藍井エイル VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■そうそう、エイルさんといえば、チェストボイス(地声)で出る音域がとても広いですが、今作の“絵空事”は、普通は裏声で歌いそうなところも、全部地声で歌っているなと感じました。そこはいかがでしょうか?

藍井 この曲はそっちの方がいいと思ったんです。この曲もかなりロックな曲なので、しかも「開けているロック」というイメージがあったんです。音程は高いなとは思ったんですが、ファルセット(裏声)で歌うとすごくもったいないなと思ったし、弱々しくなっちゃうのは避けたかったんですよね。なので、今回はチェスト……と言ってもミックスボイスですけど、ミックスで歌いました。私の最高音はF♯かな。久しぶりに高い音を出しました。まだ出るんだなという安心感もありました。(笑)

■歳を重ねると音域が高くなる人もいるそうですよ。

藍井 そういうタイプなのかも。(笑) でも音域は広くなってきた感じがします。喋る声は低いし、全然通らないので、居酒屋とかにご飯を食べに行くと「今なんて言ったの?」と言われることが多いんですよね。(笑)

■声が低い人あるあるですね。(笑)

藍井 そうなんですよ。ゲームやっていて、ボイスチャットで知らない人に「中学1年生くらいの男の子?」と言われたこともあります。性別すら間違えられた……。(笑) 変声期だと思われちゃったのかな。(笑)

■それは相手が失礼ですよ!(笑) 話を戻して、エイルさんみたいに歌うコツはあるんでしょうか?

藍井 うーん……元の声質が高かったのもあるんですよね。歌えば歌うほど音域は高くなったなと思うんですけど、コツみたいなものは、ChatGPTに聞いたら、「頭の上からピーンと引っ張られてるようなイメージ」と言われました。(笑)

■それはよく言いますよね。というか、ChatGPTに聞いたんですか?(笑)

藍井 聞きました。(笑) もう知っていることはたくさんあるし、いろんなボイトレの先生に聞いたことのメモもあるんですが、うっかり忘れていることもあるので、ChatGPTに聞いてみたんです。そうしたら、そんな回答が得られて、知っていることだったけど、忘れていたことでもあったので、これはやっぱり改めて大事な歌い方だなということを学びました。

■曲全体として気に入っているところはどこですか?

藍井 ミュージックビデオにも沿った内容になっていると思いますし、すごく作品ともリンクしていると思います。リムルは洞窟から生まれて、そこからどんどん外の世界に行って……というのが第1話から続くのですが、ミュージックビデオでもそれを意識して作られていたりして。それで“絵空事”の歌詞もマリアベルとの戦いというか、意識の違いというか、そういった部分が表現されていますから、すごくいい作品に出会えたなと思っています。

■今回リリースされる2曲は、タイアップであることは大前提として、純粋に曲として聴く時、どんなところが聴きどころだと思いますか?

藍井 “絵空事”は、突き抜けて歌ったので、突き抜けたところをぜひ聴いてほしいし、“MONSTER”は、邪悪な感じや狡猾感を感じ取ってもらえると嬉しいです。

■素敵だと思います。ちなみにカップリングの2曲ですが、どんな感じの曲に仕上がっていますか?

藍井 “DRUM”は、これも今まで藍井エイルが歌ったことないんじゃないかなというようなジャンルの楽曲になっています。キーが高くないんです。なので、みなさんにも歌いやすいんじゃないかなと思っていて。サビの終わり部分とかは結構音程が低いんです。そうやってサビが終わる曲は、私にとっても新たな挑戦だと思っています。

■エイルさんは、低い声は「出しにくい」のでしょうか?

藍井 ん~、普段の地声は低いのですが、歌となると気持ちを乗せなきゃいけないので、激しく低く歌うのは結構難易度が高かったです。息をたくさん使いました。息は使うけど、鼻腔共鳴はしっかりさせるというのが難しかったです。

■2曲目の“Decay”の方は、作詞もされているのですが、この曲はなかなかに暗いですね……。

藍井 暗いんです。(笑) タイトルも「朽ちる」「腐っていく」みたいな意味なので。居場所が見つからない人たちにとっての毎日って、すごく残酷なものだったりするのかなと思って。そういったことをテーマに書いたのですが、「それでも明日というものは必ずあなたをちゃんと迎えに来てくれるよ」という内容になっています。

