■その結果、いちリスナーがエキゾチックに感じるのは結果論的ではありますね。
idom 2曲の温度感をしっかり変えて作るというのは大事かなと思っていました。どちらかというと“Call it Love”の方はリラックスして聴ける感じに作っていて。対して“Tell Me What”は、サウンド的にも少し跳ね感を意識してあります。少しクラブミュージックに近い雰囲気が出たらいいなというのは、スタジオでみんなで考えている時に、思いながらやっていたんじゃないかなと。
■この英語でも日本語でもないところは、インドネシア語でいいんでしょうか?
idom インドネシア語で、前後の日本語や英語とほとんど同じ意味のことを言っています。
■同じなんですね。
idom 一応メインは英語で進んでいく中で、それぞれの国の言語が出てくるというところで、ちゃんとお互いのキャラクターが出る場所だなと思っていて。日本語じゃないとよくわからないなという人も、インドネシアの言葉じゃないとわからないなという人でも大丈夫だし。テーマが伝わるかどうかのポイントだなと思っています。全体は翻訳して聴かないとわかんないかもしれないですが、全体のなんとなくの雰囲気はどちらの曲で伝えらるように意識しました。
RACH? グローバルなイメージにもなるし、三ヵ国語になっても良いと思いました。あと、やっぱり三ヵ国語になると、英語しか喋れない、日本語しか喋れなくても、キャッチの歌詞がわかりますよね。
idom RACH?が「ねえねえ」「もしもし」と言ったり、逆に僕が「マンタップ」と言ったり。遠距離だからこそ、お互いの言語を覚えようとしているという甘酸っぱい感じがしませんか?それこそ僕も海外にガールフレンドがいたら、多分その子と会話をするために勉強すると思うし、みんなもそうだと思うんですよ。その感じが出たらいいなと思ったので。
RACH? 若者言葉を入れたいという思って、「マンタップ」という言葉をidomに提案しました。
■ちなみに「マンタップ」というのは、日本語に翻訳するとどんなイメージなんですか?
idom 「いいね!」とか、「最高」とか。日本語だと「ヤバい」みたいな感じかも。
食べ物に使ったりするし。
RACH? 「ねえねえ」「もしもし」もこだわったよね。(笑) お互いの言語を勉強しているけど、やっぱりチャットだと短いじゃないですか。だから「もしもし」みたいな電話をしている感じを入れました。
■すっごく可愛かったです。
RACH? 「もしもし」のところは、idomが「もっと可愛く!」と何度も録り直したんです。(笑) 「今のが一番いい!」みたいな。(笑)
■この短いフレーズにもこだわりが詰まっているんですね。(笑) この2曲で特にこだわったところはどこですか?
idom まずトラックからプロデューサーといろいろ話しながら進めたのですが、RACH?の声を初めて聴いた時に「こんな風に歌って欲しいな」とか、「自分の声とミックスした時に一番いいバランスはここだろうな」とかをイメージしながら作ったんです。僕は声のレンジが広い方なので、RACH?の1番おいしい声が出るキーになるように、というのは結構意識しています。その中で自分のメロディがどこに当たるのが一番バランスがいいかなと計算して作ったイメージはありました。
■なるほど。
idom あと、僕は普段、自宅でレコーディングするので、スタジオに入った回数が片手に収まるくらいしか無いんですが、今回はインドネシアのスタジオで、もうすっごい人数が集まって、パーティー状態の中でのセッションでした。(笑) レコーディングエンジニア・ディレクターもつけてくれて、「もうちょっとこうやって歌ってみたらどうだ」とか、「idomこの感じでいける?」とか、そういうのをブースで指示してくれて。それで二人のコーラスがどんどん良いバランスで整っていくみたいなことを体験できたので、僕もそこに乗っかる意識で臨んだ感じでした。
RACH? 私はストーリーに沿った歌い方をするので、今までとは歌い方がちょっと変わっていて、曲もちょっと甘い感じだから可愛くて、そこが新しい自分になったんじゃないかなと思っています。
■お二人の声が重なったことで生まれた化学反応はありますか?
idom この二人だからこそ、声をミックスした時に、演出していなくてもグローバル感が出るんじゃないかなと個人的には思っています。あまり「日本のリスナーに向けて」とか、「インドネシアのリスナーに向けて」とか限定せず、どんな人が聴いても、聴いていて気持ちいいなという感じになっているんじゃないかと思います。
RACH? idomさんの声もやっぱり聴きやすくて、今回の曲たちは愛嬌があると思います。
■最後に、この曲たちはどんなふうに聴いてもらいたいですか?
