アイドルは魔法にかかったシンデレラ。でも魔法をかけてもらうために必要なのは自分の努力。
高嶺のなでしこが4月より5曲連続配信リリース企画を行っている。「この夏、好きになっちゃえばいいのに。」をテーマに掲げ、今年の夏を盛り上げる5曲を1ヶ月ごとにリリース。インタビュー時点では、第1弾~第3弾までが発表されていた。今回は、広州および上海での公演と、グループ史上最大規模となる幕張イベントホールでのワンマンライブを控えた、葉月紗蘭、東山恵里沙、日向端ひなの3人に、5月リリースの『アイドル衣装』、そして6月リリースの『初恋のこたえ。』について話を訊いた。
■高嶺のなでしこは今、「この夏、好きになっちゃえばいいのに。」企画を行っていますね。ちょっと気になったことは、特設サイトの葉月さんのプロフィールに「天使見習い担当」と書いてあったことです。(笑)
葉月 なんかすいません。(笑) 私、ちょっと個性が足りないかな?と思っているんです。みんなキャッチコピーがあるんですよね、橋本桃呼ちゃんだったら「切り込み隊長」みたいな。でも、私にはそういうものが無いので、せっかくこの夏、新しいことをするなら、何かインパクトをつけたいなと思いまして、勝手に書いちゃいました。(笑)
■なぜ「天使」ではなく、「天使見習い」なのでしょうか?
葉月 自分で天使を自称するのは恥ずかしいな……って所もあるんですけど、もともと天使のモチーフや天使と呼ばれている人、漫画のキャラクターが好きで、憧れている部分があるので、「天使キャラを目指しています」という意味合いで、「天使見習い」にしました。
■日向端さんは聖母担当ですよね?
日向端 自分では「聖母……なのかなぁ?」と思ったんですけど、メンバーやマネージャーさんから「聖母だよね」みたいなことを言われることがあるんです。天使とか神じゃなくて、「聖母感」があるって。その「聖母感」はちょっとよくわからないんですけど、聖母担当になれるように頑張ろうと思っています。
■そして東山さんは「ポニーテール」なんですね。
東山 アーティスト写真でポニーテールをさせていただくことが多いので、それで覚えていただけたら嬉しいなという想いで、ポニーテールにしました。(笑)
■なるほど。確かに覚えやすいです。企画のことも伺いたいところですが、まずは先日完走された東名阪ツアーについて、印象的だったシーンを教えてください。
東山 今回のツアーで新曲“アイドル衣装”が初披露されたのですが、会場ではモニターが使えなかったので、音声のみでファンの方への感謝やメッセージを伝える場面がありました。「どうすればファンの方に感謝が伝わるかな?」とメンバーで頑張って考えたことがすごく印象的でした。楽曲のメッセージ性やストーリーを踏まえた上で、それをみんなで話したんですけど、ファンの方にも印象に残ったようで、「感動して泣いちゃったよ」と言ってくださる方が多く、嬉しくて記憶に残っています。
日向端 私も“アイドル衣装”の初披露が印象的だったのですが、もうひとつ印象的だったのが、2022年のツアーの時の衣装を着たことです。その当時はライブでやっていなかった曲を、その衣装で歌っていることに感動してくださったファンの方もいて、自分自身もその衣装を改めて着てライブができることが嬉しくて。そのことが印象に残ったステージでした。
葉月 “アイドル衣装”も印象的でしたが、今回の東名阪ツアーでは、どの会場でもセトリが少しだけ変わりつつ、いつも“僕は君になれない”からスタートして、アンコールの最後の曲は“I’M YOUR IDOL”だったんです。どちらも王道アイドルソングなので、王道アイドルソングに始まり、王道アイドルソングで終わる……というのが、これまでにないセットリストでした。これまでは夏曲の“初恋のひと。”や、HoneyWorksさんからカバーさせていただいた“ファンサ”などで終わることが多かったのですが、自分たちのアイドル曲で始まり、アイドル曲で終わるというのが、「曲が増えたんだな」という実感にもなりましたし、珍しいセトリかつ感動するセトリだったなと思っています。
■これまでの活動の集大成のような部分にもなりましたね。そして今、高嶺のなでしこは5か月連続リリースという、かなり長期の企画に入っていますが、体調は万全ですか?
