清水美依紗 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

今作はドラマに寄り添った作品になったので、ぜひドラマと一緒に楽しんでもらえたら。

清水美依紗が、10thデジタルシングル『Finale』を1月11日にリリース。今作はテレ東系ドラマ24「家政 婦クロミは腐った家族を許さない」の主題歌となっていて、「家族」、「正義」、「愛」とはなにかを考えながら歌い上げ、ドラマに寄り添いながらも彼女の新境地を表現したような楽曲となっている。現在ミュージカル俳優として、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役として出演中で、3月7日(金)に公開となる音楽と魔法が彩る感動のエンターテインメント超大作映画『ウィキッドふたりの魔女』では、日本語吹替版のグリンダ役にも決定した彼女に、今作についてはもちろん、ミュージカルについてや、初挑戦となった吹替についてもいろいろと話を訊いた。

■VANITYMIXでのインタビュー取材は、夏にリリースした『Wave』の時以来、約半年振りの取材になります。今回は年明け最初の取材になりますが、今年2025年はどんな1年にしていきたいですか?

清水 今年はプライベートでも仕事でもいろいろなことに挑戦していきたいです。本当にありがたいことに 今は幅広くいろいろなお仕事をさせてもらえているので、自分らしさは忘れずに、自分の軸は絶対にブレることなく、自由にやっていきたいです。

■前回の取材の時にSolo Tour『Roots』に向けての意気込みをお聞きしましたが、実際にライブをやってみていかがでしたか?

清水 やっぱり今回のツアーは私のルーツを辿るライブということで、かなり斬新だったし、自分がどういった経緯で音楽を聴いて、素敵な曲と出会ってきて、そこからいろいろな縁がつながって今に至るのかというのをライブにするというのは、自分的にはすごく大切なことなのですが、それをエンターテイメントとしてみなさんにお届けするのは「どうなんだろう?」という不安がありました。でもライブに来てくれたみなさんから、「すごく清水美依紗という人を、パーソナルな部分も含めて知れた気がする」という声をたくさんいただいたので、いいライブになったんじゃないかなと思います。

■ちなみに前作のシングル曲“TipTap”をツアーファイナル公演で初披露されたとのことですが、みなさ んの反応はいかがでしたか?

清水 前作の“TipTap”は、今まで私がリリースしてきた楽曲とは全く違うテイストの楽曲で、ジャジ ーで華やかさもあるけど、ちょっとダークな曲だったので、みなさんにもすごくびっくりされましたし、驚きの声がたくさん届きました。でも「こういう曲も歌えるんだね!」と言ってもらったりもしたのが、嬉しかったです。この曲のおかげで私自身も新しい声の発見ができたので、いい経験にもなりました。

■今作の“Finale”は、1月より放送されているテレ東系ドラマ 24「家政婦クロミは腐った家族を許さない」の主題歌となっていますが、前作の“TipTap”もフジテレビ系水10ドラマ「全領域異常解決室」のオープニングテーマでした。今回、立て続けにドラマのタイアップが決まった時のお気持ちはいかがでしたか?

清水 やっぱり嬉しかったです。自分の曲が TVで流れるというのもそうだし、素敵な作品の一部として起用してもらえるのはすごく嬉しいですね。初めてTVで“TipTap”が流れた時も、今回の“Finale”が流れた時も、ゾクゾクしました。こうやって自分の新しい楽曲をみなさんにお届けできるのも、とてもありがたいことだなと感じています。今後も頑張りたいなと思います。

■今作は「家政婦クロミは腐った家族を許さない」の主題歌ですが、ドラマの原作や台本をお読みになったり、ドラマもご覧になったかと思いますが、作品に触れた感想はいかがでしたか?

清水 とっっっても怖い話ですよね……。前回の「全決(全領域異常解決室)」も結構人が 死んだりする作品でしたし、今回の作品もかなり人が死ぬという、題材的には暗い内容で、「理想の家族」を追い求めるあまりに、主人公のクロミが暴走しちゃうという、攻めた内容のドラマですよね。

■ちなみに最終話までご覧になったんですか?

清水 原作の漫画を、“Finale”の楽曲を歌う前に読ませていただいたんですけど、まだ続きがある感じな ので、ドラマでどこまで描かれるのかもわからないし、最後もどうなるのかわからないので、私もすごく楽しみにしています。

■清水美依紗さんといえば、底抜けに明るいイメージなので、こういった作品をあまり観るイメージがなかったのですが、普段からサスペンス系や、ホラー系の作品などご覧になるんですか?

清水 観ます、観ます!実は大好きなんですよ。(笑) 前回の「全決」はオカルト系でしたし、今回も ホラー系ですごく好きなジャンルです。家でサブスクとかで映画やドラマを観る時は、だいたいサスペンス系の作品を観ていますよ。なんか人間の本能というか、人間臭さが出ているような作品がすごく好きで、そういった作品を好んで選ぶ傾向がありますね。

■へぇー!意外でした。じゃ、こういったタッチの作品の主題歌が歌えて良かったですね。

清水 すごく嬉しかったです!

■今作の“Finale”は、ドラマのイメージにぴったりな怪しげな雰囲気で、今までの清水美依紗さんのイメ ージとはまた違った楽曲になったかと思いますが、初めてこの“Fnale”の曲を聴いた時の感想はいかがで したか?

