自分の曲に対して「わかる、わかる!」と思いながら作っているから、私が一番の曲のファンです。
代表曲“あなたへ贈る歌”がYouTubeにて3600万回以上再生され、告白や失恋について歌った楽曲=『告うた』が女子中高生を中心に幅広い層に波及しているシンガーソングライター、erica。彼女が今年に入り、2月、3月と2カ月連続配信にて新曲“3分の歌”、“今カノさんへ”をリリースした。前者は勇気を振り絞って好きな人に告白する曲、そして、後者は別れてしまった元カレに対する気持ちを彼女らしい独自の切り口で描いた曲になっている。対照的な2曲と言えなくもないが、どちらの楽曲も「前に踏み出す」ための人生の応援歌的なメッセージソングになっている。YouTube活動にも精力的に励んでいるericaに話を聞いた。
■ericaさんは今年からVlogを始めましたよね。そこで見る曲作りの様子や立ち振る舞いがめちゃくちゃ可愛いくて、めちゃくちゃカッコ良くて、すごく面白いですね。
erica えっ、誰もそんなこと言ってくれないですよ!
■約13分くらいある動画なので長めですが、飽きずに最後まで夢中になって観ました。
erica 初めて言われました!嬉しいです!
■今アップされているVlogも、もれなくすべて面白かったですよ。レストランで言えば、厨房までガラス張りにして、素材選び、調理過程、完成品までエンタメにする見せ方ですが、そもそもericaさんがVlogをやろうと思ったきっかけは?
erica アーティストの裏側を見せない方もいると思うんですけど、私は路上ライブ育ちだし、ファンとの距離も近かったんですよ。それで、最初にファンからいただいたお手紙に曲でお返事返しをずっとやっていて、“あなたへ贈る歌”はまさにそういう曲なんです。当時はまだYouTubeも流行っていない頃にアップして…聴いてもらえるツールとして挙げただけだったんです。それから時代も移り変わり、お返事返しをしている過程も全部撮っちゃえって。だから、私としては昔からやっていることは全く変わらなくて。ただカメラを回しているか回していないかの違いだけなんですよ。自分の中では新しいことをやっているつもりはないんですけど、全見せしていますからね。本当は途中でラーメンを食べているところも流したいくらいなんですけど。(笑) あの映像自体はずっと長い時間撮ったものを13分くらいにまとめているんです。
■そうなんですね。とても自然な編集なのでカメラをそんなに長く回しているとは思いませんでした。
erica ごはん食べたりもしていますからね。そういうところはカットされています。(笑)
■Vlogのericaさんの様子を見ていると、学校の先生のようでもあり、ラジオDJのようでもあり、変な言い方ですけど、まるでイタコのような役割も果たしているなと。
erica えっ、イタコ!?
■ファンの手紙を読んで、その気持ちを自分の体内に一度取り込んでいる姿は、そういう風に映りました。(笑)
erica ああ、そうですね。私の場合は一度その子になるんですよ。それで「その子だったらどうするか」というパターンと、「その子に相談された友達」というパターンの2タイプあるんです。自分と共通点が多い場合はその子になれるけど、共通点が少ない場合は相談された友達みたいな形になるんです。相談のパターンの場合、先生っぽい雰囲気が出ているのかもしれないですね。(笑)
■特に“浮気男の歌〜あの子にあげる〜”のericaさんの共感っぷりは凄まじいですね。「最悪!!」と叫んでいて。
erica はははは。本当はもっと怒りたいけど。(笑)
■ericaさんの曲に共感するリスナーは多いと思いますが、何よりもericaさんの共感力が半端じゃなくて。
erica 私の共感力は一番だと思っています。自分の曲に対して「わかる、わかる!」と思いながら作っているから。私が一番の曲のファンですね。(笑)
■そのericaさんの曲に対する熱量が、聴いている人たちにも伝わるんでしょうね。そして、昨年は正式音源のリリースはなく、どちらかと言えばYouTubeの方に本腰を入れた活動が多くなりましたよね?
erica そうですね。実は去年リリースしようと思ったんですけど、もっと自分が作りたい曲を作ろうと。そこでいろんな曲が生まれて、リリースがたまたま今年になっただけなんです。去年は曲作りと毎週配信をやっていたので、その配信をVlogに変えているだけですからね。
■Vlogの最後に流れる締めの言葉もいいですね。
erica 自分でVlogを見ていて、「本当に伝えたいことを言ってないな、この子」って思うから、それを最後に付けたんですよ。「私が言いたいことはこういうことですよ」って。
■曲作りの過程を見ていると、ericaさんが歌でやろうとしていることは「心のお医者さん」なのかなと。
erica あれは全部、自分に言っているんですよね。私のテーマが「自分の好きな自分になる」、「相手に求めるのではく、自分が変わることで、相手も変わる」とか、自分主体で考えるようにしているんです。だから、少しハードル高めの言葉を自分に向けているような感覚なんです。
■自分だったらこういう言葉をかけて欲しいと?
erica はい、ダメな自分を叱るような感じですね、「しっかりしなよ!」って。普段はこうしてよく喋る方なんですけど、自分のことをアピールすることも昔から苦手なんですよ。それは自信がないからだなと思って……。それで生まれてくる曲が多いんですよ。だから、ファンの手紙もそういう内容が多くて、みんな誰かと比べちゃうし、みんな「自分なんて」という気持ちがあるし、綺麗事だけじゃないリアルな部分をそれぞれ持っていると思うんです。そういう部分を共感してもらえたらいいなと。Vlogではそういう自分のプライベートを見せているので、共感しやすいんじゃないかな。
■後悔する人生を送らないように!ということも、ericaさんが伝えたいことの一つなのかなと。
erica そうですね。後悔するなと書いているけど、でも大体後悔するんですよ……。だから、大きな後悔をする前に一度立ち止まるポイントになればいいなと。小さな勇気やきっかけって、なかなかないと思うんですよ。私は映画や本を読んだ時に、いつも「よし頑張ろう!」と思うんですよ。でもそのきっかけは毎日あるものじゃないから、ちょっとしたきっかけになれればいいなと思って。一歩の勇気って、すごく大事だと思うから。私が家を飛び出して、音楽業界に入ったのもそうですからね。路上ライブをやろうと思った一歩もそうだったし、その一個一個の勇気が次に繋がっていますからね。
■恋愛だけに留まらず、生き方にも繋がりますよね。
erica そうですね。10何年間、恋愛を歌ってきたけど、そっちの方向にどんどん変わっていますね。恋愛の前にまず自分だなと。自分がダメな時は恋愛も上手くいかないし、自分が上がっていかないと、周りの環境も変わらない。部屋にお菓子ボックスみたいなものを作ると食べ過ぎてしまうんですよ。だから、それも全部捨てました。炊飯器も捨てましたからね。
■炊飯器も!?
erica 0か100か、みたいな性格なので。(笑) いいストイックならいいんですけど、ダメなストイックに行く傾向もあるんです。バロメーターがおかしいので、そこは気をつけなきゃいけない。