ラストアイドル VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ラストアイドル『ラストアルバム』

5月31日で活動終了。試練を乗り越えてきたメンバーが語る『ラストアルバム』

メンバー入れ替えバトルやユニット対抗戦、殺陣や団体行動への挑戦など、数々の斬新な企画を繰り広げてきたラストアイドルが、5月31日をもって活動終了する。絶え間なく襲いかかる試練を乗り越えてきたメンバーたちは、最後の日を目前にして何を思うのか。1期生の阿部菜々実、安田愛里、山本愛梨、2期生の橋本桃呼、畑美紗起の5人に、これまでを振り返ってもらうとともに、最初にして最後、事実上のベストアルバムとなる『ラストアルバム』について語ってもらった。

■いつ活動終了を聞いたんですか?

橋本 (2月17日から23日まで上演された)『球詠』の舞台が終わって、それからすぐ説明がありました。

■説明を聞いた時の心境はいかがでしたか?

山本 なんとなくラスアイサバイブ(昨年8〜9月に「最後のチャンスかもしれない」と強調されて行われたメンバー同士の総当たりバトル企画)あたりから察してはいたので、「あぁ、そうかぁ……」とは思ったんですけど、これだけツラい思いも楽しい思いも一緒に経験してきた仲間たちが、こんな簡単に会えなくなってしまうんだということが寂しくて。受け止めるのには時間がかかりました。

阿部 説明を受ける日に、雰囲気で私も察してはいたんですけど、実際に聞いた時に「やっぱり、そうなんだ。」と納得してしまった自分がいたことが悔しくて。複雑な心境でした。

 察していても、理解するのは難しかったです。こんなに素敵なグループがなくなってしまうことは信じられないし、「もっと大きくなれるんじゃないかな」と思っていたところだったので、悔しい気持ちになりました。

■橋本さんは、前作の“Break a leg!”で初選抜を掴んだばかりでしたよね。

橋本 はい。これからもっとラストアイドルに貢献していきたいと思っていたし、サバイブや4周年コンサートをみんなで乗り越えて、より絆も深まったと感じていたところだったので、すごく悔しかったです。

■安田さんはどうでしたか?

安田 私はサバイブの時に「これが最後」くらいの気持ちで、全身全霊全力でやっていたから、心残りはまったくなくて。逆に、最後の最後まで大きなライブをさせてもらったり、アルバムを出させてもらったり、活動終了まで(発表から)3カ月という時間をいただいて、ファンのみなさんにお礼を言える機会もあるのは、すごく恵まれた環境だなと思ったんです。だから、割りとすんなり受け入れることができました。

■その3カ月があるかないかは、かなり大きいですよね。まだ振り返るのは早いかもしれないですけど、みなさんにとってラストアイドルはどんなものでしたか?

山本 私の青春で、生きがいでした。私はラストアイドルに入るまで、ネガティブで、学校の端っこで読書しているような子だったので。こうして素敵な衣装を着て、素敵な楽曲を歌えて、私を救ってくれた大切な居場所なんです。それがなくなってしまうことは寂しいし、これからが怖いんですけど、今まで歌ってきた楽曲や、今回のリード曲になっている“僕たちは空を見る”を聴いて、「前を向かなきゃな」って、改めて思っているところです。

阿部 ラストアイドルは(プロアマ問わず兼任も可能という)オーディションの条件が私に合っていて、それがなければ絶対に受けていなかったと思うんです。そんなラストアイドルを私は見つけられて、いろんな経験をさせてもらって、本当にありがたいことだったなって。楽しいことだけじゃなかったし、「もうダメだ」と思ったこともあったんですけど、それも含めて自分の人生に必要なことだったというか。本当に濃い4年半を与えてくれて感謝しています。

