清水美依紗 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■現在はミュージカル「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役として、ミュージカル女優としても活躍されていますし、5月からはミュージカル「ビートルジュース」の再演も決まりましたが、歌手として歌う時と、ミュージカルとでは、歌う時の意識の違いなどはあったりするのでしょうか?

清水 一番大きいのは、自分自身であるか役であるかの違いですよね。でもそこは本当に難しくて、役としてステージに立つ時は、「役だったらこうしゃべるよね」とか、「こういう声が出るよね」とか、「こういう仕草をするよね」というのがあって、そこを分析していく作業になるんです。それに対して、ライブでステージに立つ時は清水美依紗としていかにオリジナリティを追求していくかになってくるので、その違いはあります。ただ、最近の作品の“Finale”や“TipTap”は、割りと作品に寄り添った曲なので、どちらかというとミュージカルの役に近いような表現になります。なので、自分自身で書いた楽曲を歌う時とはまた少し感覚が違ってくるので、すごく難しいなとは感じます。今後、もっと自分で作詞・作曲する曲が増えていけば、より自分らしさが出していけるようになるとは思いますけど、その辺のバランスはまだ研究中です。

■なるほど。ちなみにその役によっても自分自身の中で表現を変えていくとは思うんですけど、清水美依 紗さん自身と、役になりきるのとを分けるのは難しくないですか?

清水 そうですね。私はひとつの役やキャラクターを演じる時に、必ずそのキャラクターがやる癖をひとつ作るんです。たとえば「こういう状況だったら、こうやって物を渡す」とか、そういうのを事細かく考えるんです。そうすることによって、それがスイッチになるというか、それがきっかけで役に入り込める気がします。だから、普通に生活している中でも役が移っちゃう方とかいらっしゃいますが、私はあまり役に私生活がひっぱられることはないですね。

■その役を演じている期間中は、その役に入り込んで演じる人も確かにいますよね。

清水 私はその辺のオン・オフはしっかりとしていますね。清水美依紗としての歌手活動もあるので、どうしても切り替えざるをえない部分もありますけど。ちゃんと分けないと、ごちゃごちゃになっちゃう気がします。

■以前の取材で憧れだと語っていた、アリアナ・グランデさんが演じた、映画『ウィキッド ふたりの魔女』の日本語吹替版のグリンダ役の吹替を担当されると聞きましたが、きっかけはなんだったんですか?

清水 映画『ウィキッド ふたりの魔女』の吹替のオーディションがあるという情報を聞いて、すぐに応募したんです!

■そうだったんですね。では、そのオーディションで見事にグリンダ役を勝ち取ったんですね!

清水 そうなんです!アリアナは私の憧れの人でもあるんですけど、「ウィキッド」という作品自体はニューヨークのブロードウェイで観劇したことがあって、すごく印象に残っていた作品でしたし、アリアナ自身も、ずっと「ウィキッド」のグリンダ役を熱望していたというのも知っていたので、私もこの役を演じられると知った時は本当に嬉しかったですね。でも、私もずっと「グリンダの役を演じられるなら、本当に夢のまた夢みたいな話だけど、いつか叶ったらいいな」と、周りのいろいろな人たちに話していたので、それが言霊のようになって、このオーディションの情報が来たので、「すぐに受けます!」と言って飛びつきました。それで本当に演じることができるなんて、自分でもびっくりしています。(笑)  でも、すごく責任重大だなと思いました。

■ちなみに今回が吹替初挑戦とのことでしたが、実際にやってみていかがでしたか?

清水 今まで演劇やミュージカルで、歌や、セリフや、ダンスで芝居をやってきましたけど、やっぱり声だけで芝居をするのって、こんなに難しいんだと痛感しました。自分が考えているよりも、もう一段階オーバ ーに演じないと伝わらない部分があったりとか、少しの声や息づかいのニュアンスで雰囲気を表現したり、逆にちょっとした声のニュアンスで意味合いが違って聞こえてしまったりとかもするんです。今回の吹替をやっていく中で、壁がいっぱいあったし、「難しい……どうしよう……」という場面がたくさんあったんですけど、だんだんと「どうしたら上手く表現できるのか?」という探究心に変わっていって、毎回、毎回、収録の度にすごく楽しみながら挑戦することができました。

■しかもアリアナさんが英語で言っているセリフを日本語で表現しないといけない訳ですし、その辺も苦労されましたか?

