AVRIL LAVIGNE VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ライブを想定してこのアルバムを作った。コンサートでプレイしたらすごく楽しいと思う。

2019年2月にリリースされた前作アルバム『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』に続く、アヴリル・ラヴィーン3年振り待望のニューアルバム『ラヴ・サックス』がリリース。デビュー20周年の2022年にリリースとなる記念すべき作品は、超ど真ん中のポップパンク全開の痛快な傑作となっている。誰もがアヴリルに望んでいた、まさしく彼女の真骨頂ともいえる作品について話を聞いた。

■ニューアルバム『ラヴ・サックス』の制作は、いつ頃から、どのような構想のもとでスタートしていたのでしょうか?またパンデミックの最中だったと思いますが、どのような心境でしたか?

AVRIL このアルバムはおそらく2020年の11月あたりから取り組んでいたかな。パンデミック中に曲を書いたり、いろいろな創作活動に従事していたの。どんな感じになるか、いろいろ試していたのね。そして、自然に自分がずっと好きだったものをやる方向性になっていったわ。1枚を通してロックンロールなアルバムを作りたいと思ったの。これらの曲をツアーに持っていって、ライブで楽しく演奏できるようにね。アルバムはとてもアップテンポで、ポップパンクなヴァイヴに溢れていて、最初から最後までポップパンクでオルタナティヴな作品になったわ。

■そうですね。確かに今作は全編アップビートなロックンロールで統一されていて、特にアヴリルのルーツであるポップパンクに回帰する、非常にスペシャルなアルバムになっていますね。今こういうアルバムを作りたいと思ったのはなぜでしょう?

AVRIL うーん、どうしてだろう?わからないけど、トラヴィス・バーカーと話していて、「スタジオでレコーディングをしよう」ということになったのね。その結果、ジョン・フェルドマンや、クールな人脈といっぱいお仕事ができることになった。マシン・ガン・ケリーや、ブラックベアーやブリンク182のマーク・ホッパスなどとのコラボレーションもできたの。最初から最後までオルタナティヴな作品で、ロックなアルバムを作りたいと思ったのよね。前作のアルバムがとてもディープで、バラード曲が多くてエモーショナルな作品だったから、このアルバムではとにかくロックして楽しみたかった。ハイスクールの時に好きで聴いて育ってきたのが、ブリンク182、オフスプリング、アラニス・モリセット、グーグードールズなどのロックっぽいものだったから、自分の持っていたルーツに戻ったという感じね。ヘヴィーなギターがいっぱい入っている感じのね。前作の『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』のようなアルバムの後に、こういったアルバムで楽しめたのはよかったと思うわ。このアルバムは『ラヴ・サックス』というタイトルで、なぜそういうタイトルにしたかというと、アルバムを作り始めた当初からそういった気分だったから。恋愛から少し距離を置いて、自分自身に集中していく必要があったの。恋にうんざりしてしまったというか、少し休みをとって、自分自身に時間を割きたいと思ったの。そういった領域に触れる内容の曲を書いていったわ。自分が恋愛で経験したこと、愛の中で気持ちが上下したりというようなことについて語っていったの。でも、音楽的には軽くて、楽しくて、面白い作品になっていると思うわ。

■ポップパンクそのものがここ数年、音楽シーンで再評価されていますが、今の時代にポップパンクのどんなところがアピールするのだと思いますか?

AVRIL 若い世代に共感を得たジャンルの音楽だと思うのね。音楽は繰り返し作用するものだから、またポップパンクがスポットライトを浴びる時期だったんだと思うわ。パンデミックの間にみんな音楽を聴いて、子供の頃に聴いていた音楽を振り返ったりして、また再発見したんじゃないかしら。私がまたそういった音楽に立ち戻ったのと同じような形で、みんな振り返ったんじゃないかな?私は自分のライブを想定してこのアルバムを作ったの。このアルバムの曲は、コンサートでプレイしたらすごく楽しんじゃないかと思うわ。

■今回、トラヴィス・バーカーのDTA Recordsに移籍しましたよね。トラヴィスやレーベルに何を感じて、どんな期待や希望を抱いて移籍したのでしょうか?またlabel bossとしてのトラヴィス・バーカーはどのような存在なのでしょうか?

