超学生 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■歌のニュアンスも“アンノウン・マザーグース”、“きゅうくらりん”、“ド屑”ではどれも異なりますが、曲の世界観に合わせて決めていく感じなんですか？

超学生　そうですね。第一は曲の世界観が解釈違いにならないように。でも「自分は今回こういうことをできるようになりたいな」っていうのも曲の解釈の上で含めたりはしています。“アンノウン・マザーグース”だったら、スピーカーのいろんなところからサブのボーカルが聴こえるものをやりたくて。そのためにメインは力強く歌った方が、いろんなところからの音が聴こえてもブレないかなと思って、強めの歌い方をしてみたり。 “ド屑”は変な言い方ですけど、口の中の形が分かるような歌い方にしたかったんですよ。音を聴くだけで、超学生がどんな口の形で歌っているか分かるような音にしたかったので、いつもよりちょっとマイクに近づいて歌ってみたり。いろんな歌い方をしているのは解釈があるからこそで、「どの歌い方がこの曲の主人公感を一番出せるかな」って考えた結果ですね。でもがなり声は逆で、自然に出しています。「ここでがなるぞ」っていうのも場合によってはありなんですけど、それってお洒落じゃないって思うことが多くて。良くも悪くもがなりって不自然な発声じゃないですか。普通に歌っていたらそうはならないので。なので、結果的にがなる箇所があるみたいな状態が今のところ好きですね。

■がなりも含め、ご自身の歌声の強みってどういうところだと思いますか？

超学生　比較的いろんな声が出せるんじゃないかなとは思います。いま僕はカバー曲がメインなので、いろんな歌い方ができるのが強いなと思っていて。それこそ週一で投稿っていうのもあるので、可愛い曲を歌ったり、病んでる曲を歌ったり、ロックな曲、ダークな曲とか、いろんな声で歌える方が僕も飽きないし、ファンの方も楽しんでくれるんじゃないかなって思いますね。

■声変わり前からずっと歌っていて、声変わり後も自分に合った歌い方などの模索もしてきたと思います。どのように今の歌い方を見つけていったんですか？

超学生　それはコメント欄ですね。YouTubeに挙げていると、コメントに秒数を書いて「ここの歌い方が好き」みたいなのを言っていただけたりするんですけど、それを見て汲み取って結果的に今の歌い方になっています。声変わりしてからも歌い方はめちゃくちゃ変わっていて、今後も変わっていくと思うんですけど、それは自分の歌を繰り返し聴いて研究してっていう方法じゃなくて、コメント欄から「ここが好きなんだ」っていう方法でやっているからこそじゃないかなって気がしています。

■なるほど。最近のオリジナル曲で言うと“Untouchable”と“Fake Parade”がありますが、“Untouchable”は、今まで歌っていたボカロ曲とは違った雰囲気のある楽曲ですね。

超学生　僕の中では、韓国っぽい、ちょっとエッジの目立つようなボーカルが真ん中にいる曲をみんなが今聴きたい感じなんじゃないかなって思っていたんですけど、“Untouchable”はまさにそれだなと思って。最初に聴いた時にタイトルコールから始まって、エッジを見せつけるかのようなメロディと歌詞。「僕がいつかやってみたいな」って思っていたことだったので嬉しかったですね。

■MVには谷口崇さんを起用していて、インパクトのある映像になっています。これは超学生さんの発案ですか？

超学生　そうですね。癖の強いMVを作ってみたいですねって話になって。高校生の時に谷口さんの「茂雄はハンサム」とかの動画がクラスの中でめちゃくちゃ流行ったんですけど、それを持ち込んだのが僕だったんですよ。ファンだったので、癖の強いMVと言えば真っ先に谷口さんかなと思いついて、お願いしました。

■“Fake Parade”はダークな雰囲気もある、がなりの得意な声質が生きた楽曲ですね。

超学生　この曲はずっと僕の声が鳴っているような曲なので、息つく間もないですよね。曲を聴く際、無意識に一緒に呼吸している方も結構いると思うんですけど、この曲はずっと歌っているから、聴く人もつられるというか。それも独特な中毒性を生んでいるようで、Twitterの反応とかコメントとかでも、「毎日聴いちゃう」みたいな反応が多かったですね。

