GARNiDELiA VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■tokuさんはこの歌詞を見た時、どう感じましたか?

toku 最高ですね。

MARiA もっとあるでしょ!(笑)

toku サビを語れるような、ラップに近いような感じにしたいっていうのもあって、音符をすごくいっぱい入れたんですよ。それで最後の最後で王道歌謡風の終わり方をするみたいな。ここで決まるなと思っていたので、曲を渡す時もここだけが僕は心配でしたけどね。

MARiA そこは私も感じ取っていたよ。「ここへの期待感すごいな!」みたいな。(笑)

toku あとは曲で言うと、一曲を通して転調しないとか、そういうのを改めてやろうかなって思って。途中で転調すると、キックのピッチと合わなくなったりすることもあるなと思って。最近、洋楽でもキーを固定して同じコード進行でいくってことが増えた理由は、そこにもあるなと思うんですよ。そういう意味でも、キーを変えることで「ハッ」とさせるのではなくて、ちゃんとメロディで「ハッ」とさせるような楽曲を今回は目指したかったなっていう感じです。

■10月には「踊っちゃってみた」シリーズの新曲“謳歌爛漫”がリリースされますが、217さんとみうめさんとの3人のコラボはこれがラストになるんですよね?

MARiA 「ついにこの時が来てしまったか……」っていう感じではあるんですけどね。11年くらいずっと一緒に頑張ってきた仲間だし、この3人ってやっぱり特別だったから。自分たちの音楽人生にすごく意味のあるというか、いろんな出会いとチャンスをくれて、ガルニデにとっては看板にもなって。それくらい大きなプロジェクトになったし、世界中で待っていてくれる人がいる「踊っちゃってみた」っていうブランドができたと思います。そのおかげでアジアツアーをやったり、和メロといえば、みたいなところから今回の“幻愛遊戯”とかにも繋がっていったのかなって思うんです。だから、このプロジェクトが終わるっていうのは現実なんだけど、まだ現実味がないというか、シンプルに寂しいっていうのはすごくあって。でも「ちゃんとけじめをつけて終わらせないと駄目だよね」って。ふわっと「みうめバイバイ!」っていう感じではなくて、しっかり花道を敷いて、「みんなにありがとうを伝えられる作品をちゃんと残さないといけない」っていう使命感に駆られたので、絶対に作ろうって。ステージを降りるっていうことを選択したみうめに対しては、はなむけの曲なんだけど、その答えを選ぶのにもすごく覚悟がいったであろうみうめに対しての応援歌でもあり、「踊っちゃってみた」シリーズのグランドフィナーレみたいな想いはあります。「やっぱりうちらには湿っぽいのは似合わないから、ぶち上げていかないとね!」みたいなところはあって、曲作りは難航していましたが、その思いが強かった分、tokuも珍しくすごい時間をかけて作っていました。(笑)

toku ガルニデ史上一番時間がかかったかも。今までの「踊っちゃってみた」楽曲のフレーズだったりパーツを少しずつ入れて、「ここ聴いたことあるな」っていうのをちょっと匂わせつつ……シリーズの集大成を意識した感じの楽曲になっています。

MARiA 同じく歌詞も今まで書いてきた詞とかを見返しながら、いろんな要素を持ってきてっていう感じで書いています。書きながら自分でも「グッ」ときちゃって……。10月21日のハロパが3人でステージに立つのは最後だから、そこの情景とかも思い浮かべながら書きました。

toku 曲としてはすごい盛り上がる感じにはなっているんですよ。

MARiA テーマは花火にしたし、華やかにね。作品は残り続けるし、うちらの「踊っちゃってみた」っていうブランド自体も、私たちがもう踊ることはなくても、いろんな人がいろんなステージで踊ってくれたり、世界中のファンの人たちが繋いでくれるのを信じているから。そういう気持ちもこの曲には詰めて書いてます。

■花火というテーマはどこから思い浮かんだんですか?

MARiA グランドフィナーレ感みたいなのをどうやって出そうかなってなった時に、「一発打ち上げとくか!」っていう感じだったんですよ。華やかに夜空を彩るというか、あの華やかな瞬間ってずっと目に残り続けるし、そういう終わらせ方にしたいと思って。あとは“極楽浄土”は和風文化を広めるために作って、そこから道が広がって「踊っちゃってみた」もずっと進化し続けてきたので、和風文化みたいなことも入れたくて。儚さと華やかさがどっちも見られる日本の文化はやっぱり花火だなと思ったので、このテーマにしました。tokuに「花火の音は絶対に入れたい!」って言ったら「えー!」って言われたけど。(笑) 「花火の音って入れるの難しいんだけど……」って。

toku 「ここは紛争地帯か……?」ってなるんだよね。(笑)

MARiA そうそう。花火の音ってあれ火薬の音だから、目をつぶって聴くとわかんなくなっちゃうんですよね。(笑) だからそこを上手いことちゃんと花火にしないといけなくて。そこの葛藤はありましたけど。

■今後も3人では踊らなくとも、MARiAさんの「踊っちゃってみた」としての活動がなくなるわけではないんですよね?