 私はアイドルが大好きで、乃木坂46さんのオタクとかしていたんですけど、自分がアイドルになりたいという憧れを持ってしまって、やっと受かったのがラストアイドルで……。たぶん私は秋元康さんのグループが好きで、こうして秋元先生の曲を歌えることは自分の生きがいで、ライブをしている時は素の笑顔でいられるし、自分のことをちょっとは好きになれるんです。それがなくなると思うと寂しいですけど、この経験は今後の人生にも活かせると思うので、宝物にしていきたいです。

橋本 私もラストアイドルは青春で、お仕事が来たらすぐ行けるように高校も通信制に変えて、すべてを捧げてきたんです。だから、なくなってしまうのは本当に悲しいんですけど、普通の高校生だったら絶対に経験できないことをたくさんさせていただいたので、これからも大切に大切に、心の中にずっと持っていきたいなと思います。

安田 私も大学に通うか通わないか悩んでいた時期にラストアイドルが決まって、こっちを一本にやっていこうと思ったんです。その前から芸能活動はしていたけど、日の目を浴びることはなく、「やっている」と言うことも恥ずかしいくらいな感じだったので、ラストアイドルに入って芸能人生が180度変わったんです。桃呼ちゃんも言ったように、普通の女の子だったら経験できないことをたくさんさせてもらったし、殺陣だったり、団体行動だったり、普通のアイドルは経験しない特殊なことまでさせてもらって。それと、イチから作り上げるグループだったから、ひとつの作品を作るために、みんなで協力しあう環境を経験できたこともよかったなと思います。

■そんな経験の集大成として『ラストアルバム』がリリースされますけど、シングルで発表した時と印象が変わった曲もあると思うんです。たとえば“愛しか武器がない”は、2期生の最初の曲ですけど、当時とは変わりましたか?

橋本 あの時はなんでもかんでも我武者羅で、「何も怖いものはない」と思っていたんです。我武者羅な部分は今もあんまり変わらないかもしれないですけど。(笑) でも、ツラいことも、苦しいことも、もちろん楽しいことも経験してきて、重みを知ったというか。

 あの時は本当に何もわかっていなくて。曲の解釈の仕方とか、あんまり考えられないうちに、次々と「これやらなきゃ」みたいな感じだったんです。でも、今はどういう感情で歌った方がいいか考えられるようになったと思います。

■今はどういう感情で歌っているんですか?

 たとえば今回の“僕たちは空を見る”だったら、感情をそのまま乗せられる曲なので、自分の気持ちをそのまま出す感じになるんですけど、“愛しか武器がない”の時は最初に歌詞をもらって、「そうなんだ!?」みたいな。意外なタイプの曲だったということもあるんですけど、すっと理解することはできなかったので、そこが変わったのかなと思います。

■確かに簡単に理解できるような曲ではないですよね。橋本さんなんて当時は中学生でしたし。

橋本 「偽善的」とか、意味がよくわかっていなかったです。(笑) でも、今は本当に素敵な歌詞というか、自分に当てはまることが多いんです。リリースした時は、とにかく迫力を出すことに重点を置いていたんですけど、今はちょっと違う重みというか、「ズン」っていう感じです。

 気持ちが入った?

橋本 そうそう。成長していくにつれて、気持ちが入った感情的な重みに変わりました。

■他のみなさんは、昔とイメージが変わった曲はありますか?

山本 私は“大人サバイバー”と“青春トレイン”ですね。当時はとにかく「ファンの方の背中を押してあげたい」という気持ちで歌っていたんです。でも、活動終了を聞いてからは、逆に私が励まされているというか、背中を押されているというか、寄り添うように歌うようになりました。うるっときちゃう曲です。

安田 私は曲のイメージというよりは、自分自身の気持ちが初期の頃に戻ったというか。途中の時期は「もっと上に行きたい」とか、メラメラした強い気持ちでいることが多かったんです。でも、今とか初期の頃とかは、戦うのは周りのアイドルさんや世界じゃなくて、「このグループでいたい」という気持ちが強くて。やっぱり恵まれた環境を与えられているんだなと毎日思うことばかりだから、その環境に甘んじないで、求められている以上にがんばろうという初心に戻った感じです。

■それは活動終了を聞いて変わったんですか?

