青山テルマ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

青山テルマが12年ぶりにSoulJaとコラボ。名曲『はなさないでよ feat. 青山テルマ』が生まれた背景を語る。

始まりはSoulJaのシングル『ここにいるよ feat.青山テルマ』が、高い支持を得たことだった。同楽曲のアンサーソングとして、今度は女性側の視点から描いた『そばにいるね feat.SoulJa』が、オリコンのシングルランキング1位に輝くメガヒットに。青山テルマの存在を決定づけた。さらに、SoulJaがふたたび男性側の視点で『はなさないでよ feat. 青山テルマ』を発売。当時は三部作の物語として高い支持を集めていた。そして『はなさないでよ feat. 青山テルマ』から12年、青山テルマのデビュー15周年目に当たる今年、彼女はSoulJaに声をかけ、デジタルシングル『いつまでも feat.SoulJa』をリリース。11月4日には、日本武道館を舞台に『Thelma Aoyama 15th Anniversary〜おにぎりフェスティバル〜 (仮)』の開催も控えている。
今回は『はなさないでよ feat. 青山テルマ』が生まれた背景を中心に、15周年を迎えた青山テルマの今の気持ちを伺った。

■SoulJaさんとは12年ぶりのコラボになりますが、そのきっかけから教えてください。

青山 今年私がデビュー15周年を迎えることから、いろんな企画が持ち上がる中で、スタッフさんの中から「またSoulJaとタッグを組んで作品を出したら面白いんじゃないか?」という話が出てきました。それを聞いた瞬間「面白そう!」と思ったことが、そもそものきっかけですね。今振り返れば、最初は良い意味で軽いノリから始まったことでしたけど、いい形に結びつきました。

■テルマさんはここへ至るまでにも、いろんな方々とコラボレートをしてきましたよね。

青山 最近はアルバム制作の時に、1、2曲コラボするくらいですけど、以前は本当にいろんな方々とコラボレートをしてきましたね。

■『ここにいるよ feat.青山テルマ』や、『そばにいるね feat.SoulJa』の大ヒットが、まさに日本でのコラボブームの火付け役になった印象もあります。

青山 それ以前からfeat.(フィーチャリング)という形でコラボレートは行われていたから、決して目新しいことではなかったけど、ただ大きな流れを生み出すきっかけにはなったと感じています。私自身、SoulJaとのfeat.をきっかけに注目を集めたこともあって、あの当時はいろんな方々からコラボレートのオファーをいただいては、いろんな出会いを重ねてきました。それこそ仲の良い仲間たちからオファーを受けたり、新たに出会った人たちまでいろんな形でやってきました。feat.の面白みや難しさって、1+1が必ずしも2になるとは限らないことなんです。1+1が1のままだったり、1+1が69や100になることだってある。その時の時代背景が反映することもあるし、いろんな要素が重なり合って、feat.した音楽が生まれていくんです。以前はいろんな方々とコラボすることで、私自身もいろんな刺激を得ていましたけど、feat.する相手との相性が何より大切なのをわかっているからこそ、今は「この人だったら心を許せるな」という人とだけ、feat.するようにしています。

■SoulJaさんは、その心を許せる中の一人なんですね?

青山 今ではそうですね。

■SoulJaさんと最初にコラボした時はそうではなかったと?

青山 あの時はきっかけが別のところにあったから。私がまだ高校生の頃、インターナショナルスクールの子たちがよく行くカラオケ店があって、私もよくそこで歌っていたんですけど、もともとSoulJaは学校の先輩で。SoulJaがそのカラオケ店でたまたま私の歌を聴いて、「音楽をやっているのか?」と聞いてきたから、私が「やってます!」って答えたのが出会いで。当時のSoulJaは、先輩としてめっちゃ怖い存在だったから、最初は本当に先輩後輩という関係でした。でも気がついたら、同じレコード会社に所属していて音楽に携わっていた。それもあって、先にSoulJaの方からfeat.のオファーがきたことで、『ここにいるよ feat.青山テルマ』が生まれたんです。でも実際にコラボレートしてみたら、同じインターナショナルスクール出身同士という背景もあり、彼が私に求めているものが的確だったから、その思いに答えていく中で「自然といい感じにfeat.出来たな」というのが当時の感触でした。それからは今もfeat.しあう関係にまでなっています。

■『ここにいるよ feat.青山テルマ』『そばにいるね feat. SoulJa』『はなさないでよ feat.青山テルマ』と、前3作までの女性は、ずっと「好き」の気持ちを胸に男性を待ち続けてきましたが、今回ようやく『いつまでも feat.SoulJa』で結ばれましたね!

