BREIMEN ONEMAN TOUR『AVEANTING 2026』追加公演ライブレポート@duo MUSIC EXCHANGE

グルーヴの魔法と宇宙の中で踊る幸福なひととき。

世間の空気がゴールデンウィーク直前に浮かれ、前日まで街を濡らしていた雨も上がった涼しい4月28日(火)。東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEの太い柱を囲むように集まった人々は、無音のライブハウスにてBREIMENワンマンツアー『AVEANTING 2026』追加公演の幕開けを待っていた。開演時間を過ぎ、メトロノームの音に似たSEと共に、薄もやがかかる中へ前触れなくメンバーが登場する。左右に触れる青い照明、それに合わせてSo Kanno(Dr)のプレイがスタート。次第に重なり合っていく音はジャムセッションの様を作りながら、“ナイトクルージング”に向けてゆっくりと泳ぎ出す。エフェクトがかかった高木祥太(Vo&Ba)の歌声は回転するバンドサウンドの中を回遊し、ジョージ林(Sax)の奏でる音色はベルから溢れ出す。「『AVEANTING 2026』にようこそ!BREIMENです。最後まで乱痴気騒ぎしようぜ!」次いで深紅に染まったステージに鳴り渡るのは、打楽器めいたスラップベース。メンバーを紹介し“乱痴気”に流れ込んだ5人は、静寂と轟音とでグルーヴを作る。ソリッドなサウンドの中に包容力を持つサトウカツシロ(Gt)のギターが歌えば、観客もつられて声を上げた。逆光の中、歩くようなギターリフに幕を開ける“IWBYL”では、音色は柔らかに、しかし硬派ないけだゆうた(Key)のプレイが空気を作り上げる。ずれ込むリズムにメンバーは顔を見合わせ、オーディエンスの腕は揺れる。

「楽しんでますか?自由にやらせていただきますので、自由に楽しんで行ってください。俺とお前で音楽交換しようぜ!」その言葉の通り、自由奔放な高木は「もっとジョージの声聴きたい」と林にマイクを委ねたり、曲の途中でメンバーに何か囁いて突然ソロを入れたり自由に振る舞う。滑らかで浮足立つピアノに導かれるのは“yonaki”だ。ドラムの強弱が変則的なリズムを作る中、斜陽めいた光が燦燦と降り注いでBREIMENを照らす。“CATWALK”の前に「4月28日にちなんで、『に、にゃお』……」と強引すぎる語呂合わせをする高木に対し、「『4・2・8』は『し・ぶ・や』の日!」と返して会場を沸かせたのはいけだ。ソプラノサックスに持ち替えたジョージは不機嫌な猫が気まぐれに転がるが如くリードを振動させ、軽くステップを踏む高木の足元には光の花が咲く。激しい点滅の中で始まったのは“あんたがたどこさ”。「あんたがたどこさ……TOKYO!」とスキップしながらステージで遊び悪戯っぽくメンバーと笑い合う高木に、人間の歌声かと錯覚させるサックスの音色が切り込む。ギターの名がコールされれば、サトウは高音弦の質感をも感じさせるハイトーンを振り絞ってオーディエンスの興奮を誘い、最後は観客席へピックを投げて、ヘッドに軽く口付けて微笑んだ。そのタイトルとは正反対に雑踏を闊歩するような“満員電ス”では、口笛に似たフルートの音色がグルーヴの合間を縫っていく。「ヘッドフォンからGood music」の歌詞を「渋谷からGood music……自称しちゃいますけど」と変えて笑う高木だけれど、彼らがGood musicを奏でている事実は変わらない。

続いて楽器を降ろし、シンセベースに身を委ねハンドマイクを握った高木は片手をポケットに突っ込み横顔で“ODORANAI”を歌い出す。歌詞を2回間違えて2回歌い直しつつ、その手はシンセサイザーの鍵盤を滑り、堅実なアルトサックスのリフが反復される中、ミラーボールの回転で光の粒が飛ぶ。フィナーレにはエフェクターを駆使したプログレッシブなベースソロが舞い散り、ファンはジャンプしながら音楽を堪能した。そこから舞台が暗くなり、“Rolling Stone”に。シンセサイザーの未来的なサウンドとエレキギターやベースの電気的な直角さ、そしてドラムとサックスの生々しい音色が混ざれば、音楽はどこまででも旅をする。ドラムのカウントのもと始まる“ブレイクスルー”では、爽やかなサウンドに頬を綻ばせて遊ぶギター。日常の鬱憤を吹き飛ばす爆音の中、回転するサーチライトに笑顔で踊る観客の表情が映える。林と高木が向かい合って音を競わせ合う楽しげな瞬間。いけだもパーカッションで呼応し、サックスの悲鳴めいた響きは観客の指笛と混じり合う。

