Klang Ruler VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■飛び降りちゃいそうなシーンがあったかと思いきや、屋上で楽しくぐるぐる回ったりもしていて、すごく面白かったです。ところで、「青色のキャンバス」という表現は珍しいですよね。青が好きなんですか?

yonkey 好きなんです。「ノスタルジー=ブルー」みたいなイメージが僕にはあって。自分が回想にひたる時に一番目に映るのが青色なんです。青春の青だったり、プールの授業で潜った時に見ている青だったり、カーテンの隙間から見える青い空だったり。だから、ノスタルジーと青は相性がいいのかなと思っています。

■だから青が好きなんですね。あと、yonkeyさんの歌詞は女性視点のものが多いように思います。もちろんヴォーカルが女性だからという部分は大きいのかと思うのですが、得意だから、というところもあるのでしょうか?

yonkey 得意というか、女性視点で書いている方が、自分ではさらけ出しにくい、生々しい部分を表現できる気がするんです。一人称も「僕」とか「俺」だと、ちょっと虚勢みたいなのが入っちゃって、ある種のカッコイイ自分を演じている状態になるんですけど、「私」を用いると、自然と自分の恥ずかしいような表現でも「スッ」と降りてきたりするので、それがちひろさんというヴォーカルを通じてアウトプットされるというのが、このバンドには合っているなと思っています。

■ヴォーカル的にはいかがですか?

やすだ このEPを作るにあたって、普段からコミュニケーションはよく取るんですけど、今回は「私が普段考えていることだったり、何にどういう気持ちになるかとことだったりのマインドノートを送って」とyonkeyから言われて、乱雑に書いたメモを「バッ」と渡したりして、感覚や価値観を共有しました。特にこのEPに関しては、本当に自分の中から湧き出てきた感情をそのままアウトプットして歌にできたなという感覚がすごくあります。もちろん曲ごとに、たとえばこの曲の主人公の女の子が、完璧に私とマッチするのかと言われると、もちろんそうじゃないんですけど、だからこそ面白いなと思う部分もあって。“SELFMODE”の主人公は、結構ヒステリックな女の子なんですが、私は全然ヒステリックではないから、「もっとヒステリックに歌って」と、yonkeyからディレクションしてもらいながら、自分の中のヒステリック要素を探して、「自分にもこういう部分があったんだ」と気付いたりもしたので、すごく面白かったです。

■“SELFMODE”の女の子は、自分だけのモードに切り替えていった結果が、攻撃的な方向性にいくのが面白かったんです。どんな女の子をイメージしているんですか?

yonkey “SELFMODE”の女の子は、二面性がすごくあって、サビで言っていることは本当に思っていることなんですけど、「スイッチ」という呼びかけとともにビートもアグレッシブに切り替わって、言っていることも強がっているというか、「私は別に恋人いなくたって元気だし、好きなことをやるし」という、ある種の虚勢を張っているんですけど、でも本当は「自分を愛してほしかった」とか、自分が本当は隠したい部分を歌うことによって、自分のモードに切り替える……みたいなものを表現しました。

■やすださん的には、どっちの「私」が実際の「私」に近いですか?

やすだ どうだろうなぁ……。普段は虚勢を張っている方なんですけど、スイッチした後の私も私な気がして……。(笑)

■女性が二人いるバンドですし、せっかくだからGyoshiさんにも聞いてみようかな。いかがですか?

