■つきあっていてもそういう気持ちになるときってあったりしませんか?
コレサワ あー、あります、あります。やきもち焼いちゃったりとかね。飲みに行っていたりしたら、「なんで?女いるでしょ?女もいる飲み会に行くの?」みたいな。(笑) そういうセンチメンタルもありますよね。でも「行かないで!」って言いたくても言えなかったりね。
■そういうときはどうします?
コレサワ わたしはめっちゃ言います。(笑)
■あはははは、言うんですか!
コレサワ めっちゃ言いますよ。束縛はしないけど、その場に元カノとかいたら絶対無理じゃないですか。
■それはイヤですよね。
コレサワ ですよね。いくらグループでもその中に元カノいたら無理ですよね。でもそういうところも男は鈍感だから「別になんもないよ?」とかね。いやいや違うだろって。(笑) そういうのは普通に言いますね、わたしは。
■それを言えるだけでずいぶんラクになりますよね。
コレサワ そうなんですよ。後から言われるより、行く前に言われた方がいいし、潔いと思うんですけどね、その方が。でもこういうこと言うと、まためんどくさいって思われちゃう。(笑)
■全然そんなことない!話を戻して…“やっぱり泣くよ”から徐々にしんみりしていきますね。
コレサワ 『失恋スクラップ』なので、ここからは失恋を畳みかける勢いで。
■ラスト2曲できますよね。
コレサワ ラスト2曲はどーんと落とすと決めていたので。この曲は別れたことにというか、つきあえたことというか、愛してくれたことに感謝をしている曲なんです。
■はい。
コレサワ つらいけどそれを受け入れてる。そういう子がいっぱいいるんだろうなって。失恋って別れるだけじゃなくて、振られるだけじゃなくて、振る失恋もあると思うから。この曲はいろんな失恋に寄り添ってくれる曲なんじゃないかな。
■たしかに。
コレサワ サウンド的にはいままでやったことがなかった打ち込みのドラムを入れてみました。アレンジしてくれた藤澤有沙ちゃんは、いつもライブでキーボードを弾いてくれていた女の子なんですけど、K-POPとか、打ち込み系のサウンドを好んでよく聴いている子なので、合うかなと思ってお願いしたところ、ぴったりでしたね。
■ぴったりでしたね。それにしてもこの曲の女の子、健気ですよね。
コレサワ そう、健気なんですよー!あー、切ないー。でも「ありがとう」って言えるってやっぱり素敵なことだなって。さげすんだり、別れた人のことを悪く言ったりするような女の子にはなりたくないなって自分も思うし、どんなに最低なヤツでもちゃんと「ありがとう」って言えるようなつきあいをしてきた女の子じゃないかなって。
■たしかに、自分が好きになった人ですからね。
コレサワ そうですよ、本当に。
■「こんなに苦しい気持ちも どうせ忘れてしまうなら」って、ここがまた切ないです。
コレサワ 別れたことや悲しかったことはわかるけど、その気持ちの重さとかは覚えてないじゃないですか。どうせいつか忘れるとわたしは思っているから、別れた直後とかはとことん悲しんでいいんじゃないかなって。それが受け入れるひとつの作業というか。それをやらないとずっと引きずっちゃいそうなので、ちゃんと悲しんだ方がいいんじゃないかなって思うんですよ。
■悲しむことを我慢したりすると、長引くし、余計こんがらがりますよね。
コレサワ そう、泣けなかったりするとずっと残っていると思うから、出すのが大事なんですよ。
■コレサワさんはなかなか忘れられないときとかはどうしますか?
コレサワ わたし結構忘れちゃうタイプなので。(笑) 何年も引きずったこととかないからなー。でもいますよね、ずっと好きだっていう人。
■いますね。
コレサワ わたしは新しい恋に乗り換えるタイプかも。(笑) つきあうとか、つきあわないとか関係なくて、俳優さんでもいいし、人間じゃなくてもいいし、とにかく好きの対象をちょっと移せば紛れるというか。
■なるほど、なるほど。相手は何であっても好きな人を作ればすぐ忘れられると?
