沖聡次郎(Gt)
感謝とこれからもよろしくの気持ちを込めたNovelbrightからの約束の地(WONDERLAND)への招待状
「新参/古参関係なく、みんなに育まれここまで来られた!」そんな感謝の気持ちと、改めてこれからも長い付き合いをよろしくの気持ちや気概、決意や覚悟が全体から溢れ出しているアルバムだ……。
Novelbright初となるフルアルバム『WONDERLAND』は、まさに「現時点での自身」を余すところなく収めた1枚。ここ最近、自覚し明確に打ち出してきた感のある自らの魅力や本質を軸に、幅やバランス、バラエティ豊かな楽曲が12編に渡り収まっている。自身が現在想っていることや、今だから伝えられることが、信憑性や信頼感も含め、真摯に正直に、各曲最も伝わりやすいアプローチにてみんなに贈られているのも印象深い今作。まさにこれこそ彼らが今後も目指していくみんなとの約束の地「WONDERLAND」への招待状だ。そんな今作について、多くの楽曲にて作曲を担ったギターの沖聡次郎が紐解いてくれた。
■いよいよ待望の1stフルアルバムが届きました。いやー、待ちましたよ!!
聡次郎 お待たせしました!自分たちとしても、ようやくみなさんに聴いてもらえる。そんな喜びで今はいっぱいです。というのも、このアルバムを制作し始めたのは、それこそ去年の7月頃からでしたから。
■約10カ月!かなり満を持してのリリースですね。さぞかし満足のいく内容になったのでは?
聡次郎 大満足ですね。それこそ今回はこのアルバムの為の新曲もそうですが、過去に出して現在入手困難な楽曲たちも、「今、伝えるとしたらどんな感じが現在の自分たちらしいか」を、いろいろと考えながら作っていきましたから。なので、自分たちとしては現時点での自分たちの気持ちや想いを含め、それこそ最大限「自身の現在」を詰め込めたと自負しています。
■同感です。非常に自分たちの音楽性や、いま自身が音楽を通して伝えるべきもの、自分たちならではをかなり自覚して制作された感があります。いわゆるみなさんの武器ともいえるメロディアスさや美しさ、その辺りがとくに特化されていて。
聡次郎 まさにそこなんです。前作のミニアルバム『「EN.」』では、まだ自分たちの良さや自分たちらしさに自覚できていなくて。自分たちでも自身が掴み切れずに模索していたんです。そこから前作での反響やみなさんからの感想等を経て、それらが自覚できるようになって。それをこのアルバムの制作前にキチンとメンバー間でも共有できたのが、今作の制作上大きかった気がします。
■ちなみにメンバー間では今作を作るにあたり、どのような話をされたんですか?
聡次郎 やはりフルアルバムは曲数も多いしバンドの底力が試されるじゃないですか、曲は多くて似通った曲ばかりでもつまらない。とは言え、キチンと大きな方向性も持たなくちゃいけない。そこはメンバー間でも共通で共有し制作に臨みました。
■分かります。みなさんたちらしい「これだ!」という幹でどの曲も貫かれていながらも、楽曲のバリエーションは非常に豊かです。
聡次郎 今回は12曲、いろいろな顔を持った作品にしたかったんです。で、作ってみて気づいたら、「やっぱり俺らの武器やらしさってこうやったんや!」「結局、俺らの根底はこうやったんや…」って。そこからですね、自分たちの武器により自覚的になれたのは。
■その辺りで驚いたのは、今回ようやく収録された“Photo album”や“夜空に舞う鷹のように”、“スタートライン”のような当初からライブで演っていた曲も、最近出来た曲たちと根底は変わっていないところでした。その辺り活動当初からキチンと持っていたんだな…って。
聡次郎 それは今回、自分たちでも非常に感じました。「自分たちって、いま自分たちで正解と思えるタイプの楽曲を昔から作ってたんや…」って。だからこそ、今回再収録で改めて入れてみようとなったんです。
■ところで今作は聡次郎さんもギターのみならず、作曲で大活躍していますね。全12曲中7曲も作曲していますね。
聡次郎 頑張りました。(笑) 今回はこれらに限らず、とにかく沢山曲を作ったんです。そんな中からまずは自分の思うNovelbrightらしい曲を提出し、そこから足りない要素の曲を加えていき、バランスとバラエティさを出してみました。例えば「踊れる曲も欲しいよね」とか、「優しい曲ばかりじゃなくて刺激のある攻撃的なメッセージが似合う曲が欲しい」等々。それらを再度メンバーからももらい、更に作っていったんです。
■王道的な曲もですが、“おはようワールド”はダンサブルだし、“ENVY”はかなり今のSNSの功罪に対しての痛烈な啓示ですもんね。
聡次郎 楽曲を作った順で言うと、一番最初に新曲として出来たのが、“ランナーズハイ”で。その次がラストの“時を刻む詩”でした。この2曲は当初から最初と最後に入れようとメンバーの意見も一致して。それらを軸に、続いて“君色ノート”“夢花火”といったリードとして僕たちが推していける自信曲が出来上がり、そこまでは自分たちの王道曲ばかりだったので、フック的なものをと、“おはようワールド”や“ENVY”、“candle”等、新しい楽曲アプローチや歌詞のメッセージ性のある曲たちを加えていったんです。
■非常に全体的な流れや大きなストーリー感がありました。
聡次郎 それこそ今の自分たちならではの作品になったなって。メロディもですが、雄大(ボーカル)の歌詞でもその辺りの流れがとても表れていて。例えば“ランナーズハイ”は、ちょうど自分たちが上京していく中で生まれた楽曲だったこともあり、その際の不安や希望、「ここから行くぞ!!」との気概等を込められたし。他の曲たちもリアルな自分たち、今だから書ける歌詞や歌える歌、キチンと自信を持ったり、信憑性を持って届けられる歌が揃った自負はあります。そこは元々最初から目指していたところの一つでもありました。
■どれも非常にリアリティがあります。「この曲を作っている時は無敵感でいっぱいだったんだろうな…」とか、「とても達成感があった時期だったんだろうな…」とか、「ファンの方々の大切さや大事さを改めて感じた時期だったんだろうな…」等々。
聡次郎 歌詞は“candle”を除き、全て雄大が書いたんですが、今回も歌詞は一番最後。サウンドが完成してから、そこからインスパイアされて作っていました。なので、メロディの時点ではある程度のニュアンスは伝えますが後は彼にお任せで。その辺り、浮かんだり察してくれたのかもしれませんね。どの曲もわりと思っていたものとバッチリはまる歌詞だったので。“ENVY”以外は。(笑)
■“ENVY”はかなり物申す系ですが、作曲した聡次郎さん的にはこの歌詞は意外だったと?
聡次郎 驚きました。仮タイトルから“ENVY”ではあったし、スリリングなタイプの楽曲ではありましたが…。(笑) 元々「攻撃的な曲にしたいよね」なんて話はしていたものの、SNSの誹謗中傷等を見て彼的に何か思ったんでしょう。そのような記事を見た次の日にあの歌詞が届きましたから。素直なやっちゃな…って。(笑)