです。

遊助 「年上だから」と偉そうにマウントを取る大人が苦手で。同じ目線でいることで、いろいろな刺激や感性、勉強になることも沢山ある。基本、いろいろなことが気軽に出来るのが遊助の強みでもありますから。んだほ君は以前、「YouTuberで僕のことを応援している人がいる」と聞き、僕のことを話題にしてくれていた際に、「本人です。(動画を)観たよ!」的なDMを送ったのが縁でした。その後、僕のライブに結婚したばかりの奥さんも連れて来てくれたり。それで、その際に聞いた話が、僕がDMを打ったその日が、ちょうど奥さんに告白をした日だったそうで。「そんな奇跡ってあるんですか!?」って。しかも出会ったキッカケも以前の僕のライブだったらしくて。それを知り「じゃあ、それを基に曲を作ろうぜ!」と。それが“HERO宴 遊turingんだほ”で。とは言え、身内ノリはイヤだから、誰かの結婚式の披露宴等でもみんな交えて歌える歌にしてみました。

■MaRuRiさんとの“桜 遊turingMaRuRi”は、艶っぽい彼女の歌とのデュエットですね。

遊助 MaRuRiちゃんも元々は僕の曲をカバーして、それを動画でアップしていたのがきっかけで知り合った子でした。以前にアップしていた動画に「ありがとう」的なメッセージを送ったことがあったんです。その後、たまたま共通のボイトレの先生のところに行った時に、偶然彼女も来ていて。そこで実際に初めて挨拶をしたんです。そこからLINEを交換するようになり、今作への参加をお願いしました。

■この曲はタイトルこそ「桜」ですが、全く桜が出て来ませんね…。

遊助 桜の出てこない桜ソング。(笑) 光景しか歌っていませんからね。みなさんで是非そこから桜を想像して欲しい。舞い散って咲き誇る桜ソングもいいですが、あえて景色だけで桜へと想いを馳せさせる曲があってもいいかなと。MaRuRiちゃんの淡く初々しい、やや背伸びしてる歌も桜を彷彿とさせてくれるのもポイントです。

■“場外HOMER 遊turingサイプレス上野”でのサイプレス上野さんは、なんでも遊助さんの横浜高校時代の実際の後輩で、彼は当時の応援指導部で実際に交流もあったとか?

遊助 そうなんです。あの頃と変わっていなかったな、あいつ。(笑) 「横浜魂みたいな曲をやりたいんだけど、お前も一緒にやらない?」って誘いました。それこそ約20年ぶりかな?会ったのは。もうこれは応援ソングです。立ち向かったり、自分を鼓舞する際に聴いて、奮い立ってもらえるような曲を一緒に作りたくて。

■“砂時計”も「ふざけんじゃねぇ!!」的な歌だし、ここは「今に見てろよ!俺だって!!」ゾーンですね。

遊助 まさにこれらの曲は初期には絶対に書いていないタイプでしょう。この曲に限らず、今回は特に温度のある曲を入れたくて。熱さ、温かさ、ぬるさ…あと香りを感じる言葉…、そこはこれまで以上に考えました。

■ここまで振り返ると、今作は遊助さんのアルバム中でもこれまでで最も泥臭いのでは?あと先程の話に戻ると、不変的に感じる部分ですね。それって信憑性もですが、具体的に出てくる言葉にも表れている気がしました。

遊助 それはあるかもしれません。そこはかなり吟味しました。

■例えば歌詞に出てくる「携帯」。これにしても今の子に寄せるなら「スマホ」や「SNS」と称すところをあえてそうせず、幅広く分かる言葉をあえて選んだように見受けられます。

遊助 それらの言葉遣いは、かなりいろいろと考えながら進めました。例えば我々は今でも普通に使っていますが、現在の若い子の間では既に「写メ」っていうのも死語みたいなんです。写真はもう今はメールで送付じゃなく、共有の時代で。これに限らず、僕らって想像させたり、妄想させる仕事でもあるわけで、歌にしろ、芝居にしろ。そこで言葉の共有が出来ないのってヤバいですから。そこを無視して「この人おじさんじゃん」「おばさんだもん、しょうがない」や、逆に「今の若い子は…」と、自分で勝手に線引きをしている人って、発信者や表現者として限界があるだろうと。それもあり、全てを知り、把握した上で、自分の上の世代にも分かる言葉や表現、逆に下の若い世代にも通じる言葉をいろいろと探して、当てはめていきました。

■なるほど。

遊助 例えばその「携帯」って言葉にしたのも、おじいちゃん、おぱあちゃんにまで理解できる、そんな今を捉えつつの不変的なワードを吟味してのことだったので。世の中が進化していく中、「俺、アナログなんですみません…」で済ませちゃうと、そこから人間的な進歩もなくなっちゃうし、何が懐かしくて、何が今なのか、そのアンテナをキチンと常に張っていないと誰にも見てもらえないし、誰も聴いてくれないものになってしまう。

■その懸念があるからこそ、老若男女幅広い人たちが「今の自分のことを歌っている」と思えるんでしょうね。

遊助 ありがとうございます。そこに敏感になり、その人たちがどんな歌を欲し、どんなことを歌ってもらいたいか、その為にはどんなことを歌にし、どんな言葉を使わなくちゃならないか、その辺りは今作ではもちろんですが、今後も研ぎ澄ませていきたいところでもあるんです。

Interview & Text:池田スカオ和宏

PROFILE
上地雄輔のアーティスト名義。俳優・タレントとして活躍するかたわら、2009年3月に〈遊助〉名義で自らが作詞した“ひまわり”でソロ歌手デビュー。同年の「ベストヒット歌謡祭2009」にて最優秀新人賞を受賞するなど、シンガーとしての才能を開花させる。2019年3月にはソロ歌手デビュー10周年を迎え、歌手〈遊助〉の第2章を開幕した。
www.yuusuke.jp

RELEASE
『遊言実行』

遊助『遊言実行』

初回生産限定盤A(CD+DVD)
SRCL-11433~4
¥4,500(tax in)

遊助『遊言実行』

初回生産限定盤B(CD+DVD)
SRCL-11435~6
¥4,500(tax in)

遊助『遊言実行』

通常盤(CD)
SRCL-11437
¥3,500(tax in)

Sony Music Records
3月11日 ON SALE