安田 というよりは、いろんなことに挑戦してきて、「敵は周りじゃなくて自分自身だな」と思って。もともと人と比べることはあんまりしない性格ですけど、芸能界に入るとどうしても比べることが増えるじゃないですか。でも、人と比べることが大事なんじゃなくて、周りを見て、自分自身がどう成長するかが大事だなと思うようになったんです。

■悟りを開いていますね。

安田 そうなんですよ。最近、悟りを開かしちらしていて。(笑)

■そうなんですね。(笑) 阿部さんはどうですか?

阿部 “バンドワゴン”を歌っている感覚は、最初の頃とはかなり違うなと思っていて。「夢なんか見なければ/傷つかないのに…」とかは、この4年半を通して、いろんなことが積み重なった上で、「そうなのかな」と思う歌詞だなと思いますし、「今 鏡に写ったその姿は/本当になりたい自分だったか?」も、活動終了を聞いて、今までのことを見つめ直して、「こうなろうと思ったわけじゃなかったけど、これが正しかったんだろうな」というか。そういうふうに納得できる自分になれたなと思います。

■安田さんも“バンドワゴン”のオリジナルメンバーですけど、どうですか?

安田 初期の感情を引きずったら歌えないと思うので、一切そういう感情はナシにして、ただただ届けるという感じです。私は“バンドワゴン”と“青春トレイン”だけは、すごく違う感情があって。自分の夢を描いていた時の挫折じゃないけど、陰の部分を感情に乗せて歌える曲が、この2曲だったんです。だけど、今はその陰の部分がなくなって。

■どうしてなくなったんですか?

安田 その部分を持ち続けていたら、届けられないなと思ったので、そういう感情はなくそうと思ったんです。悟りを開いちゃったので。(笑) ただ、本当に夢を追っている方には共感してもらえる曲だと思うから、自分のそういう経験を活かして、「夢を見ている方に何か伝えられたらいいな」という気持ちに変わりました。だから、今までは自分に伝えながら届けるような感じでしたけど、自分を見てもらう曲になったと思います。

■本当に悟りを開いていますね。ちなみに“バンドワゴン”には「絶対/バンドワゴンに振り回されない」という歌詞がありますけど、今振り返ってみてどうでしたか?

阿部 振り回されまくりました。(笑)

■ですよね。(笑) アルバムには全員歌唱の新曲“僕たちは空を見る”も収録されていますけど、どんな曲だと感じていますか?

橋本 夢を追いかけていく歌詞になっていると思うんですけど、私はラストアイドルに人生をかけてきて、このメンバーと一緒に大きくなっていくことが夢だったので、ちょっと悲しくなるというか。活動終了が決まって、今は夢見ていたものがなくなっちゃったので……、泣きそうになっちゃう……。

 (隣で優しく見つめる)

橋本 本当に悲しいんですけど、ラストライブまでにこの曲を明るい気持ちで、前向きな気持ちで歌えるようにしたいです。

■まだ明るい気持ちでは歌えないですか?

橋本 そうですね……。

■安田さんは明るく歌えそうですか?

安田 はい!

■やっぱり悟りを開くと違いますね!畑さんは橋本さんを優しく見つめていましたけど、どうですか?

 私も泣きそうなタイプの人なんですけど、この曲はすごく自分好みのメロディーなんです。それに「諦めないよ いつの日かきっと」とか、夢を見ているような歌詞じゃないですか。私も諦めたくないんですよ。ラストアイドルで今後もやっていきたい勢なので。

■まだ諦めていない?

 諦めたくないけど、もう諦めなきゃいけないから、まだこの歌詞の人にたどり着けていない自分もいて。ラストライブではきっとこの曲をやると思うので、その時までに笑顔でというか、自分のことのように歌えるようにしなきゃなと思っています。