青山 ようやくね。(笑) 実は今回のリリースに当たって、SoulJaから候補曲が2曲上がってきました。そのうちの1曲は『そばにいるね』を聴いて青山テルマの歌を好きになってくれたファンの方たちが喜びそうな曲調だったんですが、結果的にそちらではなく『いつまでも feat.SoulJa』の方を選んだのは、『そばにいるね〜』をオマージュした面もありながら、何より新しさがあったからなんです。ここまでの流れをわかった上で聴いてくれる人はもちろん、初めて青山テルマとSoulJaのコラボレート曲に触れる人でも楽しめる楽曲という理由から、『いつまでも feat.SoulJa』の方を選びました。

■テルマさんの場合、『そばにいるね〜』の印象がめちゃめちゃ強烈ですよね。「そのイメージへ寄り添いすぎるのも違うな」という意識もあったのでしょうか?

青山 もちろん『そばにいるね』のイメージを意識した方の楽曲もすごく良かったから、そちらを選んでも遜色はなかったけど、私自身が過去の栄光や実績にしがみつくのが好きではなくて……むしろそういうのが苦手な性格なので。それよりも新しい刺激を得られるのなら、そっちを求めたがる。だから「あー懐かしいな」という印象を覚えながらも、「新しいよね、これ」と思える『いつまでも feat.SoulJa』を選んだわけだし、その姿勢はこれからも変わらないと思います。

■同じ人とシリーズ化のように作品を形にし続けていけるのも、素敵なことだと思います。

青山 確かに15年経った今でも、同じ人とまた一緒に仕事ができるのって本当に素敵なことだと思います。SoulJaもそうだろうけど、私自身、「頑張ってきて良かったな」と思えたコラボでもありました。さっき「過去の栄光や実績にしがみつくのは好きではない」と言ったけど、でも過去を否定するつもりは1ミリもないので、むしろそれもずーっと大事にしてきたことで。『そばにいるね〜』は、今でもライブでは必ず歌いますし、テレビ番組の企画で「懐かしい歌」としてゲストで呼ばれる時も、私は『そばにいるね〜』を歌い続けてきました。もちろんSoulJaも一緒に歌える時は共演もしてきたし、それが難しい時でも、私はずっと一人で、今でも『そばにいるね〜』を歌い続けています。もし、私が「いつまでも『そばにいるね〜』の人じゃないから」とか、「昔の曲だからもう歌いたくない」という気持ちに1ミリでもなっていたら、今回の『いつまでも feat.SoulJa』は生まれていなかったと思います。なぜ「ヒット曲」が「名曲」と言われ続けているのかは、こうやって歌い継いでいるからだと思います。

■確かに。そうですよね。

青山 もちろん、本人が歌わなくとも、誰かの心の中にずっと思い出として残っていれば、その曲が長く支持されていくのはわかっているけど、自分の中では『そばにいるね〜』をいつの時代の中でも歌い続けてきたことで、この曲を守り、育て続けてきた気持ちが強くあります。時代を経て歌うことで、当時の状況を知らない若い世代にも「あっ、こんないい曲があるんだ」と改めてリーチできていることもそうだし、もちろん『そばにいるね〜』の曲自体がものすごいパワーを持った楽曲だからこそ、時代を越えて人々の心を打ち続けているんでしょうけどね。私だって何度この曲に救われたことか。いろんな時代の中で『そばにいるね〜』を歌い続けてきたからこそ、出会えた人たちだってたくさんいるし。だから、私はアーティストでいる限りこの曲を歌い続けていくし、その気持ちを当たり前に持ち続けますから。