AARON VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

「いい意味で全部尖った」新曲”好きな人”を語る。

AARONがセカンドシングル『好きな人』をリリース。昨年路上ライブにて音楽活動をスタートし、2023年5月にメジャーデビュー、1stシングル『ユニーク』はドラマ主題歌としてSNSやTV番組でも大きく話題となるなど、今勢いのあるアーティストであるAARON。そんな彼のセカンドシングルは、作詞に橋口洋平(wacci)、作曲に松本良喜を迎えた、夏にぴったりの軽快なナンバーとなっている。
今回はそんなAARONにインタビューを決行。前作『ユニーク』で感じた変化や『好きな人』の制作で感じたこと、また夏にまつわるエピソードなど、たっぷりと話を伺った。

■『ユニーク』のリリース後、音楽番組や情報番組など、メディアでの露出もかなり増えていますが、そういった経験をされてみて、今どんな思いがありますか?

AARON 慣れない環境ですごく刺激的です。去年路上でライブをしていた頃とは180度環境が変わっていて。街中やコンビニなどで僕の曲が流れたりすると、「これ俺、俺!」と思ったりします。(笑) すごくありがたいですし、いろんな経験を積んで、場を踏んで成長してきたなと感じます。

■メジャーデビュー以前は路上ライブを活発に行っていたAARONさんですが、路上ライブで歌うのと、番組のスタジオなどで歌う感覚は、AARONさん的には大きく異なるものですか?

AARON 全然違います。ただ、レコード会社のスタッフさんが、僕が緊張していた時に、「路上ライブで歌っている時の感覚で歌う気持ちで」と、言葉をかけてくれたんです。その時に「あ、確かに」と思って、すごく心が楽になったんですよね。確かに環境が違うとか、人が増えたという違いはありますけど、歌うという行為は同じで。人が観ているとかそういうことを除けば、「路上ライブと一緒だな」と感じたんですよね。その一言は結構大きかったと思います。でもやっぱり路上とは変わりますけどね。(笑) 

■特に変化を感じる部分というと?

AARON テレビだと時間が決まっているので、フル尺では歌えないんです。2分や2分半のバージョンを作ることになるので、1番のサビがなくなってそのまま2番にいったりするんですよね。いろんなアーティストさんがテレビでの披露で、歌詞を間違えたりしているのを見ていたので、自分は「絶対にそうならないようにしよう」と思っていたんですけど、その理由が今なら分かるなと。(笑) 「ごちゃまぜになるな」と思いました。

■今回の新曲についても伺えればと思います。“好きな人”は夏の終わりにぴったりな爽やかな楽曲です。作曲は松本良喜さん、作詞は橋口洋平さんという布陣ですが、完成してみて、どんな曲になったと感じますか?

AARON 今作は初めて自分で楽曲を作らず、人が作ってくださった曲を歌うという経験をしたんです。なので、すごく勉強になりました。自分だけだったら絶対に出てこないメロディだったり楽曲の雰囲気になったので、僕っぽくない、今までとはまた違うものが出せたのではないかと思っています。

■ご自身が作詞・作曲に参加しない楽曲は今回が初めてなんですね?

AARON そうなんです。そういう経験もすると勉強になるとスタッフさんに提案いただいて、書いていただきました。松本さんと橋口さんのタッグって、大御所と歌詞の天才という感じの組み合わせじゃないですか。本当にすごいなと思いましたし、自分だけだと絶対に出てこない楽曲になったので、すごく勉強になりました。

■AARONさんの楽曲に橋口さんが作詞で参加するのは、前作“ユニーク”に続いて2度目ですね。

AARON そうなんです。今回は僕が歌詞の元となるストーリーを書いて、そのプロットを橋口さんに投げて、歌詞にしていただいたという形でした。なので、「ここはこういう歌詞になんねや!」みたいな感じで、すごく新鮮でしたね。

■歌詞の元となるものはAARONさんが書かれたんですね。

AARON そうです。プロットから歌詞を書いてもらうということも初めての経験でした。

■そのプロットを書いてみて、いかがでしたか?

AARON 結構好きな作業だなと感じました。僕は物語を作るのが好きなんですよね。なので、今回のプロットは半日もかからず、3時間くらいで書き上げられました。歌詞を書くのはまだまだ勉強不足だと思っているんですけど、徐々に慣れていったり、勉強していければいいなと思っていて。今回はこういう形で歌詞を書いてもらって、橋口さんの歌詞からまた勉強させていただきました。

■歌詞を書くよりもプロットを書く方が、ボリューム感や韻の踏み方など考えることが少ない分、少し気楽に書けそうですよね。

AARON そうですね。気楽に書けるし、「こんな展開だと面白いな」というノリで書けるというか。それを橋口さんがキチンとまとめてくださったという印象です。

■大元の物語を書いたAARONさんが、特に「ここはこう来るか!」と感じた歌詞はありますか?

AARON 僕が送ったプロットでは、主人公の女の子が女友達の家に泊まりに行った時、彼女のスマホに通知が来て、それが自分が気になっている彼からの連絡だったというシーンがあるんです。その連絡が「おかえり♡」みたいなメッセージだったっていう。それを歌詞では「見覚えのあるアイコンとハート」という風になっていて、グッと物語をまとめて分かるようにしてくれているのがすごく良いなと思いました。

■「橋口さんは1行にストーリーを詰め込むのが得意な方だと感じた」というお話は、“ユニーク”のインタビューの際にもお話されていましたよね。

AARON そうなんです。本当に感動しました。僕はプロットを書くのが初めてだったんですけど、プロットを書いたり、展開を作るのは結構好きだなと思いましたし、それをギュッと良い表現でまとめてくださる橋口さんはさすがだなと思いました。

■良いタッグですね。歌詞は女性目線で恋愛を描いた内容ですが、AARONさんの楽曲の中ではこのテーマは珍しいのではないでしょうか?

AARON 女性側の気持ちを歌うことは初めてだったんです。なので、「男って単純だよね」という歌詞も自分で歌っていてすごく不思議な気持ちになりましたし、「これは女性の目線になって歌わないといけないな」と、そこで改めて感じました。「女性ってこういう気持ちになるんや」って感じたというか。なので、スタジオに入って歌を練習する時から、女性目線で歌うというのをずっと意識しながら歌っていました。自分が歌詞を書いていないからこそ、こういう感覚があるんだというのは、いろいろな部分から感じました。今までは自分の曲に恋愛ソング自体があまりなかったですし、しかもバラードではなく、こういうサウンドだったので、余計に新鮮でした。

■作曲を手掛けているのは松本良喜さんですね。

AARON 僕も家にいる時に「キミは好きな人~」って口ずさんだりするくらい、すごく耳に残るメロディで、「これがプロの力なんだな」と思いました。今までとちょっと違った感じがまたいいんじゃないかなと思っています。自分で曲を作る時は、自分の好きなメロディの中から作っていく感じなので、自分の好きなメロディしか引き出しに入っていないんです。そうなってくると、慣れないメロディは歌いづらく感じたりするんです。今回は自分の弱さというか、苦手なメロディも分かったので、そういった意味でも勉強になりました。