「チャミ会」タイアップソングにまつわる音楽とお酒の楽しいカンケイ。
DURDNの書き下ろし新曲“Drink! feat. YonYon”が韓国焼酎(ソジュ)ブランド「チャミスル」公式飲み会サークル「チャミ会」Web動画に起用された。DURDNは「初めて飲んだお酒はチャミスル」と語る韓国出身のシンガー・Bakuと、トラックメイカー・SHINTA、トップライナー・yaccoによるユニット。今回のインタビューでは「音楽とお酒」をテーマに、日本語バージョンと韓国語バージョンがリリースされている新曲“Drink!”制作の裏側に迫る。
■今回の新曲“Drink! feat. YonYon”はチャミスルのテーマソングということで、DURDNのみなさんはお酒をよく飲みますか?
SHINTA 僕は実家にいる時よく飲みます。結構な頻度で実家に帰るのですが、その時によく飲んでいます。僕の母が結構お酒を飲む人なので、一緒に僕も飲んだりとか。
Baku 僕は一時期はよく飲んでいました。
■一時期……?何かあったんですか?
Baku 特に何も。(笑) バイト終わりの帰り道にコンビニに寄って、お酒を買ってひとりでよく飲んでいたんですけど、「この習慣はマズいな……」と思って辞めました。(笑)
■Bakuさんは来日してから5年ほどになるとのことですが、韓国でもよくお酒を飲んでいましたか?
Baku 飲んでいました。僕が初めて飲んだお酒はまさにチャミスルでした。最初はめっちゃ苦く感じたんですけど、今は水と同じ感覚で……。
SHINTA 「水と同じ感じ」はヤバいって!(笑) 味的な意味だよね?
■韓国では「最初に飲むお酒がチャミスル」ということがよくあるんですか?
Baku そうですね。地域によって違うとは思うんですけど、多分ソウルだとチャミスルが多いと思います。1番飲まれているお酒は緑瓶のチャミスルかな。
■ちなみに、定番のおつまみとかあるんですか?
SHINTA 韓国の方は結構がっつり料理と一緒に飲んでいるイメージがあるなぁ。
Baku オススメはちょっと値段が張るけどお刺身ですね。コチュジャンにお酢を入れた「チョコチュジャン」っていうタレにつけて食べるんです。でも、それをつけて食べるとほぼそのタレの味しかしないんです。(笑) なので、魚の味をちゃんと感じたい人は醤油にワサビがいいですね。(笑)
■あ、それ韓国のASMR動画で見て試したことがあります。確かにタレの味が強いですよね。(笑) 韓国の飲み会って「チャミ会」みたいな感じなんですか?
Baku そうですね。特に若者たちはそうかも。みんなでワイワイしながらの飲み会の方が多いです。
■その中心にチャミスルがあって……みたいな感じなんですね。まさに“Drink!”の歌詞やYouTubeに上がっている「チャミ会」の雰囲気というか。ところで、DURDNの音楽をお酒やお酒の飲み方に例えると何になると思いますか?
SHINTA ロックとかストレートではないよね。(笑)
yacco ソーダ割りとか、なんとか割りだと思う。飲みやすく……みたいな。
SHINTA やっぱり炭酸とか水割りとかの感じだよね。誰でも満遍なく聴ける音楽性という意味では、そういう感じですね。
■ということは……甘めのお酒でしょうか?
SHINTA でも甘すぎもしないんじゃないかなとは思います。甘いとたくさん飲めないじゃないですか。どっちかというと僕らの曲はスルメ曲が多いので、くどくないくらいで、あっさりしているので「何回飲んでも(聴いても)大丈夫!」みたいな。(笑)
■ちょっと大人のお酒という感じですね。最初に“Drink!”を聴いた時は、友達との飲み会というよりも仕事のチームの打ち上げという感じがしました。どういった場面をイメージして作詞をされたんですか?
yacco まさに仕事の打ち上げで……って感じです。「嫌なことを忘れよう」というより、「これからも頑張ろうよ」っていう。結構前向きな飲み会をイメージして書きました。自分は音楽をやりながら正社員として働いてた時期もあったので、その時の感じを思い出しながら。
■歌詞が韓国語バージョンと日本語バージョンとで違うのはなぜですか?
yacco 今回は翻訳したものを作ろうというのではなく、完全に別物を作りたいと思って書いているからなんです。なので、Bakuが書いた韓国語部分の歌詞は全く違ったものになっています。
■みなさんのお気に入りのフレーズはありますか?
