ORESAMA VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ORESAMA『CONTINEW WORLD』

ORESAMA、移ろう時間を彩る全24曲に込めた祈りと挑戦

弾む歌声とドリーミーなダンスチューンで支持を得る音楽ユニット、ORESAMAが10月27日にニューアルバム『CONTINEW WORLD』をリリースした。新曲6曲とタイアップ曲で成るDisc1と、これまでの人気曲をリミックスしたDressup coverが収録されるDisc2の2枚組、全24曲という豪華な内容だ。前作から3年半蓄積された色とりどりの楽曲に込められるのは、日々の感情を丁寧に汲み取った言葉たち。新たなサウンドに挑みながらも聴く者に寄り添う楽曲を作るボーカルのぽん、サウンドクリエイターの小島英也の二人に、今作のこだわりや込めた思いを訊いた。

■今作の『CONTINEW WORLD』は、3年半ぶりのアルバムリリースとなりますが、世の中全体としてもお二人の活動としてもいろんなことがあった3年半だと思います。まずはアルバムが完成した感想を教えてください。

ぽん 思った以上に時間がかかりましたね。でもその分濃密な作品になっているかなと思います。ORESAMA史上最高にボリューム感があるので、目でも耳でも楽しんでいただける作品ができたんじゃないかな。

小島 今思えば3年半は長かったなと思います。でも僕らとしては個人的にも楽曲提供の仕事させていただいたり、ぽんちゃんも作詞の仕事をしたりと、かなり充実していて。もちろん僕らもライブの中止を経験したりしましたが、そういうことも含めて、3年半がぎゅっと凝縮したアルバムができたなっていうのが今の印象です。

■アルバムタイトルであり、曲名でもある“CONTINEW WORLD”は、7月に行われたライブ『SUMMER NIGHT PARTY』で初披露した際のMCにおける「変わっていくことを恐れないで前を向いて進んでいきたい」という言葉が印象的でした。“CONTINEW WORLD”という楽曲名をアルバム名にもした決め手はなんだったんでしょうか?

ぽん このタイトルは続くという意味の「continue」と、新しい世界という意味の「new world」を掛け合わせていて。自分の中のテーマとしては、「変わり続けていくこと」と「時間の移り変わり」っていう2つがあるんです。みなさんそうだと思うんですけど、今まで経験したことのない自粛期間になって、時間の流れを今まで以上に感じたと思うんです。イベントの延期や中止、思うように活動できない、会いたい人たちにも会えない、それでも時間は刻一刻と流れていく。世界は日々変わり続けていく。そんな中で生まれた悔しさだったり、もどかしさがあって、それがあったからこそ生まれた強さとか前向きさもあって。そういうものも全部私たちなりに音楽にしたいなと思ってこのタイトルに決めました。

■表題曲がアルバムの最後にあるのがタイトルを強調しているようにも感じられます。

ぽん これは私が最後まで粘りました。小島君は1曲目で想定していたんだよね?

小島 アルバムの表題曲は1曲目に入れたいっていう気持ちがあるので。(笑)

ぽん でも「続き」っていう言葉が入っているので、広がりを見せつつエンディングを迎えたいっていう気持ちがあったので粘りました。

■曲順の話で言うと、1曲目“Gimmme!”の「おやすみ」という歌詞で夢の中に引きこんで、2曲目の“OPEN THE WORLDS”以降で夢のようなORESAMAの世界を見せるという構成に見えました。そこは意識されてですか?

ぽん 1曲目の“Gimmme!”は、一番最新のタイアップ曲でもありますし、ORESAMAが掲げている非日常に一番連れていける曲だと思ったので、そういう意味で1曲目を担ってくれるのではという話はしました。

■3曲目の“パラレルモーション”は、「もう完璧なんか欲しいんじゃない」からのところがすごくカッコ良くて。リズムでボーカルを引き立てる曲ですね。

ぽん 今まで生きてきた中で一番チームに褒められました。(笑) この歌詞のハマり方はすごいって。

小島 「もう完璧なんか~」からの段は僕の中でも特にメロディとリズムがユニゾンする感じで作ったので、歌詞を作るのも苦労するだろうなって分かっていてぽんちゃんに送ったんです。でも一発で完璧な歌詞を送り返してくれました。

ぽん 歌詞としては、中々気軽に遊んだり会えない時代になってしまったけど、パソコンやスマートフォン、テレビなど、各々の電波を介して開かれるMVだったり、ライブ配信だったり、そういうORESAMAの並行世界をもっともっと広げていきたいっていう思いを込めた楽曲です。今この楽曲をMVにする意味がすごくあるかなと思っています。

■MVもタイトルの通り並行世界を描いた可愛らしい作りですね。

ぽん そうなんです。監督さんからは「パラレル」というところから、「今までのORESAMA軸ではないラインのORESAMAに挑戦してみませんか?」とご提案いただいたので、今回初めてイラストレーター・アニメーターのはなぶしさんに私たちをイメージした3DCGキャラクターをデザインしていただいて。今までにない印象になったのではないかと思います。

■Disc1には新曲とタイアップ曲が6曲ずつ収録されていますが、特にお気に入りの曲や思い出深い曲はありますか?