葉月 みんな元気です!
■良かったです。(笑) でも“メランコリックハニー”のMVは寒くて撮り直してましたよね?
東山 そうなんです。史上初だよね。(笑) 撮影日がものすごく寒い日だったのですが、衣装は春用に作られた薄手のものだったので、空き時間はメンバーで丸くなって固まっていました。撮り直しの日は晴天の陽気の中でできたので、わざわざ撮り直して良かったなと感じています。
■最近は寒暖差もすごいですしね……。ここで改めて、今回の企画「この夏、好きになっちゃえばいいのに。」は、どんな企画で、どんなことをしていくのでしょうか?
東山 9月に幕張イベントホールでワンマンライブをさせていただくのですが、それを盛り上げたいという目的で始まった企画なんです。この夏を通して、幕張に足を運んでくださる方を増やしたいですし、すでに高嶺のなでしこのことを好きでいてくださるファンのみなさんにも、もっと虜になってほしいなという企画なので、リリースされる5曲を通して、この夏、高嶺のなでしこをもっと好きになってほしいです。今回の連続リリースの楽曲は、今まで出してきた曲とはテイストが違うものがたくさんあるので、私たちのいろんな姿を知っていただき、もっと好きになってもらえたら嬉しいなと思っています。
■この企画に臨むにあたって、個人的な目標はありますか?
葉月 私はパフォーマンス力を上げたいです。幕張イベントホールという大きな会場に足を運んでいただける方の中には、きっと遠方から来てくださる方もいると思うし、私たちのことが少し気になって来てくださる方も、ずっと好きでいつも来てくださる方もいらっしゃると思うのですが、どの方にも「たかねこのライブ、良かったね」と言ってもらえることが、ライブとしての成功だと思うので。そう言っていただけるには、楽曲の感情をちゃんと掴んだパフォーマンス力が全ての底上げというか、全ての基本になると考えているので、この夏は、歌だったり、ダンスだったり、基礎的なものをもっとしっかりと固めて、たくさんのライブをひとつひとつ大事にできたらなと思っています。
日向端 私も1曲1曲をたくさんの方に届けたいので、SNSを頑張りたいなと思っていて。個人的にあんまりSNSが得意ではないので、他のメンバーのやり方を見ながらにはなってしまうんですけど、たとえばメイク動画をあげる後ろに自分たちの曲を流すとか、些細なところを日々考えながら頑張っていたりします。夏には対バンライブにもたくさん出させていただけるので、その時にひとりでも多くのファンの方をゲットできるように、全部ちゃんと大切にして全力で頑張りたいです。
東山 幕張に足を運んでくださる方を増やすことがすごく大切なことだと思っているので、まずはライブに来たことがない方たちにも、幕張の前のライブなどで私たちのことを好きになってもらって、「幕張のライブも行こう!」と思ってもらいたいので、最近はTimeTreeというカレンダーアプリにライブスケジュールや、私たちが出演した雑誌の発売日などをまとめています。それを見てライブに来てくださる方が結構多いので、その更新をこれからも続けたいなと思います。あとは、Vlogを投稿することがあって、それを見て「メンバーが面白そうだからライブに来てみたよ」と言ってくださる方もいらっしゃって、ファンの方はいろんなことがきっかけで知ってくださるから、そのきっかけを増やせるようにしたいです。TimeTreeやSNS、ブログの更新頻度を上げて、気になってくださる機会を自分から作っていけたらいいなと思います。
■そういった日々のコツコツの積み重ねが、ライブの成功につながるんだと思います。さて、アイドルといえば「夏」ですね!みなさんがこの夏こそ成し遂げたいことはなんですか?「バンジージャンプがしたい!」とかでも大丈夫ですよ。
日向端 バンジージャンプしてみたいです!(笑) なんかもう、小さい頃からずっと「したい!」と言っていたんですけど、子どもの頃は親の許可がないとできなくて……。ようやく成人したので、本当に行きたいなと思っています。それこそ私、ジェットコースターみたいな乗り物も大好きなので、この前の“メランコリックハニー”のMV撮影では、なんとジェットコースターにも乗れまして。(笑) 撮影では4回ぐらい乗らせていただいたんですけど、それでもまだ足りないぐらいでした。もっと乗りたいので、この夏こそバンジージャンプも飛ばせてください!