Gyoshi えー、どっちも。(笑) 自分にすごく合っている感じがします。

■確かにこの曲はいろんな女性に刺さりそうですよね。音として一番こだわったのはどんなところですか?

yonkey 僕らの曲では珍しいんですけど、それこそデモを作って、かとちゃんにギターアレンジとか、ベースのアプローチとかを考えてもらって、割とロック指向の強い楽曲になりましたね。

かと デモの段階で、イントロの特徴的なリフはすでにあったんです。そこから「怒り」っぽい雰囲気みたいなものが出ているなと思ったので、それを増幅させるようにしています。たとえば、2番サビの後の激しいゾーンは、自分が高校生の頃に結構メタルが好きだったので、その要素をちょっと入れてみました。

■メタルといえばリフですからね。面白かったです。そして“ZENZEN わかってない”ですが、これはこの「ZENZEN わかってない」というフレーズが先行したんじゃないかな?と思いました。

yonkey もう、まさにそうです。本当にそうです。(笑)

かと この曲さ、最初アレだよ、車の中でさ、ちひろさんと喋りながらできたよね?

やすだ えっ?覚えてない。全然わかんない。

■文字通り「ZENZEN わかってない」ですね。(笑)

yonkey まぁ、この「ZENZEN わかってない」というフレーズができた段階で、この曲は完成したかなという感じです。(笑)

■でも、いつもは曲やトラックが先行するんですよね?

yonkey いや、必ずしもそうじゃなくて、曲を作るルーティンはなるべく作らないようにしているんです。朝起きた時や、寝起きの声で歌ったフレーズなのか、デスクトップミュージックでパソコンを開いて鳴らした音がいいからそこから作るのかは、本当にバラバラなんですけど、この“ZENZEN わかってない”に関しては、サビのフレーズが出て、「これは曲になる!」という感じで作りました。

■この曲はInstagramでバズっているということですが、きっかけはなんだと思いますか?

やすだ シンプルに私、この曲がめっちゃ好きで、デモの時点でどうしてもいっぱい聴いてほしかったのもあったし、ちょうどyonkeyがナイーブになっている時期でもあったので、どうにか数字に出したい気持ちがありました。それで、動画も楽曲も毎回バズを意識するのかと言われたら、全然そういうわけではないんですけど、一番最初に伸びた赤い背景のショート動画に関しては、もう「当ててやろう!」と思って狙って作りました。(笑)

■面白いコメントとかは来ましたか?

やすだ 印象的だったのは、「サウンド的には懐かしさを感じるけど、懐かしい曲だと思って聴いたら、MBTIだったり、〇〇界隈だったりの言葉が出てきて、めちゃくちゃ令和で面白かった」という、ギャップを楽しんでもらえているコメントが結構入っていたことです。気付いて貰えてよかったし、感覚として受け取ってもらえたなら嬉しいなと思います。

■次の曲は“ふめつ”ですが、懐かしさを感じつつ、「平成ポップスってこんな感じだっけ?」とも思ったんです。

yonkey そうなんですよね。具体的なものはみんな持っていないけど、なんとなく共通感覚としてあるから、僕も平成を生きてきた人間として、その感覚を頼りに音を選んでいます。多分それが、同じ時代を生きてきた人だからこそ、「なんか懐かしい気がするな」という感覚がシェアされるのかなと思います。

■曲としてはシンプルですよね。

yonkey そうですね。これは僕が学生の頃に放映されていたカップヌードルのCMに影響を受けているんです。内容は高校生の男女カップルが、ケンカしたり日常生活を送ったりしているんですけど、その裏では隕石が迫ってきていて、世界が滅亡する瞬間にふたりが向き合っている……というようなやつ。

■あ、覚えています!青春の中でだんだん不穏な感じになっていくシリーズでしたよね?

yonkey そう。そのイメージがすごく浮かんできたんです。「世界が終わるその日にも、僕らは気にせず今を謳歌しよう」というメッセージ性が出来上がりました。SNSのリールには終末論が流れて来るけど、「そんなの気にしないで今を楽しもうぜ」というざっくりとしたメッセージがあります。

■みなさん世界が終わる日には何をしたいですか?

かと フィンランドに行きたいです!

yonkey 間に合わなくない?

