実力派ガールズグループ出身のボーカルデュオが語る、結成の経緯と新曲へ託した想い
キム・ボアとキム・ボヒョンによって結成されたKEEMBOのニューシングル『WHATEVER』は、2人の力強いボーカルを堪能できるだけでなく、結成以来ほとんどの時間をコロナ禍で過ごしてきた彼女たちならではの前向きなメッセージが詰まった楽曲だ。韓国屈指の実力派ガールズグループとして知られたSPICAのメンバーだった2人に、新曲に託した想いをはじめ、結成の経緯やお互いの関係性、共同プロデュースを手掛けるSWEETUNEについて、コロナ禍での活動についてなど、韓国・ソウルからリモートでインタビューに答えてもらった。
■おふたりは2012年から2017年まで、SPICAのメンバーとして活動されていましたけど、そこからどうやってKEEMBOを結成することになったんですか?
ボヒョン 2019年に出演した「Rainbow Festival」で、初めて2人で舞台に立ったんですけど、それがきっかけでチームを組んで活動することになりました。
ボア もともとボヒョンひとりで出演する予定だったんですけど、「お姉さん、一緒にやらない?」と声をかけてもらったんです。
ボヒョン だからお客さんは、ボアさんが出ることを誰も知らなかったんです。
■ソロでやりたいとか、グループを結成したかったとかではなく、2人でやってみて楽しかったから、このまま一緒にやってみようという感じだったんですか?
ボア はい。その通りです。
ボヒョン でも、私はSPICAをやっていた時から、ずっとボアさんを頼りにしていたんです。
■そのフェスに出演した時は、2人ともソロで活動していたんですか?
ボア ボヒョンはソロで活動していたんですけど、私はお休み中でした。
■お休みしていた時は、これからどうしようと考えていたんですか?
ボア うーん、明確なものはなかったんですけど、ずっと歌をやってきて、できることが歌しかなくて。ガイドボーカルとか、レコーディングのコーラスとか、そういうお仕事をやりながら、次は何をすればいいのか考えていた時期でした。
■KEEMBOを結成しようというのは、どっちから声をかけたんですか?
ボヒョン 私から声をかけました!
■それに対してボアさんは、どういう返事をしたんですか?
ボア チョア!(日本語で「いいよ!」の意味)
■即答だったんですね。(笑) そこで悩むことはなかったんですか?
ボア 実はSPICAとしてデビューする前、事務所に入って初めてボヒョンの歌を聴いた時から、めちゃくちゃ上手い子だなと思っていたんです。その時から今に至るまで、会った時はずっと音楽の話ばかりしていたので、悩むことはまったくありませんでした。
■相思相愛なんですね。
ボヒョン はい!
ボア イエー!(ハイタッチ)
■本当に仲がいいんですね。(笑) 2人の役割分担はあるんですか?
ボア はっきりと担当があるわけではないんですけど、ボヒョンはハイ、ボアはリズムという感じです。
ボヒョン 全体的なコアはボアさんが担当していて、それがあるからこそ私の声も活きているんじゃないかなと思います。
ボア 曲を全般的に解析すると、確かに自分がコアになる部分を歌っていると思います。でも、ここはこういう方向にすればもっとよくなるのにと思うことがあるじゃないですか。そういうところをボヒョンは私が言う前に表現してくれる。だから、本当にやりやすいです。
■歌割りはどうやって決めているんですか?
ボヒョン それぞれ一回フルで歌ってみて、「ここは姉さんの方が似合うんじゃない?」とか、そういう相談をしながら決めています。
ボア キーが高いところはボヒョン、リズム感が必要なところは私のパートになる傾向はあるかもしれないです。それは誰が言いだすわけでもなく、自然にそうなっちゃいますね。
■おふたりが考えるお互いの魅力は?