Baku 僕は日本語バージョンのDメロの「この先のこの先も分からないことばっか~」のところが好きです。
yacco 私もDメロですね。「空を飛んでみたいとか」のように、現実離れしたことを歌詞に入れるのが好きなので、今回はそれができたからすごくハマったなと思います。
SHINTA 僕もDメロが好きなんですけど、結構ハマったなって思ったのは「酔いが回って豪快に~」の所です。サビの2回し目っていうのかな、この辺りは日本語、韓国語どっちもヒットしたかなって思います。
■MVでは作曲風景が描かれていますが、実際の作曲風景もあのような感じなんですか?
SHINTA ちょっと脚色はしていますけど、大体あの感じですね。僕がデータを送って、yaccoが歌詞とメロディを書いて、Bakuが歌って……みたいな感じなので、一緒の場にいるとMVのようになりますね。そのやり方は初期から変わっていなくて、基本的にyaccoを仲介してデータがやり取りされているので、最初の頃はコロナ禍ということもあって、僕とBakuが会うことはほとんどありませんでしたね。
■いかにも「現代」の作り方ですね。SHINTAさんとBakuさんが初めて会ったのはいつですか?
SHINTA 実際に会えたのは7曲目ができて、EPの収録の時でした。(笑) 第一印象は「背がおっきいな」でした。(笑) それ以外は割りと歌を聴いている感じと一致しました。
■“Drink!”を歌っていて一番気持ちいいところはどこですか?
Baku やっぱりDメロですね。でも韓国語バージョンの方にはDメロが無いんですよ。
■あ、確かに無いですよね。それはなぜですか?
SHINTA 韓国語バージョンはチャミスルさんのタイアップとして制作するという感じだったので、「日韓の感じ」を出したかったんですけど、日本語バージョンはもうちょっと情緒的というか、エモーショナルな部分を出したかったんです。1回サビが来ずにDメロを挟むことで、より情緒的になると思います。それにyaccoはDメロ職人なんですよ。アレンジ的な話だとライブのことも意識しています。日本語にするとみんなにも歌ってもらえる部分もありますしね。
■なるほど!ライブも意識されますもんね。
SHINTA あと、日本語の発音って「流れる」感じじゃないですか。だから音が長いフレーズは韓国語よりも日本語の方が入るから、日本語バージョンの方にハメやすいという部分もあるかも。
■このDメロは日本語バージョンと韓国語バージョンの違いが大きく出た箇所なんですね。メロディの「ミソ」もDメロですか?
yacco そうですね。メロディは最小限に、無駄なものを省いた感じにできたのでお気に入りです。あと、サビのメロディに「チャン(※韓国語で乾杯の「チン」を意味する)」を入れたところもポイントですね。そこはかなりキャッチーにしようっていう意識で作りました。
SHINTA 超違和感なく「チャン」が入っていることにビビりました。(笑) 僕がトラックを作ってから1時間ぐらいでできていたよね。
yacco 「チャン」を入れて欲しいっていう要望があって、「どこに入れようかな?」って思っていたんです。「チャン」っていう響きは日本にはあんまりなくて、すごく可愛らしいなと思って。「これをサビのフックにしたらキャッチーになるんじゃないかな」と思って、SHINTAがトラックを作っている最中に、もうメロディが浮かんでいました。
■印象深いフレーズを作るコツなどはありますか?
yacco 私は理論的に作らず、鼻歌で作曲することが多いので、コードに(音が)当たっちゃう時もあるんです。その時はSHINTAが訂正するんですけど、鼻歌でいろんなメロディを歌ってみて、その中の忘れないメロディを曲にハメ込んでいくっていう感じで作曲しているので、その辺がハマるのかなと。
SHINTA まさに“Drink!”のサビのメロディはコードと乖離しちゃっているところがありますが、あえてそこはそのままコードに合わせないことでキャッチーさを残したいということで、そのあたりは解釈の問題なので「イケる」という結論に至っています。DURDNの曲ってそういうのが結構多くて、前作の“apart”も理論的には1箇所破綻しているところがあるんですけど、その破綻している感じが逆に気持ちいいんです。(笑)
■“Drink!”は冒頭のパーカッションのチャカチャカした音もイイですよね。
SHINTA ありがとうございます。あれはもうまさにチャミスルの瓶を叩く音っぽいサウンドにしています。