A HUNDRED BIRDS VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

A HUNDRED BIRDS『A HUNDRED BIRDS feat. Natasha Watts Live in OSAKA』

■“All of that”を演りたかったというのは?

YOKU これはちょっと悲しい話なんですけど、僕、93年から95年頃、イギリスに住んでいたことがあるんですけど、そのときにいちばん影響を受けたPaul ‘Trouble’ AndersonというUKソウルフルハウスのいわゆるキーマンみたいな方が昨年亡くなられて。

■そうなんですね。

YOKU ナターシャももちろん彼を知っていて。“All of that”はThelma Houstonの曲なんですけど、リミックスはPaul ‘Trouble’ Andersonのヴァージョンで、ちょうどそういうときやったんで、ナターシャにも合うやろなと思ったのと、アルバムでは4曲続けて入っているハウスセクションの部分、BPMがハウステンポで、4つ打ちのセクションなんですけど、その最後にこの曲をミックスして入れようということで。なので、ナターシャもきっとそういう気持ちで歌ってくれていると思います。僕は行けませんでしたけど、Paul ‘Trouble’ Andersonのお葬式のとき、最後にみんなで歌ったらしいんですよ。そのときナターシャが代表的な感じで歌ったっていう経緯もあったって言っていたんで、これは入れたいなと。

■そうだったんですね。

YOKU ちょっと湿っぽい話になってしまって。

■いえいえ。そのお話を伺ってからあらためて“All of that”を聴いたら、また違った印象になりそうです。

YOKU 実際僕もこの曲はよくかけていたんですよね、その当時。勝手に師匠と思っていたので。(笑)

■なるほど。ライブのリハはどのくらいされたんですか?

YOKU リハは前日と前々日の2日間だけですね。

■2日間だけですか!

YOKU でも、例えばコーラスチームはコーラスチームだけでっていう、セクションごとでのリハはやっているので。大体いつもメールでやりとりをして、2日前くらいから全体で集まってやっているので、今回は新曲が多かったので、若干どうなるんやろとは思っていたんですけど、滞りなく出来ましたね。最初1回、2回やって、翌日1回、2回って回を増すごとにやっぱりいいグルーブが出来てきて、最後はナターシャが涙ながらに喜んでいましたからね。

■すごくいいリハだったんですね。

YOKU 気持ちが入っているいいリハーサルでしたね。全員が同じところを見ていたし、なんかいいもん出来るなって、そういう手応えが掴めるようなリハでした。ジャムバンドでもないんで、なかなか自由がきかなくて、どっちかというと譜面通りに演らなければいけないところもたくさんあるんですけど、じゃあもう先にそこをどう演るかって、その方向性が決まれば、もう20年以上付き合っている連中がほとんどなんで、そこがうちの強味というか、20年経ってさらにいいグルーブが作れてきているというね。まず楽しもうってところから入っているメンバーが多いんで、またそこもいいなと思うし。

■それ重要ですよね。

YOKU たぶん面白ろなかったらみんな辞めていると思うんですよ。多いときは年に何回も集まることもあるんですけど、少ないときはあんまり集まることもなかったりするし。いろんなジャンルのいろんな人が集まってやっているっていう、今まで普通に音楽やってるだけじゃ出会えへんかった人に出会えるような場にだんだんなってきているんですよね。あらためてやってきて良かったなって思うし、もう出尽くしたかなと思ったりもしましたけど、まだまだ先がある気がします。

■またまだ先があるって、素敵ですね。

YOKU ほんとそうですね。まだまだ先はあるし、まだまだ可能性はあるなって。

■なるほど。次はクリスマスライブに向かってということになると思いますが、今年はどんなものになりそうですか?

YOKU 今年はですね、プレイ・サルソウルと言いまして、Salsoul(Records)いう“Runaway”の元のレーベルですよね。そこからいわゆる70年代後期のストリングスあり、ホーンありのオーケストラゼーションで作られたディスコを制作していたレーベルがあるんですけど、そのレーベルの音源だけで演ります。Salsoulというレーベルはまだ存在はしていて、イギリスのBMGにあるんですけど、今年そこに行って、こういうことをやりたいと言ったら、オフィシャルで出来ることになって。今回はいつもと違うカタチでSalsoulを演ってみようと思っています。そして、ナターシャも来ます。

■おお、嬉しいですね!

YOKU あと、LDHのJAY’EDさんにも出演してもらいますし、今回は2人のゲストを迎えていつもよりも規模の大きいイベントになるので、なかなか観どころ満載のショーになると思いますよ。さらには11月にも第二弾でゲストアクトの紹介も致します。東京で出来ないのは残念なんですけど、楽しみにしていてください。

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
1996年、DJ YOKUによって結成された A Hundred Birds。2000年、Francois Kevorkian主宰 Wave Music(NY) から『Batonga』をリリースし海外デビュー。その後海外レーベルのリミックスなどを手がけ国内外のダンスミュージックシーンで脚光を浴びる。2005年、1st Album『Fly From The Tree』(GUT/FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT.INC)を発表。国内メジャーデビューを果たした。2011年、自主レーベル100records を立ち上げ、カバーシリーズを毎年クリスマスにリリース。ライブ活動では、朝霧ジャム、フジロック、ライジングサン、Body&Soulなどビッグフェスにも出演。毎年恒例となるクリスマスライブ「Dance Music Meets Orchestral Unit On Christmas」は今年で23年目を迎える。その総勢40名によるオーケストラライブでは、YOKU自身が選曲を行い、指揮者となり、DJ的な感性でMIX感を重視した迫力あるライブステージを展開する。2019年3月にはUKのソウルディーバ Natasha Watts を迎え、Billboard Live OSAKAにて一夜限りのコラボレーションライブがおこなわれた。
http://ahbproduction.com/a-hundred-birds/

RELEASE
『A HUNDRED BIRDS feat. Natasha Watts Live in OSAKA』

A HUNDRED BIRDS『A HUNDRED BIRDS feat. Natasha Watts Live in OSAKA』

全世界配信
¥2,200(tax in)

ユニバーサルシグマ
9月27日 ON SALE