サイダーガール VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

サイダーガール『落陽/ID』

■じゃあ、好きなものは好きと言えていますか?

Yurin 僕は割りと言っている気はしますね。アイドルが好きなんですけど、ブログでも普通に書いているし(笑)、最近観た映画とかも、レビューサイトの評価が低くても好きなものもあるし。なので、自分に何が刺さるかっていうのがいちばん大事なんですよね。でもそれを強要するのはあんまり良くないなと思うので、「自分はこういうのが好きだから聴いてみて、観てみて、興味があったらね」みたいなことはやったりしています。

■なるほど。フジムラさんはいかがですか?

フジムラ 僕、高校時代に好きなアーティストを「ダサくない?」って言われたことがあって、そんなことないけどなって思いつつ、それが言えなかったんです。でも今は、ちょっと違う話になっちゃうんですけど、自分が今まで興味のなかったものにも挑戦していこうって思うんです。そうすることによって好きなものがもっと増えるかもしれないし、それは食べ物でも音楽でも映画でもそうだし、この自粛期間中にはまったゲームも、めちゃめちゃ好きってわけではなかったけど、やってみたら面白かったし。だから、僕はこのドラマのおかげでそういうことに気づき始めたというか、ちょっと成長させられているんじゃないかなって。このドラマによって、「これが好き」って言えるものをどんどん増やしていきたい気持ちになりましたね。

■それすごく素敵です。

フジムラ ありがとうございます。(笑)

■知らないことを知ること、知ろうとすること、そこから好きを増やしていくって、大人になるとあえてやろうとはしないことかもしれないし。

フジムラ そういう風になっていっていたんですよ。でもそれは良くないなと思って。

■世界がどんどん広がっていきますね。

フジムラ 広がっていけばいいなと思っています。

■“ID”は『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』のエンディング主題歌です。

Yurin この曲は、作り始めたのはもう1年くらい前?

フジムラ もっと前。

Yurin 2年くらい前か。いろいろあって、アニメ自体が延期になっちゃったり、この曲も最初これでいこうってなったとき、「ちょっとこの曲じゃないだろう……」ってことになり、3人でまた作ったんだよね。

フジムラ 年末くらいにね。

Yurin そうそう。また3人で作り直したんですけど、アニメ側から「この曲がいいです!」って言ってもらえたので、結局この曲になったんです。今回のシングルは2曲ともなかなかのオーダーがあったなという感じで、そういういろんな意図を汲み取りつつ作ったのは、今回が初めてでした。エンディングということで、ちょっとミドルテンポめがいいということだったし、歌詞も原作を読ませていただいて、世界観に寄り添えるようなものを書いていったので、僕の中ではザ・書き下ろしっていう感覚ですね。

■書き下ろしと普段作られる曲と、やっぱり違いますか?

Yurin 僕の場合は、テーマがあらかじめ決められていれば決められているほど、作りやすいというのはあります。今までにも何回かタイアップはあったんですけど、原作とか脚本とか読ませていただいたら、割りと歌詞はすっと書けるし。逆に何にもない曲、本当にゼロから作る曲の方が時間はかかりますね。そっちの方が好き放題できるのはできるんですけど。僕の中の感覚では、タイアップものだと50から100を作る感覚、そうじゃないのはゼロから100を作る感覚。なので、感覚としてはだいぶ違いますね。

■そんな中で、今回“ID”で書きたかったこと、伝えたかったことというのは?

Yurin 登場人物がみんなまっすぐで、自分に正直に生きているキャラクターばかりなんです。それがすごく素晴らしいことだなと思って。そういう中で、なりたい自分や理想とするものと現実の自分というのは、生きていくうえでどうしてもちょっとずつ乖離していく部分もあったりして。でも現実の自分こそが、僕はその人の個性だと思っているので、理想に近づいていくということは、ある意味自分の個性を消していく作業にも思えるんですよね。なので、今ある自分をちゃんと愛せるようになっていくことがいちばんいいことなんじゃないかなって。それは漫画を読んですごく思って、彼ららしい生き方をしていることがやっぱりすごく素敵だなということで、こういう歌詞になりました。

■なるほど。フジムラさんはこの曲、どういう印象でしたか?

フジムラ この曲は、最初難しいからどうしようかと思って。というのは、スピード感も出したいし、でもゆったり感も欲しいしってことを言われ、そこはレコーディングしながらやりとりしていったんですけど。

Yurin 音の鳴らない部分を意識して、弾いていない部分をカッコよく聴かせて欲しいって、僕からは言いました。

■難しい……。

フジムラ 難しいですよね。(笑) それで、ここはどうしてもスピード感を出したいってところがあったので、そこはガンガン攻めました。実際にアニメの映像を観たら、横スクロールというか、ゲームみたいに飛んでいて浮き出る感じで、ゆったりした曲にそういう映像がつくのも面白いと思ったし、自分がスピード感をつけたかったところもうまく入った気がするし、何よりテレビで観て感動しました。(笑)