ぽん 私は“ロマネスク”と“Baby Baby Blue”ですね。自分の中で対になっている曲なんです。自分の中のアルバムのテーマでもある、時間の移ろいっていうテーマで2曲とも書いていて。いい時も悪い時も、日々変わっていく時間を自分らしく凛として生きたいという強い気持ちを込めたのは“ロマネスク”。強い気持ちの裏には弱い気持ちというか、柔らかい気持ちがあると思うので、その柔らかい気持ちにフォーカスして書いたのが“Baby Baby Blue”です。愛おしい過去から手を離して、また一歩ずつ前に進んでいくようなはなむけの曲です。

小島 僕のお気に入りは“Moonlight”ですね。ゴスペルはずっとやりたかったジャンルで。

ぽん ずっとやりたいって言ってたもんね。

小島 教会に音楽を聴きに行っていた時期があって、自分の中で馴染みがあるというか。でも僕は英語が喋れないので、周りが讃美歌を歌っていても何を歌っているかはわからないんです。ただあの曲調とか雰囲気は、なにかへの祈りを感じるんですよね。僕は歌詞を書かないので、思いを音で表現しないといけないんですけど、例えば好きっていう気持ちひとつをとっても、それを音でどう表現するかっていうのはとても難しいと思うんですよ。でもゴスペルは自分の祈りを表現するのにすごく理想的なジャンルだと思って。今回は祈りを表現したくてゴスペルの曲を作りました。

■そうだったんですね。

小島 ぽんちゃんの後ろにコーラス隊がいるんですけど、めちゃくちゃボリュームを大きく出してあるんですよ。それは今ライブでみんなは声を出せない状況ですけど、ぽんちゃんがみんなの歌に囲まれて真ん中で歌っているような情景を思い浮かべていて。「またみんなが声を出せる元のライブに早く戻って欲しい」っていう祈りをこの曲では音で表現したかったんです。

ぽん みんなで一緒に歌いたいよね。

小島 うん。みんなで歌ったら鳥肌立ちそう。

■ゴスペルに挑戦ということで、ぽんさんはなにか特別に意識されたことはあったんですか?

ぽん 今までとすごく違うみたいなのはなかったんですけど、この曲はコーラスも私で。ORESAMAでは出したことのない野太い声とかも小島君に指導されながら録りました。

■コーラスもぽんさんだったんですね!

小島 9割方ぽんちゃんです。合唱隊を呼んで録る形もあると思うんですけど、今回はぽんちゃんにかなりの人格を演じてもらって。それが9割で、あとは僕の声も混ぜたりとかで厚みを出していきました。

■同じく新曲の“Chewy Candy”はスキャットが多く使われていますが、これもORESAMAとしての新たな挑戦だったのではないでしょうか?

ぽん 私が歌で遊んでいる曲が欲しいって言って、小島君を困らせた曲です。(笑) スキャットのようなものを好き勝手に軽やかに歌っている一方で、要所要所にある歌詞はちょっと重いというか。私たちの作るものが、噛んで味がなくなったら吐き捨てられるチューイングガムのようなものではなくて、噛み砕いた後に聞き手の中に溶けていくようなものでありたいっていう願いを込めています。すごく気に入っています。

小島 仮歌を送った段階で歌詞が入るだろうなと想定していたところまで全てスキャットでした。(笑) でもすごく面白かったのでスキャットは減らさず、これだけ歌詞が短くなりました。

■ベースはウッドベースですか?他との音色の違いが楽曲の雰囲気を引き立てているように感じます。

小島 そうです。ウッドベースなんですが、あえて打ち込みでやっています。本物でもよかったんですけど、ちょっとだけ機械感が欲しくて。あまり生っぽすぎるのも曲に合わないかなと思ったので、打ち込みでウッドベースのサウンドを使いました。ウッドベースなんだけどタイミングはきっちりと合っているっていう。