東山 メンバーと「花火大会に行ってみたいね」と毎年話しているんですけど、なかなかスケジュールの都合が合わなくてまだ行けていないので、それこそYouTubeの企画でもいいですし、花火とか、プールとか、バーベキューとか、「ザ・夏!」みたいなことをやってみたいです。
葉月 私は夏フェスにいっぱい出たいです。暑いのはすっごい苦手なんですけど、夏フェスや野外ライブの雰囲気は、青春感が溢れていて大好きなので、熱中症にならない程度に熱いライブをみんなでしたいなと思います。
■フェスも増えてくる時期ですが、くれぐれも熱中症には気を付けてくださいね。そして先日リリースされた“アイドル衣装”のお話に移りますが、今回のシングル曲は連続リリースされる5曲の中で、あるいはグループの中では、どんなポジションになる曲でしょうか?
東山 “アイドル衣装”はすごくエモくて、メッセージ性のある楽曲です。最近は可愛い系の楽曲が多かったのですが、もともと高嶺のなでしこはメッセージ性の強い楽曲から始まったので、今作には「真の高嶺のなでしこ感」があると思っています。「高嶺のなでしこって、こういうグループなんだよ」と、表現できる曲だと感じていますし、すでに応援してくださっているファンのみなさんにも届けたいメッセージがすごく込められた楽曲で、ファンの方への感謝や、衣装に対しての想いもたくさん込められているので、歌詞をじっくり読みながら聴いてほしいです。
日向端 曲中に、たくさん「星」というワードが出てきていて、ダンスにも星っぽい振り付けがあります。今回はジャズっぽいダンスになっているのですが、これまでの高嶺のなでしこのダンスジャンルとしては、あまり無かったものでした。しなやかな仕草をしながら団体で動くシーンがいっぱいあるので、ぜひダンスの方にも注目してほしいです。
葉月 “アイドル衣装”は、曲のメッセージ性の強さにも関係して、MVがダンスとリップシンクのみというシンプルな作りになっていて、ダンスシーンが多いので、ライブを見ている感覚にもなれると思います。実際に私たちも撮影時にはダンスをいっぱい撮ったのですが、踊っていてすごく楽しくて、みんなでライブをしている時のように感じたので、ファンの方にもそう感じていただきたいなという想いがあります。それぞれの顔がしっかりと見えるリップシンクも入っているので、新しく見てくださった方にも「この子、可愛いな」と思ったらすぐにわかるようになっています。MVも凝っているので、ぜひ見てみてください。
■みなさんのアイドル衣装にまつわる思い出を教えてください。
東山 今回の“アイドル衣装”では、屋上でアーティスト写真を撮影したのですが、空の色がちょうど衣装と似た色だったんです。でも風がすごく強かったんですよ。(笑) しかも結構高いビルの屋上で、私はまぶしさに弱くて、涙を流しながら撮影した記憶があります。涙だらだらですごく苦労したんですが、自然光ならではの青春感というか、重さみたいなものが出たのかなと思いますし、夏感のある色合いの空とで、“アイドル衣装”にも「この夏、好きになっちゃえばいいのに。」にもぴったりな写真が撮れたのかなと思っています。
日向端 私は初めて衣装を見た時に、まず自分の名前が書いてあることにびっくりしたんです。その衣装は私しか着れないじゃないですか。そういうものを作っていただけたことが本当に嬉しくて、初めて着た時はルンルンで、まだちゃんと完成してない仮縫いの状態だったし、世にもまだ出せないのに、写真を撮りまくって家族に自慢しました。(笑) それくらい嬉しくて、今でも1st衣装をとっても大切にしていますし、“アイドル衣装”の衣装もみんなちょっとずつデザインが違っていて、すごく可愛くて大好きです。
葉月 “アイドル衣装”を新衣装で初披露した時に、私の袖についているリボンがほどけてしまったんですよ。それをMC中に涼海すうちゃんが直してくれたのですが、その様子を写真に撮ってくれていて、「歌詞の中の“君の袖がほつれていた”って、こういうことなんだね」というコメントが来たんです。全く意図していなかったのですが、そういったところで感動してくださるのが面白くて、ファンの方たちは私よりも深いところを見てくださっているんだなと思いました。
■この曲をレコーディングした時は、どんな気持ちを込めましたか?
