佐野岳 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

佐野岳『超・少年探偵団NEO-Beginning-』

「原作の実写化」作品でも、敢えて自分の演じる意味を追求したい

推理小説の金字塔ともいえる江戸川乱歩の小説「少年探偵団」シリーズをベースに、メインキャラクターである明智小五郎、小林少年のひ孫が、曽祖父の因縁のライバルである怪人二十面相との対峙関係に目覚める姿を描いた映画『 超・少年探偵団NEO-Beginning- 』が、10月25日より公開となる。
この映画のユニークなポイントは、俳優・高杉真宙が演じる主人公が、明智小五郎ではなく小林少年のひ孫、小林芳狼であること。ちなみに明智小五郎のひ孫は、女優・堀田真由が演じる女子高生・明智小夜。そしてさらに特筆すべきは、この二人とともに新たな「少年探偵団」としてチームとなる新メンバー・ワタリが登場することだ。この新たなメンバーを、俳優の佐野岳が演じる。
「少年探偵団」という名が存在する中でも、新キャラクターとして伸び伸びとした演技を見せ、劇中でも重要な役柄として存在しているワタリを演じきった佐野。そんな彼に今回は、この作品に対する印象や役柄を演じるにあたり抱いた心構えとともに、メインの共演としては二度目となる高杉の印象や、自身の演技への向き合い方について語ってもらった。

■今作では江戸川乱歩原作の小説が物語のルーツとして置かれていますが、それを踏まえて最初にこの話を聞いてどのよう思いましたか?

佐野 原作は実写化が度々されていることもあり、今までの作品と比較されるかなという懸念はありました。僕の役は、原作とはつながらない役なので、すごく自由度も高く、「NEO」「超」というキーワードにふさわしい役ともいえると思っています。だから全く新しい少年探偵団ができたらいいなと思っていますし、そんなふうに見てもらえれば嬉しく思います。

■たとえばまさしく「少年探偵団」のような感じで、友人との関係が昔から今まで続いているようなことはありますか?

佐野 あまりないです。昔からの友達というと幼稚園は幼稚園、小学校は小学校、中学校は中学校、高校は高校、今は東京に出てきて社会人になったときの友達ばっかりで、合うといっても同窓会のときに会うくらいです。僕は双子なんですが、この映画の関係というと、弟との関係がそんな感じかなと思います。物語の中の人間関係は、現在としてはなかなか珍しい感じもあって、新鮮に感じられます。

■一方で今回の役柄は、あまりご自身としてはそれほど役作りは行わない感じだったのでしょうか?

佐野 芳狼という人間の周りにいる人、という部分を意識した感じではありますが、それほど深く考え過ぎず自由にやりました。

■割りとアドリブっぽいというか…かなり攻めていましたね。

佐野 かなり攻めました。(笑) ただそれは高杉くんと共演したからという安心感と、実際に現場に入る前に芦塚監督やみんなと集まって、コミュニケーションをとっていたこともあったので、現場が僕を受け入れてくれる環境があったからだと思います。高杉くんとは作品共演が二回目でしたし、その信頼関係もあり、役柄との関係性にも近いものがあったから、本当にやりやすかったです。

■みんなで高校生をやっていても、やっぱり違和感はなかったと?(笑)

佐野 そうですね。(笑) 全く安心していました。

■年齢というと、もちろん高杉さんとの年齢差もあるかもしれないですが、その差も意識せず、今ではライバルという感じですね。前回と今回でなんらか変わったと感じたことはありますか?

佐野 顔つきもそうですし、現場の立ち振る舞いはすごく大人になったと思います。でも一貫して役と向き合い、ずっと葛藤を抱えながら、シーンの撮影に向けて気持ちを作っている真面目なところは、良い意味で変わっていませんでした。二回目の共演で成長した姿を見せたいという思いはありました。そこで彼は成長した姿を見せてくれて、僕としてはいい刺激になりましたし、もっと頑張りたいなと思いました。

■いいライバル関係ですね。

佐野 ただ面白いのは、現場に入る前のコミュニケーションの一環として、出演者や芦塚監督と一緒に「人狼ゲーム」をやったときのことで、高杉くんが人狼だったんですが、顔が明らかに普通と違っていたので「お前、人狼だろ?」と声を掛けたら、結局バレて。(笑) そんな嘘をつけない感じというか、そういうところは相変わらずカワイイなと。(笑)

■ある意味、高杉さんの役者としての課題でもありますね。「仮面ライダー」「少年探偵団」と来て…次は何で行きましょうか?(笑)

佐野 「まほろ駅前多田便利軒」みたいな感じがいいな、って思います。あの作品みたいな、バディものみたいな作品がいいかもしれません。またはめちゃくちゃ暗いテイストの作品とか。今回の作品みたいなものもいいですが、また違ったフィールドでやってみたい、という思いもあります。

■佐野さんがメインで絡むキャストとしては、やはり高杉さんと堀田さんですが、他の共演者はいかがでしたか?

佐野 意外と現場はミステリー同好会のメンバー3人とよくしゃべっていました。「芳狼が一人で捜査、プロファイリングしている」という撮影のときには待ち時間が多かったので。(板垣)瑞生とかもすごく天然というか、すごく天真爛漫な感じで。

■板垣さんの役割というのも、劇中ではちょっと不思議な感じでしたよね。ミステリー同好会という変な役割のわりに、結構絡んでくるシーンもあり…。

佐野 実は変人というか、変わっている奴なんです。距離の詰め方もおかしかったですし。(笑)

■距離の詰め方?

佐野 いきなりニコニコしながらスッと近づいてきて、いつの間にかそばにいるというか。(笑) そんなところが面白くて仲良くなったし、撮影の合間にはカフェに一緒に行って、写真を一緒に撮ったりしていました。和気あいあいという感じで、本当に学校に行っているみたいな感じでもありました。