■SAIKIさん的に、正解を教えてほしい曲はありますか?
SAIKI ないです。私のなかには私の答えがあって、それを持って歌っているので。小鳩に「こういう歌詞だっぽ」とか言われても、「私はそう思わないなぁ」って。
■書いているのは小鳩さんなのに。(笑)
小鳩 「うん、じゃあ、それでお願いしますっぽ」って言いますっぽ。(笑)
SAIKI それによって曲の世界観も広がっていると思うので、それはそれでいいんじゃないかなって。
■そういうなかで、解釈が難しい曲はありましたか?
SAIKI それは毎回ですよ。「こいつ何言ってるんだろう?」みたいな。(笑)
小鳩 難しい漢字とかを使うと、「こんな言葉しゃべんないし、使わないし」って言われますっぽ。(笑)
SAIKI わからない言葉が出てきたら調べるんですけど、いろんな意味があるじゃないですか。「こういうのが出てきたけど、どっちの意味?」とか、そういうことは聞きますね。
■“Blooming”の「不妄語戒」とか、そりゃググりますよね。
SAIKI まず読み方を調べるところから始まりますね。ふもうごかい……へー、そういう言葉があったんだって。
■僕も調べましたけど、嘘をついてはいけないという仏教の戒めですよね。曲順的には不妄語戒の“Blooming”から“輪廻”になっていて、宗教感強いなって。(笑)
小鳩 確かに!また違う心配をされそうですっぽ。(笑) でも、海外のご主人様お嬢様は、BAND-MAIDの歌詞を見て日本語を勉強してくださったり、漢字を覚えてくださったりすることもあるんですよ。
SAIKI 小鳩自身も勉強しているよね。映画とか漫画とか、いろんなところから見つけてきて。
小鳩 「不妄語戒」も漫画で知った言葉ですっぽ。
SAIKI なんの漫画だっけ?
小鳩 ちょっと和テイストな漫画だったと思うんですけど、イントロデュースみたいなページに出てきた言葉で、意味を調べてみたら「おもしろいっぽ」と思って、歌詞に使いたいと思ったんですっぽ。普段からおもしろいな、使いたいなと思った言葉はメモしていますっぽ。
AKANE ライトノベルとかも読んでるよね。
小鳩 難しい言葉が多いものを選んで。(笑) でも、時間がないときは漫画とかのほうがさらさら読めていいですっぽね。
■“Blooming”の歌詞は、不妄語戒の漫画のストーリーと関連してるわけではないんですか?
小鳩 全然関連してないですっぽ。
■言葉から広げていって?
小鳩 そうですっぽ、そうですっぽ。
■それはそれですごいですよね。他に印象に残った歌詞はありますか?
AKANE そう考えたら、“azure”はシンプルにすっと入ってきたという意味で印象に残っています。他の歌詞と比べて、すごく素直な感じがするというか。
小鳩 この曲は最初に聴いたときに、爽やかな感じがとても強かったので、それに合わせて歌詞も真っ直ぐで前向きなものにしようと思ったんですっぽ。BAND-MAIDは暗い世界観の曲が多いので、ここらへんで明るい歌詞にしたいなと思いながら書きましたっぽ。
KANAMI これは彩ちゃん(SAIKI)には事前に話したんですけど、さくらももこさんが亡くなったあとに作った曲なんです。私、さくらももこさんの『コジコジ』が大好きなんですけど、亡くなられたときに何か残したいなと思って。それで、私のなかのさくらももこさんは、(『ちびまる子ちゃん』の)まるちゃんが「ウララ〜ウララ〜」って山本リンダさんの“狙いうち”を歌っているイメージが強かったので、メロディーは全然違うんですけど、その要素をイントロに入れたいなと思ったんです。あと、明るく爽やかに送り出したいなっていうことも意識しました。
■小鳩さんは、その話を聞いていなかったんですよね?
小鳩 ないですっぽ。あとから知りましたっぽ。
KANAMI いつも歌詞をこうしてほしいとかは言わないんですけど、ラストで「背中を風で押すから」って書いてくれていて、「すごいピッタリ!」って思いました。
■「悲しい色に染めたくは無いよ」とかも、いまの話そのままじゃないですか。
KANAMI だから「伝わってる!」って思って!
小鳩 あとからこそっと、こういうふうに言われることが多いですっぽ。
■以心伝心できたんですね。MISAさんが気になる歌詞はありますか?
MISA うーん……“カタルシス”の意味は?
小鳩 それ、彩ちゃんにも聞かれたっぽ。「心の浄化」みたいな意味ですっぽ。
■これも言葉から入った系の曲ですか?
小鳩 そうですっぽね。私はタイトルより歌詞を先に書くことが多いんですけど、この曲は一箇所“カタルシス”っていう言葉を使っていて、その意味合いが全体にも合うなと思って、最終的にはタイトルにしましたっぽ。
■この曲、めちゃくちゃエグい演奏していますよね。
AKANE ドラムはこれがいちばん苦労しました。本当に苦労しました。
■どこに苦労したんですか?
AKANE 言ってしまえば全セクションなんですけど。(笑) いつもKANAMIが打ち込んでくれたリズムを私が直すんですけど、KANAMIが作るリズムは細かいんですよ。でも、それがすごくかっこよくて、その雰囲気は残したいっていう気持ちと、簡略化はしたくないっていう気持ちもあったので、がんばって挑戦しようと思ったんですけど、手足の動きがすごくややこしくて。あと、ギターソロ中のタムまわしも、下から上に向かって叩いていくんです。
■ドラマーではないからこその動きというか?
AKANE そうですね。普通は上から叩いていく発想しか出てこないんですけど、下から叩いていってもいいんだなって。
KANAMI でも上手にレコーディングできたね。パチパチパチ。
AKANE もう発狂しながらやっていましたけど。(笑)
KANAMI 打ち込み音源を再現するのって、すごく難しいみたいで。でも、再現率も高くて、かっこよくアレンジしてくれたので、「すごい!」ってなりました。
■ふわっと鬼畜なこと言っていますよね。(笑)
小鳩 いつもそんな感じですっぽ。(笑)
SAIKI 「なんだ、これもできるのかぁ」って言ってました。(笑)
AKANE だから成長につながります。
KANAMI 「いまツーバスって、どのくらいのテンポでできるの?」とか。
AKANE それでできたのが“輪廻”です。(笑)
KANAMI あと10くらいはBPM上げてもいけるよね?(ニコニコ)
MISA 次のアルバムはもっと大変になりそうです……。(笑)
■MISAさんも“カタルシス”の演奏は大変でした?
MISA ベースだけだとそんなに……どうなのかな?
■もう感覚が麻痺してそうですけど、ベース的にいちばんキツかった曲は?
MISA 今回のアルバムだと“Dilemma”かなぁ。テンポが速いのに、動いたほうがかっこいいなと思って作っていったら、最終的にずっと動きっぱなしになって。まぁ、自分のせいなんですけど。(笑)