清水 まさにそうでした。完成されている表現をまた日本語で表現しないといけないので、とても難しかったです。収録中は英語を聞きながら録るので、どうしても英語のニュアンスが入ってきてしまって、私は英語もネイティブなので、そのニュアンスに引っ張られて喋ってしまうと、「日本語だとこんなにも意味が変わってきてしまうんだ……」と思ったり。最終的には英語のセリフのボリュームを下げてもらって、小さい音でそれを聞きながらセリフを当てていきました。でも、なかなか経験できないことだったし、すごく楽しかったです。

■またひとつ夢が叶って本当に良かったですよね。ちなみに今後、他にも初挑戦してみたいことはありますか?

清水 今すぐにではないんですけど、ドラマだったり、映画だったり、映像のお芝居をやってみたいなと思います。舞台やミュージカルとはまた違うお芝居になると思うので、そういったいろいろなお芝居にも触れてみたいです。

■どういった役柄をやってみたいとかはありますか?

清水 主人公の隣に居る役とかがいいですね。(笑) ちょっと個性的な役がいいですね。

■清水美依紗さんのイメージに合うような自然体で演じられる役がいいですか?それとも自分のイメージにはないような意外な役の方がいいですか?

清水 自分自身にはないような役の方が惹かれます。自分にない部分を役で演じられる方が、人生が深くなるような気がしますし。(笑) ミュージカルでもいろいろな役をやらせてもらっているんですけど、自分にないような役を演じてみると、「この子のことがわかったかも」という感覚が芽生えるんですよね。その役を通してその子の人生を知れるのがすごく気持ちいいんです。稽古中とかに、ずっとその役の子の気持ちがわからなくて、いろいろな分析を重ねているうちに、「今わかった!」みたいな瞬間があるんです。そんな感覚が好きですし、自分にないものを持っているキャラクターを演じることで、それをわかりたいという気持ちがそのキャラクターへの愛に変わるから、それが幸せな瞬間なんです。

■確かに自分にはないような役をやることで、自分の人生とはまた違った人生も味わえるような気がしますよね。

清水 そうなんですよね。でも苦しい時もありますけどね。

■以前の取材の時に、小さい頃の夢は歌手とCAさんのお仕事だったと言っていましたけど、役で演じられるチャンスが来たら嬉しいですか?

清水 ぜひやってみたいです!「アテンションプリーズ」って言ってみたいです。(笑)

■では、最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

清水 今回の新曲は“Finale”という曲で、かなりダークな楽曲にはなるんですけど、「家政婦クロミは腐った家族を許さない」というドラマにすごく寄り添った作品になりましたので、ぜひドラマと一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。

Interview & Text:土谷拓史

PROFILE
2000年3月10日生まれ、三重県鈴鹿市出身の歌手・ミュージカル俳優。歌手として、ディズニーのグロ ーバルな祭典「アルティメット・プリンセス・セレブレーション」の日本版テーマソング“Starting Now 〜新しい私へ”の歌唱アーティストを担当。2022年、メジャーデビューシングル『High Five』をリリースし、その後オリジナル楽曲を立て続けにリリース。2024年には二本のSolo Tourを敢行。2024年10月にはドラマ「全領域異常解決室」のオープニングテーマ『TipTap』をリリースし、YouTubeの再生回数は 350万回を突破。ミュージカル俳優として、ミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター〜北斗の拳〜」にて、ミュージカルへ初挑戦。その後、ブロードウェイミュージカル「ビートルジュース」にリディア役や、ミュージカル『ジョジ ョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』にヒロインのエリナ・ペンドルトン役で出演を果たす。2024年12月からはミュージカル「レ・ミゼラブル」にエポニーヌ役で出演中。そして、2025年5月からはブロードウェイミ ュージカル「ビートルジュース」の再演が決定し、リディア役として出演が決定している。
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RELEASE
『Finale』

配信デジタルシングル
https://shimizu-miisha.lnk.to/finale

Virgin Music
1月11 日 ON SALE