INUWASI VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

“負け組”扱いされてきた6人が、苦しんでもアイドルを続ける理由

噛めない犬と飛べない鷲の融合生物「ハイブリッドラプター」を概念とするアイドルユニットのINUWASIが、3枚目のミニアルバムとなる『天秤』を完成させた。全6曲を収録した本作の中でも「苦しみは輝かしい だから/僕等は戦い続けるしかない」と歌うリード曲“ストリングスウォーズ”は、“負け組”扱いされてきたという彼女たちにとって、自身の経験と重なる心情が描かれており、これから高く羽ばたくための決意を誓うような楽曲になっている。彼女たちはなぜ苦しんでもアイドルを続けるのか。ライカ、がるむ、はのんまゆ、カリヲリ、イヴ、すずめという個性的な名前を持つ6人に、その理由を語ってもらった。

■みなさん珍しい名前をお持ちですけど、由来を教えていただけますか?

はのんまゆ もともと「羽音まゆ」という名前で活動していたんですけど、デビュー前にINUWASIというユニット名だし、犬か鳥に関係する名前しか使っちゃダメと言われたんです。でも、絶対「はのん」は譲りたくなかったので、「羽」はギリ鳥だという主張を押し通して「はのんまゆ」になりました。

イヴ 私はたくさん案を出したんですけど、他のアイドルさんとかぶっていたりで、ことごとく却下されてしまって。最終的にイヴはどこかの国で「ふくろう」という意味らしいと知って、この名前になりました。

がるむ 北欧神話にガルムという名前の番犬が出てくるんです。神聖な感じがいいなと思って、がるむにしました。

ライカ 私はライカとハリアーが候補だったんですけど、ハリアーは車の名前にあるのでナシになったんです。ライカは世界で初めて宇宙に飛び立った犬の名前で、すごいカッコいいことをした犬だなと思って、名前をもらいました。

カリヲリ 私は犬や鳥とは関係なく、カリヲリっていう名前がパッと思い浮かんで、その名前にしたくなっちゃったんです。それで、後づけで犬か鳥に関連しないかを調べてみたら、雁っていう鳥がいることに気づいて、これはラッキーだと思ってカリヲリになりました。

すずめ 私は最初、すずめが候補になったんですけど、茶色いのが嫌だったので、シマエナガにしようと思ったんです。でも、もし「ナガちゃん」と呼ばれたらかわいくないなと思って。それで、コハクチョウから取ってコハクにしようとしたら、社長さんから「すずめちゃんの方がかわいい」と言われて。やっぱりかわいい方がいいなと思ってすずめになりました。

■みんな犬か鳥に由来していたんですね。いただいた資料にINUWASIは「噛めない犬と飛べない鷲の融合生物」と書いてあったんですけど、「噛む犬と飛べる鷲」ではないんですか?

はのんまゆ 噛めない犬・飛べない鷲というキャッチなんですが、言い方は悪いですけど、どこか劣っているとかそういう意味合いもあって、負け組みたいな感じじゃないですか。私たちも以前いろいろと悔しい思いや上手くいかなかった経験をしてきたメンバーが多く、負け組みたいな立場だなっていう共通点があるんですけど、「それでも高い空まで羽ばたいていけるんだぞ」という意味を込めて、当初はそういう思いが融合した「ハイブリッドラプター」と言っていたんです。

すずめ ほとんどのメンバーが過去に別のグループで活動していたことがあって、悔しい思いやツラい思いをしてきたので、「みんなでこれから上に行くぞ」という感じで結成しているんです。

■そうだったんですね。今、結成から2年経ちましたけど、ここまでを振り返っていかがですか?

すずめ あっという間でした。最初の頃は尖っていたというか、王道のアイドルが好きな方が見たらビックリするような真っ黒な衣装で、あんまり笑わない感じだったんです。だから好き嫌いがはっきり分かれちゃうし、悪く言われることもありましたけど、今はいろんな道を自分たちで探しつつ、いいライブができるようになってきて、グループとして成長できているんじゃないかなと思います。

はのんまゆ 最近はダークな感じがなくなってきて、音楽性も変わり続けているので、毎回「どこのアイドルだ?」って言われがちなグループになっています。(笑)

■前作『DUTY』が11月にリリースされたばかりで、今回の『天秤』は短期間で制作されたのかなと思うんですけど、この4カ月はどんな期間でしたか?

はのんまゆ タイトなスケジュールだったので、カツカツだった印象はあります。私はマジで記憶力が悪いので、曲を覚えるのが大変すぎて……。

■曲はどんな感じで渡されるんですか?

イヴ 曲自体は早い段階でもらっているんですけど、今回の歌割りはレコーディングの前々日とかに決まったので、そこから必死に覚えています。すずめとか歌割りも多いので、自分より大変だろうなと思います。

すずめ 私は勉強が苦手なので、頭が爆発しそうになるんですけど、INUWASIは本当に曲がいいので、「早くファンの方に聴いて欲しいな」っていう一心で覚えました。

■INUWASIは難しい世界観の曲も多いなと思ったんですけど、何か説明はあるんですか?

カリヲリ 基本的に自分で意味を調べて、自分なりに解釈しているんですけど、レコーディングの時に言われることはあります。

イヴ 今回のリード曲になっている“ストリングスウォーズ”は、MV撮影をした時に「こういうMVを撮ります」と言われて。それは「絆」とか「戦い」とかなんですけど、完成したものを見て、「あ、こういうことだったんだな」って。最終的にどういう感情になるのか、まだ自分でもわからないですけど、それも楽しみにしています。

カリヲリ MV撮影では「こういう感情で歩いてみて」とか指示してくださって。そのおかげで曲の情景が頭の中ではっきりイメージできるようになったし、曲への思いも強くなりましたね。

■どういう感情で歩いたんですか?

カリヲリ 「もう足が動かなくなって、本当に死にそうな状態だけど、頂上に食べ物があると思って坂を上ってください」と言われたんです。だから、餓死しそうな人間が生きるためにもがくようなイメージで歩きました。

■“ストリングスウォーズ”は「夢を叶えるためには苦しくてももがき続けよう」という曲ですよね。

ライカ 「自分との戦い」がテーマになっているんですけど、練習やレコーディングで思うように歌えなくて、その悔しさや苦しさも曲と重なって入り込むことができました。

■今までの活動で経験してきたことと重なる部分もあったんじゃないですか?

はのんまゆ そうですね。自分が歌った歌詞は、特に自分に刺さった部分で。もう刺さりまくり、フルボッコでした。

■どこの部分ですか?

はのんまゆ 2番の「でも願うだけで 動かなかったら 何も変わりはしない」なんですけど、まさにそれだなと思って。自分もやりたいことはたくさんあって、現実的にまだできないものもありはするけど、やっぱり動かなきゃ何も始まらないなと思って。本当にここ最近の私に重なりまくりなんです。何回聴いても来るものがありますね。