■歌の雰囲気も1曲の中で何度も変わりますね。

超学生　スタジオで録音をして、作曲者の辻村さんにディレクションをお願いしました。「ここはもうちょっとこう」っていうのを、他のレコーディングよりもたくさん指導していただけたので、普段僕が作り上げるものよりも、曲にがっちりハマった流れになっているんじゃないかと思います。

■細かなディレクションを受けて勉強になった点もあったんじゃないでしょうか？

超学生　もちろんありました。それこそこの曲も真ん中でメインボーカルが流れている周りでいろんな声が鳴っていて。「こんなに鳴らしていいんだ」っていうのは勉強になりました。あと効果的にコピペが使われている箇所があるんです。普段同じメロディとか歌詞の部分があったらその都度歌い直すんですけど、この曲は切り貼りされているところもあって。それが結構気持ちいいところが多いんですよ。期待していた通りの音が連続で鳴ったりするといいなっていう。今までは根性論で何度も録り直すっていうのが僕の中にあったんですけど、この曲のおかげで「それはズルじゃないんだ」というか、「効果的になることもあるんだ」って勉強になりました。

■オリジナル曲と歌ってみたの違いってどういう部分にあると思いますか？

超学生　歌ってみたは趣味みたいな感覚って話したと思うんですけど、その分オリジナルが唯一の本番みたいな感覚になっていて。カバーってみなさん先に本家を聴いているじゃないですか。その上で「超学生がこういう風にやったら面白い」感覚を意識してやっているんですが、オリジナル曲って一次創作なので、この音源がみなさんが初めて聴く音源になる。アレンジのつもりでやっていることが正解の音になっちゃうじゃないですか。音程をあえて崩している部分があったらそれが正解の音になっちゃうので、そういうところは一番違う部分かなと思います。

■音楽活動以外で言うと、3月には「オールナイトニッポンX」への出演があったと思います。いかがでしたか？

超学生　いろんなところで反響があって。一番大きかったのはリアルな繋がりでいただいた言葉ですかね。高校生のときに仲良かった人たちと集まったとき、「お父さんが面白いって言ってたよ！」って話してくれて。そういう親世代の方たちって普段は僕の歌を聴かない層だと思うんですよ。でも「あの子がラジオに出るらしい」っていうので、聴いていただいた方も多かったみたいで。しかも「オールナイトニッポン」って、みんな知っているじゃないですか。なので、普段超学生の活動について感想を貰うようなことが少なかった層からお声をいただけるようになったのがありがたかったです。

■今回のラジオのように音楽活動以外でやってみたいことってありますか？

超学生　またラジオに出たい思いはあるんですけど、あとはファッションとか、アパレルとのコラボもしてみたいです。アニメとかで結構多いじゃないですか、香水のコラボとか、アイドルや女優の方だとカラコンとか。そういうプロデュース的なものにも挑戦してみたいですね。

■では音楽活動でこれからチャレンジしてみたいことを教えてください。

超学生　やってみたいこともちょっと前まではたくさんあったんですけど、今年すごい速度で叶えられていて。「こんなに早く叶えられるとは……」っていう感じなんですよね。今あるとしたら、主題歌をやってみたいです。あとは、曲作りもやりたいですね。それと、バンドの方ともご一緒できたらいいなっていうのがあって。これまでバンドにも曲を提供されているボカロPさんだったり、プロデューサーさんとご一緒することがあったんですけど、ご自身もバンドで活動されている方々とのコラボはなかったなと。そういったこともできる機会があればいいなと思っています。

Interview & Text：村上麗奈

PROFILE
弱冠20歳、2001年生まれの注目の歌い手。11歳の頃に初の歌ってみた動画を投稿して以来、コンスタントに動画投稿を続け、現在は週1本のペースで新作動画を公開している。YouTubeでのカバー曲総再生数2億4000万回以上！ベネチアンマスク越しに覗く端正な顔立ちと、それに相反するような“ガナリヴォイス”が話題沸騰中。次々と世代交代を繰り返すネットシーンのなか、人気大爆発中のヴォーカリスト。
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RELEASE
『Untouchable』