AVRIL トラヴィス・バーカーと仕事をするのは本当に楽しいわ。私は今、彼のレーベルに在籍しているから、彼は今、私のレーベルの社長なのね。彼の素晴らしいところは、彼自身がアーティストでもあるということ。彼自身もクリエイティブ畑の人なので、彼と仕事をするのはとても楽なの。私のヴィジョンみたいなものも理解してくれるし、私がやりたいことをやらせてくれる。そういった自由を与えてくれるのね。それだけではなく一緒に楽しめるの。一緒にスタジオワークもやったり、曲を書いたり、彼が曲をプロデュースしてくれたりもしたし、最近では一緒にパフォーマンスもしているわ。

■トラヴィス・バーカー、ジョン・フェルドマン、モッド・サンの3人のプロデューサーそれぞれが、今作でどんな貢献をしてくれたか聞かせてください。

AVRIL 今回一緒に仕事をした人たちが良かったのは、みんなこの手の音楽を手がけている人たちだったから。みんなロックンロールのバックグラウンドを持っていて、ポップパンクシーンの中にいた人たちだったからね。例えば、ジョン・フェルドマンと一緒に仕事をした時、彼とは曲を一緒に書いたり、曲をプロデュースしてもらったけど、ものすごく共感できたし、私のことをちゃんと理解してくれたような気がするのね。もっと前に知り合っていて、一緒に仕事をしていれば良かったのにって思ってしまったわ。素晴らしいソングライターだし、素晴らしいプロデューサーだから、彼と一緒に仕事をするのはすごく好き。「いったい今までどこにいたの?!」っていう感じ。一緒に曲をいっぱい書いて、仕事をしたから、これからも一緒に仕事をしていくつもりよ。

■今作ではマシン・ガン・ケリー、ブラックベアー、ブリンク182のマーク・ホッパスの3人の男性シンガーとのデュエットを披露していますね。男性の視点を反映させることでアルバムに多面性が備わったと思うのですが、どんな意図でこれらのデュエットを企画したのですか?何かお手本にした曲などはありますか?また、どのような経緯で共演が実現したのでしょうか?

AVRIL 全てのコラボは、結構自然な流れで起こったものだったの。マシン・ガン・ケリーは、ウィー・ザ・キングスのコンサートでトラヴィス・クラークを通して知り合ったの。トラヴィスとは、『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』で一緒に曲を書いたりして仕事をしたのね。そんな経緯でマシン・ガン・ケリーと出会って、「一緒に曲を書いてみたい」というような話になっていたの。ずっと一緒に仕事をしたいとは思っていたのね。だから、実際にこのアルバムを作ることになった時に、彼はスタジオにやってきて、モッド・サン、ジョン・フェルドマンや、トラヴィスと私と一緒に仕事をしたわ。そして“ボーイズ・ライ“という曲を一緒に書いたの。スタジオにギターとアイディアを持ってきてくれてね。彼は素晴らしいソングライターで、一緒に作曲するのは楽しかったわ。そして、後にブリンク182のマーク・ホッパスと作業をしたんだけど、パンデミックに突入してしまったので、ZOOMを通して共作をすることになったの。それは私にとって今までにない体験だったわ。私の大好きなバンド、ブリンク182のメンバーのマークと一緒に仕事ができるのはとても楽しみにしていたわ。彼の仕事ぶりも見られたし、とても才能がある人で、素晴らしいソングライターなの。彼と一緒に曲を作れたことはとても嬉しかった。そして最後の方では、ブラックベアーと一緒に、“ラヴ・イット・ウェン・ユー・ヘイト・ミー”という曲を作ったの。