Anly VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

Anlyのルーツを感じられる楽曲が詰まっています。25歳の集大成ともいえるアルバムになりました。

TikTokでの総再生回数が約10億回とバズっている“カラノココロ-Matt Cab &MATZ Remix”を歌うシンガーソングライターAnly。デビューから7年、25歳となったAnlyが自身の集大成とも言えるアルバム『QUARTER』をリリース。幅広いジャンルの楽曲を取り揃えた『QUARTER』は、これまでのファンも初めてAnlyを知る人にもおすすめしたい一枚となった。Anlyは圧倒的な歌唱力と、世界でも注目されるループペダルを多用したソロ・パフォーマンスが魅力。エフェクターを使ってギター一つで奥行きのある演奏をおこなうループペダルは、楽器で鳴らした音や、歌声をその場で録音、再生することによってアンサンブルを作り上げる手法。アルバム発売にともない開催される全国ツアーでは、『QUARTER』収録曲をループペダルで演奏する。今回はアルバムについてはもちろん、ライブへの意気込みについても思いを語ってもらった。

■今回のアルバムのタイトルにはどんな思いを込めていらっしゃるのでしょうか?

Anly 私自身が日本とアメリカのクオーターとして生まれたこと、それから今年で25歳になることもあり、このタイトルになりました。今回のアルバムはこの25年間で感じたこと、25歳になった今だからこそ見える景色を表現した楽曲をまとめました。

■今回のアルバムは過去のアルバムに比べてどんなものになりましたか?

Anly 『QUARTER』は、私のルーツになっているロックな楽曲が多いです。メモリアルなジャケットにぴったりなパワー感のある内容に仕上がっていると思います。実はこのジャケ写は25セント硬貨を参考にしているんです。

■なるほど!遊び心が満載ですね。『QUARTER』を作成する時には「25年間の集大成にするぞ」という思いで制作に取り掛かったのでしょうか?

Anly 最初から「集大成にするぞ」という思いがあったわけではないのですが、作っているうちに自然とルーツに戻っていきました。

■デビューから7年になるAnlyさんですが、7年前と今とではものの見え方もまったく変わってきたのでしょうか?

Anly そうですね。楽曲の制作の仕方も変わりました。コロナ禍を経験した今、全人類がこれまでと全然違う景色を見ていると思いますし、私も見え方が変わってきています。

■楽曲についてそれぞれ伺っていきたいのですが、“Welcome to my island”はどんな思いで制作されたのでしょうか?

Anly まずサビだけ作って、それから「どんなふうに作ろうかな…」と悩んでいた楽曲です。“Welcome to my island”は、トラックを別の方にお任せしたのですが、憂いを帯びたトラックになって返ってきて、それを聴いて浮かんだ歌詞を書き加えて完成しました。なので、AメロとBメロは最近書いたものになっています。だからタイムリーな歌詞になっているかもしれませんね。

■普段からアレンジなどを手伝ってくれる方の思いを反映した楽曲制作をされることが多いのでしょうか?

Anly この曲は特別かもしれません。もともと出来ている曲をアレンジしてもらうことが多いので、今回は初めてのパターンでした。実はこの曲は、もともとパーティソングにしようと思っていたんです。だけど憂いを帯びたトラックを聴いた時に、歌詞の聴こえ方も変わってきたんです。「踊ろうよ、歌おうよ」と語りかける歌詞なのですが、「楽しい時間を作るためにはクリアしないといけないことがいっぱいあるよね」と感じたことで、最初の雰囲気とはガラっと変わった楽曲になりました。

■Anlyさんの気持ちの変遷が形になった楽曲でもあるんですね。

Anly そうですね。

■“Do Do Do”は、友人の裏切りみたいなものがテーマになっているのかな?と思ったのですが…?

Anly そうです。めちゃくちゃ怒っている感情をストレートに表現した楽曲になっています。(笑) 歌詞にもあるんですけど、ふとした時にタバコの煙を顔に吹きかけられたことがあって、その時はすごくびっくりしたんです。その友人は昔から知っている人で、仲良くしていたので。でも思い返してみれば、自分勝手な一面というか、「もしかしたらこっちのこと大事にしてくれてないかもな……」と思う場面があったなぁと。ただ、そういう違和感はスルーしちゃっていたんですね。でもタバコの煙を顔に吹きかけられたその瞬間、「それが本音だったんだ」と気づいて速攻でLINEをブロックしました。(笑) もともと「人類皆兄弟!」っていう気持ちなので、人を嫌いになるという感情が初めてで、自分でも驚きでした。初めてのことへの戸惑いを感じた時に、「これは音楽にぶつけるしかない」と思って制作した楽曲です。