■なるほど。

藍井 私にも「なんで私、この世界に居場所がないんだろう」と、思っていた時期があったのですが、友人にも「居場所がない」と言っている子がいて、その子の話を聞いていたら、「そういう人ってたくさんいるかもしれない、自分もそうだったな」と思い出しまして。今回はカップリングですし、自由に表現していい場所なので、こういう暗い歌詞にしてみました。メロディが単純で音符の数が少なく、なおかつ楽曲にストーリーがあるので、出せる言葉の数がすごく少なくて、その中から選んでいくのがすごく難しかったです。

■そうだったんですね。「エイルさんに何かあったのかな……?」と思っちゃいました。

藍井 特になんにもないです。いつもハッピーです。(笑)

■よかったです。今作全体を通して、なにか挑戦したことはありますか?

藍井 “MONSTER”みたいな、サビで上がり切らない曲だったり、“DRUM”みたいなサビ終わりが低い曲だったり、この2曲は挑戦した曲だったのかなと思います。ミュージックビデオでも全部歌っているんですよ。“絵空事”の「見つめればこそ/認めればこそ/逃げない/戦おう」というすごく高いところも歌っていて、叫ぶというより、頭の先っぽから「ピーッ」と声を出しつつ、辛くない歌い方をしています。私、レコーディングは演技だと思っていて。スタジオは「表現をする」演技場だと考えているので、決められた演技という中で表現して、高いところを歌うのはすごく難しかったです。

■そこが注目ポイントですね。今作のアーティスト写真のビジュアルも面白いですね。

藍井 そう、「よう実」と「転スラ」をイメージして赤と青にしました。ミュージックビデオでも赤と青を使っています。「ダブルタイアップだぞ!」ということを見せつけるかのようなビジュアルになってます。(笑)

■そして今後、ライブもあると思いますが、どんなライブにしていきたいですか?

藍井 この間、アジアツアーのファイナル公演があったんですけど、最近イヤモニを新しく変えたんです。今まで使っていたやつは15年前から使っていたものなので、新しいものにしたら、すごく音が鮮明に聴こえてくるようになりました。今までは音が全体的に丸く聴こえている感じだったんですけど、今は音の粒が聴こえるような感覚があります。新しいイヤモニは、まだシンガポール公演でしか使っていなくて、その時は耳型を取っていなかったのでテープで固定して補っていただいたんです。イヤモニを変えるだけでも歌い方が変わるので、まだまだ進化していけるんじゃないかなと考えています。

■イヤモニの役割って、ステージに立たない人からするとなんだかよくわからないですからね。

藍井 あれはオケとヴォーカルライン、クリック音が流れていて、バンドだとバンド全ての音とPAから流れるオケと自分の声が聴こえてきます。それがすごくクリアになって、粒になって1音ずつ聴こえるので、すごく歌いやすくなりました。

■やっぱりそうなんですね。この先のライブで期待してほしいことを教えてください。

藍井 “MONSTER”と“絵空事”は、コール&レスポンスができる曲だと信じています。“MONSTER”の「hidin’」のところや、“絵空事”の「White and Black」のところ、ここでみなさんのコール&レスポンスがあってこそ、この2曲は完成するのかなと思っているので、期待しています。ロックな藍井エイルを見せられると思っています。

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
伸びのある声質と圧倒的な表現力で、国内外のアニメファンから熱烈な支持を受ける日本のシンガーソングライター。彼女の音楽は、強い感情を呼び起こす歌詞とメロディ、そして激しいライブパフォーマンスが特徴。4度の日本武道館や横浜アリーナ、パリ、ロンドン、上海、サンフランシスコなどの世界15ヶ国/地域でのライブを敢行し大成功をおさめる。2025年に2年ぶりのソロライブツアー「BLUE FLAiR」でアジア4カ国5都市6公演(東京・香港・台北・広州・上海)を開催し全公演完売。海外でも多くのファンからの支持を得る。
https://aoieir.jp/

RELEASE
『MONSTER/絵空事』

アーティスト盤(CD)
LACM-24832
¥2,750(tax in)

よう実盤(CD)
LACM-24833
¥1,980(tax in)

転スラ盤(CD)
LACM-24834
¥1,980(tax in)

Lantis/ Bandai Namco Music Live
4月22日 ON SALE