コレサワ そうそう、そうです。
■そして“バカでしょ”。これは最後にもうって感じで。
コレサワ 結局はどんな恋愛でもつらかったり、うまくいかないことが多くて、だったらもういちばん好きな人の横にいたいなって。それが別に笑顔じゃなくても、悲しくてもいいから、隣にいさせてくれって思う気持ちがもうアホやなって。自分でもそう思うんですよね、本当にバカだなって。でもそれでも好きだから、しょうがないから、気持ちが離れられないからって、たぶんこの7曲の中ではいちばん後ろを向いている曲だと思います。
■そうですね。
コレサワ いちばん失恋っぽい曲だし、シンガーソングライターとして、ギターでひとりで歌っていても、この曲がすごく映えるというか、自分のミュージシャンとしての核みたいなものに近い曲かなって思いますね。この曲はできた瞬間から最後に入れたいって決めていた曲なので、これを入れることで締まりがよくなったし、この曲があるから、間に何があっても『失恋スクラップ』になるなっていうのはすごく感じていましたね。
■この曲、リピートして聴く人もきっと多いだろうし、どうせならもうこの曲でおもいっきり泣いて欲しいなって思いました。
コレサワ わたしもシュンスケさんのデモが上がってきてから何回も聴いていたので、みんなにもリピートして聴いてもらえたら嬉しいですね。
■こういう曲が書けるのも、こういうアルバムができるのも、本当にいまだからっていうのもあるでしょうし、ご自身にとっても大切な1枚になったんじゃないですか?
コレサワ たしかに、そうですね。「失恋」をテーマに7曲書けた、このアルバムを出せたってことは、「ありがとう」って気持ちが大きいし、それしかないかな。生きてきたことをこうやって歌にして、それをCDにして出すことができて、こうやって話を聞いてもらったり、お客さんが楽しんでくれるっていうのは、すごいことだなってしみじみ思います。
■だいぶ気が早いですが、失恋の次は何がくるんでしょうね?
コレサワ それはもう決めていて……。次は絶対「愛」をいっぱい歌いたいなって。失恋を歌い過ぎて、そろそろ愛を歌いてぇーって。(笑)
■あはははは、そうなりましたか!
コレサワ はい。だからいまは愛のあるというか、それは人だけではなくて、モノとかに対してもみんな愛があるじゃないですか。好きな曲とか好きな動物とか。
■はい。そうですね。
コレサワ そういういろんな愛情を歌ったものを次は作りたいと思います。もう失恋はしばらくいい。(笑) このアルバムの曲を書いているときは失恋が周りにあったけど、いまはいろんなことに対して愛情を持てるようになったから、そういう曲が出てくるだろうなって。だから「愛」を歌います!
■めちゃめちゃ楽しみです。でも失恋も愛から始まってのことですからね。
コレサワ そうです。すべては愛からなんですよね。と言って、また失恋の曲も書くかもしれないですけど。(笑) それは今年のわたし次第だと思います。
Interview & Text:藤坂綾
PROFILE
大阪府摂津市出身のシンガーソングライター。中毒性のある声、POP なメロディー、日常の風景を独自の視点で切り取った歌詞が話題に。メディアには顔だしはせず、素顔が見れるのは LIVE のみ。「れ子ちゃん」と言われるクマのキャラクターがビジュアルを担当し、ミュージックビデオは新進気鋭のクリエイター「ウチボリシンペ」によるフルアニメーション。2017年8月に1stアルバム『コレカラー』でメジャーデビュー。2018年9月には2ndアルバム『コレでしょ』をリリース。2019年10月にテレビ東京 木ドラ25「新米姉妹のふたりごはん」主題歌、『いただきます』を配信リリース。2020年1月15日に全曲“失恋ソング”というコンセプトミニアルバム『失恋スクラップ』をリリース。3月21日札幌cube gardenから6月4日東京EX THEATER ROPPONGIまで全国ツアーを開催。
https://koresawa.jp/
RELEASE
『失恋スクラップ』

初回限定盤(2CD+DVD)
KICS-93889~90
¥4,070(tax in)

通常盤(CD)
KICS-3889
¥2,420(tax in)
KING RECORDS
1月15日