MARiA もちろんです。“宵闇胡蝶”とかは中国の踊り手の子と2人でコラボしたり、他の曲では5人でやることもあったし、6人でやることもあったし。そもそも「踊っちゃってみた」っていうのは、「私が踊っちゃってみた」っていうところからスタートしているから、それ自体は新しい作品でも作るかなとは思うんですけど、みうめのポジションを誰かに変えてとかは絶対やらないので。217とみうめとMARiAのこの3人でっていう作品はこれが最後ですね。

■12月には東京と大阪で2022年を締めくくるライブが予定されていますね。

MARiA まだどうなるかはまったく見えてないね。(笑) 結構セトリとかライブのパッケージは、その時々の気持ちでめちゃくちゃ変えるタイプなので、「この楽曲を今だからやりたい」みたいなのも出てくると思うし、この新曲たちがどんな展開をしていくかで12月の内容も結構変わりそうだなと自分の中では思っていて。なので「今どんなライブをしますか?」って言われても「なんのライブでしょうね?」っていう感じではあります。(笑) その時に来ている流れも拾っていきたいし、掴んでいきたいから、それによっても自分たちがどんなセトリを組むかも変わってきそうだなって思っています。あとは来年に向けては、海外の動きも活発になっていくかなって思っていて。世界各国で応援してくれていたみんなのところにも行きたいですね。だから、12月のライブは2022年の締めくくりとは言いますが、2023年に向けてのスタートみたいなライブが出来たらいいなと思います。

■2022年は去年のツアーから始まり、いろんなライブやソロでの活動があったと思います。年始のライブと年末のライブ、もちろん様々な違いがあると思いますが、「こういう成長や変化があるんじゃないか」という予測はついたりしていますか?

MARiA マインドがかなり変わったかな。『Duality Code』のツアー中は、ツアー自体が完走できるかどうかっていうのでビビっていたところもあったけど、それが無事に終わってから、目まぐるしくずっと制作みたいな。いろんなことを考えている暇もなくて、とにかく制作していって。それをずっとやり続けていたら、「もうなんでもできるわ」ってなってきちゃったんですよ。元々私はだいぶ強かったんですけど、「もっと強くなっちゃったな……」みたいな。だから、今はすっごい楽しいですね。不安とかが全くなくなって、2021年のマインドとは全然違う私たちがいる。それが歌詞にも出ていると思うんです。『Duality Code』を作っている時は、「まだ未来がどうなっていくかわからない、でも頑張らなきゃ」って奮い立たせるために書いていたけど、でも今はそれを全部ぶっ飛ばして、「やっぱ音楽楽しいー!」みたいな感じなので。ここからフェスも続くし、イベントも出たりライブの回数も増えていくし、その中で新曲の制作にも入っていくっていうことは、テンション上がったまま書けることも、挑戦することも増えていくと思うので、勢いを取り戻していける実感があります。なんなら勢いは倍で増していくんじゃないかな。どんどんパワーアップしていけそうな予感はしています。

toku そうですね。やれることをやっている感というか、どんどん次の曲とか、イベントとか、ライブをやっている感じは、ファンの方たちにも伝わっているかなと思うんですけど、ライブに来てもらえるように、Twitterだったりとか、SNSもそうですけど、いろんな角度から僕らを知って欲しいというか。僕らはやっぱり「音楽で惹き留めたい、掴みたい」と思っているので、サブスクとかが全盛になってきて、音楽と近くなってきている世代の人たちに向けても、曲のアレンジや今伝えるべきメッセージを常に考えています。(笑) だからこうやって取材していただいて、僕らを知っている人、知らない人たちにも今考えて伝えていきたいっていうことを伝えられるのはすごくありがたいことだと思うし、是非これを見た方はサブスクでもなんでもいいので、ぜひ僕らの音楽に触れてみて欲しいです。いいと思うので。(笑) 音楽は僕らが発信しているんだけど、どこか人の手が加わってとか、口伝えで伝わることがミュージシャンとして残っていくための手法というか、あるべき姿かなと思うので。この記事を見た方は是非僕らの音楽を聴いてみて欲しいと思っています。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
女性ボーカリストMARiA(メイリア)とコンポーザーtoku(トク)の二人によるユニット。ファッションブランドのモデルも務めるなど、同世代の女性から支持を集めるMARiAはGARNiDELiAのアートワークや歌詞を担当。GARNiDELiAのサウンドプロデュースを担当しているtokuは、数々のアーティストに楽曲提供やプロデュースをおこなっている。2014年3月にTVアニメ『キルラキル』2nd OPテーマとなる『ambiguous』でメジャーデビュー。デビュー以来10枚のシングル、2作の配信シングル、5枚のアルバムをリリース。2016年に動画共有サイトで発表したダンス動画、“極楽浄土”がアジア圏を中心に爆発的なヒットとなり、動画総再生回数は7,000万回を突破。さらに“踊っちゃってみた”と名付けられたダンス動画シリーズは全10作品となり、累計1億回再生を超え、全世界で注目を浴びている。多岐に渡るGARNiDELiAの音楽性と、圧倒的なパフォーマンス力は世界中で話題となっている。
https://www.garnidelia.com/

RELEASE
『幻愛遊戯』

配信限定シングル
https://lnk.to/GRND_genaiyugi

ポニーキャニオン
9月30日 ON SALE

『謳歌爛漫』

配信限定シングル
https://lnk.to/GARNiDELiA_streaming

ポニーキャニオン
10月19日 ON SALE