橋本裕太 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■橋本さんは中国語でも作詞されていますが、ご自身で全て作られているんですか?

橋本 もちろん辞書などは引いているんですけど、それでも作詞ってなると、僕が書く中国語の詞は、中国の人たちからするとめちゃくちゃ変らしくて……。(笑) きっと海外の方が日本語の詞を書くような感じに見えているみたいです。僕はその時の自分の能力で書いたものを出しているので、作文をそのまま歌っているみたいな感じに思われているらしいんですよね。(笑)

■中国の曲って、日常会話レベルの語学力で聴いても、なかなか言葉の意味がわからないものが多くないですか?
 
橋本 そうなんですよ。中国語って1単語に含まれている意味がめちゃくちゃ深かったりするから、日本語ではそのまま訳せないものも多かったりします。でも周りに聞いてみたら、人によって解釈が違うからそれでもいいのかなって思いました。

■中国と日本のファンの人たちはどう違いますか?

橋本 中国にいると、僕は「外国人」っていう立場なので、言ってみれば話す言葉も「赤ちゃん言葉」なんです。だからみんな親目線のようで、見守ってくれている感じです。外国語だと成長がわかりやすいじゃないですか。その成長の1個1個にリアクションしてもらえます。(笑) そういう所にフォーカスして、ちゃんと認めてくれたりとか、褒めてくれたりとかするので、すごくあったかいなと思います。

■ライブの楽しみ方とかは日中で違いはありますか?

橋本 中国でのライブでは、公演にもよるとは思うんですけど、全編お客さんにスマホで撮影されていたりしますね。(笑) それに友達とテレビ電話しながら観ている人なんかもいるんですよ。(笑)

■テレビ電話をしながら買い物をしている人は街中でも見ますよね。(笑) さて、今回のニューシングルにはタイトル曲の“愛を知っている”の他に、“花見(SAKURA)”と“My luv”が収録されていますが、それぞれどんな曲ですか?

橋本 “花見(SAKURA)”は、いきものがかりさんの“SAKURA”の中国語カバーです。

■タイトルはなぜ“SAKURA”から“花見(SAKURA)”になったのでしょうか?

橋本 「花見」って日本の文化じゃないですか。だから、日本人が中国語で日本の曲を歌う、タイトルはちょっと変わって“花見”……みたいな感じです。

■“上を向いて歩こう”が“スキヤキ”になるような感じですか?

橋本 そうそう。(笑) 中国語の訳詞はお願いして書いていただいたのですが、意味としてはそんなに遠くないです。でも「桜」だけじゃなくて、季節に限定し過ぎない感じもあります。

■もう1曲の“My luv”はどんな曲ですか?

橋本 僕が全て日本語で作詞・作曲をしました。テーマは「別れ」です。去年、僕にとってすごく大きな別れがありました。愛犬との別れなんですけど、その時に思ったことだったり、常々そのわんちゃんに対して思っていたことだったりを歌詞に乗せて、ポップな感じで歌っています。その経験をラブソングに落とし込んでいるので、普通にラブソングとしても聴けると思います。

■音楽の好みとしては、橋本さんはどんな曲を聴かれたり、影響を受けたりしているのでしょうか?

橋本 僕はゆったりとしたバラード系が好きですね。アーティストさんだと……難しいな。いつもこの手の質問には答えで悩むんですよね。(笑) ミスチルさんは大好きですし……。

■では「よく聴くアーティスト」ではいかがですか?

橋本 でも流行っている曲はよく聴きますよ。あと、back numberさんは書く歌詞にすごく人間味が出るじゃないですか。そういう楽曲が魅力的だなと思うんです。でも僕は影響を受け過ぎちゃうタイプで、芸術的なものに触れると、時々考え過ぎて訳がわからなくなっちゃったりするんですよ……。だから、あまり自分から進んで見に行ったり、聴きに行ったりすることが減りましたね。

■その感覚は「めちゃくちゃわかる人」と「全然わからない人」に分かれると思います。(笑)

橋本 曲だったらその1曲しか聴かなくなっちゃうとか。そういう意味では「広い視野」ではなくなっちゃうじゃないですか。ハマり過ぎちゃうのが怖いんです。

■さて、2月10日にはバースデーライブが開催されましたね。ワンマンライブは久々ですか?

橋本 約4年ぶりですね。ここ数年は長時間ステージに立つことがなかったので、リハーサルではバテバテでした。(笑) ファンミーティングや、中国でのブッキングイベントはあったのですが、そこで歌うのはいつも3曲とかで……。今回のライブでは15曲歌いましたから。リハーサルでは各曲を4回ずつ歌って、7時間ほどかかりました。

■それはバテますよ。(笑) 今回はどういったセットリストになりましたか?

橋本 今回はあえて日本語の曲だけのライブにしました。中国語の楽曲は一切無しで。久々の日本でのライブだし、待っていてくれたファンの人たちへの感謝でもあるから、日本語だけでやらせていただきました。新曲はこのライブが初披露となりました。

■演出などでこだわった部分はありましたか?

橋本 コロナ禍でリモートが普及したので、電話のSEを使ったりとか、舞台裏からMCをしてリモート感を演出し「こういうのもあったね~」みたいなことを試みたりしました。全体としては懐かしいワンマンライブの形になったと思います。

■そうしてバースデーライブを終えた橋本さんですが、30歳までにしたいことはありますか?

橋本 自分をストイックに痛めつけることですかね。(笑) それにもっとワクワクしたいです。ひとつひとつの物事に対して、もっとワクワクできるものを自分に用意してあげたいと思います。

■橋本さんはどんなことにワクワクするんですか?

橋本 音楽やっている時はもちろんワクワクするんですけど、多分もっとあるんだと思うんです。それこそ音楽と出会った時のワクワク感とか、音楽の世界がどういうものかわからなかったからこそのワクワク感とか、そういうのって未知数だから、すごいエネルギーになるんですよ。それをもう一度味わいたいなって思っています。

■それなら、もしかしたら来年の今頃は雪山登山とか、バンジージャンプとかしているかもしれませんね?(笑)

橋本 かもしれない~!もしかしたら。(笑)

■最後に、読者のみなさんに一言メッセージをお願いします。

橋本 今回の“愛を知っている”は、「魔道祖師 完結編」のEDテーマなので、「物語は終わりを告げる」という表現があったり、“花見(SAKURA)”は春に合う別れの曲だったりもするし、“My luv”もお別れの曲だったりと、意図せず卒業シーズンにぴったりな作品になったので、ぜひたくさんの方にお手に取っていただきたいです。今はCDってなかなか出す機会がないんですけど、今回は形に残るCDとして出せるので、たくさん聴いていただきたいなって思います。

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
仙台出身のソロボーカリスト。彼が持つとろける様な歌声に、ファンからは「メルティーボイス(とろけ声)」とも呼ばれる。SNS上でのオルゴールカバー動画は現在5000万回再生を突破し、10代~20代の女性を中心に圧倒的な人気を博す。2018年にAbemaTV「恋愛ドラマな恋がしたい」に出演し、ブレイク。身長は180cmと、モデルにも劣らないルックスも持ち合わせており、1stアルバム『CHANGE』は、歌ネットランキング1位、iTunesランキング5位、LINE MUSICランキング9位を獲得する好調ぶり。2019年9月より中国・上海を拠点に活動を開始。
https://hashimotoyuta.com/

RELEASE
『愛を知っている』

期間生産限定盤(CD+BD)
SECL-2842~3
¥2,750(tax in)

SME Records
3月15日 ON SALE