ここまでMCなしで10曲をたっぷりと演奏してきたBREIMEN。ようやく一休みして上着を脱いだ高木は「追加公演って(ツアー)ファイナル?」「ファイナルはファイナル、追加は追加」などなどメンバーと会話しつつ、ツアー時とセットリストを一新していることを明かす。そして「今日は喋ることがありまして……」と、来る5月13日(水)に新曲“めんどいな…”をリリースすると発表。しかし「今日はめんどくさいからやらないんだけどね…」の台詞で観客から抗議の声を浴びせられた。続いて、アーティスト写真も新しくなることを発表。2026年はアルバムのリリースも予定されていて、盛りだくさんの一年になりそうだ。「新曲出すって言っておいてライブでやらないようなバンドです。BREIMENです。よろしくおねがいします」続く“A・T・M”では、虹色のライトが回転する中、サトウが前に出て「この曲はツアーのいろんなところで俺と一緒にみんなが歌ってくれたんだよ。わかんなかったら適当に声出してくれたらいいからさ!」とコール&レスポンスを誘う。高木は「急に思いついたんだけどさ、ここ3人でやろう」と言って、キーボードのソロにサックスとギターを加えることを提案。あまり話を聞いていなかったサトウは「その3人って俺も含まれていますか?」と言いながらも華麗にソロを披露した。そんなことが繰り広げられている間も、So Kannoのドラムは品良く音楽を支え続ける。

“ラブコメディ”になると、歌詞にあわせて手でハートを作る観客の姿もある。ストレートで可笑しなラブソングに酔いしれるフロアと、呼応し合うサックスにギター。高木は「東京のみなさま、関東のみなさま、日本のみなさま、アジアのみなさま、地球人のみなさま、今日は一緒に歌ってくれたら嬉しいです」と冗談めかし、弦を震わせる。TOMOOをフィーチャリングしたシングル『ファンキースパイス』のカップリング曲“ソングライター”は、今夜はBREIMENだけのアレンジに。淡い光で黄昏れるステージにはアコースティックギターのテクニックがきらりと光り、甘くほろ苦く刻まれる時間の中、ドラムが空白を操っていく。「残すところ僅かな時間となりましたが、最後まで楽しんでいきましょう、BREIMENでした。地球のみなさん、僕らと一緒に銀河まで行きましょう」いよいよライブはフィナーレに差し掛かり、バンドは“銀河”をドロップ。3拍子系から4拍子系へ移ろうリズムとシンコペーションが縦に揃い生まれる音楽は快楽を伴い、未来的なシンセサイザーのプレイに肉感的なサックスが混じり込む様は銀河の中を漂う有機物そのものだ。激しいストロボの点滅に、バンドの姿は消えていく。

ラストナンバーに選ばれた“MUSICA”で、スポットライトを浴びた高木はメロウに歌い出す。浮足立つ旋律に歌い踊る観客の頭上へ高らかに響くサックス、甘い音色で会場を包むキーボード、音の波に乗るギター、鋭くも華やかなドラム。別れ道の寂しさが、音楽のしあわせとなって降り注ぎ、空間を満たしていく瞬間。BREIMENの音楽はきっと、ただ楽器から流れ出てくるものではない。彼らがいる空間、そこにある空気が5人の魔法にかかり、そのまま音楽へと変化しているのだろう。そう思わせる2時間は多幸感の中で過ぎていった。「ありがとう、BREIMENでした!また会おう!」

Text:安藤さやか
Photo:Riku Murata

BREIMEN ONEMAN TOUR『AVEANTING 2026』追加公演@duo MUSIC EXCHANGE セットリスト
01.ナイトクルージング
02.乱痴気
03.IWBYL
04.yonaki
05.CATWALK
06.あんたがたどこさ
07.満員電ス
08.ODORANAI
09.Rolling Stone
10.ブレイクスルー
11.A・T・M
12.ラブコメディ
13.ソングライター
14.銀河
15.MUSICA