RACH? 恋愛のことで迷ったり、関係がこじれたりすることは誰にでもあると思います。そんな時に聴いてもらえたら嬉しいです。あとはTikTokでいろんな人たちに使ってもらえたら嬉しいですね。(笑)
idom 僕はまずRACH?というアーティストの良さが日本でも伝わってほしいなと思います。それから、インドネシアの今のリスナーの、音楽に対しての熱さが、まだ日本にあまり伝わっていないと思うので、「なんでインドネシアのアーティストとコラボしたんだろう?」というのをきっかけに、インドネシアの音楽にも興味を持ってもらったり、逆に、インドネシアの人たちに、日本のカルチャーに興味を持ってもらったりするきっかけになれば嬉しいです。どのぐらいの規模感になるかわからないですけど、大きくなったらいいなと。今回作った2曲が、超インドネシアっぽいとか、超日本っぽいじゃないようにしていたのは、初めて聴いてもらった時に、フラットに「いい音楽」として受け取ってもらいやすいようにというのは、僕もRACH?も意識していたので、皆さんにはただ気持ちよく音楽を聴くという中で、ちょっと掘り下げていったら、なんでインドネシアなんだろう?、日本なんだろう?という、そういうきっかけになっていくような聴き方をしてもらえたら最高だなと思います。
■まずはフラットな感じに、ですね。
idom 日本だったら「今はもうR&Bは売れない」とか言われちゃったりしますが、インドネシアのR&Bなんて、「1000万リスナーとかバンバンいるぞ!」みたいな。(笑) みんな知らないだけで、日本よりもめちゃくちゃサブスクで音楽を聴いている人たちの熱さは凄いので。「若者でもこんなにいろんなことにチャレンジしてるぜ」みたいなのが、僕も実際にジャカルタに行って、身に染みて感動したので。そういうことを日本の若い子たちにも知ってもらって、RACH?というアーティストも知ってもらって、もちろん逆に僕もインドネシアにいろんなリスナーがいる中で、「日本のアーティスト、誰か知ってる?」と聞かれた時に、「idom知ってるよ」と言ってもらえるきっかけになる作品になれたら嬉しいです。
RACH? インドネシアは親日国で、みんな日本のカルチャーへのアンテナも凄くて。もちろんアニメをきっかけに聴くことが多いとは思うんですが、新しい今回のようなコラボもちゃんとチェックされると思うんです。それと「ファンコット(Funkot)」というジャンルを知っていますか?10年以上前とかに流行った、すごいアップテンポな。BPM190とかのやつ。(笑) インドネシアでは、ファンコットをトラックの運転手さんがカーステレオで勝手に聴いていることが多いんですよ。J-PopのファンコットRemixとかもよく聴かれてるので、そういった面からも、インドネシアと日本のコラボはすごくいいものになると思います。
■TikTokからトラックの運転手さんまで……素敵だと思います。(笑) ありがとうございます!
Interview & Text:安藤さやか
PROFILE
idom
兵庫県神戸出身のシンガーソングライター。作詞・作曲に加えトラックメイクやビジュアル表現まで手がけるセルフプロデュース型アーティストとして注目を集めている。2020年に音楽活動を開始させると、R&Bやポップ、ヒップホップを横断する自由度の高いサウンドと、日本語と英語を行き来するしなやかなボーカルで話題を集める存在に。2025年11月には1stアルバム『idom』をリリース。R&Bを軸に、ヒップホップ、ネオソウル、ゴスペルなどを血肉化した音楽性が存分に発揮された全15曲を収録し、彼にとってのマイルストーンとも言える作品となった。配信ストアのR&Bチャートでは1位を記録。宅録的な感覚から生まれた楽曲は、繊細なメロディセンスと感情の機微をすくい取る歌詞世界が魅力。リリースやコラボレーションを重ねながら独自の音楽性を確立し、次世代ポップミュージックを体現するアーティストとして支持を広げている。
YouTube:https://www.youtube.com/@idom9887
Instagram:https://www.instagram.com/idom._/
X:https://x.com/idom0318
TikTok:https://www.tiktok.com/@idom._
RACH?
オルタナティブ・エレクトロニック・ポップにゲームやポップカルチャーの要素を融合させる、インドネシアの多才なシンガー。
YouTube:https://www.youtube.com/@RACHVEVO
Instagram:https://www.instagram.com/rach_qm/
TikTok:https://www.tiktok.com/@ruicheru
RELEASE
『Call it Love』
Sony Music Labels
7月19日 ON SALE
『Tell Me What』
Sony Music Labels
8月14日 ON SALE