清水 すごく新境地だと思いました。この曲を私が歌うとなったら、どうやって表現したらいいか、どういったニュアンスで歌うのが正解なのかと、とても悩みました。今回の曲もMitsu.Jさんに書いてもらったんですけど、Mitsu.Jさんは、いろいろなジャンルの楽曲が書ける作家さんなので、「はい、また難しい楽曲が来ました……」というのが、最初の印象でした。(笑) 曲の技術的な面やメロディも難しかったのですが、不気味な雰囲気と、ちょっとゾクゾクするような、焦っちゃうような、心地の悪いイントロから始まるのがいいんですよね。すごくイントロに惹かれました。あと今回は歌詞も難しかったですね……。

■歌詞の世界観についてはどんな感想を持ちましたか?

清水 かなり攻めた歌詞ですよね。私もそうですし、みなさんも普段は絶対に言わないような言葉ばかりだし……。でも作品にすごく寄り添った歌詞を書いていただいて、主人公のクロミの目線で歌っているような感じなので、この曲を歌うために、より作品を深掘りして、クロミというキャラクターを理解した上でレコー ディングに臨みました。

■すごく辛辣な言葉が並んでいるんですけど、でも口調が丁寧なのが怖いんですよね……。

清水 そうなんですよ!丁寧語なのが逆に怖いですよね。(笑)

■清水美依紗さんといえば太陽のように明るくて優雅なイメージだったので、初めてこの曲を聴かせてい ただいた時、「まさかダークサイドに落ちたのか……?」と心配しましたよ。(笑)

清水 闇落ちはしていません!(笑)

■今回のレコーディングで歌う時に気をつけた点や、難しかった点などはありましたか?

清水 声のニュアンスがすごく難しかったです。クロミって純粋で、純粋がゆえに狂気的な部分があるので、それを表現しようと歌ってみたんですけど、私の声質的にウィスパーで囁くように歌うと、色っぽくなってしまうんです。でも純粋というのをベースで歌わないといけなかったので、どうやったら色っぽくならずに作品に寄り添って歌えるのか、いろいろと試してみて頑張りました。それにサビの部分が特に難しくて、曲全体でメリハリをつけたいんですけど、ただ大きな声で歌えばいいというわけではないので、声を張るという感じではなく、いろいろなニュアンスでダイナミックさだったり、強さだったり、ダークなエネルギーも声に乗せて表現しました。それがすごく難しかったです。

■“Finale”のミュージックビデオも見させていただきましたが、今作のMVの注目ポイントも教えてください。

清水 あんなにマネキンを使った演出は今までなかったので、コンセプト的にもああいった演出がぴったりだったなと思いました。マネキンと一緒になって演技するのが面白かったです。最初はどう絡んだらいいのかわからなかったんですけど、でも出来上がった映像を通して観てみたら、すごくいい感じになっていたし、とても不気味な雰囲気が出ていて良かったです。ぜひみなさんにもチェックしてもらいたいです。

■MV撮影でのハプニングや裏話などがあったら教えてください。

清水 赤い糸を張り巡らせた蜘蛛の巣みたいなセットがあったんですけど、あれはかなりまたぐのが大変でした。撮影中も糸に当たると揺れちゃうので、当たらないように動いたりするのも大変でしたね。あとは現場のスタッフさんがみんなおしゃべりな方が多くて、撮影の合間にすごく和気あいあいとしながら楽しくしていたので、撮影に入った時にシリアスな雰囲気になるギャップがすごかったです。(笑)

■たのしそうな現場でいいですね。でもあんなにシリアスな映像からは想像つきませんね。(笑)

清水 演技するのは難しかったんですけど、細かい演出だったり、小道具だったり、セットだったりがあったし、監督が「これはこういう意味で使いたい」とか、「こういうふうに見せたい」という指示が明確だったし、細かく教えてくださったので、世界観に入り込みやすかったです。フォークやナイフを持ったりするといろいろなシーンが思い浮かぶし、すごくやりやすかったです。

■今回はメイクとかもいつもとは違ってダークな感じでしたよね。

清水 普段はあんなメイクはしないですからね。(笑) 今回はSNSでもバズっている有名な葉月さんというメイクさんにお願いしてやってもらったんです。今回の楽曲もそうですけど、あんなに攻めたメイクもしたことがなかったのですごく新鮮でした。今までの明るいイメージをガラッと変えてみたいというのはずっと思っていたので、今回はそれが叶って良かったです。(笑)

■メイクが仕上がったご自分の顔を鏡で見てみていかがでしたか?

清水 テンション上がりました。(笑) 私は割りと形から入るタイプなので、メイクだったり、衣装だったり、セットだったり、それが全て揃った時に、感覚が「ワッ」となって、急にその世界観に入り込めるんですよ。形から入るもの大事だなと思いました。スタジオもハウススタジオみたいな所で、薄暗くて不気味だったのもあって、没入感が半端なかったです。

■クロミになりきるみたいな感じなんですか?

清水 そのバランスが難しくて、クロミとして歌うわけではないので、清水美依紗が歌うクロミの心情みたいな感じでというか、俯瞰して見ている感じでMV撮影もレコーディングもやったので、そこが上手く表現できていたらいいなと思います。