東山 想いを込めて伝える楽曲だと思いました。力強い歌詞を歌った印象がすごくあります。でも、静かなところとか、「ずっと見つめてほしい」、「夢を着ていたい」とか、そういった部分は自分の中でも考えていることなので、少ししっとりした感じというか、温かい感じで歌い、抑揚をつけて、「自分が思っていること」と、「相手に伝えたいこと」、「衣装に対して思っていること」と、3パターンほど歌い分けました。ぜひそこにも注目していただけたら嬉しいです。
日向端 私は「普通な私に 魔法をかけてくれた」という歌詞を歌わせていただいていまして、この衣装に対しても、「普通の私に魔法をかけてくれてありがとう」という気持ちがあるんですけど、ファンの方に対しても「私に魔法をかけてくれてありがとう」という気持ちがあったので、レコーディングではその気持ちを届けられるように、結構高いキーだったのですが、地声で歌えるように練習して、歌わせていただきました。本当に想いを届けようと頑張ったレコーディングでした。
葉月 私はもともとの歌い方が結構小さめというか、吐息が多めなのですが、今回はそう歌う部分もありつつ、サビではやっぱり「伝える」ことが大事なので、しっかり歌ったり、逆にひとりで「見てほしい」と歌う部分は、感情を込めることを優先して、喋るような感じで歌ったり、同じ歌詞でもちょっとずつ歌い方を変えるように気を付けました。そのあたりも聴いてほしいと思います。
■この曲では、ステージに立つアイドルを「星」に例えていますが、みなさんにとってステージに立つアイドルとはなんですか?
東山 私の日々の活力になってくださっているのはアイドルですし、アイドルに憧れてこの世界を目指したので、アイドルがいなかったら、私の今の人生もないと考えています。なので、ステージに立つアイドルは「命」です。
日向端 「かわいいの擬人化」です。アイドルって、「かわいい」を詰め込んだような方々だと思っていて、実際にお会いしても本当にかわいいんです。キラキラしていますし、映像で見ていても、どんなに汗かいても、ずっとキラキラしていてかわいくて。「私もこんなかわいい方たちみたいになりたい!」と常に思わせてくれるので、アイドルは「かわいいの擬人化」だと思います。
葉月 ちょっと表現が難しいんですけど、ステージに立つアイドルは、「シンデレラが魔法にかかっている時間」だと思っています。衣装や照明でフェアリーゴッドマザーから魔法をかけてもらっているのですが、魔法をかけてもらうためには、シンデレラが努力をしないといけないじゃないですか。そしてシンデレラの目的は、王子様を探しに行くことじゃなくて、舞踏会に行くことなんです。そういうところで、アイドルの「ステージに立ちたい」、「ファンの方に幸せを与えたい」という想いは、魔法にかかっている時のシンデレラみたいだなと思っています。