■そうだったんですね。

Anly でもこの曲はライブだともっと怒っています。(笑) 普段ライブで聴いている人が耳にすると、「あれ、ちょっとテンポ遅いかな?」って違いを感じる部分もあると思います。個人的には音源になったことで、重厚感が増していい曲になっていると思います。エレキのうなる感じとかから、より私の気持ちに寄り添うような音楽になってくれたなと感じています。聴いてくれるみなさんもこの曲を歌って、ストレス発散してくれたらいいなと思います。(笑)

■“KAKKOII”と“CRAZY WORLD”は、心の自由を大切にされているのが伝わってくる楽曲ですね。つい好きなものも人にカッコ悪いと言われれば、「好きじゃなかった」と言い訳したくなることもあるのではないかと思います。

Anly “KAKKOII”は、「カッコいいってなんだろう?」って、あらためて考え直しながら作った楽曲です。この曲は自分の経験と、友人へのリスペクトを歌詞に込めた楽曲になっています。学生時代、私は60年代、70年代のロックをカッコいいと思って聴いていました。でも高校にいったら聴いている人が全然いなくて、「今流行っている曲を聴かないといけないかな……」って感じることもあったんです。その上で「周りの人が全然聴いていない曲を聴いて、カッコいいって思える自分って、逆にカッコいいじゃん!」って思い直す経験にもなったんです。そういう私の経験からくる気持ちや考え方が反映された曲になっていると思います。もう一つ、この曲へのインスピレーションを与えてくれたのは、上京して知り合った「よっちゃん」という友人なんです。実はよっちゃんは歌詞にも登場しています。(笑) 彼のすごいところは、いつも時代の最先端を走っている曲を聴いているところなんです。よっちゃんの聴いている曲は、大体あとから流行る音楽ばかりなんです。時代に合わせるんじゃなくて、自分が好きだと思う曲を自由に聴いている彼が素直に素敵だなと思って、その気持ちを込めて作った楽曲にもなっています。

■“KAKKOII”は悩んだり、落ち込んだりした時に聴きたい曲だなと感じます。

Anly 私も自分が落ち込んだ時に聴きたい音楽として、この曲を作ったんです。(笑) 自分が求めている景色が見えなかったり、声が聞こえてこなかったりして悩むことってありますよね。でもそこで落ち込んでしまうと前に進めないじゃないですか。上手くいかない時は、「時代が追いついていないだけ」、「いつか時代が追いついてくれるだろう」って思うことで、前向きになれたらいいなって思っているんです。そういう考え方って、自分の力を信じる力になると思っています。自分が「好き」って思う感情って、幸せにつながるものだと思うから、その気持ちを大事にして欲しいって思うんです。この曲はそういう気持ちを込めているので、聴いている人たちを励ます音楽になっているなら、すごく嬉しいです。

■“KAKKOII”は名前に負けないくらい、カッコいい楽曲ですよね!

Anly デビュー前に海外でレコーディングしていたことがあったんです。そのレコーディングで一緒になったクリエイターの方に、「この曲どう?」って聞かれるたびに、「カッコいい!」って言っていたら、「カッコいい」って言葉を覚えてくれたんです。(笑) 彼女の「カッコいい」の発音が新鮮に感じて、その時の音、「KAKKOII」って言葉を広めたいという気持ちも込めてタイトルをつけました。

■“CRAZY WORLD”はどんな経緯で生まれた楽曲なのでしょうか?

Anly “CRAZY WORLD”は、もともと私の周りで人気の曲だったんですが、タイミングが合わなくて表に出せていなかった楽曲なんです。ようやっと「出そう」と思った時に、私の中で規模の大きいクレイジーなことが起きていると感じて、「出すなら今しかない!」って気持ちで音源化したものになります。2番の歌詞は最近作った歌詞なんです。英語の歌詞はダブルミーニングを意識したり、ふるさとの方言も交えて私らしさを表現したりしていて、かなりこだわって仕上げた楽曲です。リズム感もいいし、ギターのリフもめちゃくちゃいいので、「聴いてストレス発散になればいいな」とも思うし、「何かを考えるきっかけになったらいいな」とも思っています。

■“CRAZY WORLD”に限らず、Anlyさんの曲はストレートな歌詞が印象的です。聴いているこちら側も正直でいることが恥ずかしくなくなる、そんなパワーを感じます。

Anly 言葉だけだと刺々しくなってしまうものや、音に乗せるからこそ言えることってあると思うんです。音に乗せることでパワーもあり、心に響く言葉になったと思っています。