OverTone VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■匠さんは女性目線でラブソングを書こうというアイデアは、ずっと前からあったんですか?

 アイデアというか僕は女性目線の曲を男性が歌うっていうことにすごく魅力を感じていて。福山雅治さんの“Squall”っていう曲があるんですけど、それがすごく好きなんです。それから自然と女性目線の曲を男性が歌うのがすごくいいなと思って。このタイミングなのはたまたまですけど、サビの歌詞が始めに出てきたんですけど、「あなた」って言っているし、「女性目線で書いてみるか……」っていう感じでした。

■女性目線の曲を歌うとなると、歌い方なども変わってくるものですか?

八上 バラードとかを歌う時って、歌詞の内容が怒っているのか、悲しいのかみたいなのをめっちゃ気にするんですよ。だから、レコーディングの時も怒りながら歌っているパターンと、悲しそうに歌っているパターンのどっちも録っていて、「どっちがいい?」みたいなことをよく聞くんですけど、 “つよがり”は怒りの中でも、自分に対する怒りやなっていう印象で。男性が怒る時って、自分に対する怒りより相手に対する怒りが多いと思うんですけど、そこの微妙なニュアンスは気にしつつ歌っていますね。

GUCCHI 僕はそこまで使い分けはできないんですけど、やっぱり歌詞に沿った歌い方というか。“つよがり”は初めて自分で書いていない歌詞を歌ったので、レコーディングの時に歌ってみて意見を聞いて。できるだけ伝わるように歌いました。

■“論外”はGUCCHIさんが作詞・作曲を担当していますが、とても耳に残る曲ですね。

GUCCHI これは「とりあえず耳に残せ」っていうのが自分としてのテーマで。サビから作ったんですけど、メロディにリフレインを使うようにして、さらにキャッチーに耳に残るようにするために、歌詞もリフレインしたいなと思って。「論外だ」っていうのがそこに当てはまったので、なにが論外かはそこから考えていきました。英語っぽいメロディにめっちゃ画数多い漢字が並んでいたら面白いかなと。

■“それと、愛”は、みなさんで作られた曲なんですよね。どのように作っていったんですか?

八上 この曲を作った当時は、まだメジャーデビューとかなにも決まっていない時だったんですけど、当時お世話になっていたVillage Again Associationっていうレーベルの方が、「ちょっと背伸びしたラブソングを作ってよ!」っていう話をくださって。そこから相談しつつ「こういうニュアンスの曲がいいよね」って進めていった感じです。

■先ほど八上さんは「ラブソングを自然体に歌える」とおっしゃっていましたが、背伸びしたというイメージの“それと、愛”の制作はいかがでしたか?

八上 例えば「僕が26歳の時に35歳くらいの女性のことを好きになったらどうやろな?」っていうイメージで考えていって。やっぱり下手に出ちゃうというか。なので、僕の歌詞は「愛を語れるほどは大人じゃない」って、ちょっとビビってる感じが出ちゃっていますよね。(笑)

■“Have a nice day!!!”もみなさんで作詞・作曲されている曲なんですよね?

八上 これが一番新しく作った曲ですね。元々アマノがデモでサビを作ってきて、それをみんなで作ろうかっていうことになって。この感じの曲調ならアマノの言葉だけじゃなくて、それぞれが思う社会に対する不満とかを書いた方が、お客さんも喜んでくれるんじゃないかと思って。アマノのデモをアレンジャーの方に投げて、それに合わせてそれぞれでメロディと歌詞をつけていったっていう感じでした。

■日々の不満のようなものも歌詞では描かれていますが、このテーマはアマノさんの中にあったものなんですか?

アマノ 僕の心にあったというよりは、やっぱりSNSとかを見ていると、ファンの方の日常とかが流れてきて、「会社の上司がどうこう……」とかもあるじゃないですか。そういうのを見て、やっぱりみんな生きていて嫌なこととかあるけど、ライブの時は楽しんでくれているんだな…って。僕らのライブを楽しみに来てくれているんですけど、逆に僕らが元気をもらっているというか。お互いにそういうWin-Winな関係やから、感謝を伝えたいなっていうのをストレートに歌詞にしたっていう感じですね。どちらかというと、この曲に関してはファンの人へのメッセージ性が強いかもしれないです。

■みなさんで歌詞を書いていく際は、4人が同時に書いていくのか、他の人の歌詞を見ながら順番に書いていくのか、どんな形で書くんですか?

八上 「Aメロはこんな感じで」みたいなのを決めて、みんなで割り振って同時に作る感じです。だからOverTone作詞・作曲になっている曲って、レコーディングの日に初めて歌詞を見る時とかもあるよな。

■すごいですね。歌詞の内容がそれぞれで食い違ったりすることはないんですか?

八上 基本はないんですけど、それが懸念される場合は前後の人で連絡を取り合うこともありますね。

■面白いですね。この方法は結構前から取り入れているものなんですか?