かと そう。だからこう、「明後日」とかじゃなくて、「もうあと2週間で世界が終わる」とわかったら、フィンランドに行きます。当日判明だったら、もう親と一緒に海に行くかな。あとは自分が好きな人と一緒に美味しいご飯を食べていたいです。

SimiSho 実際にはわかんないけど、普通に過ごそうとする気がします。特別なことはしないかな……。

yonkey 滅亡というと、多分なんか隕石とかが降ってきていると思うんですけど、野原とかでそれを見上げながら、「どうしようもないなぁ」と無力感にひたっていたいです。(笑) 冷静でいられることはないと思うんですけどね。

やすだ 私は怖いから先に安楽死したいかも……。(笑)

Gyoshi 私は安全そうなところに逃げます。地下シェルターとか。

やすだ 毎年「〇月〇日に滅亡します」みたいな予言ってあるじゃないですか。Gyoshiはあれを見る度に防災グッズを追加しているんですよ。(笑)

■最後まで生き残りたいタイプだ。(笑) そして最後は“ララバイ”ですね。この曲を最後に持って来たのはやっぱり「ララバイ」だから?

yonkey そうです。“Teenage Blue”と“ララバイ”の組み合わせって、よくライブセットでもやる流れなんですけど、ここはもうこのEPでもこの場所に置きたいなと思いました。ライブでも、やっぱりみんなで「ララバイ、ララバイ」と言っている時は本当に楽しいんですよ。「あのライブ、良かったな」と思ってもらえる曲なのかなとも思ったので、それをEPでも感じてくれたらいいなということで、最後に置きました。

■「ララバイ(子守歌)」なのに、疾走感がありますよね?!

yonkey これも“Teenage Blue”と同じ時期に生まれた曲だから、割と疾走感を意識しています。“ララバイ”も走り出したくなる楽曲かな。

■全体的に今作は現時点でのどんな作品になりましたか?

yonkey もう本当に、ライブを意識したEPというか。前作の『Space Age』とは打って変わって、コンセプチュアルじゃない、「ライブでみんなでこの曲が流れたら楽しめそうかな」みたいな感じで作りました。「この曲はライブの中間に置きたいよね」とか、「序盤にやりたいよね」とか、「“ララバイ”は最後にやりたいよね」とか。だから、ライブのセットリストみたいな感じなんです。みんなでセットリストを練る時に、「こういう曲がもっと欲しいね」と出たりもするから、そういう視点で書いた曲たちかなと思っています。

■そういう作品として聴いていきたいですね。それでは最後に、7月に迎えられるツアーファイナル公演に向けて、意気込みをお願いします。

やすだ 最近は特になんですけど、去年ぐらいからライブの本数がぐっと増えてきて、毎回「またここが良くなったな」とか、「あ、こここんなに変わったな」とかがたくさんあって。みんなで定点カメラを一緒に見返して、「ここはもうちょっとこういう風にしてみようか」みたいなことを毎回できているのもあるんですけど、ファイナル公演までのライブを通して、パワーアップした自分たちがそこにいることが想像できるので、私自身も、その日にどういうライブができるようになっているのかが、今からすごく楽しみです。お客さんとのコミュニケーションもより楽しく、すごくなっている体感があるので、最近はさらにお客さんと、今までずっと応援してくれている人はもちろん、初めての人たちも一緒に、その時間や空間を楽しんでいけるようなライブができるんじゃないかなと思っているので、めちゃくちゃ楽しみにしています。

Gyoshi 今まではKlang Rulerのファン層と合いそうな対バン相手とやってきたんですけど、今回のツアーでは、今までとは違う雰囲気のアーティストさんと組んでみたりして、今まで得られなかった要素が結構加わってきているので、パフォーマンス面でもめっちゃ成長していると思います。それをツアーファイナルでも見せられたらいいですね。『NEW AGE POP MIX』の新曲2曲も加わって、だいぶ今までのKlangとは違う新しい顔を見せられると思うので、そこにも注目してほしいです。

