Lucky Kilimanjaro VANITYMIX 2019 AUTUMN PICK UP INTERVIEW

Lucky Kilimanjaro『FRESH』

■曲作りはどのように?

熊木 僕がPCで作り込んでいって、それをメンバーに聴いてもらって、ヒアリングしながら細かいところを作っていく感じです。基本は自分の中でこうしたいって完結しているものをメンバーに渡すカタチです。

■作り込んでいくまでに、どれくらい時間が掛かるんですか?

熊木 ほんとに聴けるレベルになるのは1日くらいで終わりますよ。事前にコンセプトをつめて。毎週制作日で1日完全に空けているんですけど、そこで一気に作り込むんです。曲ができるのは早い方かもしれないですね。むしろ、コンセプトやこういう曲をやりたいっていうのを考えるほうが長いです。

■曲ができない、頭に浮かばない、ということはあまりないですか?

熊木 最近はないです。昔はあったんですけど、メジャーデビュー以降ないですね。作る技術が上がったってこともあるんでしょうけど、作品を出して、お客さんに感想をもらったりすると、次はこういう曲がいいかも、次はこういう提案をしたらいいかもっていうのが結構出てくるので、できやすい状況でもあるんでしょうね。

■それプラスやりたいことが増えてきたということもあるんでしょうか?

熊木 あー、それもあるかもしれないですね。今回の3枚目(“Do Do Do”)から“FRESH”までは、今までにないタイプの曲なんですけど、そういう意味ではやりたいことが増えたっていうのはあるかもしれないです。昔はもっと4つ打ちに寄ろうと思っていたんですけど、そこがかなり崩れたっていうのもあるし。もともとハウスとかディスコが好きだから、初めは4つ打ちに寄ろうと思っていたんですけど、最近はヒップホップも聴くし、ジャンルのことを気にせず聴くようになったから、自分の中でもいろいろ広がったというか、曲が自然に書けるようになってきた気がします。

■枠にとらわれずに新しいことができるようになってきたと?

熊木 そもそも僕らの音楽がそういうことを提案していく音楽だと思っているので、僕らがずっと同じところに固執しちゃうのはちょっと楽しくないよね、って感じです。まぁ僕が飽きっぽいっていうのもあるんですけど。(笑)

■最後の“FRESH”も同時期に作られたんですか?

熊木 “FRESH”は4月か5月くらいに書いた曲で、連続シングルを出してからEPをだすときに、そこに1曲足そうってことだったんですけど、その1曲が自分の中でなかなか見つからなくて。というのは、このEPが今年最後のリリースになると思うんですけど、だとしたら2019年を締めくくれる曲、いい年だったと思えるための曲、2019年から2020年につながるような曲にしたいなと思って。結構いろいろ書いて、一番しっくりきたのがこの“FRESH”だったんです。

■どれくらいの曲を書かれたんですか?

熊木 5曲くらいかな?その中から選んだんですけど、他の曲は世に出す予定はないです。(笑) 僕、あんまり曲をストックできないタイプなんですよ。音のクオリティもそうですけど、半年も経てば人の考え方って変わるので、作品を作るときは基本その期間に作ることが多いですね。落選していった曲たちは、ほぼほぼ復活はない。(笑) それなら新しい曲を書きたいなって。

■やっぱり常に今の自分をってことですか?

熊木 今、自分が言えることっていうのが、やっていて一番辛くないですからね。常に今の考えでやりたいっていうのはあります。それにやっぱりものを作り出すこと、ゼロからイチにすることが楽しいんですよ。だからLucky Kilimanjaroの2020年のメッセージとして、ゼロイチの大切さみたいなものを歌っていこうと思っていて。“FRESH”もそういうことを歌ってます。

■そうなんですね。

熊木 自分の中のこうしたいっていう部分を表現できるのが芸術の世界だと思っているので、それは決して才能とかではなく、それぞれがちゃんと持っているものだし、ただ単純に、恥ずかしいとか、怖いとか、そういうので止めちゃっていることが大きいと思うので、そういうものが、より柔らかくなるといいなと。そういうことを2020年は発信していきたいなと思っているんです。

■なるほど。

熊木 なので、僕はインプットを常に欠かさないようにしていて、本やコラムから、漫画、映画、割となんでも気になったものは隙間時間に吸収するようにしていて、やっぱり自分が何か感じないと何も出てこないし、感じた経験をちゃんと保存しておいて、それを歌詞にしていきたいなって思っています。

■そういう気持ちでいると、これからの自分たちの活動を自分たちがいちばん楽しみにしていられるだろうし、聴く人にもよりそれが伝わるんじゃないかなって思います。

熊木 やっぱりそこが一番なので。僕らが楽しいと思うことをやっていかないと裏切りになるとうか。自分たちが信じたことをやっていないという状態は、Lucky Kilimanjaroとしてダメだと思っているので、そこはもう自分の義務としてもそうだし、ちゃんとやっていきたい部分ではありますね。

■“FRESH”を聴いた人がいろんなことに挑戦したり、やりたいことをやったり、表現したいことをしていけたら素敵ですね。

熊木 新しい環境とか、新しい自分になるのって怖いことだと思うんですよね。僕は中学から高校に上がる時は超怖かったし、就職とか職場変わるときとかも怖いじゃないですか。だから、そういうときって躊躇しちゃう気持ちもあると思うんですけど、知らないことを知ったり、新しいことをやったことで、また新しい感情とか、新しい何かが生まれると思うので、そういうのを大事にしてほしいなって。“FRESH”はそういうことを書いた曲なので、怖いというのは承知の上で、1回やってみて、楽しんでみようよって。これからも聴く人たちにもそういう提案をしていきたいし、僕たちもそうやっていきたいと思っています。

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
2014年にヴォーカルの熊木幸丸を中心に活動を開始。鮮やかなシンセサイザーのサウンド、ダイナミックなドラム&パーカッション、誰もが口ずさめるようなメロディラインとダンスミュージックの融合はリスナーからの注目を集めてやまない。そんなリスナーの心を踊らせることを目的とした、6ピース・エレクトロポップ・バンド。
luckykilimanjaro.net

RELEASE
『FRESH』

Lucky Kilimanjaro『FRESH』

MUCD-1437
¥1,728(tax in)

DREAMUSIC
10月2日ON SALE