ボア 音楽的なところでは、キーの高いところをすっきりと歌い上げてくれる。そこは大好きなところですね。人間的なところでは、私は小さいことでも考え込んじゃうタイプなんですけど、ボヒョンはすごく大胆で、「そんなことは、ほっといていいんじゃない」とか、そういう考え方ができるんです。そこが私はうらやましい。
ボヒョン 私が思うボアさんの魅力は、ハスキーな声なのに重く聴こえないところ。それと私はリズムに自信がないんですけど、ボアさんはヒップホップとかでも簡単に歌いこなしてしまうし、ボアさんについていって歌うと、私も歌いやすいんです。性格的なところについては、ボアさんは一見、強そうに見えるかもしれないですけど、実は優しくて繊細なんですよ。そういう女の子らしい部分もうらやましいです。
ボア (日本語で)私はかわいくて優しい子なんです。(笑)
■日本語でありがとうございます。(笑)
ボヒョン あと、ボアさんは自分のことを考え込んじゃうタイプと言っていましたけど、逆に私にはそれが必要なんです。ボアさんは制作中に何度も考え込むんですけど、私にはそれができないから、私が見逃してしまうところをいつもピックアップしてくれる。そこもうらやましく思っている部分です。
■お互いの足りない部分を補い合っているんですね。
ボア まさにその通りです!
■これまで発表してきた楽曲は、数々のヒット曲を手掛けてきたSWEETUNEとの共同プロデュースになっていますけど、楽曲制作はどういう感じで進めているんですか?
ボア ここまで深く曲の制作に参加したのは、このSWEETUNEとの作業が初めてなんです。一方でSWEETUNEも、たくさんの楽曲を作ってきたプロデューサーのチームなんですけど、アーティスト自体を作るのはKEEMBOが初めてなんです。なぜそういう試みをしたのかと言いますと、今の音楽シーンでは作曲家は曲だけ、作詞家は詞だけ、歌手は歌だけという形では、いいものは作れないのではないかと感じていて。実際に制作をしていても、そのおかげでできたなと感じることもたくさんありますし、それを積み重ねてきた成果が出てきているのではないかなと思います。
■SWEETUNEはSPICAの曲も作っていましたけど、その時と制作の仕方は違いますか?
ボア SPICAの時は他の会社に所属していたので、SWEETUNEはプロデュースの部分だけを担当していたんです。今はKEEMBOもSWEETUNEの所属アーティストという形で一緒に制作しているので、全然違いますね。たとえば歌詞を作る時は、私たちから「次はこういう内容でどうですか?」と提案して、事務所の作詞家さんにまとめてもらう時もありますし、逆に作詞家さんから「こういう内容でどうかな?」と提案されて、それに対して私たちの意見を反映してもらうこともあります。ただ、私が頭の中で考えていることを、そのまま歌詞にするのは難しいのかなとは感じていて。そういうところを事務所の作詞家さんが手伝ってくれて、曲ができあがっていきます。
■本当に一緒のチームとして制作されている感じなんですね。新曲の“WHATEVER”についてもお聞きしたいんですけど、どういうきっかけで生まれた曲だったんですか?
ボア KEEMBOが最初の曲を発表してから、4月で1年になったんですけど、まだコロナは終わっていない。日本も同じだと思いますけど、韓国の音楽業界もすごく大変なんです。そこでちょっと力になれる曲を作れないかなと思って、急いで作業したんです。
■歌詞は「いろいろあるけど大丈夫、それも悪くない」という意味なのかなと思ったんですけど、「今はコロナで大変かもしれないけど大丈夫だよ」っていうメッセージを込めたんですか?
ボア そうですね、はい。
■ラブソングとしても捉えられるなと思ったんですけど、そういう意識もあったんですか?
ボア 確かに恋人同士とかをイメージして聴くと、ラブソングに聴こえるかもしれません。でも、家族や友達、それ以外の関係でも成り立つ内容になっているので、これは絶対にラブソングだとは決めたくないなと思っています。少し変わった見方をすると、1コーラス目は男女が部屋で一緒に寝ているような歌詞ですけど、相手を恋人じゃなくて、自分の家で飼っているペットだと考えると、寝ている間にペットが部屋中をぐちゃぐちゃしていた光景が浮かんでくるんです。ちなみに私は猫を飼っています。(笑)