SimiSho 僕はLIQUIDROOMでずっとやりたいと思っていたんです。割と今回は、ちょっと自分たちにとって希望をひとつ上に見た挑戦的なツアーだったという意識があるんですけど、「じゃあワンマンどこでやる?」みたいな話になった時、いつもLIQUIDROOMの名前を出していたくらい、ずっと目指していた場所なんです。LIQUIDROOMでいろんなアーティストのライブを観て来たんですが、そこでやっとライブできるという嬉しさと、その分のプレッシャーというか、「絶対に成功させたい」みたいな感情と。もちろん「楽しみ」という部分もあります。あと、長めのライブができるのも好きなので、全部含めて楽しみです。

かと (インタビュー時点では)ファイナルまであと7回ライブがあるので、毎回毎回レベルアップするとなると、単純計算で今より128倍のライブができると思っています。本当に死ぬ気でやりきります。その間にあるライブも、毎回毎回死ぬ気でやるんですけど、それを並走して観てくれてもいいし、最後だけを見に来てもいいので、もうとにかく128倍のKlang Rulerを見てほしいです。

yonkey 僕ももちろんベストで臨みたいなと思いますし、去年から今年にかけて、メンバー各自それぞれが自分の役割みたいなものを深く理解して、それぞれがベストを尽くしてるなという実感を最近より強く感じているので、その集大成がこの7月27日なのかなと考えています。僕はもう、僕のできることに全力で挑みたいです。

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
ニューエイジ・ポップミュージックを掲げて⾳楽を鳴らす男⼥ 5 ⼈組バンド。どこか懐かしくも新しい、さまざまな時代にトリップさせてくれるかようなサウンドメイクが特徴。新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」をはじめ、世界デビューシングルの「NAINAINAI」「Tokyo Calling」など多くの楽曲をプロデュースするyonkey (Vo.&トラックメイカー)を中⼼に、専⾨学校の同級⽣のSimiSho(Dr)、かとたくみ(Ba)らと2015年に結成。2019年よりYouTubeにてカバー企画『MIDNIGHT SESSION』をスタートさせ、2021年の夏『MIDNIGHT SESSION』でも共演したアーティスト/ファッションデザイナーのやすだちひろ(Vo)と、サポートギターとしてバンドに参加していたGyoshi(Gt)が正式加⼊。同年には、『MIDNIGHT SESSION』から初のとなるリリースである「タイミング 〜Timing〜」がストリーミングサービスで23億再⽣を突破、TikTok Weekly Top 20では歴代最⾼の5週連続1位を獲得。同世代アーティストと共に名曲をカバーするこの動画シリーズは、過去の名曲をカッティングエッジなサウンドでアレンジする動画が評判となり、ヒットコンテンツとなった。2024年には1st Album『Space Age』、1st EP『アンビリーバブル EP』をリリース。TBS系TVアニメ『トリリオンゲーム』のEDテーマにEP表題曲の「アンビリーバブル」が起⽤される。また、2024年に台湾と中国・広州で⾏われたフェスに出演、2025年3⽉には中国・上海、7⽉には台湾でワンマンライブを⾏うなど、海外での活動も活発化している。2025年4⽉にSNSに投稿した楽曲「Teenage Blue」が、リリース前にも関わらず1,000万回再⽣を突破し、5⽉3⽇に同曲をデジタルリリース。そして6⽉からはバンド史上最⼤規模となる全国16箇所を周るライブハウスツアーを開催。年末にはFM802 RADIO CRAZYに初出演。2026年に⼊り配信した「ZENZEN わかってない」がインスタグラムを中⼼に⽕が付き、公開4⽇で100万再⽣を突破。3⽉から海外3都市を含む「Magnet+TOUR」がスタートした。
https://www.klangruler.com/

RELEASE
『NEW AGE POP MIX』

デジタル配信リリース

UNIVERSAL SIGMA
6月3日 ON SALE