GUCCHI むしろ結成当初はこれが基本でしたからね。

 ただ僕は自分が作っている感じと、前後の歌詞が結構違うなって思ったりもするので、他の人の部分ができるのを待ったりとかもします。

八上 そうなんや。俺、匠くんって「宿題を最終日にやる人なんだろうな」って思ってた。(笑)

一同 (笑)

■1曲目の“Prologue”は、すごく気持ちのこもった楽曲で、最後の “Have a nice day!!!”はファンへのメッセージが詰まった楽曲と、OverToneの今の思いがすごく詰まったアルバムになっていると感じます。完成した今、どんな作品になったと感じていますか?

八上 毎回言っているんですけど、今までで一番良いアルバムになったなと思います。音とかもそうですし、曲のクオリティも上がっていて。ひとつのアルバムでも振り幅がありますし、「なんでもできるな」と自信がついた作品というか。僕の中では結構背中を押してくれた作品になりました。

 この6曲、ジャンルレスで本当に振り幅がすごくあるなと自分で聴いていても思うので、「この中で1曲は好きな曲あるでしょ」と思います。すごく自信を持てる作品になりました。

アマノ 僕は個人的に人のアルバムを通して聴くタイプじゃなくて、そのアルバムの中から好きな曲を自分のプレイリストに入れるみたいな感じなんですけど、これはそういうアルバムなんじゃないかなと思います。いろんなアルバムから好きな曲を自分のプレイリストに持ってきたようなアルバムになっているのかなって。だから、ジャンルもばらつきはあるけど、全部お気に入りみたいな。そういうアルバムですね。

■12月から1月にかけて行われるツアーも、もうすぐ始まります。今の意気込みを教えてください。

GUCCHI ツアーで全国に行けるのがすごく久しぶりで。しかも今までで一番会場数が多いんですよ。3年くらい前は行っていたけど、最近はなかなか行けへんかったところにやっと行けるようになったので、久しぶりに見に来てくれる人たちに「3年間待っていてくれてありがとう」「また来てくれてありがとう」って伝えるツアーにできたらと思います。それで「また次も来てもらえるように頑張りますんで」っていうツアーにしたいです。

八上 九州に関しては、この3年で1回くらいしかライブに行けていなくて。やっぱり久しぶりに行く地域が楽しみなのはもちろんなんですけど、この3年間待っていてくれてたファンの人たちをがっかりさせないライブというか、「待っていてよかった!」とか、「OverToneも進んでいるし、僕・私ももっと頑張ろう!」って思ってもらえるライブにするのは大前提で。なんにせよ、メジャーデビューして一発目のツアーなので、チケットを何としてでも売り切りたいなっていう気持ちではあります。そのために『POP APP』をもっと全国に広めていきたいなと思います。

 やっぱりライブって耳だけじゃなくて、目で見ても楽しむものだと思っているので、実際にライブに来ないと体感できないような興奮だったり、楽しさを持って帰ってもらいたいです。生きていく上でのちょっとした糧になればいいなと思っているので、全力で歌いたいと思います。

アマノ みんなが言っていた通り、コロナ禍で行けていなかった地域がほとんどなので、超久々に見ると思うんですよ。前から僕らのことを知っていて、ライブに来てくれていた人たちがまた来てくれた時は「OverToneのライブってこんな楽しかったな」っていう感情になってもらいたいです。コロナ禍で知ったけど、ライブに来たことないっていう人もたくさん来てくれると思うので、そういう人は「こんな面白いやつらなんや」とか、この4人の雰囲気を見てもらって、「こんなやつらやったんや」っていうのを、しっかり心に突き刺していきたいと思います。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
2017 年 9 月に大阪で結成の 4 人組ボーカルグループ。 各々が10代の頃からソロシンガーとして音楽活動をしている中で出会った、八上和希、GUCCHI、NOWAR The 匠の3人は互いの音楽性と人間性に惹かれ合い結成することを決意。そこに八上の中学の同級生であり、音楽活動を始めたばかりだったアマノが加わりOverToneを結成。2020年、新型コロナウイルスの影響で数々のツアーやイベントの中止を受けたが、2ndミニアルバム『愛 and 優』に収録された遠距離恋愛ソング“GoodNight”がコロナ禍において、恋人のみならず家族や大切な人になかなか会えない状況と重なり、「歌詞が沁みる! !」と話題になり、2020年12月頃からTikTokでバズりはじめ、LINE MUSIC、Spotify等のサブスクチャートが急上昇。2021年2月、『僕に出来ること』を配信リリース。同年8月にシングル『2m²の世界』を配信リリース。同年12月8 日、自主企画ライブにてインディーズ最後の配信シングルとなる新曲『M7』を配信リリースする事と、2022年春にTEPPAN MUSIC/日本クラウンからメジャーデビューする事を発表。2022年3月、メジャーデビューシングル『ゼロ』を配信リリース。同年4月、2ndデジタルシングル『モンスター』をリリース。同年6月には待望のメジャーデビューアルバム『Prologue』をリリース。
https://overtone0906.com/

RELEASE
『POP APP』

CRCP-40650
¥1,800(tax in)

TEPPAN MUSIC/日本クラウン
12月7日 ON SALE